50 名前:大人の名無しさん[sage] 投稿日:2005/04/20(水) 00:01:54 ID:x24rUHPY
妹の猫。

妹がかわいがっていた猫が腎臓を患って、もう長くないだろうという連絡を
実家から受けた。日に日にやせ衰えていくので最後に会いに来なさいと。
家族の一員、眼の大きい美人のアビシニアン。俺も妹も東京に出てきていた。
俺は仕事の都合が付かなかったが、一週間後、妹は彼女に会いに実家に帰った。

実家に着くと、「昨日の夜から姿が見えない」と母。
妹はその言葉を聞くなり外へ飛び出して大声で彼女を探し始めた。
外への行き来を自由にさせていたので、死に場所を求めて外へ出たのだろうか。
何時間も歩き回って探したが、彼女は見当たらなかった。

やるせない気持ちのままその日は実家に泊まることにして、
床につき数時間経った深夜、聞き覚えのある細い声が聞こえてきた。
あわてて玄関を開けると、やせ細った彼女がボツンと座っていた。
妹に近づこうとするが、思うように歩けない。
抱きしめてぼろぼろに泣く妹と、その涙を舌で拭う彼女。

最後の夜を二人同じ布団に眠り、翌朝妹が目覚めたとき、もう彼女の姿は無かった。

「最後に会いに来てくれたんだよ」
定期入れに入れてる元気な頃の彼女の写真をみせながら、妹は最後の日の様子を語ってくれた。