東芝、撮影後にピント調整可能なスマホ向けカメラモジュールを発売へ
東芝が撮影後にピント調節が可能になる特殊なスマートフォン向けカメラモジュール「TCM9518MD」を開発しました。
撮影後にピントが変えられるというのは、なんとも不思議な話に感じますが、ライトフィールドカメラと呼ばれる技術ですでに実現されており、単体のカメラとしてなら、米Lytro社が「Lytro」と呼ばれる製品で発売しています。当サイトでもこちらの記事で紹介しました。
上記Lytro公式ページ内のこちらから試していただけると、撮影後にピントが合わせられるというのがどんなインパクトを持っているのか実感できるかと思います。下の写真のように好きな場所をクリックしてピントを変化させることが可能です。
左:中央の花にピント 右:奥にピント
どうしてこのようなことが可能になるのか、というのは少々難しい原理に基づいています。
ライトフィールドカメラのイメージセンサーの前には、極小のマイクロレンズがぎっしりと並べられています。このマイクロレンズが、それぞれ違ったピントの映像をセンサーへ投げかけ、それをうまく計算して拾い出すことで、後からピントを生成できるだけの多種多様な光の情報を記録できる仕組みになっています。詳しくは下の画像の引用元ページをご参照ください。
東京工業大学 大学院理工学研究科 機械制御システム専攻 川口達也氏のページより引用
上の解説はLytroにおける原理解説になります。
東芝のカメラモジュールにおいては、同様の機能をマイクロレンズを使わずに、二つのカメラユニットの視差情報をうまく用いることでカバーし、より高度な計算処理を行う方法で実現しているようです。これによりモジュールの大幅な薄型化に成功したようです。
詳しくはこちらのPDFをご覧ください。
東芝のプレスリリースより引用
さらに東芝のカメラモジュールにおいては、専用LSIを搭載し多様な光の情報を処理することで、下図のように「全てにピントが合った画像」と、「画像内の被写体への距離情報」を生成することができるようになっています。
東芝のプレスリリース資料より引用
これにより、アプリケーション側で撮影後にピントを調節する処理がよりやりやすくなるように狙っているようです。
さらには、多様な光の情報をうまく合成することによって、1300万画素相当の超高画素画像を生成したり、奥行き距離情報から特定の被写体だけを切り抜いたり、XboxのKinectのように被写体の動作情報を拾ったりということも可能になります。
また撮影後に計算してピントを合わせるため、撮影時にはピントを合わせる時間が短縮でき、よりシャッターチャンスに強くなります。
東芝は2014年1月にサンプル出荷を開始し、同4月に量産を開始する予定とのこと。サンプル価格は5000円。センサーは1/4型500万画素×2個。レンズF値は2.4、水平画角は61.8度。モジュールのサイズは8.0 (W) × 12.0 (D) × 4.65 (H) mm。
このモジュールをうまく活かしたアプリケーションが搭載されたスマートフォンの登場が今から楽しみです。
モバイル端末向けのカメラはこういうおもしろい方向に進化してほしいな
カメラ音痴のオレ向け。嬉しい機能。
これのAPS-C版きぼんぬ
レスラーの記事相変わらず分かりやすくていいね。
ほー、いい記事だな!とおもって画面をスクロールするとガジェットレスラーの顔が出てきて毎回ニヤッとしてしまう(笑)
東芝のこういう地道なところが好きである
しかも大体一般ユーザー向けの性能と価格のバランスがよいところをついてくるんだよね
5000円とは驚き
サンプル価格とはいえ
カメラモジュールとしては
5000円ってかなり高い気がするけどね
初物だからしょうがないとは思うけど
サンプル価格5000円ってのはこの手の組み込みデバイスでよくある標準価格
量産価格とは全然別
東芝も最近一般製品向けのセンサー供給も始めたしな。
いっその事京セラが飼殺しにしてるコンタックスを買い取って一眼レフも始めればいいのに。
ソニーみたいに画素数で誤魔化す企業よりも100倍好感が持てるな
ソニーは画素数増やすだけじゃなくてセンサーサイズも増やしてるからその指摘はどうかな?
そしてソニーは撮像素子から画像処理エンジンまで自社でやっている。
撮像素子を他社で作らせて画像処理で見栄えだけ良くしている他の会社より、よほど本質的に改良してると思うよ。
ソニーのはセンサーデカくしたから正統な進化なのよ
誤魔化すってのはHTCやiPhoneみたいな苦肉の策
そうやって他を下げるから(ry
まぁ、SONYも画像エンジンに関しては最近になってようやく高画素でも割と見れるようになってきた気がするけどね
意味がわからん、HTCもiPhoneもセンサーサイズでかくしてるだろ。SONYの二千万画素が数字上の画素数おっただけのものとは思わないけど、だからって他の企業の努力をごまかしいうのはおかしいわ。
スマホで写真を撮る機会は増えたが、搭載した機体の価格が上がるなら、購入するか悩みそう。
1.8インチHDDって東芝が初めて製品化したけど、それ使ったのiPodだったんだよな。面白い使い方がわかればAppleが食いつくかもね
これマイクロレンズ使っているのかな?
カメラ2つということはステレオ測距じゃない?
本文中のプレスリリース内にはマイクロレンズは出てこないし。
自動車のステレオカメラ式安全センサーに
今回の画像処理技術を応用したら
感度向上できるかも
と思った
ご指摘ありがとうございます。
編集部内でも指摘があり、訂正いたしました。
プロトタイプにおいてはマイクロレンズによる複眼式だったようですが、
お得意の超解像技術を活かすことで、二つのカメラによる多眼式で実現したようです。
画像処理の詳しい原理のほうが分からないので、追記できずに残念ですが、
また分かり次第何らかの形で記事にしたいと思っています。
今後ともよろしくお願いします。
やっと来たか!
去年のプロトタイプの時点でハンパね~と興奮したの覚えてる
ちなみにプロトタイプのときは、直径0.03ミリのレンズを50万個くらいぎっしり並べてると聞いた。虫の複眼みたいに。んで、それぞれのレンズで撮れた小さな写真を組み合わせて1枚の写真にしてる。マジで凄い
東芝カメラモジュールなんて作ってたんだ
NokiaのPureView…
もう廃れてきてるけどついでに3D撮影も出来るようにしたら相乗効果ありそうでござる。
もちろんこれ用と3D用ではモジュール間の距離の最適な数値とか違うだろうけど。
さて東芝はこのモジュールを何処に売りこんでいるのだろう?
中華系?サムスン?国内じゃあシャープかな?
iPhoneが付けたらすごい革命的な物だと発表しそうなかんじだけど、不格好になるから採用しないか。
ポートレート写真とかで背景のピントをぼかす為だけに、大きな撮像素子にこだわってる人も多いけど、こういった「コンピュテーショナルカメラ」とやらの台頭で、その辺の事情もだんだん変わってくるね。
これからの画像データは奥行き情報を含んだ状態で保存するようになるということかな。