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第22回 ほぼ週刊同人ゲームレビュー「まだ見ぬ楽園へのカノン -Blessing Lv99-」:アキバHD
中の人が気になったものをお伝えしてます(たまに、画像だけで文がない記事もあります)。※更新は不定期です。【アキバHDについて

 レビュー/レポートヘッドライン

2013年09月30日

第22回 ほぼ週刊同人ゲームレビュー「まだ見ぬ楽園へのカノン -Blessing Lv99-」 22回目のレビューはまだ見ぬ楽園へのカノン -Blessing Lv99-です。ノベルゲームエンジンで作られたRPGのようなノベルゲーム。と聞くと「!?」となりますが、見てみたら「確かに。」となる作品です。


短編ビジュアルノベル『まだ見ぬ楽園へのカノン -Blessing Lv99-』
▲短編ビジュアルノベル『まだ見ぬ楽園へのカノン -Blessing Lv99-』
謎の地下遺跡を探索する者たちが織り成す群像劇。ビジュアルはレトロゲーム風トップビューで動的に展開。
▲謎の地下遺跡を探索する者たちが織り成す群像劇。
ビジュアルはレトロゲーム風トップビューで動的に展開。

◆インタビュー:樹ひかりさんからいただきました。
さっそく見ていきましょう。

■制作
Q:『まだ見ぬ楽園へのカノン -Blessing Lv99-』制作のきっかけを教えてください。

A:元々この作品のシナリオは、ビジュアルノベル用に作ったものではなく一種のWEB小説としてネット上に公開していたものでした。

当時はツイッターを始めてまだ間もない頃で、ふと実験的にツイッターで小説を書いてみようと思い立ち、まず書いてみたのが前々作にあたるシナリオ『地下99階のロンド』。

この執筆がなかなか楽しかったので、続けてその続編を3つほど執筆し、そのうちの一編が『まだ見ぬ楽園へのカノン』でした。

そこからしばらくした頃、NScripterを使ったビジュアルノベル作りに興味を持ち、短編で何か作り上げてみたいと思い、そのシナリオとして白羽の矢が立ったのが、かつて書いた件の短編小説……と、このような流れで作られたのでした。

こうしてみるときっかけと言えば、原作となるシナリオをツイッターで書いてみたのも、ビジュアルノベルのシナリオとして採用したのも、共に『突然の思いつき』でしたね。

突然思いついて、作ってみたらできちゃった……、そんな印象です。

Q:制作期間は?

A:制作日記を見てみると、動き始めたのが2011年2月28日、完成させリリースしたのが2011年6月7日……だいたい3ヶ月ちょっとですね。

当時はこれでも『ペース遅いな……』などと思ってましたが、今見るととてもマネできないハイペースです。

原作がすでに存在していた分、シナリオに費やす時間が短かったからかもしれませんね。

Q:制作の中で情熱を注いだ点は?

A:やはりドット絵による動的演出でしょうか。元々画像スクロール系の命令が無いNScripterで2DRPGさながらにドット絵キャラと背景を動かして状況描写するのはプログラムの面で大変でしたが、少ない素材制作労力で大きな表現力があるため、この表現方法は非常に便利でした。

またビジュアルノベルでドット絵が扱われること自体に面白味もあるので、その点でも実現した甲斐がありました。

前2作『地下99階のロンド』『眠れぬ夜のポルカ』を通じて改良を重ねてきた表現方法です。

Q:制作で影響を受けた作品があれば教えてください。

A:数え切れないほどいろいろなものの影響を受けてるのですが、特に挙げるならばSFCソフト『トルネコの大冒険』と、星新一さんの短編小説の数々ですね。

元々『弟切草』でチュンソフトさんに惚れ込んでたところにリリースされた『トルネコ』は、自分にとってなかなかの衝撃でした。

フロアを進むごとに画面にでかでかと表示される古印体フォントの『地下○○階』が、なんだかものすごくワクワクしてとてもツボだったんです。この影響は大きいですね。

そして星新一さんの小説は、私の短編好きを決定付けたものです。
子供の頃にあの人の短編は片っ端から読んでました。初期の頃の短編が特にお気に入りです。

Q:Nスクリプトを使われたようですね。

A:2大ノベルゲームエンジンたるNScripterか吉里吉里かで最初は迷ってましたが、まずとりあえずは簡単そうな方をと触ってみたのがNScripterでした。

このエンジンを使ったノベルゲームでお気に入りの作品が多かったのも選んだ動機のひとつです。

発掘された正体不明の地下遺跡。不吉な書置きを足掛かりに、彼らは地の底へと赴く。
▲発掘された正体不明の地下遺跡。不吉な書置きを足掛かりに、彼らは地の底へと赴く。
遺跡を潜るのは、肩書きや目的の異なる様々な人間。
▲遺跡を潜るのは、肩書きや目的の異なる様々な人間。
逐次挿入される断片的な物語。それが語るものは。
▲逐次挿入される断片的な物語。それが語るものは。

■内容

Q:世界感が印象にのこる作品でした。

A:『カノン』を含め、うちのビジュアルノベルは今のところすべて同一の世界を舞台にしているのですが、ファンタジー世界がそのまま歴史を進めて我々のいるような時代になった……そんなイメージの世界です。

魔導師もいれば科学者もいるし、侍もいれば特殊活動部隊もいる。
私が書きたいものがだいたい書けそうなので、便利な世界ですw

Q:どんな人に薦めたいですか?

A:さくっと読み切れるボリュームなので、短編好きにおすすめです!
あとは特殊な表現が多いので、実験的な作品に目がない方などに。

Q:お気に入りのキャラは?

A:シスターのコロンが一番のお気に入りです。
『カノン』の登場人物中の何人かは、私の過去作品群からスターシステムの形で登場しているのですが、コロンはかつて書いていた小説の中でのキーパーソンだったので、その影響か思い入れも大きくなったみたいです。

Q:おさむらいさんすごくかっこいい

A:ありがとうございますw マサムネさんはコロンちゃんに次いでお気に入りのキャラです。

原作小説では元々“戦士”だったのですが、なんとなく絵的に端正なキャラが似合いそうだったのでこうした変更となりました。
また何かの作品で登場させてやりたいですね。

Q:博士の武器マジで赤黒くて連発できて凶悪

A:いろんな意味でアブない武器ですw
原作では“黒い巨砲”だったのですが、黒だとドット絵が背景にまぎれてぜんぜん見えないので赤を混ぜてみました。大失態です。

ちなみに『チェリーボーイ』の名の由来は「すごすぎて誰も相手にできない」から。何から何までひどいですね。

容赦のない危険な遺跡。それでも彼らは各々の目的のため、歩みを進める。
▲容赦のない危険な遺跡。それでも彼らは各々の目的のため、歩みを進める。
その遺跡はどこまで続き、その先には何が眠っているのか……?
▲その遺跡はどこまで続き、その先には何が眠っているのか……?
登場人物は4グループ8名。彼らの探索はある結末をもって帰結する。
▲登場人物は4グループ8名。彼らの探索はある結末をもって帰結する。

■今後のサークル活動

Q:今制作中の作品があれば教えてください。

A:現在『マジックポーション・ストーリーズ』という新作を制作しています。

『カノン』を含む三部作と共通の世界観で展開される、全50話の連作短編ビジュアルノベルです。

今作は開発ツールをWOLF RPGエディターに変えたことで演出力がかなり変わってます。

すでに体験版を公開してますので、これで『カノン』からの変わり様をお楽しみいただければと思います。

リリースは2013年中の予定です。

Q:出展予定のイベントを教えてください。

A:2013年6月現在、出展予定のイベントはありません。
次にイベント出展するのは、おそらく新作完成後になると思います。

Q:注目している同人ゲームサークルさんを教えてください

A:ノベルゲームのサークルでは『Novectacle』さんと『星団ファミリー』さんでしょうか。
どちらも『ゲームの作り手側』を舞台にした作品をリリースされてまして、これが非常に心を打つ内容でした。

私もこれほど読み手を引き込むシナリオを書いてみたいものです……。
ノベル系以外のサークルでは、STGを制作されている『SITER SKAIN』さんですね。

作品はゲーム性もさながら演出が見事なものばかりで、動画サイトで初めて目にした時は画面に釘付けになった覚えが。

Q:このレビューをご覧の皆様に一言おねがいします。

『まだ見ぬ楽園へのカノン』は三部作の三作目という位置付けですが、
内容的には独立した作品なので、他二作を読んでいなくても楽しめる内容になっています。
SFC時代のゲームを遊んでいた方なら目を引くような演出がてんこ盛りですので、
未プレイの方にはその点でも興味を持っていただければ幸いです。
また新作『マジックポーション・ストーリーズ』も『カノン』たちと同一世界の話になりますので、
『カノン』で楽しめた方にはぜひプレイしてみてもらいたいですね。
どうぞよろしくお願いいたします!



■雑記
30分くらいの作品です。

ノベルゲーム用のエンジンNスクリプターを使用して2DRPG風にお話を作られています。

RPG風と書きましたが、もうRPGそのものでキャラもドット絵が細かく動いて、よくできているなあと思ったりしました。

筆者はお話の方が好きで、30分という時間の中で登場人物の人柄がよく伝わってくる作品だった点が印象に残った作品です。

物語は群像劇的な作風で、遺跡に最初に入った人を捜査する人と、その操作している人の帰りが遅いので最初の人と捜査する人を捜査する人が登場し、それぞれの目標に向かって進んでいきます。

インタビューにも書いたのですが、物語中に登場するシスターのコロンさんとサムライのマサムネさんの会話が好きでした。別に二人は恋仲とかそういうのではなく、その話は物語の主軸でもないのですが彼らの話は何かほほえましいもので物語に花を添えています。

物語の主軸は、最初に遺跡に潜入し、その最深部へと進む二人組です。彼らは何故、侵入者を排除する仕掛けにあふれる遺跡の深部を目指すのか。
物語はなぜ二人が底を目指すのかを描きながら、作品を通じて理想郷とは何か、ひいては理想とは何かを問いかけてきます。

丁寧に描かれたダンジョンと、登場人物に是非触れて、理想郷を目指してほしい作品です。

作品は公式サイトからダウンロードできます。

是非、サイトを訪れてみてください。


※画像はオリジナルサイズより縮小してあります。


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カテゴリー:ほぼ週刊同人ゲームレビュー


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