都賀川のバーベキュー　急な増水、避難鈍く　神戸

　２００８年７月の増水で５人が死亡した神戸市灘区の都賀川で、河川敷でのバーベキューが問題になっている。昨年７月には、降雨に注意を促す回転灯が作動しているにもかかわらず、逃げ遅れそうになる人がおり、周辺住民は事故の再発を懸念。県にバーベキューの禁止を要望した。しかし、規制の法的根拠がなく、県は「川は自由使用が原則」として自粛を促すにとどまっている。（斉藤正志）

　「雨が降りそうです。川から上がってください」

　今年７月１４日夕、大雨洪水注意報が発表され、黒い雲が出始めたため、灘署員や灘消防署員が河川敷でバーベキューをしている人らに避難を促した。ところが、一部は再三の呼び掛けに応じず、雷鳴が聞こえてからやっと動いたという。

　０８年７月２８日の事故では天候が急変し、わずか１０分で１メートル以上も水位が上昇。河川敷で遊んでいた子どもらが逃げ遅れ、亡くなった。

　普段は水量が少なく、週末になると河川敷でバーベキューをする姿が多く見られる。雨が降りそうになっても、コンロや食材を残して避難することをためらう人もいる。通路に器具を置いたままにすると、他の人の通行を妨げる可能性があり、県などは早めの避難を呼び掛けている。

　６月に同区で開かれた県と住民との意見交換会では、地元の「都賀川を守ろう会」の会員がバーベキューの禁止を求めた。だが、県の担当者は「川は誰でも自由に使える」という原則を説明するにとどまった。

　河川法は治水や利水などを目的とし、利用者の安全管理に明確な規定はない。県河川整備課は昨年、規制を検討したが、「法の根拠がない」と断念。「バーベキューもジョギングなどと同じ自由使用の範囲。一人一人に意識を高めてもらうため、啓発を続けたい」とする。

http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201307/0006191012.shtml

局地的な豪雨で増水した都賀川＝７月３日、神戸市灘区