ベルベットワームの新種、Eoperipatus totoros(トトロカギムシ)がベトナムで見つかった。2本の触角からベトベトした白い粘液を出して獲物を絡めとるという。
ベトナムのジャングルで見つかったこの新種のベルベットワームは、これまでのベルベットワームの種類とは異なる。全長約6センチ。全身独特な形の毛で覆われている。ドイツのライプツィッヒ大学の研究者、イーヴォ・デ・セナ・オリヴェイラ氏は、比較動物学の学会誌でこの生き物について説明した。
世界の熱帯雨林には、まだ世に知られていない新種がごまんといるが、彼らは湿った土の中や腐った木、石の下に隠れて暮らしているのであまり見つからず、その生態はほとんど知られていない。
アリやクモなどの節足動物と違って、ベルベットワームは外骨格をもっていないが、薄い皮膚で覆われたその体は液体で満たされていて、液体の加圧によって強度を保っている。静水圧で歩くことができるが、非常にゆっくりで、ずんぐりした四肢に関節はない。
しかし、このゆっくりした動きが彼らにとって利点になっている。狩をするとき、ほかの昆虫や無脊椎動物に忍び寄り、背中についた2本の触角から、糊のような粘液を出して獲物をからめとって動けなくし、唾液を注入して食い尽くすという。
オリヴェイラ氏によると、この気持ちの悪い粘液には、動きを妨げるたんぱく質の混合物が含まれているという。獲物がもがけばもがくほど、がんじがらめになる仕組みだ。ベルベットワームは、出しすぎた粘液を自ら食べることもあるという。たいてい小さな生き物を狙い、貴重な体の粘液を節約しているようだ。
ベルベットワームは、節足動物や緩歩類動物の祖先から枝分かれした5億4000万年前の古代から、その姿をほとんど変えずに生き残ってきた生物だ。ベルベットワームの研究によって、節足動物の進化の過程が明らかになる助けになるだろうという。
ベルベットワームのこうげき。スライムキャノンアタック!
ベルベットワームには、熱帯に広く生息するものと、オーストラリアやニュージランドに棲むもののふたつの種類がある。前者は単独で、後者は群れをつくる傾向がある。2006年の研究では、Euperipatoides rowelliが15匹の群れで狩をすることがわかり、獲物はメスが最初に食べるという。
トトロカギムシは2010年にベトナムで初めて見つかったが、今回、ベトナムの研究者サイ・ドラン・バイによって報告され、初めてその詳細が明らかとなり「新種入り」した。ていうかトトロって、まさかあのトトロからきてるわけじゃないよね?
via:New glue-spitting velvet worm found in Vietnam ・原文翻訳:konohazuku
※追記
コメント欄によると、トロロはやっぱり日本のあのアニメ、「となりのトトロ」由来だったらしい。トトロが乗り物として使うネコバスががカギムシに似ているために「トトロ」と名付けられたんだそうだ。ていうかベトナムの学者さん、トトロ好きだったんだね。なんかちょっとうれしいな。
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ビロードのようななめらかな皮膚を持ち、粘液のある白い糸を口から噴射するカギムシ類「ベルベットワーム」
コメント
1. 匿名処理班
発射シーンで思わず声に出して「ヒイイィー」て言った。
2. 匿名処理班
トトロに出てきた猫バスから名付けられたようですぜ。
3. 匿名処理班
アノマロカリスやハルキゲニアの時代のルックスだよね。
4. 匿名処理班
カギムシって和名があるんだからわざわざ英名使わなくていいんじゃない?
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6. 匿名処理班
うはぁ 肛門みたいな口から
ちょろっと出す舌がやだ。
ビートルミルクシェイク
とか言ってるし。。
7. 匿名処理班
http://en.wikipedia.org/wiki/Eoperipatus_totoro
ウィキ見るとネコバスに似てるからトトロ、らしいっすけども
どこまでマジなのやら。
8. 匿名処理班
この生物の眼から外界や獲物はどう見えてるんだろ
9. 匿名処理班
かぎむし文書
ttp://kagimushi.blog.fc2.com/
「トトロ」が由来みたいですね。
10. 匿名処理班
カギムシは男の浪漫!
11. 匿名処理班
摩訶不思議
12. 匿名処理班
パルモせんせー、関連動画・2008年07月18日の↓記事が同じ動画みたい〜
「ベルベットワーム(カギムシ)がビートルを捕食する現場」
13. 匿名処理班
夜の雨のバス停でこれが横に並んで来たら思うと超コワイ
14. 匿名処理班
2本出るとは思わなかった
15. 匿名処理班
トトロは粘液を噴射して獲物の内臓をドロドロにして吸い尽くしたりしません
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