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http://japanese.engadget.com/2013/09/17/engadget-konashi/

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Engadget電子工作部 活動報告:konashiを使ったスマホ連携ガジェット作り 成果物発表 - Engadget Japanese


Engadget 日本版では、8月17日と25日の2日間、「大人の夏休み」が楽しめる電子工作部のイベントを開催しました。 konashi という電子工作キットを活用し、スマートフォンと連携するガジェットを企画、実際に作ってしまおうというものです。今回はこの2日に渡ったイベントの模様をお伝えします。

なお、9月18日には、写真部のイベントも開催します。こちらもふるってご参加ください。 イベントに集まったのは、約30人の部員たち。電子工作を趣味にしている経験者から、ハードウェアやソフトウェアのエンジニア、デザイナーやマーケッターもいれば、板金屋さん、美大生など多彩な顔ぶれが会場の 3331 に集いました。





ワークショップ1日目、松村礼央氏(東京大学先端科学技術研究センター特任研究員、ユカイ工学株式会社主任研究員)がスマートフォン用のガジェットを作る上でカギになるフィジカルコンピューティングや、スマートフォンの特性について説明しました。



スマートフォンのタッチUIは何かをしながら操作できず、万能ではありません。たとえば、ジョギング中にスマートフォンの機能を起動するような単機能のボタンがあったら便利ですよね。 konashi は試作がしやすいので、思いつきを形にしやすいんです。これから2日間のワークショップで、スマートフォンとインタラクティブに連携するものを作っていきましょう」(松村氏)

電子「工作」といっても、いきなり作業にとりかかるわけではありません、1日目は、各班でひたすらアイデアをひねり出し、自分たちが作りたいものを模索していきました。とはいえ、急にアイデアを出せ、と言われても中々思いつかないもの。そこで、小林茂氏(情報科学芸術大学院大学[IAMAS]産業文化研究センター[RCIC]准教授)からはこんなアドバイス。



各班、アイデアスケッチの段階では実現性は全く考えずに、どんなものがあったらいいのか、それは誰がどんなの時に使うものなのか? 体験する人はそこで何を得るのか、そこを具体的に考えていきましょう

電子工作部に集まった部員は、それまで面識のないメンバーがほとんど。しかし、アイデア出しの段階からかなり活発な意見が飛び交っていたのが印象的でした。年齢も性別も生活のバックボーンもバラバラな部員たちが、実現性ではなく、まずは「あったらいいな」を考える、まるでドラえもんの道具を考えるような楽しい時間が進みます。




次々と出てくるアイデアをイラストにして、それらを壁に貼りだし、直感的に良さそうだなと思えるものに投票。アイデアを共有し絞っていきます。最終的に1つに絞り、そこからそのアイデアをどうしたら実現できるのかを検討。ちなみに、ふるいにかけられ惜しくも選外となったアイデアの一部は以下の通り。

・スマホの操作で好きな時にハイヒールが折れる
・目的地の方向に倒れる棒
・意識が高い人に近づくと光るリング
・待ち合わせ時に、待たせている相手に到着時間に合わせた尺の動画を送信




このほか、 konashi の実際の使い方のレクチャーも行われました。iPhoneに専用のアプリをインストールしてkonashi に回路をつなぐと、アプリのON/OFF で遠隔操作で konashi に接続されたLEDが点灯、バイブレーターが振動します。遠隔操作で反応する機器に、部員たちからはどよめく声も。なお、iPhoneと konashi は Bluetooth Low Energy 接続しています。




2日目のワークショップまでは1週間あまり。各班はそれぞれ、 Facebook で作業グループを作り、分担して材料調達やハードウェアのデザイン、ソフトウェアの開発などにあたりました。

2日目、各班黙々と作業。ワークショップのラスト、製品発表会があるためです。ワークショップとしては2回目の顔合わせですが、この間、担当毎の打ち合わせやFacebookでのやりとりもあって、各チームがチームとしてまとまっている様子。ソフトとハードの開発者が最終調整に入る中、ほかのメンバーはいかに魅力的なプレゼンテーションを行うか頭をひねります。



いよいよ、発表会。1班の企画・開発した製品は、 寿司型コミュニケーションデバイス。寿司屋のカウンターに設置したデバイスに触れると、無愛想な店主の口元に取り付けられたiPhoneが、寿司ネタの説明を英語で行います。iPhoneの画面には主人の口の映像、iPhone側の傾きセンサーを利用して店主がお辞儀をすると「いらっしゃい!」と自動的に音声も流れます。プレゼンテーションは効果的に映像を使った印象的なものでした。ラストに1班の皆さん「クールジャパン予算500億円ください!」とアピール。



続いて2班の企画・開発した製品は、みかんサモナー悪魔の爪。ミカンをむくという日常的な行為を、「中二病」的なイマジネーションを膨らませて楽しく行おうというもの。

暗闇に置かれた段ボール。そこに青白い光を放ちながら仰々しく登場したのは、冬の定番フルーツ、みかん。段ボールの中にはアクリルを加工して作った装置が仕込まれ、みかんのすぐ下には魔法陣、みかんサモナーはまさに、みかんを魔法で召還(サモナーは召還者の意)した演出が楽しめます。



召還したみかんは、悪魔の爪でむきます。親指に仕込まれたの獣の爪のようなこの装置は、圧力を検知して爪の先に仕込んだLEDが発光、さらにiPhoneからは落雷のような激しい音の演出。日常を過剰で異常に盛り上げます。



続く3班は、ぬくもりをコミュニケーションする ONTAMA という卵形の装置。プニプニとした触り心地がとても気持ちいいこの装置、内部にkonashiが仕込まれており、圧力を検知するほか、LED発光や振動機能を搭載しています。

触れてぬくもりを伝えることでTwitterで世界に配信するほか、世界の誰かが持っているONTAMAにぬくもりが伝えられます。つまり、ONTAMAを利用して自分が誰かを温めてあげると、今度は反対に、誰かからぬくもりが届きます。人のぬくもりをテーマにしたONTAMA、プニプニ触感を探して辿り着いたのがTENGAというところでも不思議な盛り上がりを見せました。





4班の企画・開発製品は シャカシャカブラシ 。子どもに楽しく歯磨きしてもらうこの製品は、製品テーマが明快で、「売れそう」といった声がもっとも多かったようです。konashi 搭載の歯ブラシを振って歯を磨くと、iPhoneの画面には一緒に歯を磨く仲間のキャラクターが登場、磨いた動きに合わせて、キャラクターもキレイにしてあげられ、規定の回数以上磨くと、「ありがとう」と感謝の言葉がもらえます。



5班の企画・開発製品は、 洗濯を支援する せんたくん。風力・照度・湿度などを感知するセンサーを搭載し、洗濯物を取り込むタイミングをiPhoneへ通知。にわか雨の情報なども通知します。風力センサーには風鈴を利用しており、金属の風鈴が鳴ると通電して風を検知する仕組みには講評する先生方も驚いていました。







さて、2日にわたるワークショップはこれにて終了。しかし、作った製品はこれで終わりじゃないんです。各班毎に、今後も製品化に向けて取り組んでいくところもあるようです。また、今回の作品は、11月3日・4日に開催されるDIYのイベント Maker Faire Tokyo 2013 にて展示予定です。こちらもどうぞお楽しみに!