民間の火星移住計画マーズ・ワンの現状とは? ―専門家は「辿り着いても全滅」
近年、「キュリオシティ・ローバー」を始めとする様々な探査機の成果を基に、火星にはかつて…そしておそらく現在も、液体の水が存在していた(いる)とする論文が数多く発表されています。
そうした科学的裏付けが進むにつれ、海外では火星への有人探査プロジェクトが徐々に立ち上がってきており、その中には民間企業が中心となって計画を推進しているものもあります。
本記事は、そうした民間の火星「移住」計画の中でも最も実現性が高いと見られている “マーズ・ワン” について、その現状と問題点を解説したものです。僭越ながら記事の末尾にて私見も述べさせて頂きましたので、併せてご覧頂ければと思います。
1.「マーズ・ワン」とはどのようなものか
マーズ・ワンとは、オランダの起業家であるバス・ランスドルプ氏によって立ち上げられたNPO団体のことで、人間を火星に移住させる「火星移住計画」の名称です。
この計画の注目すべき点は、現代のテクノロジーでは火星の重力圏から再脱出できるほどの推進力を持った打ち上げ装置を作れないため、一度行ったらもう地球には帰れない「片道切符」だという所でしょう。
とてもそんな命知らずな計画に参加する人はいないのではないかと思われるかもしれませんが、実際には20万人以上もの人達から応募が集まっています。計画では、これらの応募者の中から24人~40人ほどの最終候補者を選定し、7年間の訓練を経たのち、2022年から2年刻みで4人ずつ火星に送り込むことになっています。
計画に必要な資金は、火星移住計画の放送権を各テレビ局などのメディア産業に売ることで賄える見込みであり、また、機器類や火星での居住施設などはプロジェクトチームが適任と判断した民間企業にアウトソーシングする予定であるとのこと。間もなく候補者の選抜と訓練が開始され、2016年~2022年の間に必要な機器類やモジュール・食料などを火星に送る計画となっています。
既に環境制御や生命維持のシステムの開発メーカーであるパラゴン・スペース・ディベロップメント社と開発契約を締結しているほか、宇宙船はスペースX社の「ドラゴン」を改造して利用することが検討されています。
2.問題点
同計画は、1999年にノーベル物理学賞を受賞したへーラルト・ホーフト氏やオランダの宇宙関連企業である「オランダ宇宙協会」などから全面的な支援を受けており、世論調査でも一定の支持を得ています。
しかしその一方で、宇宙に関する専門家や関係者からの厳しい批判、懸念の表明も相次いでいます。中でも最大のものは、「そもそも火星へ無事に辿り着けるのか」という点です。火星にたどり着くまでには約7ヶ月もの期間を要するため、大量の物資を搭載しつつ長期にわたって安全な航行を行える宇宙船を作らなければなりませんが、果たして約10年という短いスパンでそれを実現できるのでしょうか。
例えば、もしU.S.Sエンタープライズがあれば、光速の900倍の速度でワープできるため、あらゆる惑星にほぼ一瞬で行くことが可能です。しかし、残念ながら私たちの時代にはU.S.SエンタープライズどころかNX-01すらありません。
現実問題として、同計画の宇宙飛行士達は宇宙船の中で7ヶ月間も過ごさなければならないのです。これまでにも437日間もの期間を宇宙で過ごした宇宙飛行士がいることから、理論上・経験上では可能かと思われますが、それでも長期間の宇宙滞在には次のような問題があります。
放射線の問題
現代のテクノロジーをもってしても宇宙空間の放射線は完全にカットできないため、宇宙飛行士達は火星に到着するまでに大量の放射線(宇宙線)を浴び続けることになります。当然、火星に辿り着いてもその状況に変わりはありません。専門家の中には、この点を挙げて「火星に辿り着いたとしてもすぐに全滅する」との見解を示す人達もいます。
無重力の問題
無重力環境下では、地球上と比べて筋肉への負荷が著しく減少するため、その強度も徐々に衰えてゆきます。訓練によって強度の低下をある程度軽減することは期待できますが、半年以上にも及ぶ無重力空間での生活は、確実に宇宙飛行士達の体力や筋肉量を衰えさせます。
たとえ火星に辿り着いたとしても、入植や開発を行う余力が残っているのでしょうか。
ISSに五ヶ月間滞在したクルーの帰還直後。自力で立ち上がることも困難な状態。(画像元)
資源面での不確実性
マーズ・ワンでは、火星に到着した後に土壌から水を汲み上げて飲料水を確保するミッションを行う予定になっているとのことですが、そもそも液体の水が本当に存在していることを証明する “確定的な” 証拠はまだ見つかっていません。
また、火星表面で開発を進めるにあたり、金属や鉱物などの資源を現地で調達する必要も出てくるでしょう。そうした場合、どこにどのような金属資源が埋まっているのか探り当てるだけでも、極めて困難なミッションになることが予想されます。ましてや、それを掘削するとなったら、恐らく数十年がかりの世代を超えた一大プロジェクトになるでしょう。
果たして、それだけの長期にわたって計画を存続させることが果たして可能なのでしょうか?どうも全体的に場当たり感があることは、否定できません。
責任の所在
訓練中の事故や宇宙船の故障などで宇宙飛行士達が火星に到達する前に死亡した場合、誰がこの責任をとるのでしょうか。「マーズ・ワン」の本拠地はオランダにありますが、宇宙船などの機器類はアウトソーシングされるため、責任の所在が曖昧になっているのです。
以上のようなの懸念に対して、明確な反論は未だに為されていません。インターネット上では「単なる投資詐欺だ」や「如何に壮大な嘘ほど人を騙しやすいか実証するための社会実験」といった皮肉めいた意見も散見しており、同計画の道のりは険しいものになると予想されます。
3.私見
「Space, the final frontier.(宇宙、それは最後の開拓地。)」とは「スタートレック」の冒頭に流れるナレーションの一部ですが、当時、この言葉に心を揺り動かされて宇宙関係の職業を目指した人達が大勢いました。フィクションに過ぎないとはいえ、一つのドラマが人々を宇宙開発へと向かわせる原動力になったのです。
SFの影響を抜きにして考えても、未知の領域を開拓するというのは人間の基本的な欲求であり、生物としてより広範囲にテリトリーを広げようとすることは自然な行いと言えるでしょう。そういった意味では、宇宙開発は人間が持つあらゆる欲求の集大成と言えるかもしれませんが、それでも私はこの計画に反対せざるを得ません。
何故なら、リスクの高い計画を敢えて無理に進めなければいけない事情は今のところ特に無いからです。20年後に地球が滅ぶのならともかく、現状ではテクノロジーの発達を待っても決して遅くはありません。
民間の宇宙関連企業は「利益の確保」という現実的なモチベーションがありますので、NASAのような国から予算を得る機関に比べると、効率性を追求しやすい側面があります。こうした企業が増えていくのは大変好ましいと思いますが、こと有人宇宙開発の分野では、現時点で利益のために高いリスクを背負うのは全く適切ではないものと思います。むしろ同計画の失敗によって、他の有人探査計画も廃止に追い込まれる可能性もあります。
仮に火星に無事辿りつけたとしても、その後のミッションが順調に進むとは考えられません。事前の同意に基づいているとはいえ、長期に渡って過酷な環境に身を置くことで考え方が変わってくる可能性も十分にあり得ます。そうした場合、彼らは何度も地球に帰還を要請し、それが無碍に却下される屈辱を味わい続けることになるでしょう。
いつかは往復宇宙船が完成するかもしれませんが、その時に彼らが「地球人」に対して以前と同じような仲間意識を持っているとは限りません。そうなれば、火星が発展した先に待っているのは人類同士で行われる史上初の星間戦争かもしれません。
[CNN][AFP BBNews][Mars One]
そうだ、まずは火星の環境を整えるためにコケとゴキブリをばらまいてみてはどうだろうか?
テラフォーマズになっちまう!
じょうじ
アメリカとか北海道とかの開拓とは訳が違うもんな。
言った先は吸う空気も飲める水もない、
補給はあっても、空に浮かぶ星の一つからエッチオッチラと持ってくるせいで
時間とコストがかかる。
立候補した人は凄いと思う
動画観たらものすごくワクワクしちゃったけど、確かに火星開拓なんて俺たちが生きてる間にできそうもないもんなぁ
でも、「火星人」との星間戦争のくだりはちょっとワクワクしてしまった……w
火星に旅立った彼らが、火星の環境と放射能放射線による突然変異で……。
……あれ? これってジャミラじゃね?
マーズサイトが見つかれば……ってさすがに古いか
えーと。いきなり有人でって計画なんですね。。。
まず無人で向こうに基地作るのが先なんじゃないかと思いますが。
これは風呂敷広げてるだけなんじゃないかと思ってしまう面が確かにありますね。
まずは資材と物資(生活拠点建設用)を送り、仮設住居としてポッド型の構造物を投下。
当然酸素生成装置(酸化鉄から酸素を取り出す装置)も必要だし、電力を賄うための太陽光発電システムも送らなければならない。
(可能なら「食料生成プラント」も欲しいところ)
あとは先遣隊として「それらを組み立て、居住可能な施設を作る作業員」を送るのが筋だよなぁ……。
正直、まずは月で「地球外環境でのコロニー建設」を行い、実績を積んでから計画すべきだと思うよ。
(月に水はないが、少なくとも「化合物としての酸素」はあるわけだし)
いきなり火星とか、もはや人体実験レベルだよ……。
しみじみMars Oneの記事を読んでいたんだが、2022年の有人打上げ前に
0.通信衛星
1.食料ユニット
2.火星車
3~8.生命維持システム*2,住居*2,物資ユニット*2,ローバー*6
合計9機打ち上げるらしい。
みんな戻って来られないことぐらいわかってるでしょ。
それにも勝るのが「火星に着陸した初の人類」という栄誉。
あと10年ではまぁ、無理だけど。
NASAのSLSを購入するとしても1機数千億円しそうだし。
各国南極探検隊ですら、初期は結構やばかったらしいけどね。
最初は
>「火星に着陸した初の人類」という栄誉。
で納得できたとしても、いずれ過酷な環境に嫌気がさして不満を募らせるのが人類の性だよ。
しかも帰ってこれないんじゃ、せっかくの栄誉も宝の持ち腐れだし。
(周りにいるのは同じ栄誉を共有する対等な相手だけだし)
つうかこの会社は、いったい何をそんなに焦ってるんだろう?
火星にコロニーを作りたいなら、ISSを火星軌道上に投入する方がよさそうな気がするんだけどな……。
U.S.Sエンタープライズでワープ9.99だと3秒で火星に到着
地球からの所要時間は30分かな(^。^)y-.。o○
近所の月に恒久的な設備を作れるようになってからだろうなあ
そらそうやろうなぁ
宇宙線がヤバい
火星の重力は地球の4分の1だからISSチーム程にはならないと思うが…
まぁ、衰えることには変わりないわな。
7ヶ月間の航行の間でって事だろ
くまむん、
スタートレックの最新映画見ましたな (*^_^*)
他の人も書いてるけど
まず月だろwww
月すっとばしての火星は全滅するとしか思えない
火星に移住する前に砂漠緑化とか南極開発するほうが楽だろうに