染色体は「X」などではない…英研究所、”Hi-C”技術を用いて3Dモデル構築に成功
英国・科学技術庁直轄のバブラハム研究所は今週、染色体の3Dモデル構築に成功したとする論文を科学誌「Nature」に発表しました。これまで、その複雑さから単純な “X” 形状として描かれることの多かった染色体ですが、今回の成果はその構造や機能の解明に大きく寄与するものと期待されます。
染色体と一口に言っても、その実態は基本単位であるDNA二重らせん構造が集合して管状のヌクレオソーム構造に、それらが集合することでより複雑なクロマチン構造、さらに高次の染色体構造となり、最終的に染色体が形成されるという、極めて複雑な作りとなっています。
染色体の構成プロセス。DNAの二重らせんが絡み合い、徐々に高次構造をとっていく。
上図もそうですが、大学の教科書にさえ、染色体は「X字構造」をとるものとしてステレオタイプ的に描かれています。しかし、バブラハム研究所のPeter Fraser博士によると、このようなX形状は細胞が分裂を起こす際に見られる一時的な構造に過ぎず、成長した細胞に含まれる染色体はより複雑な構造をとっているとのこと。
とはいうものの、Fraser博士が語るような “成熟した” 染色体はあまりに構造が複雑であるため、これまでその形状を描き出すことに成功した例はありませんでした。しかし今回、Fraser氏らの研究グループは、2009年にハーバード大学で開発された「Hi-C」という技術を用いて、その3Dモデルを構築することに成功したのです。
Hi-Cでは、最初に酵素や化学薬品を使用して対象物を膨大な数の断片に分離。それぞれの断片のDNAシーケンスを実施し、構造のマッピングを行ったあと、それらの類似性を基に高性能なコンピューターで構造計算を実施し、ジグソーパズルのピースをはめていくように3次元構造を組上げてゆきます。
詳細についてはこちら(Jove, 英語)のページが参考になります。このHi-C、まだあまり普及していないようで、ウェブ上では日本語の資料を見つけられませんでした(´Д⊂
また、2009年のハーバード大学の研究は以下。
Comprehensive Mapping of Long-Range Interactions Reveals Folding Principles of the Human Genome(Science)
Fraser氏はこの成果を受けて、「これらのユニークなCGは染色体の構造を示しているのみならず、個別のDNAが内部でどのように繋がっているのかという情報も内包している。これからは、得られた3Dモデルを使用して、染色体の構造を支える基本原理や遺伝学的な役割についての解明に乗り出してゆく」と語っています。
(私自身も含めて)高校時代にちょっと生物の授業をかじった程度だと「染色体といえばX」という印象が強いのではないかと思いますが、このような最先端の研究によってようやく “真の姿” が明らかになったということには、なんだか意外な驚きを感じます。
[Phys.org via THE VERGE]
[Single-cell Hi-C reveals cell-to-cell variability in chromosome structure(Nature)]
生命の本質がこんなカップやきそばみたいなもんだなんて
実に不思議だ
ちぢれ方とかそっくりだねw
大自然と人工物の不思議な類似性って興味深い。
Hi-Cって懐かしいな。コカコーラだっけ?
Windowsのスクリーンセーバーみたい
染色体の形がXと言ったな。あれは嘘だ。
高校?中学だろ
まあ、活動中の細胞はDNAのいろんな部分を機能発現しなきゃならないわけだし、格納状態じゃまずいわな。
> 日本語の資料を見つけられませんでした(´Д⊂
可愛いじゃねえか、このやろう
しかし、こう見ると遺伝子の情報って莫大だな
あー言っちゃったか
色付けもやきそばだわこれ