アルミン「喪失」
- 1 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/17(火) 21:15:59 ID:5HgSYocE
「ミカサが最近とっかえひっかえ色々な男と寝ている」
最近そんな噂が流れていた。
※細かいツッコミどころ多いと思う。
調査兵団に入って結構たったくらいと思っていただけるといいかも?- 2 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/17(火) 21:16:32 ID:5HgSYocE
- 男子寮
深夜、目が覚めた。
珍しくのどが渇いたらしい。
普段なら起床の時間まで無理矢理にでも寝なおす。
…どちらかというと外にある井戸まで行くのが面倒なのだ。
しかし、この日は珍しく耐えられそうになかった。
(仕方ない、井戸まで行くか…)
隣のベッドに目をやる。
…そこは何度見ても空だった。
「……はぁ…」
深いため息をついた。 - 3 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/17(火) 21:17:08 ID:5HgSYocE
- 井戸に着くと水をくみ上げる。
渇いた喉に冷たい水が染み渡った。
「ふー…」
これでもう一度眠れそうだ。
満足して桶を戻そうとする。
「アルミン?」
「え?」
女の声がした。 - 4 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/17(火) 21:17:42 ID:5HgSYocE
- ここは男子寮近くにある井戸だった。
女がこの時間、この場所にいる事はあまりない。
「ミカサ…?」
立っていたのはよく見慣れた顔だった。
よく見慣れた顔ではあるが月明かりでぼんやりと照らされた顔はいつもより綺麗で白い。
なんとなく生気を感じなかった。
長年一緒にいた幼馴染に対する言葉にしてはひどいが不気味だった。 - 5 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/17(火) 21:18:35 ID:5HgSYocE
- 「眠れないの?」
ミカサが少し距離を詰めた。
「…ううん。ちょっと喉が渇いて…ミカサはどうしたの、こんな時間に…」
…こんな場所で。
ミカサはキョトンとしていた。
「噂…知らないの?」
こともなげに言う。
―ミカサが最近とっかえひっかえ色々な男と寝ている―
そんな噂を最近聞くようになった。
以前のミカサだったら僕は即座に否定しただろう。
噂の元を調べ上げ何かしらの制裁を加えたいとすら思ったに違いない。(出来るかどうかは別にして)
でも最近のミカサを見ているとその噂はありえなくはないと思っていた。 - 6 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/17(火) 21:19:14 ID:5HgSYocE
- ちらりとミカサの首元を見る。
胸元のボタンが二つ外れていた。
彼女のトレードマークだった赤いマフラーは今はその首に巻かれていない。
代わりにいくつもの赤い痣があった。
その痣ができた経緯を想像するとミカサの顔を見る事ができない。
「…マフラー、巻いてないんだね。」
ミカサの問いにどう答えていいのかわからないので話題をそらそうとする。
「汚されると嫌だから」
カァっとなって僕はミカサに背を向け走り出した。
まるで悪い夢を見ているようだ。 - 7 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/17(火) 21:19:49 ID:5HgSYocE
- ―食堂
訓練兵時代は足並みを揃える訓練の一環として全員でそろって食事をとっていた。
しかし調査兵団に入ってからはある程度の自由が許されるようになった。
食事時間内ならいつでも自由に出入りができた。
僕はトレーにのせた食事を持って適当に座る。
この時間、人はまばらだった。
以前はミカサと一緒に食事をとる事が多かった。
エレンは調査兵団にその身を管理される事になり一緒に行動することが少なくなっていたから余計にそうなった。
よく寂しそうな顔をミカサはしていた。 - 8 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/17(火) 21:20:20 ID:5HgSYocE
- 「アルミン」
声をかけてきたのはジャンだった。
「おはようジャン」
挨拶を交わすと自然とジャンは僕の前に座った。
普段のジャンはわざわざ僕と食事をとろうとしないだろう。
…なんとなく目的はわかる。
食事もそこそこにジャンがあの話題を切り出した。
「アルミンはあの噂を知ってるか?」 - 9 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/17(火) 21:21:03 ID:5HgSYocE
- ジャンはミカサに想いを寄せていた。
僕を含めその事は同期なら誰でも知っているだろう。
…知らないのはミカサくらいだった。
「……ミカサが最近色々な男と寝ているってやつ?」
どう答えるか迷ったがストレートに言った。
「…それだ」
なんと答えたらいいのだろう。
昨日ミカサは誰かと寝て朝帰りしてるのを見たよ。とでも言うのか?
ミカサが好きなジャンに? - 10 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/17(火) 21:21:45 ID:5HgSYocE
- 「おはようアルミン」
どう答えるか考えてるうちにタイミングがいいのか悪いのか、ミカサがやってきた。
当たり前のようにアルミンの隣に座る。
「ジャンも」
にこりと笑いかけた。
なんとなく艶っぽい笑い方だった。
ミカサはいつからこんな笑い方をするようになったのだろう。
「お、おう…おはようミカサ」
さきほどの話題のせいか挨拶されて嬉しいのか頬がうっすらと赤い。
…ますます何も言えなくなる。
ミカサは隣で食事をはじめた。 - 11 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/17(火) 21:22:15 ID:5HgSYocE
- それからしばらく当たり障りのない話をした。主にジャンが話題をふった。
ミカサもジャンの話題に相槌を打つ。
今日はジャンがいてくれてよかった。
僕はミカサに対してどんな顔をしていいのかわからない。
以前無表情に近かったミカサが最近それなりに笑うようになった。
正直その笑いに違和感を感じていたが笑ってるならいいか、と思っていた。
…ずっと悲しそうな顔をしているよりはいい。 - 12 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/17(火) 21:23:24 ID:5HgSYocE
- 「アルミン、口元に食べカスが残ってる」
ミカサが僕に手を伸ばした。
「!」
急にの夜のやり取りがフラッシュバックした。
「やめてよ!僕はエレンじゃない!」
はっとなった。
やってしまった。
勢いよく立ちあがったのでイスが倒れている。
食堂にいる人達が僕を見ていた。
「す…すいません」
僕の謝罪の言葉を聞くとみんな食事を再開した。 - 13 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/17(火) 21:24:00 ID:5HgSYocE
- ミカサは無表情だった。
僕を見てるようでどこも見ていないような目だ。
「アルミン!」
ジャンは諫めるような口調だった。
「ごめんねミカサ。…先に帰るね」
「ええ…」
「…ミカサ…エレンは死んだんだよ…」
そういうとトレーを持って食堂を後にした。
「わかってる」
ポツリとそんな声が聞こえたような気がした。 - 24 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/18(水) 22:11:15 ID:y4RCgbYQ
- ―――
エレンは死んだのは最近の壁外調査の時だった。
エレンは調査兵団の先輩に守られような陣形をとっていた。
だがその日は巨人が想定以上の数で攻めてきて陣形があっという間に崩れた。(壁外調査ではよくある事だが)
みんなバラバラになった。
その過程で僕とミカサはエレンと一緒に行動することになった。
巨人に追われ、壁に逃げ帰る途中、ミカサが負傷した。
ミカサを抱き二人乗りの形で馬を走らせた。
だが二人乗りの馬は遅い…
無数の巨人が僕たちに追いつこうとしていた。
「俺がここで時間を稼ぐからはやく壁の中へ行け!」
自傷行為をし、巨人になる。
ミカサは嫌だと最後まで抵抗したがなんとか説得して壁まで帰って来た。
…遠くには無数の巨人の中に沈むエレンの姿が見えた。
それが最後の姿だった。
目に焼き付いて離れない。
―― - 25 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/18(水) 22:12:05 ID:y4RCgbYQ
- 廊下を歩いていた。
報告書を提出しなければならない。
どうも上官のいるこの辺りの建物内は緊張する。
さっさと提出して部屋に戻ろう――
ふと気付くとミカサの声が聞こえた。
どうやら男と話しているらしい。
反射的に柱の陰に隠れてしまう。
よく見えないがあのエンブレムは憲兵団のものだろう。
男は下卑た笑いをしていた。
…本当に色々な男と…
男の手がミカサの腰に伸びる。 - 26 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/18(水) 22:12:43 ID:y4RCgbYQ
- 「!」
余計なお世話だと思ったがなんとなく止めたかった。
僕は、今さもここに来ましたと装い手に持っていた報告書を床にぶちまけた。
バサバサっと音をさせる。
「うわっしまった!今から提出しないといけないのに!」
ん?と芝居がかった動作でミカサと男を見る。
二人ともこちらを見ていた。
男はミカサの腰に伸ばしていた手をひっこめた。
…ミカサは最初から僕がいた事に気付いてそうだ…
はっと今気付きました言わんばかりに男に向けて敬礼をする。
「チッ」
男はばつが悪そうにその場を去った。
ほっと安心すると床に自らぶちまけた報告書を拾い上げる。 - 27 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/18(水) 22:13:18 ID:y4RCgbYQ
- 「はい」
そう言っていつの間にか近くにきたミカサは報告書を僕に渡す。
「……ありがとう」
その後、散らばった報告書を二人でかき集める。
食堂でのやりとりもあり…気まずい。
無言で報告書をかき集めた。 - 28 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/18(水) 22:13:53 ID:y4RCgbYQ
- トントンっと報告書をまとめる。
「これで全部かな。ごめんね、手伝ってもらっちゃって」
本当は男の邪魔をしたかっただけだ。
ミカサも気づいているだろう。
「アルミン」
ミカサが一歩距離を詰める。
「な、何?」
僕は詰められた分の距離だけ下がる。
「どうして邪魔をしたの?」
ミカサがまた一歩距離を詰める。
「邪魔って何のこと?」
僕もその分また下がる。 - 29 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/18(水) 22:14:42 ID:y4RCgbYQ
- 「!」
気づいたら壁際まで追い詰められていた。
ミカサの横をすり抜けようとしたが腕で遮られてしまう。
…普通男女逆じゃないかな、こういうシチュエーションは…
心の中で苦笑する。
「なんで邪魔したの?」
無表情だ。
「何の事?よくわからないけどタイミングが悪かったみたい。ごめんね」
あくまで僕は急ぎすぎて報告書を床にぶちまけてしまった。
そこにたまたまそこにミカサと男がいて邪魔する形になっただけだ。
それを通す。 - 30 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/18(水) 22:15:35 ID:y4RCgbYQ
- はぁー…とため息をつくミカサ。
「今日の予定がなくなった。…アルミンのせい」
ミカサが僕を見つめる。
何を考えてるのか読み取れない。
「…責任とって」
ミカサの顔が近付いてくる。
僕は胸に抱いた報告書をギュッと抱きしめてしまう。
報告書がくしゃっと音をたてた。 - 31 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/18(水) 22:16:07 ID:y4RCgbYQ
- 「ちょ…ちょっと待って!」
鼻先が触れ合うか触れ合わないかの距離。
ミカサの頬を掴みコメント一覧
-
- 2013年09月28日 23:41
- (´;ω;`)
-
- 2013年09月28日 23:43
- 童貞なのか処女なのか、それが問題だ
-
- 2013年09月28日 23:49
- アルミンは非処女で童貞
-
- 2013年09月28日 23:59
- 良かった
-
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