サムスンが、世界初の 3D垂直構造NANDフラッシュメモリ採用SSDを、エンタープライズ向けに製造開始したと発表しました。
サムスンが 3D V-NAND と呼ぶ 3D垂直構造NANDフラッシュメモリー (3D Vertical NAND Flash Memory)は、同社の特許である「3D チャージ・トラップ・フラッシュ (CTF) 技術」と、垂直に積み重ねたセル間を接続する「垂直配線プロセス技術」をもとに製造します。
これらの技術により、20nm 級プロセスで製造される従来の平面型NANDフラッシュと比較して、2倍以上の微細化が可能としています。なお現時点ではシングルチップで 128Gbit (=16GB) の記録密度を実現しています。
従来の NAND フラッシュ(平面型)は、データを保存するメモリセルを平面に配置しているため、大容量化にはセルのサイズを小さく(=プロセスの微細化)して、間を詰めて配置する必要があります。
一方セル同士の距離が近くなると、セル自身が発生する電磁波が他のセルに干渉しやすくなり、結果として信頼性が落ち、寿命も短くなるといった弊害がおこります。
しかしサムスンによると、3D V-NAND の「垂直配線プロセス技術」は、セルを垂直方向に積み重なるように配置するので、電磁波の干渉を受けにくくなり、結果として信頼性は平面型と比較して2倍から10倍ほどアップするとしています。
またこの技術は大容量化にも役立ち、将来的にはシングルチップで1Tbit(=125GB)まで実現できるとのこと。
今回発表された V-NAND SSD は、960GBと480GB の2種類。サイズは2.5インチ、接続方式は SATA 6Gbps。すでに8月上旬から製造を開始済み。
なお同社は今後 V-NAND SSD 搭載製品を、エンタープライズ以外の幅広い層に向けて広げていくとしています。