オランダでは、1869年にドイツとの国境付近で最後の1頭が目撃されて以来、オオカミの目撃例がなく、絶滅が危惧されていたが、今年7月、144年ぶりに国内でオオカミの死骸が発見された。
発見当初、東欧からオランダに働きに来ている農業労働者が、オランダ人を混乱させようといたずらで運んできたのではと思われていたが、実はそうではなかった。
このオオカミは自力で、東欧から歩いてきたとする見解を、オランダ野生動物衛生センターが(DWHC)発表した。長い旅をして、オランダにたどり着いたのだという。
このオオカミはメスで、北部の小村ルッテルヒースト近くの道端で死骸の状態で発見されたものだ。
同国の研究機関であるナチュラリス多様性センターやアルテラ(などは、正確な情報を得るにはさらに調査が必要だとしつつ、このオオカミはロシア国境付近の東欧から「自然の方法で」オランダ国内に入り、しばらく生存していた後に車にひかれたと推測している。
オオカミはその後剥製にされ展示されている
いずれにせよ「死骸にはオランダに輸送された形跡も、冷凍された痕跡もなく、捕らわれていたことを示唆するような毛や足、爪などの摩耗もなかった」という。また同じ地域でオオカミのふんも見つかっているが、死骸のオオカミのものとは必ずしも特定できるわけではないとしている。
アルテラの研究員ヘールト・フルート・ブラウンダーリンク氏は、国営放送NOSに対し「1匹見つかったのならば、もっといるということだ」と語り、オランダ国内に複数のオオカミが生息している可能性は大きいと述べた。
via:phys afpbb
米国では、絶滅危惧種に指定されていたイエローストン国立公園周囲のハイイロオオカミが保護活動により順調に増え、昨年米政府による絶滅危惧種の指定を約40年ぶりに外れることとなった。この地域のオオカミは、森林伐採や駆除の影響でいったんは絶滅したものの、1990年代にカナダから連れて来た計31頭が、保護活動により順調に増え続け、現在ではロッキー山系北部全体で6100匹にまで増えたという。
悲しいことに日本にいたニホンオオカミ、エゾオオカミは絶滅したと言われているが、米国と同様の試みを提唱する人々もいる。しかし行動範囲の広い肉食獣を国土の狭い日本の山河に放つことはリスクが大きすぎるという意見もあるそうだ。
日本ではかつて、狼信仰が存在した。またオオカミを眷属として祀っている神社もある。オオカミは「大神」と当て字で表記していた地域も多く、アイヌではエゾオオカミを「大きな口の神(ホロケウカムイ)」「狩りをする神(オンルプシカムイ)」「ウォーと吠える神(ウォーセカムイ)」などと呼んでいた。
ところが、江戸末期、1858年(安政5年)にコレラが大流行し、コレラは外国人により持ち込まれた悪病であると考えられ、憑き物落としの呪具として用いられる狼遺骸の需要が高まり、また同時期に流行した狂犬病やジステンパーの拡大によって狼の獣害も発生し、こうしたオオカミの捕殺・駆除の要因が複合的に関係して、ニホンオオカミは絶滅に至ったものと考えられているんだそうだ。
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コメント
1.
2. 匿名処理班
なんでそんなに大騒ぎするの・・・?
地続きなんだから一匹くらい迷い込んで当然じゃね
3. クロ
ロシア森林地帯からオランダまでの旅を思うと胸が熱い。で、最後は刎ねられたのか・・・
4. 匿名処理班
車に轢かれたっていうのが悲しい結末だな
5. 匿名処理班
賢狼ホロか
6. 匿名処理班
左右を確認してから渡ることを教えてあげて><
7.
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