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羽毛より軽く、サランラップよりも薄い電子回路が登場 ―太陽電池に次ぐ快挙 | ガジェット速報
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羽毛より軽く、サランラップよりも薄い電子回路が登場 ―太陽電池に次ぐ快挙

2013年7月27日 13:48 │Comments(20)

Written by 辻谷 陸王

東京大学とオーストリアのヨハネス・ケプラー大学の共同研究グループは25日、世界最薄・最軽量の電子回路を開発することに成功したとする論文を、イギリスの科学誌「nature」に発表しました。

この電子回路の厚さは僅か2マイクロメートル(サランラップの約五分の一の薄さ)で、重さは1平方メートルあたり3グラムほどしかありません。これだけ “きゃしゃ” な構造にも関わらず、丸めたり引き伸ばしたりしても機械的に破損・変形することがない上、生理食塩水中に1週間浸漬しても機能劣化が見られなかったとのことです。


JSTが公開した動画。羽毛との落下比較や製造法などが紹介されています。

エレクトロニクスは、その黎明期より、シリコンなどをベースとした ”硬い” 基板上に構築された電子回路の高集積化とともに発展してきました。しかし、今後、肌に直接触れるセンサーのような人体への親和性が高い技術の発展を見据えた時には、よりフレキシブルかつ耐久性のある電子素材によるエレクトロニクス・プラットフォームの開発が大きな課題となります。

同研究グループはこうした中、有機トランジスタと呼ばれる研究開発中の電子スイッチに着目。このスイッチは、インクジェット(※)のような液体プロセスによって大量かつ安価・高速に生産できることに加えて、高い軽量性や柔軟性を持っています。

しかしながらこの有機トランジスタ、プラズマにより金属表面を酸化させる従来の “プラズマ酸化法” では10μm程度までしか薄くできず、無理に薄くしようとすると電子の通り道を均一に形成できなくなるという欠点を抱えていました。

研究グループでは、この問題を解決するために、金属表面に酸化物の皮膜を形成する “陽極酸化” を利用した独自手法を開発。これにより、世界最軽量かつ最薄の有機トランジスタ集積回路を作製するとともに、その回路を用いたセンサーを作製することに成功しました。

(※)染谷先生の研究室では、静電式インクジェット(通称: スーパーインクジェット, SIJ)を用いた回路形成技術の研究を積極的に行なっています。これまで、このスーパーインクジェットによる超微細集積回路の作製など多くの実績を残しているため、今回の有機トランジスタの開発でも同様の手法が使われているのかもしれません。
→Twitter上にて、今回の研究ではSIJではなく金属蒸着を使用しているとのコメントを頂きました。ご指摘、まことに感謝致します。

有機太陽電池においても既に実績

この研究グループは昨年、同様の手法により厚さ1.4μmのフィルム上に折り曲げ可能・伸縮可能な有機太陽電池を作製することに成功しています。

この太陽電池、クシャクシャに折り曲げた状態(限界曲率35マイクロメートル)でも発電効率4.5%を維持していたとのことで、今後研究が進めば、低電力駆動が可能なセンサーなどのオンサイト電源になり得るものと期待されています。

2013-07-27 7

2012年に同研究グループが開発した世界最薄・最軽量の有機太陽電池。東大リリースより引用。

これらのような「インパーセプティブル・エレクトロニクス(感知できないエレクトロニクス)」を用いたデバイスは、凹凸や丸みのある部分にも貼り付けて使用できます。このため、例えば皮膚にはりつけたシールで体温や血圧の測定を行うなど、従来のヘルスケア・医療機器では難しかった診断方法を患者に提供できるようにもなるとのこと。

海外では、柔軟性のあるフィルムを基材とした「折りたたみ可能・伸び縮み可能なリチウムイオン電池(過去記事リンク)」といった研究も進められていますが、将来的にこういった技術と組み合わせることで、色々な応用が利きそうですね。

[JSTプレスリリース]
[An ultra-lightweight design for imperceptible plastic electronics(nature)]
[JST ERATO 染谷生体調和エレクトロニクスプロジェクト]

辻谷 陸王

Author : 

辻谷 陸王

初めまして。私は某私大に通っている大学生で、趣味はSF小説とPCゲームです。テクノロジー全般に強い興味を持っており、その中でも特に未来科学に関心があります。執筆の際には僭越ながら私自身の考察等を併記させて頂く事もありますが、テクノロジーの楽しさを理解する一助になれば幸いです。

20 件のコメント

  1. 匿名 2013年7月27日 13:52 No.365764 返信

    うおおお!!我らが東大!!
    早く実用化して欲しいね

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    • No Name 2013年7月27日 23:51 No.366003 返信

      これはオーストリアとの共同研究だから東大だけの成果ではないんだな。
      単独で出来ないあたり、日本の研究力はまだまだ欧米より遅れているよ。

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  2. No Name 2013年7月27日 14:01 No.365768 返信

    これが実用化されればデバイスの自由度が格段に増すな

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  3. 匿名 2013年7月27日 14:22 No.365771 返信

    これが未来だ。

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  4. ガジェ大好き名無しさん 2013年7月27日 14:24 No.365773 返信

    すごすぎワロタ

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  5. No Name 2013年7月27日 14:26 No.365774 返信

    パクられないように今のうちきっちりパテントとっておけよな。

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    • No Name 2013年7月27日 16:32 No.365862 返信

      お世話する方される方、おじいちゃんパテント忘れてますよ!

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  6. ガジェ大好き名無しさん 2013年7月27日 14:36 No.365783 返信

    家屋外観を損なわない「太陽光発電瓦」なんてものも出てきそう。

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  7. No Name 2013年7月27日 15:04 No.365813 返信

    素晴らしい!

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  8. No Name 2013年7月27日 15:23 No.365824 返信

    これはキテるな

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  9. No Name 2013年7月27日 15:32 No.365834 返信

    やっぱり染谷先生やった

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  10. No Name 2013年7月27日 19:03 No.365930 返信

    クレラップよりは太いのか

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  11. No Name 2013年7月27日 19:09 No.365932 返信

    こういう技術が発展してサイコフレームになったりするんだろうな

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  12. No Name 2013年7月27日 19:51 No.365941 返信

    東大は盛大にやらかした直後だけに
    これで名誉挽回しとかないとな

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  13. No Name 2013年7月27日 19:54 No.365942 返信

    なんか知らんが鳥肌たった

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  14. No Name 2013年7月27日 20:36 No.365947 返信

    とりあえずどこの株買えばいい?

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    • No Name 2013年7月27日 20:54 No.365958 返信

      そういう時はとりあえずテクニカル分析だ

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  15. No Name 2013年7月27日 20:37 No.365949 返信

    >SIJではなく金属蒸着を使用しているとのコメントを頂きました

    論文の1ページ目だけなら無料で見られるけど、
    「半導体産業で一般的なプロセスのみで作った」って書いてるね。
    (金属と有機半導体は真空蒸着
    半導体デバイス層とセンサーを分離する高分子層はCVD)

    オールプリントで作るのはまだまだ難しいのか・・・

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  16. No Name 2013年7月27日 22:11 No.365972 返信

    網膜に埋め込めそう

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  17. No Name 2013年7月27日 22:17 No.365973 返信

    ちょっと光合成してくる

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