RSS速報
医療は近代文明の基礎のひとつだと我々は思っているが、いつも喜び勇んで医者に病気を治してもらいに行けるというわけではない。中世の時代では、今よりももっと危険で、奇妙な治療が施されていたのだ。
スポンサードリンク
10.イノシシの胆汁で浣腸
中世では、浣腸はクリスターという浣腸器で行われていた。末端にカップがついた長い金属のチューブで、チューブを肛門に突っ込んで、カップの中の薬を結腸に注入する。今日の浣腸には暖かい石鹸水のようなものが使われているが、当時はイノシシの胆汁の調合薬などが普通に使われていたという。
王のような身分の高い者でさえ、浣腸を使った。フランスのルイ十四世は、在位中2000回も浣腸したと言われている。その何回かは王座に座っているときだったという。
9.消毒剤として使われた尿
一般的ではないが、記録からは中世では尿が時々消毒に使われていたようだ。ヘンリー八世の外科医トーマス・ヴィカリーは、あらゆる戦傷を尿で洗うべきだと勧めた。1666年、内科医のジョージ・トムソンは伝染病にも尿を使用するよう推奨し、尿のエッセンスと称した瓶詰めまであったという。
これはあながち常識はずれなことでもない。尿は人体から排出された直後は無菌で、そこらへんの水よりも健康にいいとされたとしてもおかしくないのだ。清浄作用があるかどうかの保証はないが。
8.針を使った目の手術
中世では、太い針を使って角膜を目の裏に押すという白内障の治療が行われていた。イスラムの医療がヨーロッパに入ってきてから、目の手術法は急速に変化した。針ではなく、金属の皮下注射器を目の強膜(白目)に刺して、水晶体の濁った部分を吸い取る方法がとられた。
7.焼けた鉄を使った痔の治療
かつて、聖フィアクルに祈りを捧げないと、痔に苦しむと信じられていた。痔になってしまったら、修道士のところへ送られ、赤く焼けた鉄を肛門に突っ込まれる。おぞましい治療だが、痛みがひどいほど、効き目があるという。そして聖フィアクルの有名な岩に座らされる。これは17世紀のアイルランド僧だったフィアクルが、奇跡的に痔を治したと言われている場所だ。そのため、中世では痔は聖フィアクルの病気と言われていた。
12世紀には、ユダヤ人医師のモーゼス・マイモニデスが痔に関する7章に渡る論文を発表し、それまでの治療法に異議を唱えた。彼はもっと簡単な方法、風呂によくつかることを提唱した。
6.おぞましい手術
よく映画などで、麻酔なしで人体にメスを入れる場面が出てくるが、中世では麻酔は使われているには使われていた。人の流れが遠くまで拡散して世界は広がり、異なる文化の医者たちが情報や技術を共有し、採用されるようになっていたため、もっと進んでいたのだ。
しかし、よりより医療への意思はあったとしても、化学の知識が追いついていなかったことも確かだ。麻酔が使われていたとしても、鎮痛薬、抗生物質、消毒薬の知識に関しては現在とは雲泥の差だった。そのため、多くの人々が感染症で死んだのだ。
5.有害な麻酔薬
麻酔の技術が一般的になったのはたった150年前のことだ。それまでは、天然ハーブを煎じたものをワインと合わせて、患者を落ち着かせていた。こうしたハーブ麻酔は、一般的にベラドンナとして知られていた。ベラドンナには、レタスや酢のように無害なものから、ドクニンジンやアヘンのように有害なものまでさまざまなものが含まれていた。現代の睡眠薬のように、こうした材料を間違って調合すると、死に至ることもあった。
4.頭蓋穿孔(トレパネーション)
頭蓋骨に孔をあけて、脳の外側にある膜、硬膜をさらすこと。脳圧を下げ、てんかん、偏頭痛、精神障害、頭蓋骨骨折のような外傷まで治すと言われていた。当然、脳を外気にさらせば、病原菌が入り込む可能性がある。しかし、頭蓋に孔をあける治療は完全にすたれたわけではない。2000年、アメリカでふたりの男が、慢性疲労症候群とうつに苦しむ女性にこの治療法を施したという。
3.戦場での手術
中世の戦場での手術法は、おぞましい治療とよく言われる発端のひとつだった。矢じりは普通、蝋で矢柄にとりつけられている。それは矢の先端が犠牲者の体の中で折れて矢だけが抜けるようにするためだ。先端をはさんで体から抜く専用のリムーバーは、兵士の傷を治すのにも使われた。傷は焼いた鉄を当てて焼灼し、血を止めて感染を防いだ。
この時代の医療効果については、多くが忘れられてしまっているが、最近の研究からは思ったより効果的だったかもしれないことが明らかになった。2011年、イタリアで紀元500から700年頃の遺骨がたくさん見つかり、この時代の兵士が頭にかなりの打撃を受けても生き延びた可能性があることがわかった。一部は頭蓋に5センチの孔があけられても生きていた痕跡を示していた。
2.医療占星術
中世の時代、占星術師は本物の魔術師として崇められていた。確かに彼らは尊敬される学者で、作物畑を増やすことをアドバイスしたり、天候を予測したり、どんな人が家族になって子供をもつかまで予言した。
医者は診察をするのに、星図の書かれた特殊な暦を参照した。1500年頃まで、ヨーロッパの医者は患者のホロスコープをみてから、医療を施すよう法的に定められていたという。
占星術では、体の各部分は、太陽、月、惑星に影響を受けていて、それぞれの星に支配されているという。例えばおひつじ座は頭、顔、脳、目、さそり座は再生システム、生殖器、腸、排泄システムをつかさどっているという。患者の星図を調べてから、現在の星の位置を考慮に入れて、患者の疾患が判断され、診断がなされたのだ。
1.瀉血(しゃけつ)
中世の医者はユーモア=気質というものを信じていた。この場合の気質とは体の中にある、黄胆汁(短気の原因と考えられた)、黒胆汁(憂鬱の原因と考えられた)、粘液(粘液性質の原因とされた)などの体液のこと。血液、粘液、黄胆汁、黒胆汁の4種の液体の過不足が、人間の健康に大きな影響を与えると信じる四体液説はギリシャやローマの医師の思想から発展した。
中世で、血液、特に過剰な血液はあらゆる病気の原因と見られていた。だから、医者は患者の静脈からかなりの量の血液を抜くことによって、病気を治そうとした。それにはヒル療法と瀉血のふた通りのやり方があった。ヒル療法は、体の悪い場所にヒルを置いて、この吸血動物に血を吸ってもらう方法。瀉血は、医者が文字通り患者の静脈をナイフで切り開いて、血液を排出する方法。定期的に瀉血すると健康が保てると広く信じられていたのだ。
via:listverse 原文翻訳:konohazuku
▼あわせて読みたい
古い時代のおどろおどろしい20の手術用医療器具
おどろおどろしい精神病治療器具の歴史を紹介、「グロール精神医学博物館」(米・ミズーリ州)
ちょっとしたトレパネーション!?自分の頭の後頭部にカメラを埋め込み「第三の目」を得た男
この記事をシェア :
「歴史・文化」カテゴリの最新記事
この記事をシェア :
コメント
1. 匿名処理班
もっと時代が経てば今の外科手術もおぞましいって言われちゃうのかな?
2. 匿名処理班
瀉血は中世どころか十九世紀の欧米でも未だに行われていた。当時の小説にも頻繁に登場するよ。例えばフローベールの『ボヴァリー夫人』とか(旦那のボヴァリー氏は外科医)。蘭学として日本に輸入されたという話はあまり聞かないけどね。
3. 匿名処理班
数年前に長年悩まされ続けた痔漏の手術をしたんだが・・・現在でもけっこうキツかったぞ(苦笑
ましてや古代の痔手術なんて完全にただの拷問じゃねえか!
4. 匿名処理班
痔の治療は古代インドやギリシャのヒポクラテスがやった痔瘻の穴を縛る治療法が現代の日本でも行われていて、再発が少なくて良いらしい。
5. 匿名処理班
※1
ロボトミー手術が行われていたのはほんの数十年前のことなんだ
歯磨きの正しいとされた方法だってこの数十年で数回は変わってる
6. 匿名処理班
そうだねきっと仮死状態にして部品を切り取ってくっつけて傷口を再生するだけの
簡単な手術になるよ
7. 匿名処理班
東洋バージョンも見てみたいな
8. 匿名処理班
痔 焼いた鉄って。。。。
でも出た部分を切って、止血というのは基本的に変わらないから有効そう、、、でも。
9. 匿名処理班
頭おかしいっす
10. 匿名処理班
胃の診察に、口か鼻からカメラ突っ込んで
直に撮影していた頃があった
って時代がはやくきてほしい
11. 匿名処理班
当時の最先端の医療技術がそれだったからな。
薬草とかは科学技術の発達するにつれて有効な
成分がわかって合成されたりしているけど。
12. 匿名処理班
8番だけは勘弁・・・
13. 匿名処理班
医療や衛生概念の面からみれば
「昔は良かった」なんて寝言は言えないな
14. 匿名処理班
そして1000年経ち、2013年ごろの人類の歴史を観て
「なんて野蛮な奴らなんだ…恐ろしい」と新人類は怖がる訳ですな
そういうもんだよね、「今」なんて通過点の連続でしかない
ジュラシックパークの小説で
「未来の学生が本を読んで『昔の奴らは自尊心てモノを信じてたらしいぜ、おかしいよな』と笑う時代が来るかもしれないな」
という一節を思い出したよ
15. 匿名処理班
血抜きとか今でもいいとかいってる奴いるよな・・・
16. 匿名処理班
抗がん剤なんか未来人にはありえないと言われちゃうといいな
今でも未来からすればとんでもない治療が山程あるんやろなあ
17. 匿名処理班
現代でも、レーシック難民とか、子宮頸がんワクチンとか最悪な医療がたくさんあるだろう。現代医療の黒歴史として後世に残るに違いない。
18. 匿名処理班
ヒルは今でも民間療法的な感じでやってなかったっけ
19. 匿名処理班
>>1
映画のスタートレックでマッコイ(船医)が20世紀の
医療をケチョンケチョンに言ってたシーンは面白かったな
20. 匿名処理班
瀉血は現代医療でも残ってるけどな。もちろん技術や理論は変化したが。
21. 匿名処理班
※1
ナノマシンの投与でなんでも治るようになって、「開腹手術なんておぞましい」って言われる日も来るかもね。
22. 匿名処理班
7.を見てお尻がヒュンってなった。ヒュンって(ガクガクブルブル…
23. 匿名
いつの時代も漢方ほど理にかなった医術はない
24. 匿名処理班
ロボトミーもひどいよねー
25. 匿名処理班
最近の発見とか手術に際しての消毒の効果の認識とか19世紀だよな・・・
つい最近だ