すばる望遠鏡の改修が完了 ―ファーストライトはアンドロメダ銀河
国立天文台はこの度、ハワイ・マウナケア山頂にある「すばる望遠鏡」への超広視野主焦点カメラ(Hyper Suprime-Cam, HSC)の性能試験が完了し、本格運用を開始したと発表しました。併せて、HSCが初めての実運用観測(ファーストライト)で捉えたアンドロメダ銀河の全体像が公開されています。
HSCを搭載したすばるが撮影した、アンドロメダ銀河の全体像。
アンドロメダ銀河は地球から約239万光年の距離に位置する銀河で、私たちが住む天の川銀河の2倍に相当する約26万光年もの直径を持っており、「人間が肉眼で見える最も遠い天体」と言われています。
これまでは、その巨大さゆえに “すばる” の能力をもってしても全体像を鮮明に捉えることは出来ていませんでしたが、今回の改修により、1つの視野で全体像を鮮明に捉えられるほどの広視野と結像性能を持つに至りました。独自に開発された116個のCCD素子からなる8億7000万画素もの圧倒的な性能はまさに「銀河級」と言えるでしょう。
このような高性能の観測装置は、宇宙をより理解する上で極めて重要です。
昨年まで “すばる” に採用されていた先代のカメラ「Suprime-Cam(SC)」が完成した十数年前、時期を同じくして、宇宙空間にはいわゆる “ダークマター” のエネルギー密度の2倍以上もの量に及ぶ「ダークエネルギー」という正体不明のエネルギー場が存在していることが明らかになりました。
このダークエネルギーを調査するために、SCによる観測計画を作成したところ、50年もの年月を要することが判明。このことから、当時出来上がったばかりの(しかも最新鋭のカメラであった)SCよりも10倍以上の観測能力を持つカメラの開発が必要となり、ここからHSCの開発が始まったわけです。
HSCのCCD素子はSuprime-Camと比較して10倍以上の数になっており、これらのCCDの各画素のバラつきを抑えるために、開発チームは組立技術のレベルから見直しを行ったとのことです。
古くから多くのフィクション作品に登場してきたアンドロメダ銀河ですが、鮮明な姿を見せた今もなお、その本質のほとんどは謎に包まれています。私は当時、小学校の卒業文集にあった「老後の夢」の欄に「アンドロメダ銀河へ日帰りで観光旅行に行く」と書きましたが、残念ながら実現は難しそうです。
しかし、こういった技術の進歩が宇宙の神秘や謎の解明に役立つことは間違いありません。いずれは私たちの子孫が、宇宙の本質を明らかにしてくれることでしょう。
[すばる望遠鏡]
[参考: 広視野深宇宙探査によるダークエネルギーの研究]
[関連: 「ダークエネルギーの謎~すばるの挑戦」唐牛宏氏(Togetter)]
凄いな、月面望遠鏡いらないじゃん
でもこれを月面に設置できたら、もっと凄いんだろうな
ラピュタくらい余裕で見れるかな
動植物がいる以上空気がある低空じゃないと無理くね?