1:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 03:16:33.11ID:V0IHELr+0
書き溜めてないけど、のんびり書いてく。
2:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 03:18:33.16ID:V0IHELr+0
高2の春。
体育の時間。
足を捻挫してた俺は、走り回ってるクラスメイトをぼんやり見てた。
ソフトボールとか興味なかったし、次のクラスどうやってサボろうかとか考えてた。
3: 忍法帖【Lv=27,xxxPT】(1+0:8) :2013/10/10(木) 03:18:58.98ID:FcxE9TOOi
有名な事件?
5:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 03:23:23.13ID:V0IHELr+0
>>3
ごめん、超個人的な事件。むしろ思い出。いや、トラウマの原因(笑)
なんか視線が気になって振り向くと、川上君(仮名)がいた。
なぜかいつも体育を見学してるネクラ君。
俺「川上?」
川上「えっ…な…何?」
挙動不審な川上を見て、一気にめんどくさくなった。
この時声かけなきゃ、修学旅行楽しめたのに。
6:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 03:29:56.61ID:V0IHELr+0
時期的に暖かくなり始めの頃で、天気のいい日はワイシャツの袖をたくし上げたくなる気温。
にもかかわらず、川上は上下長いジャージ姿で三角座りしている。
俺「お前いっつも見学だよな」
川上「え、あ…うん。なんで知ってるの?」
俺「いや、目立つだろ。流石に毎回だと。」
川上「そっか…やっぱ変だよね。」
痩せ型で色白だから、病気でも有るのかな?と、気を利かせてそれ以上詮索せずに他愛ない雑談をした。
見学ってつまんないから、話し相手がいるのはいい事だと思った。
7:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 03:34:15.12ID:V0IHELr+0
それまで話したこともなかったし、無口で暗くて、わけ分からんやつって思ってたけど、話してみると純粋な奴でほっとけない感じがした。
体育の授業が終わるころには、普通に話せる感じになってた。
誰かと一緒にいるところ見たことなかったから、普通に話してる川上を見て少し安心した自分がいた。
すげーお節介な奴だ、我ながら。
8:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 03:48:01.69ID:V0IHELr+0
同じクラスだったけど、あまり話す機会はなかったと思う。
なんていうか、クラスの中にも派閥みたいなのがあって、自分のいるグループは常に廊下に座ってジュースのみながら下ネタ連発してる感じだったから、メンバーの入れ替わりは極端に少ない。
常に一人の川上が簡単に入ってくる感じはなかった。
負担になるかなとか思って特に誘わなかったし。
でもやっぱり体育の見学は二人になるから、話題を振るのに必死だった。
無言が怖い年頃だったんだろうなぁ。
9:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 03:53:21.41ID:V0IHELr+0
ある日いつものように体育の見学で喋ってたら、好みの芸能人の話から恋愛話になった。
当時同じクラスの女子を好きだった俺は、川上とかぶったらどうしよう…とか無駄に色々考えてた。
俺「おまえ、どんな子がタイプ?」
苦し紛れに答えを先延ばしにした俺に対して途端に黙る川上。
10:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 03:53:37.20ID:XQYfw+kK0
おるで!!
がんばってな!!
12:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 03:57:35.43ID:V0IHELr+0
>>10
ありがとう。
このまま自分語りのメモ帳になるかと思った(笑)
11:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 03:56:22.13ID:V0IHELr+0
川上「あのさ…実は…ぼく、ホモなんだ。」
衝撃の告白。
そうか、こいつはホモだったのか。
だから色白なのか。
だから男子と絡まないのか。いや本来絡んできそうなもんだ。あれ?ホモってなんだ?
テンパる脳みそを必死に回して、言葉を絞り出した。
俺「そうか。そういう人も居るよな。」
14:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 04:02:24.81ID:V0IHELr+0
このリアクションが間違いだった。
突然、満面の笑みになる川上。
いや、ホモ。
ホモ「拒否らないんだね!」
俺「え、あー…うん。本人の努力じゃどうにもならないしね。」
ホモ「よかった!拒否られたらどうしようかと思ってたんだ!」
俺「ははは…」
ホモ「受け入れてもらえるって、安心するね!」
ちょっとまて、受け入れた事になるのか?
俺は至ってノーマルな女の子大好き男子なんだけど、このいきなり距離縮んだ感じは良くない気がする…
この予感は的中した。
16:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 04:09:38.96ID:V0IHELr+0
この日を境にホモ川上は放課後になると、俺の机の前に来るようになった。
芸能ネタに詳しい川上は、いつもドラマの話をしてた。
俺は机に突っ伏して昼寝しながら、適当な相づちを打つだけ。
サッカー部に行くまでの1時間くらいの時間をホモと過ごしてた。
一週間ほどすると、俺はグループから抜けた感じになっていた。
ホモとマンツーマンの放課後。
なんだこの展開。
亀梨和也をネクラにした外見の川上は、女子から人気が高い。
でも、ホモなんだ。
世の中ってどうなってんだ。
17:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 04:13:25.67ID:MShUoiEg0
おもしろい
19:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 04:15:23.01ID:V0IHELr+0
>>17
やべー!素直に嬉しい(笑)
のんびり読んでね。
18:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 04:13:52.04ID:V0IHELr+0
ここで悪魔が俺に囁く。
女子からの評価が高い川上を利用してしまえ。そしてウハウハなハーレムライフを勝ち取ろう!
今までの廊下で騒ぐ俺じゃない、スマートに女の子と話す俺になるんだ!
そんな馬鹿げた理想を胸に秘めて、俺は川上と行動を共にし始めた。
20:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 04:19:56.79ID:V0IHELr+0
幸い、「あいつら、デキてるんじゃね?」的な噂も流れず、ストレスの少ない日々が過ぎて行った。
唯一のストレスは、川上が部活を待つようになったこと。
帰り道は女の子と歩きたいのに…ちょっとドキドキしながら夕日に照らされたりしたいのに…。
なかなか川上を活用できない自分に焦りを感じてた。
そんなある日、川上がとんでもない事を耳打ちした。
21:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 04:27:56.21ID:V0IHELr+0
川上「ホモに襲われたらどうする?」
人間の防衛本能ってすごい。
数学苦手な俺が、すげー速さで色々考える。もちろん最優先は絶対的な尻の防御。
やんわり断って、脈ありだと思われることは避けなければならない。
俺「蹴る。死ぬまで蹴る。」
思ったより大声で表明したので、周りにいたクラスメートの視線が刺さる。
川上「そ、そうだよね。ごめん、変なこと聞いて…」
川上の申し訳なさそうな顔をみた女子が、
「ちょっと川上君いじめないでよ!?」とか抜かしやがる。
そいつ、ホモだよ。
22:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 04:33:42.86ID:V0IHELr+0
そんな毎日が過ぎていって、ホモは成長した。
コミュ力がついてきたのだ。
どもらずに話せるし、ちゃんと笑顔で接することが出来る。
なんていうか、農家の気持ち?俺が育てたぜ的な達成感が溢れてきた。
気づけば夏休みに入ろうとしていた。
ホモと俺は第二外国語クラスがかぶっていた。このクラスの教師は俺らの担任でもあり、軽率なノリとワキガ臭がとても香ばしい人だった。
24:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 04:41:53.35ID:V0IHELr+0
前に書いたとおり、川上は純粋な奴だった。
色々話を聞く中で、ホモになったきっかけを話してくれた。それだけ信頼してくれてたんだきっと。
中学の時、川上は陸上部に入っていた。
運動神経のいい川上は、短距離走でそこそこの成績を出して一目置かれていたらしい。
その部活の先輩が面倒見の良いイケメンで、会うたびにドギマギしてしまう川上→なんでドギマギするんだろう→これって初恋なのかな?→ぼく、ホモだ!
ろくに恋愛したことない川上は、憧れと恋を間違えて、ホモに目覚めた可哀想な男だった。
コミュ力アップした純粋な川上は、何も考えずこのホモストーリーをワキガ担任に話してしまった。
25:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 04:51:15.48ID:V0IHELr+0
結果、校内に同性愛しゃが居ると教育委員会まで話が届いた。
ホモはワキガ担任と、ハゲ学年主任、さらにポマード教頭に呼ばれて、性生活について問い詰められ、挙句の果てには学校に呼び出された親の前で、自分が同性愛者であると認めさせたらしい。
後から聞いた話によると、川上はゲイsnsを使って複数の彼氏と性的関係を持っていたらしい。
結果、一ヶ月の自宅謹慎処分。
理由は生徒には非公開にされた。
そりゃそーだ。
ホモにも人権がある。
そして、ここんところ川上と一緒にいた俺は世間から「あれ?あいつもホモなんじゃね?」と、とばっちり食うに決まってる。
だから、ほんと非公開でたすかった。
27:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 05:05:01.81ID:V0IHELr+0
閉鎖的な田舎は許容範囲がせまいんだろうな。なんか色々考えさせられながら夏休みに入った。
部活は基本午前中にやることになってた。
弱小サッカー部のメンバーは、皆自己評価が冷静だった。
頑張っても勝てないことがわかってるあたり、良い部活だった(笑)
そして帰宅部の川上は毎日学校に来てた。
あろうことか、可愛いで有名な音楽教師のさっちゃんと仲良くなってやがる。
てめーホモだろ。
ちゃんとホモやれや。
さっちゃんは俺に任せろ。
このあたりで、ノンケと言う言葉を知り、さらにホモがどうやってまぐわるか聞かされる。
精神が汚された気がした。
28:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 05:13:24.19ID:V0IHELr+0
夏休みが明けて、文化祭。
クラスの出し物案は以下の通り。
・プロジェクターとプレステを使ってゲーセン出店
・参加者が仮装してスタッフを驚かす、逆肝試し
・男子チャイナ服の女装喫茶
俺は迷わずゲーセンに投票。
川上は肝試しに入れたらしい。
てっきり女装チャイナ服に入れるかと思ってたと話したら、「男の子の身体のラインが見えると立っちゃうから…」と頬を赤らめた。
こいつ、ガチだ。
だから体育は見学だったのか。
エロガッパめ。
いや、ホモガッパめ!
29:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 05:13:47.20ID:LN8/3B970
早起きのノンケでおっさんだけど、第二外国語ってなに?
33:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 05:18:04.97ID:V0IHELr+0
>>29
おっさんおはよー。はやいねー。
うちの高校では、英語以外にもうひとつ外国語を履修しないといけなかったんだ。めんどくさいよね。
30:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 05:15:31.06ID:V0IHELr+0
そして結局女装喫茶で決定したブーイングのさなかで、俺は密かに温めていた計画を発動する。
別クラスにいる悪友の木下に手伝ってもらい、カードサイズの紙に通し番号を印刷するのだ。
この一枚あたり0.1円にも満たない紙切れが俺に富を運んでくれる!
…はずだった。
35:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 05:26:17.54ID:V0IHELr+0
俺がやろうとしてたのは、そう、宝くじ。
非合法とか、そんなの知らないまま「宝くじ作れば文化祭の3日間でウン十万稼げる!」と、どんぶり勘定ではしゃいでた。
一口1000円で一等100000円!
アホばっかりの高校だからイケる!と思ってたら…
ホ
モ
が
チ
ク
リ
や
が
っ
た
しかも、よりによって、音楽教師のさっちゃんに…
さらに職員会議でバラされて、例のごとく、ワキガとハゲとポマードに怒鳴られる始末。
この時の殺意を、俺は忘れない。
36:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 05:38:56.33ID:V0IHELr+0
そして、文化祭。
宝くじ計画を潰された俺はヤケになってた。
文字通り、冷静さを欠いていた。
黒いチャイナ服を身にまとい、胸にゴムボールを仕込み、女装喫茶の看板を手に校内を闊歩する様は、まさに背水の陣にもかかわらず戦の旗を掲げ続けた武士の…いや、ほんとわけがわからない。
もっとわけが分からないのは、その格好で職員室に行った時、堂々とセクハラをしてくる男教員達だった。
四人くらいで囲んできて、胸を撫でて、尻に指を這わせて…こいつらクズだ!って思った。女生徒にこういうことしたいんだろうなって。
最悪だぞ。あれ、マジで怖いから。
「ちょっとッ、やめてくださいっ」
とか、セクハラされてるOLみたいな声が出ちゃった。
あのな、セクハラは良くない。
俺は断固としてセクハラを認めない!
レイプもしかり!!
この日、川上は銀のチャイナ服とカツラで女子に囲まれてやがった。
ホモのくせに。ホモのくせに。ホモのくせに。ホモのくせに。ホモのくせに。
39:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 05:55:09.93ID:V0IHELr+0
文化祭3日目は体育祭。
色々な種目がある中、なぜか俺と川上はバドミントンのペアになった。
しかもクラスで四組出す中の四番目。
つまり、人数合わせの期待無しペア。
種目決めの時、机に突っ伏して寝てたのが仇になった。
俺と川上以外のペアは全員テニス部の王子様達。
他のクラスもそんな感じだった。
ライオンの檻に放り込まれた小動物の感覚。このプレッシャー、知ってる。
囲まれてセクハラされるOLの気分や。
…結果から言うと、準優勝した。
テニス部の王子様達は前衛のサッカー部と後衛のホモに負けたのだ。
そして、期待されてなかったから余計に響き渡る黄色い声援。ホモだけじゃないよ!俺にもあったよ!泣
42:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 06:02:35.67ID:V0IHELr+0
さらに面白いことに、文化祭の間だけ、海外の姉妹校から学生がやってくる。
彼らがバドミントンを見て、
「あれ!?こいつら昨日チャイナ服着てた奴らだろ!すげー!ニンジャかよ!」
みたいなことを荒い鼻息で叫んでた。
「今いけば、外人男子抱けるかな!?」
ホモのコミュ力は進化を続けていく。
文化祭の終わりは、フォークダンス。
気になるあの子と踊りたい!
誰しも願うであろう淡い気持ち。
なかなかクラスのあの子にお近づきになれない俺は、このフォークダンスにかけることにした。
44:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 06:11:47.07ID:dXOXS4cl0
テンポ良くて面白い
45:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 06:15:38.95ID:V0IHELr+0
ジュディマリのオレンジなんちゃらに合わせて踊る。
この曲はステップ覚えてたから自信あったけど、残念ながら先輩方ばっかり。しかも喪女っぽい人多くて怖かった。
友達同士で「~よね!~だわ☆」って語尾で話すのはやめてください。漫画の中だけにしてください。とずっと心の中で念じてた。
マイムマイムはステップわかんなかったけど、ほとんど後輩相手だったから緊張せずになんとか誤魔化せた。
でも、問題はオクラホマミキサー。
ずーっと踊って疲れてる上に、密着しそうでしない、なんかよくわかんない動き。
そして女の子のいい匂い。
あかん。前かがみになる…!
そして、意中の人とは踊れずに終了。
ガッカリしてると、川上が来て、
「立ったでしょ」
うるせー。
健全な男子はセンシティブなんだから、ほっとけ!
って言ったら、
「敏感??敏感って意味だよね?」
って食いついてくる。
ナイーブって言いたかったんだと気づいたのは、帰りの列車の中だった。
51:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 08:28:34.38ID:V0IHELr+0
文化祭が終わるとテスト。
そして修学旅行の準備が始まる。
うちの高校は旅行先として三つ候補があった。
・台湾
・韓国
・沖縄
個人的には免税店でワイワイしたかったのと、パチもん買って知り合いに売りつけるつもりで韓国、台湾がいいなーって思ってた。
そしたら、たまたまトイレで会った木下がまともな事を言い始める。
「俺らはもっと歴史を学ぶ必要があると思う。だから沖縄に行って戦争について考えないといけない気がする」
なに良い事を言ってんだコイツ。頭おかしいのかなと思ったけど、沖縄なら食べ物美味しそうだし、気になるあの子も開放的になってるかな…という下心で沖縄に投票した。
川上はオランダって書いたらしい。
相変わらずブレないホモだ。
52:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 08:39:41.86ID:V0IHELr+0
たまーに開かれる学年集会。
それはハゲ学年主任の独壇場だ。
ステージの上で大げさなボディーランゲージで話す様子は、ピン芸人みたいに見える。
笑えるのは髪型だけで、内容は修学旅行の心得という名の「めんどくさい事起こすんじゃねーぞ」アピール。
視線が集まってるからいつも以上に調子に乗ってる。
視線が集まるのには理由がある。
旅行先が発表されるのを待って、みんな忍耐してるんだ。
俺「どこになるかなぁ…」
ホモ「僕知ってるよ。」
俺「っえ? はぁ? なんで」
ホモ「さっちゃんから聞いた」
あのビッチは上のお口もだらしないな。
俺の宝くじ計画も潰してくれちゃったし、さっちゃんは要注意だな。
そんなことを考えていると、大きな声で、
「沖縄!!!」わーっ
53:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 09:08:28.39ID:oRRRQmak0
さっちゃんのスペックよろ
56:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 12:40:21.90ID:V0IHELr+0
>>53
さっちゃんは
27歳
ちょいポチャ巨乳
磯山さやかがちょい痩せた感じ?
58:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 12:48:57.07ID:V0IHELr+0
沖縄!
日取りは12月上旬の4日間。
俺は、素直に楽しみにしてた。
しまんちゅに会えることはもちろん、気になるあの子と全力でお近づきになるチャンス!
ここを楽しむためなら、どんな犠牲も厭わない。
俺はクラスの委員長のメガネ山梨君と仲良くなるために全能力を使った。
それはもう現役ホストを凌ぐ気の配りっぷりに、我ながら惚れ惚れするくらいだった。
結果、山梨は俺の手中に落ち、エロゲー2つで班決めの情報操作に加担したのだ。
この時、裏切りのないよう領収書は俺が管理して、いざという時「こいつに買わされたんです!」という防御を可能にしておいた。
このやりとりを無言で見ていた奴がいた。
川上だ。
60:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 12:57:08.29ID:V0IHELr+0
班決めはクラス委員会と担任が決める。
日頃の素行や成績を元に、より広い人間関係が作れる組み合わせを!というのを名目にして、どーせくじ引きか何かで適当に決めているに違いない。
頑張れ、山梨。
俺の希望は一点のみ。
あの子と同じ班にしてくれ!!
成果報酬として、うまい棒100本と追加エロゲ1本で再燃させた。
真面目な奴ほどムッツリなんだと確信した。
それを黙って見てる奴がいた。
やっぱり川上だ。
最近黙ることが多いホモは、怪しいオーラを纏っていた。
11月に入り、班発表が行われた。
男子4人
女子4人
修学旅行中はこの8人で行動することになる。
62:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 13:07:48.28ID:V0IHELr+0
気になるあの子は上戸彩を少し崩した系な感じだから、仮にあやとする。
あやと俺は普通のクラスメイトとして話す程度だった。
ギャルでもオタクでもなく、でも元気で目立つタイプのいわゆるリア充タイプだ。
そして、意外なほど川上と仲がいい。
出身中学校が同じってズルい。
そしてホモ。あやと話してる時に満更でもないニヤケ顔。コイツ本当にホモなんだろうか…実はあやちゃん狙いでホモ演じてるだけなんだろうか…
思考がぶれ始めた俺の手元に、班一覧表が配られた。
二度見するとは、こういうことだ!
そんな王道なリアクションをしてしまった。
63:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 13:15:26.64ID:V0IHELr+0
あやちゃんと一緒だあぁぁぁよっしゃあぁぁぁ!!
山梨マジナイス!
思わず親指を立てて山梨にサインを送る。
それにウィンクで返してくる。
クソ似合わない。このムッツリ委員長め。
だが、問題がある。
男子の欄には
・おれ(☆)
・石丸
・小西
・川上
☆は班長。
めんどくさいけど、許してやる。
だが、川上、てめーはなんでこの班にいるのか。
川上「あ、一緒の班だね!沖縄楽しもうね!」
俺「お、おう。」
え?コイツとずっと一緒?
いや、でもまさかホテルは別室になるはずだから大丈夫か。同性愛者だって教師は知ってるし、同じ部屋で寝るって男女一緒に寝るのと変わんないもんな。
最近忘れそうになってたけど、自分の尻は自分で守る。この鉄則を守らない限り、俺の日常に平安は無い。
64:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 13:23:35.70ID:V0IHELr+0
放課後、一応ワキガ担任に宿泊時の部屋について相談してみる。
ワキガ「あー。その件なら川上から直に話を聞いてると思うけど、あいつゲイだろ。友達のお前がサポートしてやってくれ。同じ班の石丸・小西とも仲良くなれるようにな。」
俺「え、まぁそれは頑張るけど、ホテルでは川上別な部屋でしょ?」
ワキガ「いや、あいつ本人からみんなと過ごしたいって言ってたから大丈夫だろ。お前と居れば問題ないって言ってたし、最近あいつ明るくなって一安心だ。はっはっは」
俺「」
あのホモ、担任経由で操作してきやがった!
この事実に俺は戦慄する。
ホモは確実に修学旅行中に仕掛けてくる。
あやちゃんとお近づきになる俺の計画がこんなとこで尻の貞操と一緒に消えてたまるか!
とりあえず約束だから、山梨に報酬をあげた。
65:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 13:30:20.19ID:V0IHELr+0
濃い。
この班は濃い。
石丸は完全に二次元オタク。
小西は完全に筋肉オタク。
川上は完全にホモ。
あやちゃんはマジ天使。
めちゃくちゃ過ぎる。
なんでもっと普通な奴来なかったんだ。
家で思わず母さんに今回の班構成を愚痴った。こんなめちゃくちゃな状況でもあやちゃんと仲良くなる方法を知りたかったんだ。
母「えーーー!大丈夫なの?裂けた時のために軟膏持っていく?」
俺「んなーーーーー!!!!」
この親にして、この子供あり。
俺は1人で戦うことを決めた。
66:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 13:45:00.58ID:F82NEY4B0
オモロー\(^o^)/
68:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 13:57:06.85ID:V0IHELr+0
>>66
オワターな感じ、ありがとう。
67:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 13:50:05.17ID:V0IHELr+0
12月は寒い。
冷え切った風で肌が切れそうなくらい寒い。こんな寒い季節でもスカートの丈が短い女子に、俺は心から感謝したい。
ありがとう。
でもデブは自重しろ。
放課後、班で平和研究とか言う調べ物をしないといけなくなった。8人でぞろぞろと図書室に向かう。
資料集めノリノリなあやちゃん、可愛い。
アウトオブ眼中な女子三人、うるさい。
あやちゃんの隣を確保した川上、ひたすらに憎い。
なぜか全巻揃ってるはじめの一歩を読み始める石丸、手伝え。
そして筋トレ本しか読まない小西、お前もまさかホ…
それにしても川上がガッチリあやちゃんの隣にいる感じがする…
何も知らない奴らからしたら、美男美女の理想カップルだ。
なんだこの気持ち…
そうか、これが嫉妬か。
ホモのくせにしゃしゃり出てきやがって!
俺らは防空壕について調べて、クラスで発表し、修学旅行に備えた。
69:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 14:09:11.00ID:V0IHELr+0
飛行機を降りると、別世界だった。
ブレザーを着ている自分たちが馬鹿らしく思えるくらいの熱量。
はしゃぎすぎなのもあるかもしれないけど、それにしても暑い。
みんなブレザーを脱いで、シャツの袖を捲っているのに、ホモは半袖シャツを着てる。
俺「出発前から半袖きてたの?」
川上「うん、だって汗かきたくないし。」
俺「用意周到だな。」
川上「へへー。何事も楽しむためには、事前準備がいるんだよ。」
俺(ゾクッ)
砂浜が白かった。
サンゴ礁が削れてできた砂はサラサラしてて気持ちいい。
波打ち際で遊ぶ女子達の中で、やっぱりあやちゃんが一番輝いてる。
水飛沫が飛んで、ブラが透ける女子をカウントしながら砂浜を歩いていると、小西がすごい勢いで走って行った。
こんなとこに来てもトレーニング。
小西のブレなさも逸品だ。
70:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 14:26:44.33ID:V0IHELr+0
ツアーガイドの出っ歯姉ちゃんが旗を振りながら引率してくれる。
細かくどこ回ったか覚えてないけど、とりあえず、俺の左後ろには常に川上が背後霊のようについて来た。
実際、俺が一人になれるのは、トイレと風呂くらいだった。
企業を回ったりしたあと、クタクタに疲れきった俺たちは、ようやくホテルにたどり着いた。
晩御飯はバイキング。
ソーキそばってマジ美味い。
あやちゃんと結婚したら、沖縄に住んでもいいなって思った。
ホモは豚足にかじりついていたから、偏食しすぎとからかうと、真面目に「今コラーゲン補給してるから、話しかけないで」とあしらわれた。
美魔女ならぬ、美ホモを目指すらしい。
なんなのこのホモ。
73:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 14:37:30.17ID:V0IHELr+0
このホモの偏食っぷりに負けずとも劣らないのが小西だ。
「夜は基本的に食べないんだよ。脂肪になりやすいからね」
とか言って葉野菜ばっかり食べてる。
野獣のごとく豚足に食らいつくホモ。
小動物のように葉っぱをハムる筋肉。
壮絶な絵だったけど、班は爆笑の渦に飲まれた。
今思えば、この時ようやく距離が縮んだんだ。あやちゃんとの。
自然とメアドも交換できて、有頂天だった。
なぁんだ。順調だ。
この修学旅行は上手くいく!
…あのな。
人は調子に乗ると必ず厄介な事態を招く。
これは人生の教訓だ。
75:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 14:42:11.41ID:/ZydOYy70
ゲイって今まで知り合いにいなかったからなー
77:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 14:44:07.68ID:V0IHELr+0
>>75
俺もビビった笑
まさか高校のクラスメイトにいるとは。
実は意外と潜んでたりして。
78:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 14:47:47.67ID:V0IHELr+0
さて、修学旅行初日の夜。
略して初夜。
班長の俺は部屋の鍵をもらい、男四人で宿泊する部屋へ向かう。
さっき貰ったメアドへ返信するために、一刻も早く荷物を置きたかった俺は、勢い良くドアを開ける。
ドアを開けると、いわゆる2DKの間取りの部屋があった。
簡易キッチン・トイレ・風呂に囲まれる共有スペース。
そして寝室は2パターン。
和室と洋室
79:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 14:52:49.82ID:V0IHELr+0
天国と地獄。ここでの選択ミスは取り返しの付かない事態を招くことになる。
和室は…和室だけはダメだ!
いくらテレビがあると言っても、仕切りのない和室は熟睡している間に潜りこまれやすい。
鍵を持つ班長の特権で真っ先に部屋に入った俺は洋室を選んだ。
洋室はベットが2台あった。
ベッド同士もきちんとスペースが開けられて居て安心感がある。
部屋の奥、窓際のベッドにカバンを置いて、あやちゃんとの連絡手段を取り出す。
この瞬間、ふと違和感を感じる。
(なんだ…?何かミスったような気がする…)
違和感は焦燥感に変わる。
言いようのない不安が全身を撫でまわしていく。
80:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 15:02:10.20ID:jdv44sfR0
>>1のおかんが面白いw
81:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 15:07:00.76ID:V0IHELr+0
>>80
変な母親なんだよ。
軟膏は受け取らずに置いといたんだけど、荷物開けたらメッセージ付きで入ってた。
「万が一妊娠しても、お母さんは味方だから。」
うん、あのな、息子って生物学的に妊娠しない。
82:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 15:08:13.24ID:YCr5omhe0
カーチャンwwwww
83:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 15:12:16.79ID:V0IHELr+0
違和感が焦燥感へ、焦燥感が不安感へ、不安感が後悔に変わるのに時間はかからなかった。
あっ!
しまった!
俺はなんてヘマをやらかしたんだろう。
1番先に入ったら誰と同じ部屋になるか決めれない。
確実なのは2番目に部屋を選ぶことだった。
一番に入るのがホモなら他の部屋に行けばいいし、小西か石丸のどちらかが一番に入ったら、俺もそっちに行けばいい。
少し考えれば、ホモと同じ部屋にならないように出来たはずなのに、メアドゲットして浮かれてた俺は肝心のところで選択ミスを犯したのだ。
ヤバイ。やばい。ヤバイ。やばい。ヤバイ。やばい。ヤバイ。やばい。
どうする?考えろ。今から部屋を移動するか?いや、不自然すぎる。
率先して入ってしまった以上、理由を聞かれたら答えないといけない。
そうなると川上のホモがバレる&俺にも疑いがかかる。それだけは避けないといけない。そうなったら、あやちゃんとの距離は日本とアルタイルぐらい開いてしまう。
俺は、祈るしかなかった。
84:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 15:29:04.19ID:x3gKlu5K0
やばいおもしろい
85:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 15:32:22.25ID:V0IHELr+0
ガチャ…
ドアが開いた。
筋肉でも二次元でも相手してやる。
どんな話題でも合わせてやるから、川上だけは勘弁を…
「おじゃましまーす」
川上だ。
お、おわったー。
安息の沖縄ナイトは脆くも崩れ去った。
まさか体育の時間初めて声かけた奴がホモで、修学旅行で一緒の部屋で、しかも二人っきりで寝るなんて…
誰が予想できただろう。
川上は飄々と荷物を開けてなんかゴソゴソしてる。
隣の部屋からはTVの賑やかな声が聞こえてくる。
あー。。。
現実に打ちひしがれてる場合じゃない。
俺はあやちゃんにメールしなきゃ。
『今日班長会議のあと、一階の自販機に行くんだけど、あやも一緒に行かない?』
書いちゃった!呼び捨てで書いちゃった!
ドキドキしながら送信ボタンを押す。すげー強く押しちゃった。
86:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 15:38:50.09ID:V0IHELr+0
「ふーん。抜けだすんだ。」
背後から聞こえるホモ声。いや、若干右耳近く。軽く後ろからハグされるような体勢。
鳥肌が立つのと同時に右アッパー食らわせた。
「オヴゥ!!」という音を立ててすっ飛ぶホモ。
俺「勝手に見てんじゃねー!!そして近い!近寄んな!」
ホモ「え…痛い。」
沈黙。
人を殴って罪悪感を感じたのは小学校以来だと思う。
87:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 15:44:56.39ID:V0IHELr+0
そんな沈黙に響くPS2起動音。
石丸&小西、楽しんでるなぁ。
俺もそんな純粋な修学旅行を謳歌したかった。
気まずい空気の中で、携帯が鳴った。
すごい速さで携帯を拾い上げる。ヒュバッ!っていう音が最適だと思う。
あやちゃんからの返信だった。
『いいよ~。終わったらメールして―(*^^*)』
こんな殺伐とした戦場に、一瞬で癒やしをもたらしてくれるあやちゃんは、俺にとって天使だ。いや、女神だ。
88:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 15:50:54.41ID:V0IHELr+0
班長会議に行くとそこにはいつものワキガ・ハゲ・ポマードだけでなく、なぜかさっちゃんもいた。
例の一件以来、さっちゃんには警戒しないといけない。
山梨は班長を束ねる役目。いつもご苦労さまです。
明日は防空壕に入ったり、陶芸をしたりするらしい。
沖縄って陶芸有名なのか?あ、シーサーも焼き物か。
どっちかって言うと琉球ガラスの方が好きだなぁ。
あ、よく見たら山梨のメガネ変わってるな。
あれ?そういえばワキガとさっちゃんだけ風呂あがりだ。…まさか!!
とか色々考えている間に班長会議は終わり。
さて…
俺 の 修 学 旅 行 は こ こ か ら だ !
89:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 16:02:53.09ID:V0IHELr+0
携帯を開くと小西から写メが来てた。
腹筋のドアップ。
…いらねぇ~。
『腹筋だけじゃなくて頭蓋骨も割れてしまえ』
そう返信しといた。
あやちゃんにメールを送らねば!
俺『いま班長会議おわったぁ!今から買いに行くよー。来れる?』
あや『もう一階のロビーに来てるよ~☆』
俺『了解!』
さすがあやちゃん!噛み合ってる!
ダッシュで階段を降りる。
班長会議は5階。
全速力で降りる。
やっとたどり着いたロビー。
そこには女神だけでなく、魔女もいた。
90:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 16:10:54.31ID:V0IHELr+0
俺「あれ!?さっちゃん!?」
さ「おー。おつかれさまー。」
あ「意外と早かったねぇ。」
俺「いやいや、さっちゃん早すぎね?さっき終わったとこなのに」
あ「さっちゃんは陸上で国体行ったことあるんでしょ?」
さ「いやいや、補欠だけどねー。」
俺「それにしても早すぎる」
さ「あ、俺くんは階段だったけど、私エレベーターで来たから…」
俺「え!!!!エレベーターあったの?」
あ「気づいてなかったの?(笑)」
さ「お風呂あがりに汗かくの嫌だし、エレベーターの方が楽だよ」
俺「汗だくな俺、カッコ悪い」
あ「水も滴るハゲチャビン(笑)」
俺「はげてない!」
こんなやりとりが続いた。
いい雰囲気を作るとさっちゃんがどこにリークするかわからない。
あやちゃんが不審に思わないように、自然に会話の流れに乗っていた。
結局買ったジュースをその場で飲み終わるころ、
携帯が鳴った。
電話だ。
91:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 16:17:13.37ID:V0IHELr+0
川上「まだ帰ってこないの?不純異性交遊はよろしくないよ?自宅謹慎になっちゃうよ?」
おれ「うっせー(笑)ほっとけ!!」ガチャ切り
お前は俺の何なんだ。
あ「あ、もしかして川上くん?」
俺「そうだよ」
あ「仲いいよね~。」
俺「まぁねぇ」
あ「川上くんって好きな人いるのかなぁ…」
っえ??
95:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 16:33:37.18ID:2TVI8T/o0
今きた
おもしろい!
96:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 16:33:59.78ID:F82NEY4B0
くっ...!面白くてごはんがススムぜ! お母さん!おかわり!
102:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 17:46:23.52ID:V0IHELr+0
待って、それって…どういう意味で?
さ「確かに、かっこいいけど、そういう噂聞かないね」
俺「えー。あー。どーなんだろー。」
あいつに複数の彼氏がいるなんてヘビーな状況、俺の口から説明できん。
っていうか、もしかしちゃうんですか?あやちゃん。。。
あ「気になるなぁ…俺くん聞いといてよ!」
眩暈がする。焦点が合わない。吐き気がする。
今すぐここから逃げ出したい…
俺「うん、分かった。聞いてみる」(´・ω・`)ショボーン
さ「あ、私も気になる!おしえてねー。」
そういって、それぞれ部屋に戻った。
103:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 17:54:16.54ID:V0IHELr+0
部屋に戻ると和室はバラエティ番組で盛り上がっていた。隣の部屋のやつも来てる。
ホモは一応和室の隅っこで、携帯いじってる。
おもむろに筋肉小西が、「おれ、風呂入る!」と宣言。
じゃあ俺も~、と隣の部屋の連中もゾロゾロ帰って行った。
洋室に戻った俺は、あやちゃんの言葉を反芻していた。
ホモに負ける切なさ。
怒りとか悲しみとか通り越して放心状態だった。
すると突然、
「あっちィィィィーーーー!!!」
と断末魔のような悲鳴が響いた。
何事かと思って洋室を出ると、もうわけのわからない状況がそこにあった。
104:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 17:58:44.11ID:V0IHELr+0
走り回る小西。大笑いの石丸。
その様子をニヤニヤしながら写メ撮ってる川上。
特に異常なのは、小西が全裸&白靴下なところだ。
どうやら、湯を張った風呂に入ろうとしたら、熱湯すぎてショックだったらしい。
ちょっとまて、湯船に浸かるとこなのに、なんで靴下履いてんだ?
この謎は未だに解けることはない。
世界八不思議と言われる所以はここにある。
105:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 18:15:00.29ID:V0IHELr+0
こいつらのドタバタを見てると、なんか落ち込んでた自分が馬鹿らしくなってきた。
まだ振られたわけじゃないし、この修学旅行で仲良くなろうと思った。
どうせ、あやちゃんの恋は実らないんだから、堂々と構えとけばいい。そういう結論で自分を納得させた。
風呂待ちしてたら母さんからメールがきた。
「切れ痔の具合はどうですか?」
お土産は買わないことにした。
106:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 18:16:54.31ID:i6qHZX7g0
カーチャンwww
109:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 18:21:14.41ID:jdv44sfR0
あかんww
この話し終わったらおかんの逸話もっと聞きたいわw
111:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 18:47:53.02ID:YCr5omhe0
もう、>>1のカーチャン大好きだwwww
113:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 19:25:48.52ID:V0IHELr+0
母さん人気者だなぁ。
気が向いたら母さん特集するね。
小西が風呂から上がったと思ったら、おもむろに川上が
「あのさ、先、シャワー浴びてくるね。」
と、流し目で言ってくる。
なんか安いメロドラマみたいなセリフ。
「勝手にどーぞ。」
と答えた瞬間、あやちゃんからメールが!
115:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 19:40:09.88ID:V0IHELr+0
「さっきは楽しかったねー。さち先生、楽しいよね!美人だし、男子はあんな感じの年上好きなんでしょ?笑」
なんかいいノリのメール。
ついついテンション上がる俺。
そこから30分くらい他愛のない話題でメールのラリーを繰り返した。
すると、話の流れを切って、急に
「ところで、俺くんは好きな人いるの?」
唐突なキラーパス。
油断してて受け止めきれない俺は、
「いるよ!いっぱいいる!!」
なにをテンパったのか、最悪な返しをしてしまった。
うあぁぁぁぁぁ。
時間もどしてーーー!
布団の中でゴロゴロ悶えてた。
メールはさっきまでの勢いを失って、全然かえってこない。
120:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 20:03:40.22ID:V0IHELr+0
布団でゴロゴロ&ゴニョゴニョしてると、川上が部屋に帰ってきた。
ホモ「俺、何してるの?」
おれ「なんでもない」
ホモ「あやちゃんに振られたの?」
おれ「なんでそうなる」
ホモ「じゃ、オナってたの?」
おれ「しねーよ!」
ホモ「していいのにー」
121:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 20:10:25.45ID:V0IHELr+0
はいはい。とあしらいながら、風呂に向かう。
一日長かったなー。
湯船に浸かりながらまったりしてたら、急に空気がスースーしだした。
異変に気付いた俺が辺りを見回すと、浴室のドアがちょっとあいてた。
122:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 20:23:52.47ID:bvJMqpvui
まさか…
124:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 20:29:55.35ID:s7I24YzO0
おおぉぉ
125:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 20:31:57.37ID:V0IHELr+0
目を凝らすと、確実に目が合った。
これはホモに間違いない。
黒っぽい影も見えるのでおそらく携帯だろう。
目的のために手段を選ばないその姿勢は、尊敬に値する。
だがやってることは軽蔑する。局部を撮影されてなるものか。
ゲイSNSで格好の餌食になるのだけは勘弁。
「しめろよ」
強めに言ったつもりだが、開いたままだ。
もしかしたら閉めに行く時に撮影されるとかいう頭脳プレイなんだろうか。
負けてられねえ。
あらん限りの力を振り絞って、
なおかつ、湯船から局部がでないように最大限の注意を払って手に入れたのは。
洗面器
俺の作戦は、裸踊りの要領で前を隠しつつドアを締めるという弱点の見当たらない最強にして最大の防御力を誇るものだった。
しかし、相手はホモ川上。何か奥の手がありそうで怖いと言えなくもない。
127:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 20:38:26.70ID:V0IHELr+0
大体、この修学旅行での川上はアクティブすぎる。
ホモアクティブな川上は普段の学校生活では見せないような奇怪な行動を取る。
それは「写メ撮影」
何を考えてとっているんだろう。
小西の全裸ソックスも、何のメリットがあるのか俺には分からないが、アイツには意味のある写真なんだと思う。
目的がわからないことほど不気味なことはない。
ホモティブな川上をこれ以上調子に乗せないよう、ここらへんで釘をさしておいたほうがよさそうだ。
「なぁ、話がある。風呂上がったらちょっと聞いてくれ」
そう言うと従順に音もなくドアを閉めて去っていった。
かまって欲しいのか、思惑があるのか…
なんで俺、こんなに日常で駆け引きしてるんだろう。
129:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 20:43:49.53ID:V0IHELr+0
俺は判断を間違えていなかった。
あそこで裸踊り風に出て行ってドアを閉めたとしても、その姿を写メられるだけで社会的に死んだも同然。
こえぇ。ホモ川上こえぇ。
憂鬱な気持ちで髪と体を洗って、着替えてメールチェック。
一件メールが来てた。
悪友木下からだ。
『あや、泣いてるけど、お前なんか知ってる?』
木下があやちゃんを呼び捨て?なんで?
いやそれよりも、泣いてる!?あやちゃんが?
なんで?
俺に心当たりがあるとすれば、メール…
モヤモヤしながら部屋に戻ると川上から話しかけてきた。
川上「あのさ、そっちの話を聞く前に、1個質問がある」
131:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 20:52:04.81ID:V0IHELr+0
川上「あのさ、そっちの話を聞く前に、1個質問がある…
な
ぜ
裸
を
撮
ら
せ
な
い
?
さっきの話のすり替えは酷いと思う」
いや、盗撮は犯罪だ。酷いのはお前だ。と言ってやりたかったけど、ぐっと言葉を飲み込んだ。
交渉の場では感情的になった方の負けなのだ。
おれ「いや、ホントに話があるんだ。」
川上「あやちゃんのこと?」
おれ「!?」
川上「さっきメール来た。最近相談に乗ってたんだよ。恋愛の。」
え?こいついつの間にそんな良いポジションついてたの?そんな感情が絶対顔に出てたと思う。
さっきまで、川上をダシにしてあやちゃんの情報を得ようとしてた自分が同仕様もなくチンケな奴に思えた。
川上「で、最近クズ彼氏を振ったらしい。」
132:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 20:58:05.72ID:V0IHELr+0
…初耳だ。
あやちゃんに彼氏が居たなんて。
おれ「別れた理由は?」
川上「暴力振るったりする人だったみたい。耐えれなくなったっていってた。
あと、気になる人が居たらしい。でもその人はあやちゃんを見ていないって。」
ん?
あれ?
その人って、俺でも充分当てはまるよな。
いや、川上もそうか。
あ、むしろ冷静に考えれば結構色んな人当てはまるか。
なーんだ。
川上「だから元気づけようとおもって、色んな写メを…」
おれ「 ち ょ っ と ま て 」
133:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 21:08:18.93ID:V0IHELr+0
おれ「俺の裸を送ろうとしてたのか?」
川上「一人分だけじゃないから安心して」
おれ「まさか、小西の分もか!!」
川上「うん。それ送ってからメールが返ってこない」
おれ「てめぇかああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
あやちゃんが泣いた原因はこいつだ。今確信した。
いきなり全身筋肉野郎の全裸+純白の靴下写真が送られてきたら俺だって泣ける自信ある。
悩み相談するくらいだから、ある程度信頼してただろうに、いきなりそんなの送られてきたらびっくりするよなぁ。
おれ「お前、最悪だな」
川上「でも、“してほしいことをしてあげなさい”って言うじゃん。」
おれ「その言葉のまえに“相手が”って付けろ」
135:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 21:14:47.07ID:/ZydOYy70
どうやったらそんな発想がでるんだwww
136:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 21:15:47.84ID:V0IHELr+0
ホモの感覚はわけが分からん。
居てもたってもいられなくて、携帯を開く。あやちゃんにメールしようとおもったけど、なんて書いたらいいんだ?
『川上が変な画像送ってごめん!』←これだと俺もグルだったみたいだし、
『どうしたの?』って送ってもこっちから送ったメールに対する返信を催促してるみたいになっちゃうし。
結局、
『明日は調べてた防空壕だね。あやちゃんのお陰で、歴史的な背景が分かったから行くの楽しみだよ。ありがと。』
当たり障りないけど、少しでも気を紛らせることができたらと思って送った。
もう、疲れた。
携帯を枕元に放り投げてベッドに倒れ込む。
もう今日は休もう。
明日の過ごし方であやちゃんも気分が良くなるはずだ。
137:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 21:22:02.41ID:V0IHELr+0
川上「あれ?もう寝るの?」
おれ「うん。疲れた。」
川上「じゃ、ぼくも一緒に寝る」
おれ「誤解を生む表現するな」
枕元には有線チャンネルの切り替えボタンがある。
(ラブホとかにあるアレ)
チャンネルをいじってると、Jpopチャンネルがあった。
聞き慣れた曲達が代わる代わる流れてくる。
小学校の時に聞いた様な、少し懐かしい曲に囲まれて、少しウトウトし始めた。。。
まだ意識が消えかかる前、俺は異変に気づいた。
139:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 21:27:53.07ID:N/WhUfTlO
川上絶対ワザとだろwww
140:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 21:28:49.50ID:V0IHELr+0
曲がJpopからJazzに変わってる!!
嫌でもムード満点のナンバーだ。
さらに、
部屋の照明が薄暗くなってる!
和室は昔ながらの天井から吊るされるタイプの照明だが、洋室は違う。
天井に埋め込まれた照明と、壁にある間接照明が枕元のボリュームでトーン調節できる。
薄暗い部屋に、穏やかに流れるJazz。
どうかんがえても、アダルティーな大人の沖縄ナイト。
これはイカン。
142:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 21:32:08.14ID:jdv44sfR0
>>140
ワロタw
143:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 21:35:32.85ID:V0IHELr+0
またあやちゃんの件で忘れてた。
俺は大事な使命を抱えているんだった。
何が何でも軟膏の出番だけは作りたくない。
おれ「おいコラ。ボケ。起きろ。」
川上「ん?何?」
おれ「何?じゃねぇ。なんで変えた。なんで暗くした。」
川上「えぇっと。。。寝やすいかなと思って。」
おれ「大丈夫だから、せめてどっちか変えるな。」
川上「分かった。じゃ、曲で。」
おれ「ったく。」
川上のベッドに背を向けて横になる。
…
背を向けて…?
144:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 21:36:33.77ID:bAgofjvfI
1は文才あるな
そしてホモが屑過ぎる
146:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 21:52:44.79ID:V0IHELr+0
>>144
始めて言われた。ありがとう。
145:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 21:51:15.09ID:V0IHELr+0
背を向けて…?
江戸時代の武士道では背中を切ることは卑怯とされ、
また背中を切られることは敵に背を向けた、すなわち逃げようとしたことを意味するとして恥とされた。
相手が武士ではなくホモの場合、敵に背を向けるというのは、尻を差し出すのと同義なのではないだろうか。
まさに恥!!!
危機感にしたがって背後を確認する…
幸い、布団の中に入ってきたり、ベッドの端まで来てたりってことはなかった。
なかったけど。
あっちのベッドからすげー見てる人がいるんですけど。
ライトのトーンが下がってて薄暗いけど、見られてるのがわかる。
そんなタイミングでJpopが俺に牙を剥いた。
♪『secret base』ZONE
147: 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8) :2013/10/10(木) 21:56:34.52ID:jYAuYbMz0
>>145最高のーwwww思い出をーw
wwww
149:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 22:00:25.76ID:V0IHELr+0
川上「10年後、僕らなにしてるんだろうね」
おれ「さぁ…27歳か…」
こいつサラッと歌と自分を重ねやがった。ロマンチストホモ川上。ホモンチスト川上。
うん。ホモンチストの方がしっくりくるな。そんなくだらないことを考えた後、ふっと思った。
10年後、なにしてるんだろう?
一般高校生の将来設計なんて、あってないようなものだ。
目の前の一瞬一瞬に心を引きずりまわされてる俺が、27になる頃、どうなっているんだろう。
特に夢もない。
就きたい仕事もない。
恋人すらままならない。
現に今だって、女の子とのメールすら出来ずにホモと話してる。
将来どうなっちゃうんだろう。
なんとなく、将来が真っ暗な気がした。
モヤモヤ考え事してたら、突然遮られる。
川上「僕は性転換する」
150:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 22:11:09.52ID:V0IHELr+0
おれ「はぁ?」
心で思ったことと口に出す言葉って、違うことが多いのに、この時は完全に一致してた。
ホモってだけで非日常な感じなのに、性転換ってもう宇宙だ。何がなんだかわかんない。
おれ「ちんこ切んの?」
151:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 22:14:04.69ID:V0IHELr+0
川上「言い方が酷いなぁ。ホントの僕になるんだよ!お金貯めて、外国に行って、性別を変えるんだ!」
そう語るホモンチストは、生き生きとしてるように感じた。
そして、なんか、悔しかった。
なんとなく俺より下に見ていたホモが、具体的な将来を描いている事実に。
ただ焦りを感じてた。
もっと大人にならなくちゃ。
もっと、もっと…
152:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 22:19:48.36ID:V0IHELr+0
真面目なこと考えてたらいつの間にか寝てた。
ふと目開けると、馬乗りになってる川上の顔ドアップ。
おれ「うわああぁ!」
掛け布団と一緒に川上をベットから突き落とす。
華奢なやつで助かった。
こいつが重量級だったらおれ確実に捕食されてた。
川上「あのさ…キスだけでいいから。キスで我慢するから…」
ベッドにしがみついて登ってくる様子はもはやゾンビだった。
発情してるホモゾンビは恐怖でしか無い。
鼻息荒いし、ずっとニヤニヤ笑ってるし…
女性に対して、こういう男にだけはならないようにしようって誓った。
ホモゾンビの額に蹴りを入れて、携帯と充電器を持ってベランダに逃げた。
ベッドのあるアノ部屋にいちゃダメだと本能が叫んでいる
153:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 22:27:26.73ID:bAgofjvfI
読んでるこちらまで戦慄が走った
野獣そのものだな
ホモってみんなこんな奴らなんか
155:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 22:30:40.20ID:V0IHELr+0
>>153
みんなじゃないと思う。
おとなしい人もいるだろうし、自制心ってあるはず。
川上の場合、何かが壊れてたんだね。
154:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 22:29:36.74ID:V0IHELr+0
ベランダから覗くと、気持よさそうに寝ている小西と石丸。
寝相は悪いけど、憎めない奴らだ。
平和っていいな。
人間っていいな。
ソンビは嫌だな。
ホモゾンビはもっと嫌だな。
窓から出てくる素振りを見せたホモゾンビに、出てきたら突き落とす。とはっきり言うと渋々引っ込んだ。
幸い、天気もよく、夜なので涼しい気温だった。
ベランダにも外部コンセントがあったので、携帯を充電する。
なんだこの一大スペクタクルドラマ。
普通の修学旅行では味わえないスリルとサスペンス、そして硬い寝床!
ベランダで一夜を明かす覚悟を決めた。
修学旅行の一日目に、俺は何をやってるんだ。
携帯が点滅しているので開くとメールが来ていた。
157:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 22:41:37.28ID:V0IHELr+0
「ありがとう。俺くんのメールで気持ちが落ち着いたよ。明日、楽しみだね。あのさ、やっぱり防空壕って真っ暗だよね?」
このメールは…あやちゃんだ!!!
俺「多分暗くないんじゃない?照明とか持っていくと思うよ。学校側からしたらけが人出したくないだろうし…」
あ「でも、真っ暗にするって先生いってたよ?」
俺「まじか!俺、暗所ダメなんだよ」
あ「あ!言ってたね!高いところと暗いところもでしょ?」
俺「そうそう、夜の観覧車最悪(笑)」
あ「えー。つまんなーい(笑)」
俺「そういえばここから夜景が綺麗に見えるよ。そっちの部屋はどう?」
あ「えっとー。。。あ!見えるー! 綺麗だね。男の子たち、みんな寝たの?」
俺「川上は起きてるみたい。ちょっと色々あって俺はベランダに居る」
あ「けんかしたの?ダメだよ。優しくしてあげなきゃ。心は女の子なんだから」
え…
え?
159: 忍法帖【Lv=6,xxxP】(1+0:8) :2013/10/10(木) 22:44:01.90ID:oTJjzLafi
あやちゃん、実は川上がホモと知ってるパターン??
166:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 22:56:50.42ID:V0IHELr+0
ちょっとまて、
俺「心は女の子…?」
あ「川上くんから、俺くんには話してあるって聞いてるけど、知らないの?」
俺「いや、知ってるけど。好きな女の子いるかどうか聞き出せって言ってなかった?」
あ「え?私、好きな人いるのかなぁって言ったはずだよ。さっちゃんいたから一応。」
そのさっちゃんが真っ先にリークしたんだけどね。
俺「あ、そうだったっけ。あやは知らないと思ってた。」
あ「実は結構前から知ってました(笑)っていうか雰囲気から、ね(笑)」
俺「女子の直感ってすげぇなぁ。その当事者に襲われて逃げてきたところ(笑)」
あ「ええ!!襲われたの!?見てみたかった~(泣)」
167:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 23:01:01.52ID:jdv44sfR0
>>166
さっちゃんがリークしたのは宝くじの件であって、そっちはワキガでは?
168:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 23:07:50.52ID:V0IHELr+0
>>167
あ、そうだった。ワキガでした。
170:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 23:10:09.21ID:V0IHELr+0
俺「とにかく、遊びだろうがマジだろうが、ホモの相手にはなれないから、今夜はベランダで過ごす」
あ「あ~。ベランダで寝るのズルい!私も!!」
あやちゃんとメールしていると、さっきまでの恐怖が嘘みたいに無くなって、心地良い感じがしてくる。
っていうか今まで自分の中で消化してきた思いとか、
川上関連の「言ってはイケない話」が出来る人が居て、すごく安心した。
俺「さすがに女の子は室内で寝て下さい。明日いっぱい歩くだろうから、ちゃんと休んでね」
あ「おぉ!やっさし~☆じゃ、お言葉に甘えて、おやすみ~☆」
結果的にあやちゃんとお近づきになれたから、いい1日だった。
そのままコンクリートで寝た。
173:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 23:15:31.95ID:V0IHELr+0
突然の怒鳴り声と眩しさで目が覚めた。
そしてこの匂いはワキガだ。
担任が見回りに来た時に俺が居ないと大騒ぎになり、ビビってベランダにいることを伝えれないホモ。
結果、教員がフロア中探し回り、ベランダで寝ているところを確保。
俺はベランダから廊下へ移動し、ハゲ学年主任…いわゆるハゲ主任から説教を食らう。
マトモに寝てないから説教の内容は頭に入らなかったけど、お前みたいな奴は初めてだ!って褒められたのは分かった。
問題を起こさないように、見回り用の和室に寝かされた。
かくして、朝まで俺の尻は安全を基することになる。
175:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 23:19:17.32ID:V0IHELr+0
この時、ホモが一人で洋室にいる間、盛大なオナニーパーティーを開いたらしいが。それはまた別の話。
177:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 23:26:01.61ID:/ZydOYy70
>>175
まさかオカズにされたとか?笑
179:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 23:27:45.86ID:V0IHELr+0
>>177
そうでないことを切に願ってる。
176:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 23:23:51.71ID:V0IHELr+0
そして、世界中の誰しもに等しく朝はやってくる。
修学旅行2日目。
朝食の場で学年全員を前に昨夜の俺の騒動について説明された。
そして、釈然としないまま俺はみんなの前で謝罪させられた。
朝ごはんが美味しくない。
イライラしてたのがわかったのか、あやちゃんがメールをくれた。
「笑わないようにするの大変だった!わたし、ベランダで寝なくて正解だったね(笑)」
なんだろう、たった1通のメールで気分って変わるもんなんだな。
今日一日頑張るか!って気持ちになる。
180:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 23:33:03.63ID:V0IHELr+0
一同バスに乗って色々な跡地をめぐる。
例のごとく、バスの席も事前に決められていて俺は川上のとなり。
となりのカワカミ
となりのホモ
となりのゾンビ
どれもジブリ化出来そうにないな。
防空壕に辿り着くまでに計6回吐いた川上はブリーチで脱色したような顔色になっている。
元気が無いのはいいことだ!とはあまり聞かないけれど、この時ばかりは川上の元気なさが嬉しかった。
というか、基本的にテンションは低いやつなのだ。昨日の夜が異常だっただけ。
班も仲良くまとまってる。
隣で吐かれるのは嬉しくないけど、しかたのないことだし、今日はスムーズな1日になるんじゃないかなと思ってた。
防空壕の中に入るまでは。
183:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 23:42:47.45ID:V0IHELr+0
狭い入り口を入る時、軽く眩暈がした。
小さいころの事故のせいで、狭いところが苦手な俺は、
奈良の大仏殿にある柱の穴をくぐるときにも顔面蒼白になったりしてた。
いわゆる「閉所恐怖症」ってやつ。重度じゃないけどね。
防空壕は資料で何回も見たけれど、実際入るのは初めてだった。
ひんやりとした冷たい空気と土の匂いは、現代の日本にはない残酷さを連想させる。
何個かの班が一緒にいるのに、なんかフワフワするような、一人でいるようなよくわからない感覚だった。
ふと見上げると天井部分にドラム缶が刺さってる。
不気味な感じがしたけど、気負って強い口調で小西に話す。
「お前野球部じゃん?ドラム缶投げたらあんな感じで刺さる?」
184:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 23:43:07.34ID:of5OjN4s0
そういえば>>1はホモに好かれる程にはイケメンなの?
185:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 23:49:22.54ID:V0IHELr+0
>>184
椎名桔平とか、ラーメンズのコバケンとか、もう死んだけどパクヨンハとかに似てるって言われたことある。
本人自覚なし。
186:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 23:51:27.27ID:V0IHELr+0
小西が「俺の筋肉じゃ無理だよぉ。」って言い終わる前に、
出っ歯のツアーガイドがそのドラム缶について説明しだした。
要約すると、戦時中手榴弾が投げ込まれ、その爆発でドラム缶が天井に刺さったらしい。
もちろん沢山の人が避難してきていたのですごい人数が死傷したとのこと。
笑い話に使っちゃったことにバツの悪さを感じて、黙り込んだ俺。
また、防空壕の奥には負傷者を寝かせておく場所があり、そのまま亡くなったりしていたらしい。
ふと近くに居たあやちゃんを見ると、口元を押さえて震えていた。
調べていたから余計に、画像や文章と目の前の現実がリンクして辛いんだろう。
可哀想に見える姿が、なんとなく綺麗に感じた。
儚い美ってこういうことなのかも。
しんみりしてきたところで、出っ歯ガイドが提案した。
187:名も無き被検体774号+:2013/10/10(木) 23:56:20.89ID:V0IHELr+0
「それでは5秒数えるので、一斉にお手持ちのライトを切ってみましょう。」
真っ暗過ぎて手を目の前に持ってきてもわからないくらいになるらしい。
どんだけ真っ暗なの!!ってびびってたら、あやちゃんに笑われた。はずい。これは恥ずかしい。
その時、ナイスアイディアが俺の脳内に開花した。
暗闇に乗じて、あやちゃんと手をつなぐ
引かれようがなにしようが、俺を意識させるには最高の方法なんじゃね?
はい、例の有頂天モードきましたね。
ここまで読んでくださってる方ならご察しの通り、有頂天になった時にいいことは起こりません。
万が一手ではなくおしりに触ってしまえばセクハラなんて、これっぽっちも思い浮かばないんだから。
190:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 00:03:11.91ID:V0IHELr+0
そして始まるカウンドダウン。
年末の番組見ててもここまで興奮することはありません。
5 …ドキドキ
4 ドッキンドッキン
3 ドクドクドク
2 ドドドドドドドd
1 !!!
191:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 00:06:38.29ID:V0IHELr+0
完全に真っ暗
目を閉じてても光を感じるけど、それすら無い。
俺の目は今開いているのか?それとも閉じているのか?
それすらも触ってみないとわからないくらい。
死後の世界はこんなかんじなんだろうか。
だったら死にたくない。
光合成が!光合成がしたいです!
あ、いや。そうだ、この暗闇に乗じてあやちゃんと手をつなごう作戦だった。
あやちゃんの方向はすでに確認済み。
あとは勇気を振り絞って腕を伸ばすだけだ!
エイッ☆
194:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 00:10:32.68ID:YyxqAIEL0
さわっ♪
触れた!しかもコレは手だ!あやちゃんも気づいて握り返してくる。
やっぱ俺ら通じあってんじゃん!
調子に乗った俺は両手で、華奢なあやちゃんの手を取り、サッと指を絡める。
俗にいうカップルつなぎ完成。
やったああぁぁぁ!
母さん!
俺はあやちゃんとカップルつなぎ成功したよー!!!
しかも軟膏使わずに済んでるよー!!
もしこの時光があったら、凄まじい勢いでにやけてる俺を見ることが出来ただろう。
俺自信想像も出来ないような気持ち悪い顔だったに違いない。
そして、出っ歯の声が響いた。
197:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 00:16:28.94ID:YyxqAIEL0
「満喫出来ましたか?それではライトを付けて下さい―!」
このまま明かりがついても指を絡めたままでいよう。
そしてカップルであるかのような堂々とした振る舞いでいれば、既成事実となってみんなが認めてくれるはずだ、俺達の結婚を!
そして、点灯。
偶然にも見つめ合う俺とあやちゃん。
指を絡め合う俺と川上。
瞬時に外そうにも、摩擦係数が高すぎて思うように外れない。
っていうか、川上が指を締めてるから外せない。
「くっ!あれっ!?」と頑張る俺に対して、
「ふふふ…」と笑みを浮かべるホモ。
最悪だ。
あやちゃんも気づいてニヤけ始めた。
202:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 00:21:53.94ID:oXlK8uV6i
なんで>>1はこうもうまくいかないのか
203:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 00:22:42.68ID:YyxqAIEL0
こんなに涼しい防空壕のなかで、なぜこんなに汗をかくのか。
咄嗟に反対の手で繋ぎ目をチョップして強引に離した。
川上が痛みに悶えている。
聞いていただこう。その時のセリフが、これだ。
「あいった!!怖がり痛った!ああぁぁん」
俺が殴っただけだと思われて欲しい。
そんな気持ちを込めて叩きました。
だが、その一部始終を見ていた奴が居た。
小西だ。
205:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 00:35:28.06ID:YyxqAIEL0
防空壕を後にした俺達は、陶芸教室?らしき場所に行く。
さっきのカップルつなぎ事故のせいで、テンションがだだ下がりな俺と対象に、
鼻歌まじりの川上。
そしてにやけ顔がとまらないあやちゃんは、たまにこっちみてニヤけるだけで、メールを送ってくれたりはしない。
孤独だ。人生とは孤独な戦いだ。
陶芸家なのかもよくわからないが、方言が強くて、話の内容が20%も伝わってこないおっちゃんも人生について語っている。
そうだよな。おっちゃん。気持ち、わかるよ。
相手に真意が伝わって居ないと思ってても、続けないといけないことってあるよな。
206:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 00:39:02.11ID:YyxqAIEL0
俺は陶芸で無愛想な小皿を作った。
あやちゃんは手先が器用なのもあって、綺麗に茶碗を作っていた。
石丸は、何やら棒状の物を作っていて、聞くところによると「なんとかかんとか」のヒロインが持ってる「なんちゃらかんちゃら」が
第二段階に変形したものらしい。
ホモ川上は意外と上手に湯のみを作っていた。
小西は鉄アレイ型の箸置き。
意外とセンスの有る班だった。
焼き物は火を通してから郵送してくれるらしい。
こうして程よい達成感を胸に、俺達は1日のスケジュールを終え、ホテルに戻ったのだ。
207:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 00:42:43.12ID:YyxqAIEL0
ホテルのフロントで貰ったのは、初日とは違う鍵だった。
同じ5階に変わりはないが、部屋番号が明らかに違う。
初日のようなヘマはしてはいけない。
3泊4日全てをベランダで寝るような事があってはならない。
ましてや貞操の危機なんてもっての外だ。
恐る恐る部屋のドアを開ける。
209:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 00:53:58.49ID:YyxqAIEL0
俺の頭の中では間取りタイプ別の対応策が練られていた。
しかし、基本的にホモと同じ部屋になることを避けるだけのそれらの対応策は、見事に打ち砕かれるのだった。
つまり、間取りはだだっ広い1DKタイプだった。
でっかい寝室に、ベッドが4つ並んでいる。
あっけに取られた俺とは対象に、やたらはしゃいでいるのは石丸だ。
マリオごっこと称して4つのベッドをジャンプしていく。
そのタイミングに合わせて
「コイーン☆コイーン☆」
と効果音を入れるのは川上だ。
お前らいつからそんなに仲良くなった。
210:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 01:14:45.05ID:YyxqAIEL0
そして、ベッドの配置はじゃんけんで公平に決めることにした。
安心しきった俺は、ベッドの位置に重要性を見いだせなかったのだ。
結果(部屋の奥から)
・石丸
・小西
・俺
・川上
この配置で決定。
その時、小西が真面目な顔して俺を廊下に呼び出した。
212:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 01:21:39.76ID:YyxqAIEL0
「あのさ、筋肉って興味ある?」
何の話なのか、脈絡がなさすぎて困惑していると、切羽詰まった表情で
この班の残り二人には話したけど、興味がなさそうだということ。さらに、俺の僧帽筋は天性のものだということを必死に伝えようとしているみたい。
全然先が見えない俺に早口でまくし立てる小西の姿は、新興宗教かまたは新手のネットワークビジネスの勧誘のようだった。
俺「あのさ、話が見えないんだけど、結局俺に何して欲しいわけ?」
こ「あー。えーっと、つまり一緒にボディービル部を作らないかって話だよ」
うん。
ない。
214:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 01:24:42.73ID:YyxqAIEL0
俺「えーっと、一応サッカー部に入ってるし、運動部との兼部は厳しいなぁ」
こ「大丈夫。部活に顔出さなくても、筋肉さえ成長させていればOKだから!」
俺「そういうもんだいじゃなくって…そもそも…」
こ「そもそも?」
俺「筋肉に興味が無い」
こ「えっ?…うそ…でしょ?」
俺「いや、マジで」
こ「川上くんから、俺くんなら興味あるかもって聞いたのに…」
そう言って、打ちひしがれて床にへたり込んだ小西を尻目に俺は部屋に帰った。
215:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 01:24:51.78ID:9g2wo2pH0
急展開すぎwwww
216:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 01:25:22.43ID:RvMaYd030
まぁ僧帽筋は天性だからな
おれなんか天性の肩こりだわ
218:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 01:33:34.82ID:YyxqAIEL0
>>216
肩こりはいろんな病気につながるから、早めにほぐすよろし。
217:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 01:33:01.21ID:YyxqAIEL0
さぁ、時は満ちた。
ありもしないことを小西に吹き込んだ川上へのお仕置きTIMEだ。
とりあえず、座ってる背中におもいっきり飛び蹴りを入れる。
「おふん」肺から変な音を出して寝そべる川上。
俺「てめぇ、誰が筋肉に興味あるってぇ?」
か「ごめんごめん(コヒュー)ごめんごめん!!(コヒュー) だって勧誘の回数を(コヒュー)学年主任に脅されてるらし(コヒュー)いから
ちょっとでも増(コヒュー)やしてあ(コヒュー)げようと思(コヒュー)って…」
俺「学年主任? あのハゲ?」
か「そうそ(コヒュー)う… 」
なんだろう。ハゲが小西を使ってボディービル部を作ろうとしてるのか?
ちょっと詳しく知っといたほうがいいな。
そこで、山梨にメール。「今夜、班長会議の後ちょっと時間くれ」
返信は早かった。さすがデキる男
「断る。」
なんか断られた。
220:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 01:46:22.56ID:YyxqAIEL0
夕食前に自由時間があったからこれ満喫するしか無いとおもった。
三人で一分だけ見れるアダルトTVを見て、うおぉぉー!ってなったり、ホモの鞄の中をひっくり返して、出てきた錠剤が何か当てたりして遊んでると、
小西が暗い顔で部屋に戻ってきた。
俺「小西、なんか大変そうだね」
小「うん…」
俺「ボディービル部には入れないけど、なんか手伝おうか?」
小「いや、いいんだ。これはおれが自分ですることだから。」
俺「ハゲになんか言われてるの?」
小「あのひと、昔ボディービルやってたらしくて、教えてくれってお願いしたら、最低でも20人集めて来いって。今年中に。」
石「それは無理だろ。」
川「ぁ…それはむりだろ!」
俺「川上、うざい」
小「もう野球部にも今年いっぱいで退部になるように届けちゃったし。やるしか無いよ。」
俺「極端なやつだな。お前も」
川「ぁ…ぼくも!」
俺「そのとおり!」
その後、小西抜きで話し合った結果、さり気なく応援しとこうということになった。
でもよく考えたら、来年3年だから部活してる暇無い気もするけど。。。
晩ご飯はビュッフェ形式!
女の子が喜ぶスイーツも!
222:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 01:52:38.42ID:YyxqAIEL0
あいも変わらず
野獣のごとく豚足に食らいつくホモ。
小動物のように葉っぱをハムる筋肉。
そして新勢力。
スイーツ全種類制覇に燃えるあやちゃん。
そんな三人をよそに、ひたすらバランス重視の三角食べを崩さない石丸。
こいつはなんだかんだ言って一番自分自身を大切にしている気がする。
趣味の二次元に妥協はなく、三次元の女子はただの鑑賞物でしかなく、すべては精神的に、肉体的に健康であることを追求するある意味超人。
こいついわく、マクドナルドは毒らしい。
たった一人で修行僧の様なストイックな生活をしている。ちなみに、家族はそんなこともないらしい。なんだこいつ。
225:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 02:03:43.88ID:YyxqAIEL0
夜は語り部さんが戦時中の様子を語ってくれた。
言葉の切れ目ごとに「えー」が入ってくるのに気づいたホモは、延々と正の字を書いて「えーカウンター役」をこなしている。
俺は話を聞きながら、後で提出しないといけない感想文を仕上げた。大体話しの流れは読めたので、当り障りのない文章で書き終えておく。
石丸はその提出用紙に何かのキャラクターを書いている。本人曰くジャンプでの掲載に耐えうる画力らしいが、俺にはコロコロコミックでも危ないと感じる。
小西はすげーまじめに話を聞いている。。。ように見せかけて、色んなとこの筋肉をピクピク動かしている。コレもトレーニングの一環なのか。
226:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 02:08:02.05ID:YyxqAIEL0
食後の講義は眠くなる。
終わったと同時にみんなフラフラと部屋に戻っていく。
こうして2日目が終わろうとしている。
こうやって思い出しながら書いていても、すげー一日一日が濃いのがわかる。
夜は恒例の枕投げ!
しかも小西提案の「枕投げデスマッチ」
これは粒入り枕を用いて行う、生死を分ける殺戮ゲームである。
228:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 02:12:44.34ID:YyxqAIEL0
一応、ルール説明
・チームをAとBに分ける
・枕を敵の股間めがけて投げる
・この時自分の股間をガードしてはいけないが、相方が枕を投げて敵の投げる枕を弾き落とすことが可能。
・誰も立ち上がれなくなったチームの負け
どこの馬鹿が考えたのか知らないけど、くだらん。実にくだらん。
しかし、最強の男を決めるにはうってつけの勝負だと思う。
229:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 02:28:51.39ID:YyxqAIEL0
股間という単語に反応して、俄然テンションが上がる川上。
俺デカイから不利じゃーん。とか自慢なのかよくわからない石丸。
日頃から鍛えているという小西。どうやって鍛えてるんだそれ。
俺は、サッカーの試合で金玉蹴られて死にそうだった痛みがフラッシュバックして、もう屈服しそうだった。
230:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 02:32:37.85ID:YyxqAIEL0
レディー・ゴー!!
小西の掛け声で始まった。
全員、狩る側の目をしてる。
みんな枕を片手に凝視しあっている。
先に動いたのは石丸だ。
おおきく振りかぶって投げるモーション。
サッと距離を開ける川上。このあたりの動きはあのバドミントンの時の機敏さが現れている。
石丸が投げた枕が、股間を直撃した。
小西の(笑)
不意を突かれて悶絶する小西。
謝ってる好きをついて投げる俺。
見事、石丸の股間に命中!
一瞬で勝負がついた…かに見えた。
233:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 02:39:19.06ID:YyxqAIEL0
悶ていた小西が懐から高速で枕を射出!川上の股間を貫いたのだ。
声も無く崩れ落ちる川上。
大丈夫だ。お前には次世代へのバトンが無くても人生を謳歌できる覚悟が備わっているのだから。
あれ?小西だけじゃない!石丸も立ち上がっている!
やばい!多勢に無勢では勝ち目がない。
特にこのルール、自分で防御してはいけない!
じゃあ投げられたもの全部当たらないといけない!
痛いのは嫌だ!
痛いのは嫌だ!
痛いのは嫌だ!
痛いのは嫌だ!
痛 い の は 嫌 だ !
そこで俺は股間にぶつかる前からうずくまることにした。
ホモは相変わらず崩れ落ちたままだ。
こうして、勝負はついた。
ホモと俺は負けたバツとして
二人に30分間マッサージをすることに。
川上の希望で小西に。
俺は石丸にマッサージをすることになった。
236:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 02:50:08.72ID:YyxqAIEL0
うつ伏せに寝る小西と石丸。
俺は石丸の肩から、川上は小西の脚からマッサージを始めた。
川上が変なことするんじゃないかと不安だったが、ここではマトモにマッサージしてた。
初日ほど変なこともなく、それぞれが風呂に入って、寝た。
だが、夜中、叩き起こされることになる。
244:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 08:10:38.07ID:INrAB3Gm0
>>1は一体どうなってしまうのか!?
お母さん、軟膏おかわり!
245:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 08:11:33.53ID:l+QTV7s9i
修学旅行の夜は先に寝た友達の鼻にグミ詰めて遊んでたなあ…
246:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 08:23:44.61ID:YyxqAIEL0
おはようございます~。久しぶりにゆっくり寝ちゃいました。起きて待ってた方、すいません。
今日は仕事の関係で日中のアップは難しいですが、夜には再開出来るかと思われます。
まだまだ全体の半分も書けていませんが、気長にお付き合いくださいませ。
247:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 08:31:25.87ID:aKJ4kdZ80
>>246
楽しみに待ってるよー
250:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 08:45:10.58ID:l+QTV7s9i
>>246
いつまでも待ってるぜ!!
251:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 09:11:21.16ID:YyxqAIEL0
仕事前に一発投下
川上「夢精しちゃった…」(超小声)
あのな、寝起きいきなりホモのドアップで、さらに頬を赤らめながら夢精の告白をされても、なんら心に響かない。
もし俺がホモだったら、胸をときめかせながら押し倒したりするのかもしれないが、あいにく俺の息子はピクリとも反応しない。
そして、ノンケかゲイかに関係なく、夢精を他人に話すか普通。
そこは自分の心のロッカーに大事に仕舞いこんで鍵をかけとくところだろう。
こいつのランダムなオープンマインドには呆れを通り越して尊敬に値する。
俺はそうはなりたくないが…
俺「風呂で洗ってこいよ」
寝ぼけた頭で必死に考えてやっと絞り出した言葉は、案外普通だった。
川上「あ、そっか。」
そう答えてフラフラと風呂場に向かう。寝ぼけながらもコイツ馬鹿なんじゃないかと思った。
そして俺はそのまま再び眠りについた。
258:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 11:12:51.47ID:395CBEaO0
これは良スレだな
260:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 12:21:08.06ID:M50HEd6E0
追い付いた、仕事が手につかねえぜくそっ
川上ルートに期待
261:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 12:32:13.30ID:YyxqAIEL0
◆ランチタイム投下◆
朝になったみたいだ。
石丸と小西がギャーギャー騒いでいる。
薄目で携帯を見ると、まだ6:30。
朝食の時間は8:00なので、まだまだ余裕がある。
すげぇな。若いって素晴らしい。朝からこんなに騒げるのか。同い年なのに。
まだ半分寝てる俺の頭に、石丸の声が刺さる。
「あー!イカ臭いと思ったら、俺氏の布団濡れてるぞ!」
何!?
飛び起きて見てみると、確かに掛け布団の上が若干濡れてる。
コレは…
271:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 18:56:33.40ID:YyxqAIEL0
◆仕事の合間に投下◆
小西「夢精したの?掛け布団に滲み出るくらい?」
石丸「元気だな」
川上「たまってたんだね」
俺「いやいや、してないしてない。」
そう言って布団を剥いで内側を見せる。内側が濡れていないんだから潔白を証明できるはずだ。
小西「あ」
石丸「あ」
川上「たってるんだね」
朝立ち。
仕方ないでしょ。こればっかりは。
-
っていうか、布団が濡れてるのは夜中のアレが原因であることに疑いの余地はなかった。
こいつ、枕投げで命中した刺激で下半身おかしくなったんじゃないのか?
さっきから完全に他人ごとのようにコメントしてる川上に殺意を覚えながら起きて着替える。
小西と石丸はもう興味が無くなったのか、目覚ましテレビを見ながらどうでもいいトークに華を咲かせている。
ホモはホモで今朝も実にホモホモしい。
鏡に向かって眉毛・ヒゲを毛抜で手入れし始めた。美ホモを目指すって言ってたもんな。
とりあえず朝からすっげー損した気持ちを感じながら朝食の時間を待つ。あやちゃんに会える。
273:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 19:06:22.68ID:Z1i2e7nk0
川上ひどすぎwww
274:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 19:17:46.99ID:2wRyWazJI
ホモ調子乗り過ぎだろ
275:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 19:19:54.00ID:tKdneaAjP
そら殺意も沸くよなwww
291:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 23:26:27.59ID:QrLGodIs0
追い付いた!久しぶりに面白いスレに出会えたわ!
>>1の文章読みやすいしテンポが好きだ
続き楽しみにしてる!
294:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 23:44:15.59ID:YyxqAIEL0
やっと仕事片付いた!!
投下していきます!
朝食は班ごとに座る決まりはない。
ただ食べ始める前に、全体に向けての連絡事項がある。昨日俺が公開謝罪したあれだ。
どうやら、昨日女子が泊まる階に遊びに行った不届き者がいるらしい。
俺の全身を羨ましさが駆け抜けていく。
誰なのか公にはされなかったが、今後同じようなことをした奴は強制送還させられるらしい。
なんだそれ。最初にやった奴が得してるだけじゃねぇか!
ふつふつを湧き上がる憤りもとい妬みを、ナイフに乗せて一気に刺し貫いた。
マーガリンは若干の抵抗を試みながらも、形を変えてえぐられていく。
朝食のロールパンはなぜか冷たいままだった。
マーガリンは固形のまま、パンに馴染もうともしない。
なんとなく、今の俺の心境を表してる気もする…。
295:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 23:47:25.12ID:qDTVfAkB0
キター!!!
296:名も無き被検体774号+:2013/10/11(金) 23:48:22.31ID:QrLGodIs0
おかえり!待ってた!
299:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 00:00:50.41ID:YyxqAIEL0
斜め隣のテーブルではあやちゃんたち女子グループが朝からハイテンションなガールズトークを展開している。
よくわからない芸能人の話に皆が食いついているようだ。
あの中で何んの女子が本物の興味を持っているんだろう。ほとんどはハブられないように話を合わせているだけにも見えた。
!?
いた。本物の興味を持っているやつが。
しかもそいつが率先して情報提供している。
クラスでダントツの情報通であり、デーブスペクターの胡散臭さをも凌駕する川上だ。
300:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 00:15:12.59ID:owL6Gw080
女子の輪に混ざって一緒に盛り上がっている様子は、端から見ればただのモテ男にしか見えない。
実際、顔立ちは整っているし、女子から一定の支持を得ているのは間違いない。
だが、ホモだ。
アイツがホモであるがゆえに、おれは2日連続で睡眠を妨害され、今朝はあらぬ疑いをかけられることになったのだ。
ホモゾンビの夢精のせいで、不眠と不信を同時にGetしちゃった。
…いやまて、そもそも川上は本当に夢精したのか?
可能性としては無くはないが、万が一夢精してないとしたら?
夜言った「夢精しちゃった」が嘘だったとしたら??
-
俺は恐怖に震えた。
それはつまり、夢精していないとしたら、川上は夜中起きて俺にまたがり、自慰行為に及んだあげく冷静になった状態で俺の顔を覗きこんでいたということを示しているからだ。
そこら辺のホラーよりたちが悪い。効果音やカメラワークで脅かすのではなく、睡眠時の無意識の中で現実的な恐怖にさらされているのだから。
何か精神的な疾患でもあるんだろうか?そう思わざるを得ないくらい、川上の行動は異常に見える。
っていうか、夢精夢精考えていたから、さっきパンに付けたマーガリンが食欲を大幅に減退させる。
朝ごはんは俺を憂鬱にさせた。
302:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 00:20:28.76ID:R34Ydh0OI
夢精で布団が濡れるとかあり得ないからな
316:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 01:29:28.74ID:owL6Gw080
>>302
そうなんだよ。
つまり、そういうことだよな。
みんなが保守してくれたり、読みやすいって言ってくれてありがとう。
スレ立て始めてだし、自分の文章力に自信ないけど頑張って書いていくね。
ちなみに、きちんと実話です。
もちろん特定を避けるため名前やディテールに手を加えてるけど、本人たちがみたら分かると思う笑
308:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 00:28:18.06ID:owL6Gw080
三日目のスケジュールは沖縄の企業を訪問したり、漁業や農業の体験をしたりと忙しい1日だった。
夕方、ホテルに着く頃にはみんなクタクタで、川上の顔は今は亡き鈴木その子と張り合えるくらい白かった。
この日、夜8時までの間、班行動でおみやげなどの買い物が許可されていた。
国際通りには色んなお店がある。俺は素直にワクワクしていた。
早速うちの班はロビーに集まり、買い物に繰り出す。
俺の目的はもちろん、あやちゃんとの擬似デートを楽しむことにあった。
話はそれるが、なんとなく沖縄県民は美人が多い気がした。
安室奈美恵とかが大好物な俺にはパラダイスのような場所だ。沖縄最高。
310:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 00:36:35.91ID:owL6Gw080
アメリカ軍の基地がある沖縄では町中で軍人をよく見かける。
映画で見るような迷彩服で歩きまわる軍人は少なく、私服だ。そりゃそうか、仕事じゃないんだから。
軍人の筋肉に感動したり、脂肪体型に幻滅する忙しい小西。密かに張り合おうとしてるのが見て取れる。
そんな健全な小西と違い、愛欲に汚れた眼差しを向けるのが川上。そういえばこいつ外国に行って性転換するんだよな。さぞかし有能なビッチになることだろう。
あやちゃんは変わらず俺の女神だ。川上に関する秘密を共有する特別感が俺の気持ちを満たしていく。
ほんの一瞬でもいい。二人っきりになる時間を持てたら、この修学旅行は良かったと思えるに違いない。
そのチャンスは意外なほど早く来た。
311:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 00:50:55.92ID:owL6Gw080
丸いガラス球を覗くと、水面のように光が反射して、綺麗。これ沖縄の海なんですよ?マジで?胡散臭くない?いやいや、覗いてみてくださいよ!うわほんとだなにこれすごい!
そんなアクセサリーショップがあった。Def Techも愛用!?気になった俺が店内に行くことを伝えると、「あやも~!」とついてくるあやちゃん!
みんなは通りで待ってる。きた!俺が待ちに待った時間!
あや「色んな色があるんだね~!」
おれ「あや、何色が好き?」
あや「あ… うん、えっとねー。ピンク。」
…あれ?いきなりテンション下がったぞ?
おれ「どうした?元気ない?」
312:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 01:04:01.18ID:owL6Gw080
あや「えっと… あのね、急に呼び捨てだったから、びっくりしちゃって…」
おれ「っあ、ごめん!あやちゃんって呼ぶね。」
あや「気を使わせちゃってごめんなさい。呼び捨てされると、怖いの。」
おれ「そうだったの?ごめん。俺、メールでも呼び捨てにしちゃってたね。」
あや「謝らないで。めんどくさいよね。ごめんよぉ。ちょっと思い出したくない事があって…」
おれ「そっか…。」
あや「…うん。」
沈黙が流れるって表現があるけど。流れてない。沈黙が滞ってるという表現が正しいと思った。
俺が触れてはいけない思い出だってあるだろう。
気まずさを振り切るように俺は口を開いた。
314:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 01:10:36.20ID:owL6Gw080
おれ「切り替えようか。俺、手伝うからさ。せっかくの修学旅行なんだし。」
あや「! うん!そうだね! ありがと!」
おれ「で、あやちゃんはピンク買う?」
あや「うーん。普段ならピンクを選ぶんだけど、コレ見てると青もかわいいなぁって…」
おれ「おぉ!俺もそう思ってた!そっちの普通の青より、こっちのグリーンがかった青がいいよね!」
あや「そうそう!さすが俺くん。センスいいね!」
おれ「あれ?晩ご飯奢らせる作戦?(笑)」
あや「あ、バレた?(笑)」
一瞬ヤバイと思ったけど、あやちゃんは普通に接してくれた。
優しい子なんだよ。天使なんだよ。いや、女神なんだよ。
俺達はごく自然な流れで同じアクセサリーを買った。まるでカップルがそうするように。
317:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 01:36:36.92ID:owL6Gw080
その後班と合流して晩ご飯を食べに行く。
あやちゃんが予め調べてくれてた豚料理やさんを食べる。
高校生としては少し高めのディナーだけれど、修学旅行の思い出としてはありだと思った。
店内に入るとカウンター席とテーブル席がある。
ホモと女子はテーブル2つをくっつけて座り、俺と小西・石丸はカウンター席に座った。
女子+αグループはコラーゲンたっぷりの美容メニューに食いついている。
こっちは適当に3人とも被らないようにいろんなメニューを頼んだ。
なんだろう。沖縄の豚肉ってめちゃくちゃうまい気がする。これも修学旅行効果なのかな。。。
母さんが作る豚肉料理ってこんなに美味く無い気がするんだよな。生姜焼き作ると8割焦げてるし。生姜の味しかしないし。
319:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 01:43:54.04ID:owL6Gw080
俺達は集合時間8時の5分前にホテルに付いた。
おみやげ一杯の俺達はすぐそれぞれの部屋に散っていった。
別れ際にあやちゃんが「最終日の夜だし、またジュース買いに降りようね。」ボソッと耳打ちしていった。
ドキドキが止まらない。
ハイボルテージのテンションを発散するために、石丸とPS2でガチKOF。石丸強すぎ!
小西は「あんなに筋肉纏って、そのスピードはないだろ!!」と文句しか言わない。
ホモは一日中無視してたら独りでベッドに座って携帯いじってる。
思い返せば春、ホモと関わってから毎日がおかしかったんだ。
こうやって男同士でくだらないことして遊ぶのが本来の俺なんだ。
なんか懐かしい感覚。
この時、期待感だけしかなかったから、あんな話になるなんて思いもしなかった。
少しは冷静な心を残しとくって、人生では必要だよな。
320:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 02:02:23.89ID:owL6Gw080
班長会議では教員からのサプライス発表があった。
しおりに内緒としか書いていなかったけれど、水族館に行くことが発表された。
本当は未定だったんじゃないのか、このクソ教員共。と思ったのは事実だけど、水族館とはいいチョイス。
思い出作りとしてはいいフィナーレになりそう。
あれ?山梨の右手薬指…指輪…!?
嘘やん。
何アレ。クソ似合わねぇ。
見なかったことにしとこう。
そして俺は一階の自販機を目指す。
今回はエレベータを駆使して。
321:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 02:19:13.72ID:owL6Gw080
自販機前は生徒でごった返していた。
みんな最後の夜だから盛り上がってんだな。
でも、さすがにうるさすぎるぞ。他のお客さんに迷惑になりそう。
まぁいいや。あのポマードが頭下げれば済む話だ。
さっきから必死であやちゃんを探すけど、見当たらない。
あれ?
あやちゃんが言ってたのは班長会議のあとのことじゃなかったのかな…
誰かわからない声がやたら耳に残った。
323:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 02:31:27.22ID:owL6Gw080
女A「まだあやが最上階から降りてこないんだけど~」
女B「マジ!?マズイんじゃない?さすがに別れた元カレと二人っきりは...」
女A「あやの話では木下ヤバイらしいもんね」
女C「アイツがあやにしたこと許せる?マジ死ねってかんじ。」
女A「彼女とも思ってなかったんだろうね…あや可哀想。」
気づいたら全力でダッシュしてた。
324:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 02:42:27.08ID:owL6Gw080
エレベーターに向かう途中さっちゃんとぶつかったけど、かまってられない。
三角のボタンを何回も連打する。
遅い。
安全とかいいから、全力で降りてこい。
…まさか、木下が。
友達だと思ってたのに。何も聞いてない。
ただ心当たりはひとつあった。
あいつがあやちゃんを呼び捨てにした時、俺は違和感を感じていた。
呼び慣れてる。
冷たい話し方。
二人が学校で話してるところなんて見たことなかった。
俺は、一人置いてけぼりだったんだ。
そんなことを考えていると、
エレベーターが着いた。
325:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 02:57:19.24ID:owL6Gw080
ホモがボケっとした顔で降りてくる。
胸ぐら掴んでひきずり出した。
テメエの顔なんか見てる暇ないんだよ。こっちは。
何か話しかけて来たけど気にしてられない。
最上階ボタンを点灯させて、閉めるボタンを連打。
ホモの顔をドアで遮断した時、携帯が鳴った。
小西「俺くん、あやちゃんのこと好きでしょ。バレバレだよ。あやちゃんと最上階いったらいいよ!雰囲気良いから(笑)あ、でもあそこ見晴らしいいから気を付けて。」
こんな緊迫した状況で、筋肉はイケメンに昇格した。
327:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 03:30:38.82ID:owL6Gw080
最上階に着く。
ドアが開くと目の前は全面ガラス張りのフロア。
足がすくむ。
でも行かなきゃ。
フロア中を走り回る。
5~6組のカップルしか居ないので見落とすはず無いのに、あやちゃんが見当たらない。
場違いな気持ちを抑えながら、慎重にもう一度フロアを周る。
人間には第六感が存在するという。
理屈抜きの「なんとなく」とか「勘」と呼ばれる感覚はこういう状況で特に研ぎ澄まされるのかもしれない。
329:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 03:41:59.30ID:owL6Gw080
非常階段の扉が少し開いている。
普段ならなんとも思わないけれど、気になって仕方なかった。
恐る恐る近づく。
夜景の明かりと違って、非常口の明かりがここだけ寂しくさせる。
ドアノブを握ると、すすり泣きが聞こえた。
開けていいものか悩んだ。
俺は今から何をするんだ?
木下に説教…俺が何を?
あやちゃんを連れ出す…どこに?
躊躇してるとドアが開いた。
330:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 03:53:55.70ID:owL6Gw080
「あ…木下…」
背が高い木下が俺を見下している。
普段一緒にくだらないことやってた時とは違う。
対等ではない、上からの冷たい目だ。
何も言わずに俺を通り過ぎて行く。
何があったんだろう。
俺が何か出来るんだろうか。
考えてても仕方がない。行くしか無い。
331:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 04:11:25.06ID:owL6Gw080
ドアノブを開けると、下の踊場にあやちゃんがいた。
俺の顔を見て固まっている。
おれ「よ、よぉ…」
あや「なんで、いるの?」
おれ「女子達の会話聞いて、来てみた。…大丈夫?」
あや「ごめんね。こっちから呼んだのに行けなくて。」
おれ「いや、結果会えたから良いんだけど。」
何があった?って聞きたいのに。
言葉がでない。
少し間が開く。
ふたりとも何を話していいのか考えているんだろう。
夕方、楽しく話していただけに、ギャップが苦しい。
窒息死そうな雰囲気が踊場に溜まっていく。
先に口を開いたのは、あやちゃんだった
332:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 04:59:01.27ID:+5wy2KFlP
青春だねー
なんかこんな青春送りたかったなと思う。
せめて共学だったらな…
334:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 06:19:16.12ID:+5wy2KFlP
保守
335: 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:8) :2013/10/12(土) 06:54:43.89ID:kHCByhdP0
ほしゅゅゆ
338:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 07:39:59.83ID:owL6Gw080
◆保守ありがとうな寝起き投稿◆
あや「あのね。わたし、かずやと付き合ってたの。」
あやちゃんが木下を呼び捨てにしてる。
チクリと胸が痛い。
去年のクリスマス。木下は同じクラスだったあやちゃんを呼びだしたらしい。
それまで付き合ったことはなかったが、木下の猛アピールに応えて付き合うことにした。
初めての彼氏が出来て、期待をするあやちゃん。
しかし木下は公表するのを望まず、周囲には秘密にするようあやちゃんに口止めをした。
色々恋人らしいデートやイチャイチャして過ごしたらしいが、
ゴールデンウィークに入ってからはあまり会えなくなった。木下は部活に入っていないし、バイトなんかもしないのに。
夏前、その理由が発覚する。
341:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 08:10:54.95ID:owL6Gw080
木下の浮気。
その事実はあやちゃんをどん底に突き落とした。
浮気を問い詰めると、暴力と言葉で追い詰めてくる。
「お前がつまらないから浮気した。」
「戻ってきたんだから許すのが女の務め。」
「大体セックスが下手だから飽きる」
「俺と付き合えてるお前は恵まれてる」
「他の男はお前なんか相手にしない」
「もう浮気はしないから安心しろ」
「お前は俺の女なんだから俺にだけ頼ればいい。クラスの男にも女にも話すな。」
むちゃくちゃな理論だが、精神的な不自由と肉体的な脅しはあやちゃんの思考を鈍らせていく
俺がクラスで見ていたあやちゃんは、気丈に振る舞う借り物の明るさを纏った姿だったんだ。そう思うと、気付かなかった自分が悲しい。
343:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 08:21:47.90ID:owL6Gw080
木下はあやちゃんを言いくるめて、付き合い続けた。
あやちゃんも誰にも相談できず、ずっと一人で心を削っていたんだろう。
初めての彼氏に裏切られる孤独。
もしかしたら彼女として自分が間違っていたのかもしれない。もう一回信じたい。
そう思うようになってしまったと話すあやちゃんを見ていられなかった。
そして夏休みの冒頭。
妊娠が発覚する。
345:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 08:40:25.44ID:owL6Gw080
木下に相談しても堕ろせの一点張り。
高校生で産んでも誰も幸せにならないんだから堕ろせ、と。
男として責任を取るなんて欠片も思っていなかった。
あやちゃんはここで初めて親に相談する。
親は木下と別れることを条件に堕胎費用を用意した。
あやちゃんは木下に別れ話を告げ、堕胎した。
木下は最後まで別れることを認めず、それからずっとしつこく迫ってくるが、一方的に無視していたらしい。
悔しかった。無性に腹が立った。
一緒に笑って駄菓子を食べたり、授業サボってあそんだり、宝くじを作ったり、AV女優の話をしたりしていたころ、あいつがこんなことをしていたなんて。
そして見抜けなかった自分自身にも腹が立った。
346:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 08:49:55.80ID:owL6Gw080
2年生になって、新しいクラスになってすぐの頃。
あやちゃんは川上がホモであることに気づいたらしい。
動きや、話し方が女の子みたいだそうだ。やっぱり女の子のほうが鋭い。
木下に言いつけられていた「クラスの男にも女にも話すな」は中性のホモには適用されないと判断したあやちゃんは、堕胎について川上に相談していた。
相談するたびに、真面目に丁寧に返答する川上。時には馬鹿な女とあやちゃんに強く説教することもあった。
でも、あやちゃんにとって、第三者の意見は嬉しいものだった。
今までがんじがらめだった木下の支配下から、自由になれる感覚。
恋愛の中でのパラダイムチェンジは容易ではない。
俺の中でホモはどうしようもない性欲の塊だが、あやちゃんにとっては必要な助言者だった。
そして、さっき、木下から再度復縁を迫られたようだ。
丁寧に断ると、「子どもを殺した俺達が、幸せになれると思うな」と捨て台詞を残して去っていった。
「びっくりした?私、…ダメな女なんだよ(笑)」
そう言って話を締めくくろうとするあやちゃん。
笑っているけれど、涙が流れてた。
348:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 09:05:48.93ID:owL6Gw080
「俺は、好きだ。」
不意をついて出た言葉は、自分でも意外だった。
このタイミングで何を言ってるんだろう。
でも、止まらない。
「ずっと好きだった。そんなに悩んでたなんて知らなかったし、今からなかったことに出来ないだろうけど。
でも俺は受け入れれる。ホモとつるめるくらい広い器はもってるし(笑)」
冗談交じりな告白だったけど、あやちゃんは笑って頷いてくれた。
「ありがとね。俺くん。 …あ、そういえば川上くんから狙われてるんでしょ?大丈夫なの?(笑)」
あれ?流された。
この流れは行けると思ったのに。
351:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 09:15:37.31ID:owL6Gw080
おれ「え?うん。軟膏使わずに済んでる。」
あや「軟膏(笑)なにそれ(笑)」
おれ「いや、何でもない(笑)でも修学旅行中変なんだあいつ」
あや「そういえば確かにね。変な写メ送られてきてびっくりしたし…」
おれ「あれはひどかったな。。。何か夜中も覗きこまれてるし。。。」
あや「でも何もされてないでしょ?」
おれ「え?んーまぁ、何もとは言えないけど、触られたりはしてないかな、多分。」
あや「うんうん。よしよし。」
352:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 09:21:30.17ID:owL6Gw080
おれ「なに?」
あや「私がね、手を出しちゃダメだよって言っておいたの。本気で好きなら、勝手に触るのは嫌われるよってメールで言っといたんだよ。」
おれ「マジか!あやちゃんに助けられてたのか俺。」
あや「そうだよ。感謝してね(笑)」
おれ「この御恩は一生忘れません!!」
あや「でも、手を出さなかったってことは、本気なんだね、川上くん。」
おれ「あ…そういうことになるのか。」
この非常階段は衝撃的な事実ばっかり見せる。
その後、一緒にチラッと夜景を見たあと、それぞれのへやに戻った。
354:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 10:01:57.86ID:nxvyBIPb0
>>1、あんたはイケメンや。頑張れ!>>1!!
359:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 10:37:39.31ID:owL6Gw080
部屋では川上によるホモ講座が開かれていた。
仲良くなった石丸・小西にもカミングアウトした川上は質問攻めにあっていたのだ。
全然ホモだと気づかなかったという2人。
どういう風ににゃんにゃんするかを服を着たままではあるがリアルにベッドで再現する川上。
拍手喝采でそれを写真にとる二人。
馬鹿だこいつら。その写真残してどうすんだよ。
何も考えてないこの3人を見ていると将来の日本が心配でならない。
この日、疲れきってた俺達は、消灯時間30分前には眠りについた。
そして最終日の朝が来る
362:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 11:29:53.80ID:owL6Gw080
「雨かよ!!!!」
カーテンを握る拳を震わせて、石丸が叫ぶ。
筋トレしながら窓に目を向ける小西も眉間にしわを寄せる。
川上に至っては、「最悪だー♪最低だー♪さいしゅーびーなのに、あめーふるよー♪」と修学旅行最終日雨の歌を口ずさんでいる。
カミングアウトしたからって、キャラ崩壊しすぎだろ、このホモ。
水族館で良かった。
どんな天気でも見えるものが変わらない。
でも、昨日の夕方までの俺と今の俺では、見える世界は別物だった。
知らないことを知ると言うのは、無知というフィルターを取り除くことだとばかり思っていたけれど、本当は現実という残酷なフィルターを強制的に被せられることなのかもしれない。
今日が雨なのは、みんなには悪いけれどなんか落ち着いた。
むやみにテンションを上げなくていいのが心地よかったのだ。
367:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 12:56:40.14ID:owL6Gw080
水族館まではバスで移動。
席は変わらない。
川上の酔いやすさも変わらない。
ゲロ袋の重要性も変わらない。
だか今回は明らかに違うことがある。
簡単に言うと…
え
え
い
あ
あ
君
か
ら
も
ら
い
ゲ
368:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 13:05:40.10ID:owL6Gw080
被害状況は、小西と俺が完全もらいゲロ。
石丸は吐ききれない半もらい。
山梨とワキガ担任、その他2~3人も気持ち悪そうにしてる。
これはもはやテロだ。
ゲロのテロ。
首謀者は川上。
状況がツボったのか、笑いながら吐いている。
「あはおろろはははおろろろ。」
バス中が、凄まじい臭いで充満しているんだろう。窓際の生徒が猛スピードで窓を開ける。
この無差別テロは水族館に到着するまで続き、最終的に吐いた被害者は4名を記録する大惨事となった。
378:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 17:13:15.37ID:owL6Gw080
水族館に着くと入場券とパンフレットが手渡された。なんで水族館のパンフレットはイルカなんだろう。もっといろんな生物がいるのに…サバとか、カレイとか、いわしとか。
ゲロリストはテンションを使い果たして、殺伐とした雰囲気を醸し出している。
俺は、気持ち悪さはなくならないけど、バスを降りたらいくらかマシになった気がした。
小西はすごい。
今回のゲロ騒動で、インナーマッスルの強化を徹底すると決めたらしい。
こいつはなんでも筋肉で対応出来るかもしれない。よくわからないけど期待しておこう。将来すごいアスリートになるかもしれない。筋肉が。
379:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 17:21:29.30ID:2fwHJWjAi
小西の根性wwwwww
381:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 17:53:24.28ID:hcFu9UMA0
小西がきんにくんで再生される
383:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 18:06:35.88ID:1tjZXS0qi
小西の筋肉ってヤバイの?
384:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 18:07:48.48ID:lOSsh4TTI
小西のスペックはよ
筋肉以外で
385:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 20:06:49.39ID:owL6Gw080
小西人気すげぇ(笑)
じゃ、小西スペック公開!
小西は身長165~170の間くらい。
野球部。つまり坊主頭
一重まぶただが、白目が少ないので小動物的な印象。
声は若干高め
体が固く、動きも硬い。
しゃがんだ時に踵を地面に付けれないという弱点がある。
ネコが好き。
イメージ的にはこんな感じ
397:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 23:41:06.25ID:owL6Gw080
深海魚って変態だ。
超高圧、超低温、超暗黒の三拍子が揃った環境で生きることを選ぶ時点で、相当どMな性癖をお持ちの生物達。
さらに機能的とはいいがたい容姿に好き好んで進化する様子は、まさに大衆に迎合しないマイノリティー集団の代表格と言える。
そんな変態な深海魚をキラキラした目で見つめる青年がいた。
川上だ。
399:名も無き被検体774号+:2013/10/12(土) 23:54:10.87ID:owL6Gw080
この青年もマイノリティーの代表であるホモセクシャルに属するホモサピエンスであり、至極正統なホモホモ野郎である。
深海魚に惹かれている姿を見れば分かるように、類は友を呼び、変態は変態を呼ぶのだろう。
誤解のないようにしていただきたいのは、私は決してマイノリティーが変態だとは思っていない。
数の多さではなく、異常性が変態か否かを分けると思っている。
現に、メダカは一般に受け入れられている種でありながら、絶滅危惧種というマイノリティーに属している。だれもメダカを異常性のある魚とは見なさず、あらやだ可愛いくらいにしか思っていない。
しかし、同じマイノリティーに属しながら明らかに違う評価を受けている魚がいる。
リュウグウノツカイはその外見から聖なる使者であるという説と同時に、統計学的に地震の前触れとして知られている。この評価の違いは一目瞭然で、リュウグウノツカイが理解の範疇を大幅に逸脱しているが故に、へんな魚扱いされているのだ。
よって、川上もホモだから変態なのではなく、ホモであり変態なのだ。
変態に共通しているのは、自制心の欠如または未熟さにあるかもしれない。
長々と書いたが、簡単にまとめると、川上は変態だということだ。
404:名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 01:27:52.54ID:oFn0XDap0
なぜ分かりきったことをわざわざ書いたかというと、
…勃ってるんだもん。深海魚見ながら。もうやだ怖い。
そういえばさっきもラッコが川上と目を合わせなかった。
きっと何か察しているに違いない。
そんな川上は置いといて、順序良く回っていく。
テンションは上がらなくても、見ていて楽しくないわけじゃない。
左隣にいるのがあやちゃんだから仕方ない。
ただの水槽を泳ぐ魚類なだけだけど、なんか楽しい。
デートではなく、女子グループと筋肉グループがたまたま合流しただけだけれど。
405:名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 01:39:15.16ID:oFn0XDap0
『まもなく、イルカショーを開催致します。観覧ご希望のお客様は一階イルカショー会場までお越しくださいませ。なお、座席の混雑が予想されますので早めのお越しをお勧め致します。』
響き渡るイルカショーアナウンスに反応する女子達。
一瞬空気が止まった後、測ったかのようにキャーキャ―言い出す。
不気味なくらい同じ反応。同じ髪色。同じ髪型。
おめーらにアイデンティティーは無いのか。
でも、あやちゃんは許す。
恋ってそういうもんだ。
…恋か。
そういえばこの間、完全に流されたな。
迷惑だったんだろうか。
俺はこのまま友達なんだろうか。
それとも若干でも可能性は残っているんだろうか。
もう一回告白したら、どんな反応されるんだろう。
そもそもなんであの時告っちゃったんだろう。
後悔している訳では無いけれど、ちょっと不安な自分がいる。
さっきまでちょっと楽しんでたのに…
俺、恋してんのか。
アップダウンが半端ないな。
小西「そろそろ行こうか。」
おれ「ん…? あれ? みんなどこに行った?」
小西「イルカショーだよ。聞いてなかったの?」
おれ「ごめん、すげーぼーっとしてた。」
406:名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 01:50:36.48ID:oFn0XDap0
イルカってすげぇ。
水中ですげー加速してジャンプ。
俺あんな高さ飛んだら怖すぎて着水できる自信ない。失神するから。
この時ばかりは、小西のいうとおり動物の筋肉はすげぇって思った。
人間って甘えてるから弱いんだきっと。
俺と同じサイズのカニがいたら、食われる前にとっとと自殺するもん。きっと。
バッシャアァァァァン☆
イルカ着水の水しぶきかかった女子が喜んでる。
さっきのイルカ泳ぎながら液状のウンコしてたけど、それでもいいのかな。
可愛いは正義だからいいのか。
まぁいいや、興味ない奴らだし。
イルカの滞空時間に感動してたら、背中がかゆい。
いや、背中を指でチョンチョン触ってくるやつがいる。
悪寒が走る。
407:名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 02:06:07.51ID:oFn0XDap0
覚悟を決めて振り返るッ!
あや「ぅわぁ!」
おれ「あれ? あやちゃん?」
あや「びっくりしたぁ…怒ってるの?」
おれ「いや、川上かと思って。ごめん。どうした?」
あや「えっと… みんなイルカに集中してる間に、ちょっと他行かない?」
ん?なんだこのラッキー展開は。
もうすぐ死ぬのかな、俺。カジキかなんかに刺されるのかもしれない。
おれ「いいよ。行こう行こう。」
あや「ラッコ見よう。ラッコ。」
小西が頷いた。
察してくれる友達っていいな。
そうだ、小西は応援してくれてる大切な友達だ。
小西にとっては筋肉が一番の友達だろうけど。
408:名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 02:17:19.30ID:oFn0XDap0
ラッコは仲良く浮かんでいる。
石を持って、貝を打ち付けて割るのが見たかったけど、まったりしてるラッコも可愛いと思った。
あやちゃんが突然口を開いた。
「あのね、本で読んだんだけど。野生のラッコはね、寝る時、波に流されないように海藻を体に巻きつけるんだって。
でも、水族館で人工的に育ったラッコは海藻を巻き付ける必要ないじゃん。波ないし。でもね、本能で手をつないで眠るんだって。
ラッコって可愛いなって思って読んでたけど、今は人間も同じだって思うの。自分の気持ちじゃないものに流されちゃいそうになると、誰かに一緒に居て欲しくなるんだよ。」
ん?可愛いラッコの話しじゃないのか。よくわかんないな…と思っていると、あやちゃんは急に悲しそうな顔になった。
412:名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 02:24:04.19ID:oFn0XDap0
「昨日、来てくれてありがと。
俺君が好きって言ってくれて、嬉しかったよ。
…返事もしなくてごめんね。
…あのあと部屋に帰ってから、一杯考えたんだよ。」
一瞬、世界が止まる。
なんとなく、察した。あやちゃんの気持ち。
あやちゃんが言葉にしなくても、受け取った気がした。
でも、ここで遮るのは失礼な気がした。
俺はあやちゃんに心を向けて、その言葉を受取る用意をした。
「俺くん …ごめんなさい。」
413:名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 02:32:02.77ID:oFn0XDap0
やっぱり。
有頂天になってない時は、わかるんだ。なんとなく。
「今は、誰とも付き合うつもりは無いし、誰も好きになりたくない。自分の事で精一杯なの。」
そうだ。あやちゃんは戦っているんだ。
自分を責めてるんだ。木下のせいにせず、自分が選んだ結果を受け入れようとしてるんだ。
なんとなくだけど、そう感じた。
「一瞬、ぐらつきそうになるくらい、かっこいい告白だったよ(笑)でも、せめて友達で… ッ…」
涙。
このタイミングの涙にどんな気持ちが込められてるんだろう。
あやちゃんの思いを測ることは出来ないけど、
これもなんとなく感覚でわかる気がした。
「いさせてくだ…さい…。」
いつかのバラエティ番組でどっかの腐ったモテ男が、
「振られるより振るほうがツライっすよ~」って言ってたのを思い出した。
そんなに軽いものじゃなかった。
振られる辛さなんて微塵もなかった。
苦しそうなあやちゃんを見ているのが辛かった。
さっきまで俺たちを見守っていたウミガメが、そっと離れていった。
414:名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 02:32:10.72ID:IW77au7z0
ぎゃー
ホモ上に気を使ってかー
藻の代わりに俺君使えないってかー
415:名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 02:42:50.96ID:oFn0XDap0
その後、俺はあやちゃんに礼を伝えた。
真正面から本音を話してくれたあやちゃんに何も否はないし、
気を使わせてしまった申し訳なさで一杯だった。
でも、距離を開けるほうが間違ってると思った。
「ちょっと、我慢してね。」
そう言って、あやちゃんの手をとって歩いた。
防空壕では叶わなかったけど、振られた途端叶うなんて皮肉だ。
いや、俺の勇気次第だったのか。
イルカショーの近くに戻ったところで手を離した。
あやちゃんの目を真っ直ぐ見る。
「友達として、頼ってね。」
それだけ伝えて、俺は小西のところに向かった。
振り向かないように歩く。振り向かないように。
416:名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 02:44:18.24ID:ZHvfnoYc0
あやちゃん、ええ子や…
418:名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 02:54:07.58ID:oFn0XDap0
小西には簡単に説明した。
ソフトクリーム買ってくれた。
バスに乗り込む。
俺の中で修学旅行はもうスタッフロール。
とっくに盛り上がって、とっくにエンディングを迎え終わったんだ。
でも、ここで一人黄昏れるわけには行かない。
悲劇の主役ぶる真似はしたくない。
帰りのバスは結構盛り上がっていた。
スタッフロールにNGシーンはつきものだ。
まわりの連中は変な魚の顔マネをしたり、水族館で買ったイルカのぬいぐるみを投げ合ったりしてた。
俺と石丸は小西の買った「おさかな豆知識」っていう本から出題されるクイズに答えていた。
負けたほうが買った方の命令を聞くというエグいルールだ。
川上はさっきからブツブツつぶやいてる。
「…んしてたのに…りやがって…」
420:名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 03:11:42.32ID:oFn0XDap0
飛行機が空港についたのは18時を過ぎていた。
気温のギャップが現実に引き戻した。
冬じゃん。
暖かい沖縄の4日は夢のようだった。
悪夢と明晰夢。
うん。安いビジュアル系のシングル曲だな。
最終点呼を終えてそれぞれが帰っていく。
カチカチカチカチカチカチカチカチ
寒さで石丸の歯が鳴ってる。
カカカカカカカカカカカカカカカカカカ
さらに早いテンポで歯を鳴らす山梨。
指輪は…見つかったみたいだ。よかったね。
プップー☆
見慣れた車が空港の
あ、母さんが迎えに来てた。
422:名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 03:18:09.52ID:oFn0XDap0
母「おかえりー。」
俺「ただいまー。」
母「で?どれ?」
俺「何が?」
母「おホモだち。」
俺「あいつ」
指さした先には小西と川上。
母「うーん。野球部か。お母さん、坊主頭好きよ。」
俺「坊主頭のくだり意味わかんね。違うよ。右の方」
母「え?あの子?かっこいいじゃん。根暗そうだけど。」
俺「あたり。」
母「持って帰る?」
俺「い ら ん !」
母「ちぇー。」
ちぇーじゃねぇ。息子の尻貞操なんだと思ってやがる。
425:名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 03:26:12.27ID:oFn0XDap0
玄関を開けると、懐かしい匂い。
帰ってきた―。って実感する。
でも…
あれ?
人の気配がない。
居間もトイレも風呂も電気すらついてない。
父さんどこ行ったんだろ?帰ってるって聞いたけど…
台所を覗くと、テーブルに置き手紙がしてあった。
『探さないで下さい。絶対に。家の中に隠れたりしないので。父』
めんどくせー。
でも、これが親子のコミュニケーションなんだ。きっと。
旅行帰りで疲れてるけど、大声を出してみる。
「どこかなー。あー。わかんないやー。どこだろー。とーさーん。でてきてー。」
とりあえず声出しとけば出てくるだろ。
一応叫びながら、服脱いで、風呂入る用意をする。
「どーこー。とーさーん。でてきてー。」
426:名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 03:36:37.42ID:oFn0XDap0
家の風呂は少々手狭だけれど、やっぱり落ち着く。
「とーさーん。どこいるのー。わかんないよー。でてきてよー。」
全身洗うけれど、声だけは出し続ける。
「どこー?ここー?なにー?なにものー?だれー?とうさんだれー?どこからー?なにじんー?」
窓ガラガラガラガラ
父「こちとら江戸っ子でい!!!!」
俺「江戸っ子じゃねぇだろ。根っからの●●県民だろ。っていうか窓閉めて寒い。」
父「ういーす」カラカラパタン
こんな家族。
暇はしない。
暗くもない。
茶目っ気は120%ある。
でもめんどくさい。
430:名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 03:49:49.24ID:oFn0XDap0
結局心優しい俺は、両親とペットのチマ(ネコ)におみやげを用意していた。
父には、迷彩服とガスマスク。国際通りの軍人グッズ屋さんで買った。
母には、まりもっこりキーホルダー1体。
チマには、アロエと新鮮な玉ねぎとスルメ。
みんなキラキラした驚愕の顔で受け取ってくれた。
父さん、ガスマスク似合ってるよ。
晩ご飯は母が作ってくれたちらし寿司。
なんでちらし寿司なの?って聞いたら、出産祝いのつもりだったと。
どんどん飛躍する。
そして息子は生物学的n…(略
すごく疲れた。
長かった。
でもあっという間だった。
この日、俺は早めに布団に入った。
頭の中がぐちゃぐちゃだ。
さっさと寝てしまいたかった。
その日の夢は不思議だった。
学校でみんなの目を気にしながら空き教室に入っていく夢だった。
431:名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 04:04:37.46ID:5lJeaFWC0
見落としてたらごめん
山梨が指輪しててビックリは覚えてるんだけど、無くした?くだりがわからないんだが
見つかって良かったてどゆこと?
432:名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 04:15:58.96ID:oFn0XDap0
>>431
あ、抜けてた!
イルカショーのとこで指輪を探してる山梨のくだりが本当は入る予定でした。
気づいてくれてありがとう!そんなに熟読してもらえてるなんて感激です。
434:名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 04:21:51.65ID:oFn0XDap0
風になびく真っ白なカーテン
英文法が並んだホワイトボード
誰もいない教室の机
カッターナイフでの落書き
夜のバス停
血のついた答案用紙
そっと閉めた職員室の戸
赤い乗用車の助手席
この夢はこの後も何回も見ることになる。
色彩が制限されてる、白・黒・赤のものしか無い夢。
この時は意味もわからず、ただなんとなく気になってた。
440:名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 04:49:07.40ID:oFn0XDap0
修学旅行が終わった学校はやっと受験モードに切り替わる。
一年後は受験直前だ。
街はクリスマス一色に彩られている。
沖縄もクリスマスデコレーションがされていたけれど、日中25度近くの気温で見ててもクリスマスの気配がしなかった。
修学旅行の件で仲良くなった小西・石丸・山梨とはよく絡むようになった。
小西は就職。
石丸は専門学校へ進学。
山梨は大学へ。
川上は…どうするんだろう。
おせっかいな俺は、友人の進路が気になる。
自分の夢なんてよくわからない。
ちょっと川上と語ってみるか。
441:名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 05:13:42.21ID:oFn0XDap0
放課後、いつものように川上が俺の机の前に来た。
今日のホモはいつものブレザーではなく、なぜか原色ピンクのパーカー。
目立ちすぎるホモ。
おれ「お前のせいで、今日目が痛い。」
ホモ「ごめん。」
おれ「まぁ、いいけど。でさ、進路どうする?進学?」
ホモ「進路なんてどうでもいい」
おれ「え?」
ホモ「前にも言ったけど、外国に行きたい。自由になりたい。」
おれ「あぁ、切るんでしょ?」
ホモ「特殊だと思われたくないからね」
おれ「そう…だよな。」
軽はずみにネタにしようとしたことを反省した。コイツは本当に自分の居場所を探してるんだ。
ホモ「ついてくる?ぼくの人生に。」
おれ「遠慮します」
ホモ「素質あるよ。」
442:名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 05:34:09.69ID:oFn0XDap0
ねーよ。っていうか何の素質だよ。
ホモ「僕は外国行くためにお金を貯めるんだ。体売ってでも。」
コイツはどこまでが本気で嘘なのかわかりづらい。
ホモ「だから買って」
おれ「いや、いらない。逆にお金もらえてもやらない。」
ホモ「つまんない男」
おれ「おそろしいホモ。」
ホモ「俺さ、学校休む。」
おれ「なんだ急に。なんで休むの。」
ホモ「やりたいことがある。応援してくれ。」
おれ「応援?」
ホモ「僕は応援したよ。俺くんとあやちゃんのこと。」
444:名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 05:42:46.66ID:oFn0XDap0
おれ「え?」
ホモ「なのに… 応援してたのに、ミスりやがって。」
あぁ、この言葉を繰り返してたのか。
ホモは俺から見るとむちゃくちゃで気持ち悪いやつだけど、コイツなりに応援してくれてたのか。
ホモ「ま、ダメだったんだから、こっちの世界に来てよ。」
おれ「いかない。」
ホモ「そうだよね。じゃ、もう諦めるよ、俺くんのことは。」
おれ「!?」
話が飛びすぎてついていくのが大変だ。女子か。
ホモ「最初に話した時から、いいなって思ってたけど、ノンケだし...振られてもノンケだし。だから、俺くんのせいにして学校休む。」
おれ「…無茶苦茶な話だな。」
ホモ「俺くんのせいにされたくなかったら、応援して。」
おれ「脅迫か。」
ホモ「交渉、のつもりなんだけど…。」
おれ「なんだよ、それ(笑)分かった。何すればいい?」
445:名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 05:46:50.54ID:oFn0XDap0
ホモ「英語の勉強、手伝って。」
おれ「英語は俺も苦手だ」
ホモ「点数同じくらいでしょ。そのほうがプレッシャー少ないから。」
おれ「…わかった。」
ホモ「じゃ、3年生になったら、英語の勉強会しよう。」
おれ「わかった。貞操帯買っとく。」
ホモ「大丈夫。その頃には俺くんなんて恋愛対象にならないくらいかっこいい彼氏出来てるから。」
おれ「お!アクティブホモ!」
ホモ「(笑)」
この日、俺と川上は男同士の友達になった。少なくとも俺はそう感じた。
447:名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 05:58:53.32ID:oFn0XDap0
冬休みも過ぎて、高等学校教育の第2学年は終わりを迎える。
予想だにしていなかった、同級生のホモはこの一年で別人のように変わった。
どもりっぱなしだった川上が、今ではスラスラ交渉してくるくらいだ。
農家の気持ち、わかるなぁ。気のせいかもしれないけど。
あやちゃんとはあれから軽く話はするものの、メールや電話もしていない。
でもどこかで、心が握手しているような、そんな気持ちを感じる。
気のせいかもしれないけど。
俺は少しづつ成長しているんだろうか。
まだ将来の自分は見えてこない。
目の前の進路すら真っ暗だ。
一寸先は闇。
でも、闇の中に面白いことがあるかもしれない。そう思わないとやってられないって思った。
気のせいかもしれないけど。
そして、ココらへんで、高校時代の事件語り前半を終えてもいい気がする。
気のせいかもしれないけど。
451:名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 07:14:59.39ID:yA5WBs5ki
あやちゃんと>>1が結ばれることを祈る!
453:名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 08:00:21.64ID:0RZ53crRO
序盤から保たれるこのクオリティーの高さwww
>>1、お前マジで作家んなってほしいわ
478:名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 20:51:48.11ID:oFn0XDap0
「同じ桜が色づいたら、別れの季節がやってくる。」
何かのセリフを繰り返す父さん。相当、気に入ってる。
なにを気に入ろうが父さんの勝手だけれど、始業式の朝から別れの話なのはおかしい。
どちらかと言えば、出会いの季節にフォーカスして欲しいところ。
母さんも「そういえばお父さんと一回別れたのも春だったね。」と煽っている。
母「もう一回別れる?」
父「ヤダ!」
母「ちゅ」
茶番か。
高校三年生のスタートは混乱ではじまった。
480:名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 21:08:40.53ID:oFn0XDap0
学校に着くとクラス分けの結果が出ている。
基本的に成績で分けられるうちの学校は、3年のクラスが受験に直接響く。
人生に関わる結果の一つと言わんばかりの勢いで生徒が模造紙に群がっている。
そんな紙で人生決められたらたまったもんじゃないと思ってる俺には、必死な形相でクラス分けを見る人間が、ゴミのように見える。
そんな、愚衆のなかにホモがいた。
それはそれは必死な形相だ。
俺に気づくと近寄ってきた。
春休みを経由することで、また一段とはんなりとした動きが身についた川上は、難易度の高い内股歩きをいとも簡単に使いこなしている。
バレるぞ。
487:名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 21:41:08.71ID:oFn0XDap0
「同じクラスだったよー。」
そうですか。
まぁ、わかってた。学期末にワキガ担任から呼び出しを喰らい、
「川上は友達が少ないから、修学旅行の班員はそのまま同じクラスにしようと思う。よろしく頼む。」
と予め言われていたからだ。
あの8人がクラスに揃うのか。
進路バラバラなのに。
クラス分けが進路に影響するというジンクスは俺らの代で終わるのか。
っていうか、川上に対する特別措置が行き過ぎな気がする。社会にでたら、しかも外国に行ったらこんな特別扱いはないだろう。逆差別なんじゃないか。他の生徒の進路はどーでもいいのか。
学校のやり方にイライラしながら、新しい教室に入る。
「あ、おはよー。」
ただの友達のあやちゃんが真っ先に挨拶をくれる。
489:名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 22:10:37.57ID:oFn0XDap0
もう気まずさはない。いい友達だ。
おはよーと返して黒板に目を向ける。
自分の名前を探すと、教卓の目の前だ。
席のポジションは大切だ。
一番人気の最後列窓際は、プレッシャーが少なく、くつろぎやすい反面、教師からは丸見えのチェックしやすい席と言える。
一方、俺の席、最前列真ん中教卓前は穴場だ。プレッシャーは最大な反面、教師からチェックはほぼ皆無。
教卓の影に隠れるので、ノートが白紙でもなにも言われず、居眠りしていても、教師からは見えない。自分のペースでポイントを抑えた勉強をしておけばいい。
リスクは特にない。そう思っていた。
491:名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 22:57:35.75ID:oFn0XDap0
校内放送でよびだされ、生徒がホールに集める。
これだけ人数が集まれば、ちょっとした自治体くらい、制圧できるんじゃないだろうか。
じゃ、ちょっとクーデター起こして見ましょう。とか言っておけば小西を筆頭に何人かすごくやる気を起こす生徒が居そうなもんだ。
自治体の制圧、いい勉強になりそう。
久しぶりに小西に会うと、黒くなっていた。春休みの間、日サロにいって焼いたらしい。季節感、そんなものは筋肉と関係ないということがよく分かった。
まるで昆虫のようだ。
小西「新しい先生が来るみたいだよ。」
おれ「そうなんだ。楽しい人だといいなぁ。」
校長の話は長い。いつもよくこんなに話せるなと思う。しかも話したいことは終盤の30秒のみ。その他はほぼ雑談に近い。
なんで俺らが、校長の晩御飯知らないといけないんだ。ご飯と味噌汁とキンピラ。そしてわざわざ話すくらいなら、せめてもうちょっといいものを食え。
そして担任が発表される。
492:名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 23:14:49.25ID:0RZ53crRO
担任がまさかのホモか!?
495:名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 23:24:31.53ID:oFn0XDap0
ワキガだ。
結局あまり変わり映えしない。
俺はワキガ担任苦手だが、ホモは喜んでいた。同性愛が発覚した時は、親まで呼んで騒ぎたてた担任だったのに恨んでないどころか喜んでる姿は、気持ち悪かった。
ただのホモじゃないとは思ってたけど、どM要素もあるのか。
そして、新しく着任した教師が挨拶する。
俺らと関わりのある新しい教師は3人いた。
497:名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 23:39:58.47ID:oFn0XDap0
現代社会の野村
背が高いスポーツマン。テニス部の顧問も務める。馬顔ナルシスト。
数学の佐田
元気なおばちゃん。体型はバナナマンの日村。
英語の榊
オドオドしてて頼りない感じが全開の新米教師。ナチュラルメイクの貧乳。
…パッとしねぇ
どれもあまり仲良くなれそうにない感じがしてしょうがない。特に野村。俺出来ますから的なウザさ満タン。満点じゃなくて満タン。
しかし、後々この3人が相当な曲者であることを実感する。
小西が小声で話しかけてきた。
「さかき先生可愛いね。」
ほう、あんな感じが好みなのかね筋肉マン。
499:名も無き被検体774号+:2013/10/13(日) 23:52:00.11ID:oFn0XDap0
おどおどしてるのが純っぽく見えるだと?そんなの女性の計算に決まってんだろ。騙されてんじゃねーぞ。
大体なぜにうちの高校には美人巨乳な保健室の先生がいないのか。
生徒のやる気に大きく影響&成績向上すると思うんだけど、その辺は興味のない小西。
理由が白衣よりスーツがいいというあたり、玄人だ。
分かってらっしゃる。
500:名も無き被検体774号+:2013/10/14(月) 00:02:15.74ID:soL1z2of0
小西との友情が深まった気がする。
男はやっぱり下ネタで理解しあう生き物なのだ。
教室へ戻ると、川上と石丸が何やらごにょごにょやっていた。
小西「何してんの?」
川上「あ!あのさー。ここだけの話なんだけどいい?いいよね?」
石丸「え!?話すの??」
驚いた石丸に、いいじゃん~と猫撫で声の川上。Yes、気持ち悪い。
迷惑そうな顔をしている石丸には申し訳ないけれど、気になるから放っておこう。
それにしてもなんかテンション高い川上。
502:名も無き被検体774号+:2013/10/14(月) 00:24:01.97ID:soL1z2of0
川上「野村先生、石丸くんのお姉さんの旦那さんの弟の奥さんの不倫相手だったらしいよ!!」
ほぼ、他人だ。
ちょっと!と石丸が制止してももう遅い。
ホモの声は45dbを軽く超える音量で響き渡っていた。是が非でも騒音対策条例でしょっ引いてもらいたい。
さらに石丸への迷惑防止条例違反容疑での立件も視野に入れて、逮捕拉致監禁公開処刑をお願いしたい。
そのくらい、石丸はご立腹だ。
身内の恥を晒されたから当たり前だ。
ほぼ他人だが。
505:名も無き被検体774号+:2013/10/14(月) 01:08:14.64ID:soL1z2of0
一瞬の静寂のあと、クラス全体がざわつく。クラス編成で初めて知った奴も、一緒になってざわつく。
その異常な光景をみて、川上は事の重大さに気づいた様だった。
怒りに任せた石丸の拳が川上に飛ぶ。
Gで頬がえぐれる。
2発目、3発目と鈍い音をたてながら、石丸が叫んだ。
「このホモ野郎!存在が迷惑なんだよ!!男見ながらチンコ勃ててんじゃねー!気持ち悪いから近寄るな!」
痛そうだった。
鼻血を、出しながら咳き込む川上を見て、同情しなかったかと言えば嘘になる。
でも
俺も、小西も、止めなかった。
506:名も無き被検体774号+:2013/10/14(月) 01:10:23.48ID:y/A9I0WjI
クソワロタ
いい薬だな
509:名も無き被検体774号+:2013/10/14(月) 01:17:36.95ID:soL1z2of0
え?…ホモ?
あいつホモなの?
実はあやしいとは思ってたよ…
…気持ち悪い
一つ一つは小声ではあるけれど、最初とは違ったざわつきが起きる。
呼吸が乱れている石丸の足元には、痛みなのか、それとも恐怖でなのか、小刻みに震えている川上。
ゆっくりと、俺に目線を動かしてきた。
一瞬目が合った。
が、俺は視線をはずす。
擁護はしない。
川上はゆっくりと立ち上がった。
510:名も無き被検体774号+:2013/10/14(月) 01:23:47.10ID:soL1z2of0
フラフラと廊下に出る川上。
チラッと見えた横顔は、約一年前の体育以来見せなかった、冷たい無表情だった。
小西が川上を追いかけた。
俺は石丸の肩を叩いて、落ち着くように言って席についた。
小西が戻ってきてすぐ、ワキガが入ってきた。
新年度のスケジュールの話や受験に向けた話などツラツラ述べていく。
俺は、ここにいるとワキガ臭で死ぬんじゃないかと思った。
最前列のデメリットは意外と強烈だ。
512:名も無き被検体774号+:2013/10/14(月) 01:35:28.75ID:soL1z2of0
川上は戻ってこなかった。
それどころか、1ヶ月たっても学校に顔を出そうとしなかった。
ただ、クラスってのはドライな空間だ。
仲良しこよしの小学校ではなく、高校の、しかも受験生の教室なのだ。
来たくないのなら来なくていい。
受験とは自己責任。そういう場なのだ。
でも毎朝石丸は川上の下足箱を確認していた…
クラスの雰囲気とは違った、もっと素直な感情。
石丸は優しいやつだ。
この頃、花粉症でやられていた俺は、鼻がつまり最前席のメリットを十二分に感じていた。
現代社会の時間を除いては。
513:名も無き被検体774号+:2013/10/14(月) 01:46:39.47ID:soL1z2of0
野村は声がでかい。
そこに関しては、いい声だからイライラしない。
ただ、破裂音、破擦音、弾き音の時に、90%の確率でツバを飛ばしてくる。水不足の国が増えている世の中にあって、なんとも不謹慎なやつだ。
俺の中でスプリンクラーと名づけた。
一年間ずっとこのままでいられるのも嫌なので、本人が悟りやすくするため、アルコール除菌液を持参することにした。
スプリンクルしてきたら、すかさず除菌する。机の上だけでなく、俺の顔、腕、服、ペンケース…何でも除菌した。
514:名も無き被検体774号+:2013/10/14(月) 01:56:02.69ID:soL1z2of0
このスプリンクル除菌については小西や石丸にも伝えていたので、俺がアルコール除菌液を取り出すたびに、後方から笑い声が起きる。
野村も怪訝な顔をしていた。そりゃそうだ、授業の中で何度もクスクス笑われているのだから。
ナルシストには効果的な精神攻撃だ。
しかも、日を追う毎に人数が増えていく、素晴らしい波及効果。
これは期待できると判断して、俺はアルコール除菌液を箱買いした。
だが残念ながらスプリンクルの回数は減る様子がなかった。
結果的に、俺とスプリンクラー野村がストレスを感じ続ける精神汚染の時間、それが現代社会の時間となった。
515:名も無き被検体774号+:2013/10/14(月) 02:07:22.82ID:soL1z2of0
英語の時間は小西がすごい。
俺の覚えている限り、完全にカタカナ発音だった小西は、今やRとLの発音を自由自在に使い分けている。
気になる異性の教師、そのシチュエーションが小西の才能をわずか1ヶ月で覚醒させたのだ。
正直、馬鹿だと思った。
英語の授業は基本的にユルい。
「えっと…えっとぉ…あ、あったあった。じゃぁ、教科書のP.5ページを開いて下さいますか?」
これか?このしゃべり方が可愛いのか?本採用前の講師レベルでもなかなか居ない頼りなさ。
…っていうかまず、『P.5ページ』って、Pかページのどっちか外せよ。
思っていても本人に突っ込めない俺は小心者だ。
てっきり女子からは不人気かと思った英語教師は、意外と女性票を集めている。
適当、というか基本的にサバサバした話し方なのが幸いしているのかもしれない。
放課後、小西が提案してきた。
517:名も無き被検体774号+:2013/10/14(月) 02:16:02.68ID:soL1z2of0
「予定がないなら、放課後一緒に榊先生に英語教えてもらおうよ」
キラキラさせた瞳。ジョリジョリさせた頭髪。そしてクログロした肌を見せつけながら俺と石丸を勧誘する小西。
正直放課後まで教師と会うのは気乗りしなかったけど、俺も石丸も英語の成績を上げることは急務だった。
それに、「ボク達、放課後も頑張ってべんきょうしているよ♪」アピールをしておけば、内申点の面でも有利かもしれない。そんな理由で勉強会をすることにした。
ソワソワする小西。
その後放課後まで小西はソワソワしていた。
まるでトイレを我慢する幼稚園児のように…
518:名も無き被検体774号+:2013/10/14(月) 02:47:36.92ID:soL1z2of0
放課後、教室に残っていると小西が榊先生を連れてきた。
小西曰く、相武紗季にそっくりな榊先生。
目がはっきりしてたり、口が大きかったり…まぁ似てる気がしなくもない。
堀北真希そっくりだったらよかったのに。。。
初日にホールで見たときはもっと地味なイメージだったのに意外と普通だ。
「お待たせしました~。頑張るので、わからないところは遠慮なく言ってくださいね。」
教え方が上手いわけではないけど、一生懸命な感じが好感を持てた。
ホワイトボートに次々に英語の構文が並ぶ。
少し丸みを帯びつつ、バランスの整った字が黒と赤のインクで並んでいく。
気付けば2時間も英語に集中していた。
正直今までぼんやりしていた文法表現が少しつかめた気がする。
あんまり信頼してなかったので、嬉し悔しい。
「みんなに喜んでもらえてよかったよ~☆また放課後勉強したくなったら呼んでね!」
終わるころにはタメ口になってた相武紗季だった。
520:名も無き被検体774号+:2013/10/14(月) 03:14:08.29ID:soL1z2of0
家に帰ると、石丸からメールが来てた。
「小西、ガチ惚れにワラタ」
まじか!(笑)思わず吹き出してしまう。
母「何笑ってんの?」
俺「いや、新しい英語の先生がね」
父「美人なのか!?」
母「お母さんより?」
俺「うん。まぁ」
父「良し。」
母「あぁ!?」
父「ごめんなさい。」
母「何を笑ってたの?お母さんを?笑ったの!何なのよ!!」
俺「いや…ただ友達が惚れてて笑えただけ」
父「男のロマンだ」
母「女のロマンよ」
父・俺「女の!?」
母「年下っていいんじゃない?その先生何歳?」
俺「知らない」
母「若さ故の勢いに惹かれちゃうことってあると思うよ」
父「聞き捨てならんな」
チマ「ニャァァァァァァァゥ」
524:名も無き被検体774号+:2013/10/14(月) 06:45:48.43ID:1A4C5+F5P
保守
526:名も無き被検体774号+:2013/10/14(月) 08:56:46.59ID:tKXWbRF4O
俺楽しみすぎワロタ
532: 【ばいきん】 :2013/10/14(月) 10:52:11.99ID:tCx9d07F0
とりあえず保守しとく
537:名も無き被検体774号+:2013/10/14(月) 12:50:30.42ID:soL1z2of0
保守ありがとうございます!!
仕事の合間に続きを書いていきます!
それから毎週二回、英語の自主補習が行われるようになった。
そして、受験生にも関わらずピアスを開けた小西が学年主任から呼びたされたり、日焼けサロン禁止令が出たり、災難が続いた。
川上はといえば、三ヶ月たっても姿を見せなかった。でも、名簿に名前があることから、退学してないことは確かだ。
俺も小西も石丸も、川上の事が気にはなっても、連絡取るとこまでする気は起きなかった。
部活も早々と引退した俺は、毎週二回の放課後が楽しくなってきた。
と同時に、進路について本格的に悩んでいた。
なんとなく大学に行くんだろうと思っていたが、美術の先生から美大を勧められたこともあり、完全に未来が測れなくなったのだ。
というのも、県の美術展に応募して、出展審査に通っただけで学校内ではちょっとしたニュースだったのだ。
「やったなー!お前はすげーやつだと思ってたんだぞ!さすが俺の生徒だ!」
何故かワキガが浮かれててウザかったから、
お前の手柄は何もないと言うと口を尖らせて職員室の巣に戻って行った。
545:名も無き被検体774号+:2013/10/14(月) 15:14:44.39ID:soL1z2of0
俺「…で、小西が色気付いてピアスなんかするから、ハゲが騒ぎまくって大変!」
母「ピアスって、鼻?それとも口? まさか、舌とか?」
俺「そこは耳だろ、普通。」
お母さん、脳内パンクロックすぎるよ。マリリン・マンソン聞きすぎだよ。
母「耳なの!?耳なら大目に見て欲しいよね。ちっちゃい男だなぁ、あのハゲ。」
父「右耳?左耳?」
恐る恐る尋ねる父。
俺「えっと、左だったかな」
母「チッ」
俺・父「え?」
母さんの期待に応えれる唯一の存在。川上。女性のホモ好きは本当に理解出来ない。
546:名も無き被検体774号+:2013/10/14(月) 15:22:51.00ID:txhI7iIC0
お母さんww
俺の息子も1みたいになんでも話してくれる子に育って欲しいわー
551:名も無き被検体774号+:2013/10/14(月) 18:29:56.21ID:soL1z2of0
学校では定期試験と模試の繰り返し。
正直楽しくない。
そんな毎日の中で笑える事は限りがあり、その環境はとても価値のあるものだと思う。
石丸が、テストの空きスペースに書く四コマ漫画は俺の荒んだ心を潤してくれる。
基本的に下ネタばかりで、見るに堪えないくらい出血の表現が多いが、そのくらいバカな内容の方がいい。
頭なんて普段使いたくないから。
一方、放課後の英語勉強会も癒しの時間だった。いつの間にかクラスの三分の一が参加する規模になっていたが、授業以外も熱心に指導する榊先生に好感を持っていた。
小西は腹筋の彫りがより深くなっていった。
552:名も無き被検体774号+:2013/10/14(月) 18:32:34.62ID:conmCXCJ0
俺もこんな青春送りたいなぁ
556:名も無き被検体774号+:2013/10/14(月) 21:13:25.24ID:soL1z2of0
梅雨が開けそうな7月中旬。
直射日光に負けない運動部が外から掛け声を上げている。
ジメジメした空気はいくらか軽やかになって、爽やかに放課後の教室を抜けていく。
カーテンが風でなびいている。
純白のカーテンでは、日光が反射して逆に眩しい。
誰だ、このカーテン選んだの。
みんな自分の勉強に必死。
手元には自主英語補習のルーズリーフ。
誰も俺の手元は見えない。
チョットした好奇心。
いや、いたずら心。
思えば、小さい頃から好奇心に負けるタイプの俺は、そのひらめきに素直に従った。
557:名も無き被検体774号+:2013/10/14(月) 21:22:41.27ID:soL1z2of0
『メールアドレス、教えて!』
榊先生にしか見えない、ルーズリーフの上余白。
冗談のつもりで書いた一言。
そして、「なぁ、ちょっと教えてよ。」と呼ぶ。
「は~い、ちょっとまっててね。」
明るい口調の榊先生。
女性特有のアップダウンが見受けられない。
いつも機嫌よさそうに、社交的に過ごしている姿に改めてびっくりする。
超人か。
他の生徒への説明が終わり、こっちに歩いてくる。
机を挟んで向かい合わせに座った彼女に、そっとルーズリーフを差し出す。
読めるように…
俺はこの瞬間を忘れない。
後悔は後に立つものだ。
558:名も無き被検体774号+:2013/10/14(月) 21:31:16.11ID:y/A9I0WjI
一方ホモは留年確定していた
559:名も無き被検体774号+:2013/10/14(月) 21:51:09.27ID:soL1z2of0
>>558
笑った!まぁ間違いない!
560:名も無き被検体774号+:2013/10/14(月) 22:32:23.87ID:soL1z2of0
「おまたせ。さて、俺君は何を …あ。」
固まっている。
まぁ、予測できたリアクションだ。
でも、その先は違った。
チラッと俺に笑いかけたあと、サラサラと何か書いている。
あれ、てっきり馬鹿にされるかと思ってたのに。
書き終わって、目が合う。
「集中!集中!俺くん頑張れ!」
そう言って笑いながら他の生徒のところに移っていった。
予想してない展開に、リアクションが追いつかない。
*********@ezweb.ne.jp
↑
わからないことがあったらいつでもどうぞ☆
ホワイトボードで見慣れた文字が、非公開で綴られていた。
562:名も無き被検体774号+:2013/10/14(月) 22:41:10.72ID:sbhUjkgA0
>>560
甘酸っぱい!
564:名も無き被検体774号+:2013/10/14(月) 22:56:57.13ID:soL1z2of0
その日、それ以降勉強どころじゃなかった。
ずっとパニック。
表面には出さないけど、パニック。
何を送ろうか。
そればっかり考えていた。
浮かれてる反面、小西への罪悪感がまとわりつく。
あいつのあんな嬉しそうな顔は、筋肉について話す時以外あり得ないと思っていたから。
…裏切り、じゃないよな。
でも、ただ聞いただけだし。
それに小西もとっくに聞いてるかもしれない。
あんなに簡単に教えてくれたんだ。
きっとそうだ。尋ねたみんなに教えているだろう。
罪悪感を心の底に押し込めることに成功した俺は、石丸・小西と一緒に家路につく。
駅で二人と別れて歩き始めると、
…携帯が鳴った。
566:名も無き被検体774号+:2013/10/14(月) 23:21:03.36ID:soL1z2of0
川上からのメールだった。
『やっほー。久しぶり。元気してるよ!』
聞いてねぇ。
ホモの体調なんて心配すらしなかった。
三ヶ月ぶりの川上はメールでも分かるくらいテンション高かった。
何やってたんだ!とか、みんな心配してるぞ、してないけど。とかわざわざ書かなくても、ドンドン一人で情報を垂れ流してくる。
・始業式のあの日、石丸に謝ろうと思った
・でもタイミングが分からなかった
・学校に行きづらくなった
・親に用立ててもらい、アメリカに行って来た
・変な英語覚えた
・レイプされた
・帰国してゲイSNSで遊んだ
・脱肛して入院した
・退院したけど、脱肛が怖くて男遊び出来ない
・こうなったら一年休んで、自分磨きするから応援よろしく
・石丸に代わりに謝っといて
変わってねぇ
569:名も無き被検体774号+:2013/10/14(月) 23:26:24.53ID:PGyLYyKT0
ホモめ
570:名も無き被検体774号+:2013/10/14(月) 23:28:26.43ID:nwx1UQ2D0
受けから攻めへのジョブチェンジ
571:名も無き被検体774号+:2013/10/14(月) 23:29:18.83ID:soL1z2of0
変わらないどころか、むしろ悪化してる。
要らない人生経験を積んだ川上は何やら自信たっぷりだった。
色々気になることがあったけど、とりあえず、「石丸気にしてたから、自分で謝れ。」と返しておいた。
正直少し、安心した。
夕食のあと、一番風呂に入りながら、相武紗季(榊先生)に何を送ろうか真剣に考えてみる。
湯船に浸かりながら、蓋を半分閉めて机代わりに携帯とにらめっこしていると、自然に半身浴になる。
汗が、止まらない。
そもそも半身浴はぬるま湯でやるべきだけれど、熱い湯船で頑張り過ぎた。
いつもやらない長風呂。
心配した母さんがのぞきにきた。
母「ねぇ、溺れ死んだの?」
俺「生きてるよ。」
母「何その蓋。お風呂でやましいことしないで。」
俺「してねーよ!」
母「携帯で変なサイト見るのやめなさい。受験生なんだし。」
弁解の余地も与えずドアを締めていった。
母さん、あのさ、声でかいよ。
ご近所中が俺のこと誤解したよ、きっと。
576:名も無き被検体774号+:2013/10/15(火) 00:11:38.50ID:qYrcaWjX0
のぼせてフラフラしながら着替える。
決めた。半身浴は当分しない。
で、悩んでもあれだから、とっとと先生にメールすることにする。
要は聞きたいことを聞けばいいんだ。
『せんせー。今日はありがとう。
分かんないことがあったからメールしました。
忙しくない時に返信ください。』
そっこーかえってきた。
榊『どういたしまして。どうしたの?どこが分かんない?(*^^)』
俺『先生、何歳?』
榊『え~?聞きたいのそれ?(;・∀・) 英語じゃないの?』
俺『じゃ、英語で教えて下さい。m(__)m』
榊『twenty sevenですけど。 何?どうしたの?』
俺『おお!ちょうど10歳違いじゃん。いや、ちょっとわかんなかったので(笑)』
榊『あー。馬鹿にしてるんだろー(-_-;)』
よっぽど暇なのか、予想以上にノリがいい。
なんか面白くて、速いペースでやりとりする。
もはやメールじゃなくてチャットだ。
577:名も無き被検体774号+:2013/10/15(火) 00:17:07.39ID:ftUQqNRo0
これは…
578:名も無き被検体774号+:2013/10/15(火) 00:23:52.20ID:qYrcaWjX0
俺『いやいや、先生ぱっと見は若いからびっくりした。』
榊『あのね、それ褒め言葉になってないんだよ。知ってる?』
俺『知ってる(笑)正直、先生24とか25にしか見えない。」
榊『あ、それだと褒め言葉だね(*^^*)』
俺『っていうか正直、アドレス教えてくれると思わなかった。』
榊『まずかったかなぁ…教師が生徒に教えるの。』
俺『え、ダメなの?』
よくわかんないけど、教師の中でルールがあるなら、申し訳ないことしちゃったと思った。
榊『分かんない。ま、いっか。俺くんはいつもこうやってナンパしてんの?(笑)』
俺『あ…ナンパだったのかこれ。いや初めてです。そして、ナンパではないですごめんなさい。』
榊『あははは(笑)期待してなかったけどなんかショックだわ(笑)』
あれ?ショック?
なんだろう。この感覚。
俺は期待してる…のか?
580:名も無き被検体774号+:2013/10/15(火) 00:35:42.01ID:qYrcaWjX0
一人浮かれてたら恥ずかしいし、思わせぶらされてるだけなら、引っかかりたくない。
だから笑いに持ってくのが正解だと判断した。
俺『でも年上の美人なお姉さん好きだよ。美人なら。』
榊『あー。じゃ私は違うな。調子にノリました(笑)』
俺『そうですね。気を付けましょう(笑)』
榊『あ、このやろう(笑)もう放課後教えてやらない。』
俺『ごめんなさい!ごめんなさい!びじんですさかきせんせいさすがです。』
榊『棒読みだけど許してあげよう(笑)っていうか、若いノリのメールって楽しいね(笑)』
楽しんでくれてる。俺のメールで。
それだけで、有頂天だった。
俺『良かった~☆ 先生、教師っぽくないから気楽でいいや(^^)』
榊『先生って毎回呼ばれるの疲れちゃうから、紗季って呼んでいいよ☆』
!!
距離が近づく快感。
惚れてるのかどうかなんてわかんないけど、惹かれてるのは確かだ。
小西への罪悪感なんて感じないくらいアドレナリン出てる。
ベッドにあぐらを書きながら携帯の画面に集中する。
俺『紗季、彼氏何人いるの?』
581:名も無き被検体774号+:2013/10/15(火) 00:38:22.09ID:XKRJBJZ60
おもしろい展開
585:名も無き被検体774号+:2013/10/15(火) 00:46:50.39ID:qYrcaWjX0
紗季「なんで複数だと決めつけた!(笑)大学以来居ないよ~。仕事ハードだからね。」
貴重な情報ゲット。
俺「まじか。わかった。メモしとく!」
紗季「メモしないで(笑)俺くんは?彼女何人いるの?」
俺「いないよ。あ、そうだ、彼女の作り方教えてよ。」
紗季「え?わかんないよそんなの…^^;」
俺「わからないところは遠慮なく言ってくださいねって言ってたじゃん!」
紗季「え~…わかった。考えとく。」
俺「よろしく。期待しときます(笑)」
紗季「プレッシャーかけないで(笑)」
歳の差を感じない紗季とのメール。
じゃあ、また明日と言われて、メールが途絶える。
なんだ。
なんだこの感覚。
深追いするな!って気持ちと、行ける!って気持ちが混在してる。
一瞬あやちゃんの顔が浮かんだ。
意味がわからなかった。
586:名も無き被検体774号+:2013/10/15(火) 00:56:04.69ID:En7j5HD80
小西くん…あやちゃん…先生…俺くん…。
何か切なくなった…(´・ω・`)
587:名も無き被検体774号+:2013/10/15(火) 01:15:30.37ID:qYrcaWjX0
なんかが変わった気がしたけど、何も変わらなかった。
小西には何も言えなかった。石丸にも。
迷惑になってもいけないので、学校では榊先生と呼ぶことにした。
自主補習の時間はノートの端でやりとりした。
誰も知らない秘密って、楽しい。
くだらない