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悲しいから鳴く。オオカミの遠吠えの意味 : カラパイア

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 残念なことに日本にオオカミはもういない。オオカミの遠吠えがどんなものなのか?実際に聞くことはできないが、荒野に響くオオカミの遠吠えは遠くからでもよくわかるし、とてつもなく恐ろしく感じることもあるだろう。

 低く長い続くというその鳴き声は、彼らにとっては遠く離れていてもコミュニケートできる完璧な方法だ。だが、オオカミはどうして、広大な森やツンドラで、姿の見えない相手に対してと必死に連絡をとろうとするのだろう?
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 オオカミは単にでたらめに遠吠えしているのではないことはわかっている。彼らは群れによって特有のさまざま遠吠えを、状況によって使い分けている。また、人間の話し方のように、個体によっても鳴き声が違うので、科学者たちは鳴き声によって個体を特定できるという。
 
 オオカミの遠吠えにはいくつかの目的があるが、その最たるものは、群れから離れたメンバーを呼び戻す為だ。実験的にあるオオカミを群れから一度離してみて、ほかの仲間がいなくなった仲間に向かってどれだけ必死に遠吠えするか観察してみた。

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 隔離された個体が群れの中でも高い地位にあるオオカミだと、群れは頻繁に遠吠えをした。群れの中での親しい仲間だったオオカミを引き離した場合にも同じような現象が起こった。

 研究者たちは、群れの中で不可欠な仲間がいなくなることでストレスがたまり、遠吠えするのではないかという生物学的な仮説をたてた。だが、その後のさまざまな分析でも、オオカミのストレスレベルは変わらなかったため、遠吠えの動機は本能的、原始的欲求ではないということがわかった。チューリッヒ大学のドクター・サイモン・タウンゼントは次のように説明する。

 オオカミの群れというコミュニティーの中で、より重要な役割を果たしている個体がいなくなると、仲間の遠吠えはより激しくなるようだ。コミュニティーがうまく回るよう、残されたオオカミたちがこの個体と接触を試み、元の群れに戻そうとするのは当然であるが、仲間との友情が絡むときも同じ現象が起こる。

 群れから仲間がいなくなることにより、強いストレスを感じて分泌される副腎皮質ホルモンのレベルが高くなるのかと思ったがそうではなかった。群れをというコミュニティーを形成して暮らしているオオカミには、人間と同じような感情があり、社会的、社交的要素を持っているという説明につながる。


 オオカミの群れには、人間に近い複雑な社会的相互関係が働いているのかもしれない。この研究には参加していないが、ノッティンガム・トレント大学のオオカミの遠吠えの専門家ホリー・ルート・ガターリッジはこの発見が重要な意味をもつ理由をこう説明している。

 「オオカミは愛する仲間がいなくなり、一緒にいたいと思うから、遠吠えという行為を選んでいる。遠吠えの引き金となる社会的な接触から切り離すことはとても難しいし、ホルモンがその引き金を変えることもある。つまり、オオカミは本能で鳴くのではない。自ら判断して、複雑な社会的相互関係を考慮し、相手を思う気持ち (尊敬や愛情) が遠吠えという行動に変わっているということなのかもしれない。」

オオカミの遠吠えを聞いてみよう

via:io9 原文翻訳:konohazuku

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