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http://japanese.engadget.com/2013/09/18/20mhz-lte-291mbps/

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イー・アクセスが20MHz幅LTEで291Mbpsを達成、今後の事業計画を説明 - Engadget Japanese

イー・アクセスは、1.7GHz帯LTEを使った商用ベースの実証実験において、下り291Mbpsを記録したと発表しました。実験はイー・モバイルの通信網と、隣接する周波数(5MHz幅)を利用したもの。会見では、LTE網で音声通話を行うVoLTEの導入についても言及しました。



イー・アクセスは、1.7GHz帯の15MHz幅を利用し、LTEサービスの EMOBILE LTE と、HSPAサービスの EMOBILE 4G を提供。LTE化を進めており、現在、EMOBILE LTE網は下り37.5Mbps対応エリアで76%(人口カバー率)、このうち75Mbps対応エリアはその4割弱。年度内にも80%までLTEエリアを拡大し、全域を75Mbps対応とする計画です。



LTEは獲得している周波数のうち、どれだけ帯域幅を使うかで速度が決まります。5MHz幅 x 2で37.5Mbps 、10MHz幅 x 2で75Mbps、20MHz幅×2であれば150Mbpsといった具合。ただ、モバイルに使える周波数は限られている上、スマートフォンなど通信需要は拡大の一途、携帯各社は周波数の効率的な運用に頭を悩ませているのが現状です。



各社は新規の周波数が得られない場合、既存の3G網を狭めて、LTE網を広げる必要があります。全くの新規で周波数をもらわない限り、この方法をとれば何らかの形で既存のユーザーへの影響が出ます。

5MHz幅を求め3年かけて準備

イー・アクセスの使える周波数は現在、1.7GHzの15MHz幅のみ。700MHzも獲得しているもの、利用できるのは2015年12月。かねてより、1.7GHz帯のイー・モバイル網に隣接する5MHz幅の帯域の獲得を希望しており、15MHz幅 20MHz幅とすることで、高速化を図る計画です。今回はこの5MHz幅を実験用に借りて、香川県で高速通信の実験を行いました。



現行のLTEシステムは2 x 2 のMIMOで、291Mbpsは4 x 4 のMIMO(マイモ)という技術によって実現しています。基地局設備としては次世代のもので、対応するスマートフォンは現時点でありません。なお、MIMOは電波をつかめる数を増やして、高速化するというもの。アンテナ1本より2本、2本より4本と、一度に繋がるアンテナを増やせば、より高速化できる仕組み。

なお、実験では、現行の2 x 2 MIMO の場合でも、20MHz幅を利用した際に145Mbps 程度の平均スループットだったとしています。いずれも定点調査で、移動しながら通信した場合は速度は低くなる傾向にあります。



獲得周波数の少ないイー・アクセスでは、約3年をかけてこの5MHz幅の追加を求めて準備を進めてきました。このため、仮に5MHz幅の追加割当を受けた場合に、基地局設備も端末を対応しているとしています。しかし、この5MHz幅にはドコモも興味を示していると言われており、加えて、イー・アクセスがソフトバンクの傘下になったことで流れが変化しています。

ドコモ、auとUQコミュニケーションズのKDDIと比較して、ソフトバンクモバイル、イー・アクセス、ウィルコム、Wireless City Planningと傘下の企業を合計すると、ソフトバンクグループはもっとも多くの周波数を獲得しており、周波数割り当ての公平性が問題になります。

イー・アクセスの技術担当者は、ソフトバンクグループになったことで、周波数割り当ての影響について「我々は3年かけて準備を進めてきたが、(グループとして見られると)技術の話ではなく政治の話になってしまう」と語っています。現時点では周波数の割当スケジュールは、明らかになっていませんが、イー・アクセスが5MHz幅を獲得できなかった場合、事業計画の見直しが必要になりそうです。

また、LTE網で音声をやりとりする、VoLTE(ボルテ)については、2015年中に3Gユーザーの動向を調査し、その後導入していく計画を示しました。

291Mbpsの高速回線も混雑地域では1Mbps程度か

しかし、仮に5MHz幅を獲得し、将来的に4 x 4 MIMOのサービスを提供したとして、ユーザーの通信速度が劇的に高速化するかどうかは、「使う場所による」というのが実情です。



通信速度がいくら速くとも、利用者が多ければ速度が分散して遅くなります。イー・アクセスの技術本部長、本郷公敏常務は「渋谷など混雑しているところでは、最低1Mbps を目指す」と話しています。これは、それだけ利用者が多く、ネットへのアクセスも多いことを意味します。

また、ソフトバンクに買収されたことで、イー・モバイル網がソフトバンク網に取り込まれるといった意見がある一方で、本郷氏はこれを否定。「同じグループなのでやりとりはしやすいが、ソフトバンクはMVNO。他の事業者と同じようにプライオリティコントロールもしている」とコメントしています。



ソフトバンクがプロモーションワードとして使っている「ダブルLTE」では、ソフトバンク網とイー・モバイル網の2車線、車で言えば両輪のような印象を持ちますが、あくまでも主回線(ソフトバンク網)と副回線(イー・モバイル網)といったネットワークの重みづけがあり、イー・アクセス側のネットワークはイー・アクセス側で制御できる状況にあるとしています。直近では、「倍速ダブルLTE」という言葉も登場しています。