1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/21(月) 22:44:01.50 ID:O1V1NViQ0

< 公衆便所 >

ダダダッ! ガチャッ! バタン!

男(あぁ〜……腹痛い、腹痛い!)カチャカチャ…

男(公園なら公衆便所があるはず、と入ってよかった)ズルッ

ゴソゴソ……

男(隣の個室から物音?)

男(隣に誰か入ってるっぽいけど、ここは気にせず思いきり気張らせてもらうぜ!)

男「ふんっ……!」

男「ぬぅぅぅんっ!」ブリュッセル

男「出たぁ〜……」ニッコリ





元スレ
ニュース速報(VIP)@2ちゃんねる
男「トイレに紙がねぇぇ!!!」花子「私、トイレの花子」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1382363041/


 
8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/21(月) 22:49:27.42 ID:O1V1NViQ0

男(さぁ〜て、とっととケツ拭いて退散するとしますか!)

男「──って」



バカな! バカな! バカな! そんなバカな!

こんなことはありえない! あってはならない!

神はなぜ我にこのような試練を与えたもうたのか──



男「トイレに紙がねぇぇ!!!」

花子「私、トイレの花子」フッ…

花子「あなたを呪い殺しに来たわ」





11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/21(月) 22:53:51.49 ID:O1V1NViQ0

男(ウソだろ!?)

男(ウソだといってくれ、頼む!)



トイレに紙がないなどということはありえない!

紙あってこそのトイレ! トイレあってこその紙!

二つは共存関係にある! なのに片方が欠けている!

理不尽! 不条理! 非現実! 荒唐無稽! あってはならないこと!



男「ハハ、ハハハハ……!」

男「そうだ、これは幻だ! 幻覚に違いない!」

男「目をつぶって目を開くと、きっと紙がそこにある!」

花子「あの……」





14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/21(月) 22:58:55.24 ID:O1V1NViQ0

男(目をつぶるぞ……)パチッ…

男(漆黒の闇の中で、今までの人生を振り返れ……)



生誕── 幼稚園の頃は神童と呼ばれ──

小学校ではドッジボールが得意── パンツごとスカートめくって学年集会──

中学では5人にフラれ── 体育祭の棒倒しで大怪我──

高校では帰宅部── 大学受験失敗──

定職につかずブラブラ── 公衆便所に入る──



男(まったく! いい人生だった!)

男(開く!)パチンッ

男「やっぱり紙がねぇ!!!」

花子「もしもし?」





15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/21(月) 23:03:06.03 ID:O1V1NViQ0

男「さっきから、なんなんだ!?」

花子「あ、やっと気づいてくれた!」

花子「私、トイレの花子!」

男「ああ、あの有名な? 公衆便所でも出るんだな。俺になんの用だ?」

花子「私の怨念パワーが溜まったから、あなたを呪い殺しに来たの」

花子「あなたが犠牲者第一号よ」

男「俺を?」

男「悪いけどさ、俺は今呪い殺されてやるほど暇じゃないんだ」

男「ケツを拭かないまま死ぬなんてありえねえ」

男「なぁ、紙持ってねえか?」

花子「持って……ないわ」

男「ちぇっ、なんだよ……花子のくせに」





16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/21(月) 23:07:32.77 ID:O1V1NViQ0

男「なら仕方ねえ」

男「どこかから紙を持ってきてくれねえか?」

花子「ごめん、私ってこのトイレから出られないの」

男「なんで?」

花子「私はいじめっ子たちにこのトイレに連れ込まれて」

花子「この個室に閉じ込められて上から水をかけられて、滑って転んで死んじゃったの」

花子「それが悔しくて、自縛霊になっちゃったから……出られないの」

男「そりゃ気の毒に……」

男「じゃあさ、さっきから隣の個室にいる奴を連れてきてくれ」





17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/21(月) 23:11:22.48 ID:O1V1NViQ0

花子「連れてきたわ」

ぼっち「ボ、ボクに何か用ですか……?」

男「紙持ってねえか?」

ぼっち「持ってません」

男「ん〜、じゃあなにか代わりになるようなものは?」

ぼっち「バランならありますけど……」

男「こりゃ弁当とかに入ってる、緑色のギザギザのアレじゃねーか!」

男「こんなギザギザでケツ拭いたらケツに穴が空いちまう!」

ぼっち「元々穴はありますよ」

男「うるせえ!」





18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/21(月) 23:14:05.89 ID:5RyfMenf0

男「しょうがねぇ、花子、舐めろ」

花子「えっ」

男「だからおれのケツを舐めてきれいにしろっていってんだよ」

花子「えっ、えっ」

男「ほら、いいからしゃがんでこっちに舌向けろよ、よっと」

花子「ふぁ、ふぁい、これでひいの??」

男「よーし、そのままおれのケツの穴をぺろぺろしろ」

花子「ぺろぺろ、ぺろぺろ」

男「あぐぁ、くっ、おれとしたことが、すぐいっちゃいそうだぜ」





19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/21(月) 23:16:26.34 ID:O1V1NViQ0

男「っつうか、お前なんでこんなもん持ってやがるんだ」

ぼっち「ボク、トイレで弁当食べてたもんで……」

男「トイレで? 変わった奴だな」

花子「便所飯ってやつね!」

男「便所飯?」

花子「トイレでご飯を食べることを、そういうのよ」

男「ふうん……知らなかった」

花子「もしかして、あなたもいじめられ経験があるの?」

ぼっち「うん……」

花子「私たち、仲間ね!」

ぼっち「う、うん……」

男「意気投合すんな!」





20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/21(月) 23:19:16.19 ID:ZABl/8/zO

地味に重い意気投合





22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/21(月) 23:21:23.72 ID:O1V1NViQ0

男「──よし!」

男「お前ら二人手分けして、外から紙を持ってそうな奴を連れてこい!」

ぼっち「は、はいっ!」

花子「さっきいったけど、私はトイレから出られないんだけど」

男「大丈夫、お前なら出られる! 俺が保証する!」

花子「!」ドキーン

男「俺のケツ……お前らに託す!」

男「頼んだぜ」ニッ

ぼっち「は、はいっ……!」

花子「私……頑張る!」





24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/21(月) 23:24:25.99 ID:O1V1NViQ0

一時間後──

男「遅いな……なにやってやがる!」

男「もうとっくの昔にケツが乾いちゃったぞ!」

男「まぁ、拭く時に紙を水で湿らせてもらえばいいか……」

ぼっち「つ、連れてきました……」ザッ

男「でかした!」

インド人「ワタシ、インド人デース!」

男「!?」





26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/21(月) 23:28:16.10 ID:iPk0bWrt0

ターバンときたか





27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/21(月) 23:30:19.37 ID:O1V1NViQ0

男「まぁ、この際、国際交流も悪くない」

男「インド人さん、俺に紙をくれないか?」

インド人「紙はありまセーン!」

男「は?」

インド人「でも、カレーありマース! ワタシいつもカレー持ってマース!」

男「バカヤロウ! トイレでカレーなんか食えっか!」

インド人「じゃ、二人で食べまショーウ!」モグモグ…

ぼっち「そ、そうですね……」モグモグ…

男「…………」ゴクッ…

男(この香ばしいニオイ……。う、美味そう……!)





29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/21(月) 23:35:20.12 ID:O1V1NViQ0

男「俺にもくれぇぇぇ!」

インド人「しょうがない人デース!」サッ

男「う、うめぇぇぇ!」モグモグ…

ぼっち「本場のスパイスが効いていて、美味しいですね」モグモグ…

インド人「ありがとうございマース!」

男「あ、やべえ」

男「食ったらまた出したくなっちゃった。しかたねえ、出しちまおう」ブリュッセル

男(さらにケツが汚れたけど……いいよな。どうせまだケツ拭いてなかったんだし)

男(花子が紙持った奴を連れてきてくれるだろ。アイツはできる女だ)





30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/21(月) 23:38:20.29 ID:O1V1NViQ0

花子「連れてきたよ!」

男「でかした!」

少女「は、はじめまして……」

男「なんだ、まだ中学生ぐらいの女の子じゃないか」

男「で、紙は持ってるのか?」

少女「持ってます」

少女「持ってますけど──」サッ

男「こ、これは!?」





33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/21(月) 23:42:23.24 ID:O1V1NViQ0

男「賞状!?」

少女「はい、あたしの家、お父さんがリストラされてしまい貧乏で……」

少女「でも、あたし字を書くのが大好きで、書道だけは続けさせてくれて……」

少女「この間の品評会で、やっと入選することができて……」

少女「その時もらったのが、その賞状なんです……」

男「…………」

男「花子ッ!」

花子「ひっ!」ビクッ

男「こんな賞状でケツ拭けるわきゃねーだろ!」

花子「ごめんなさい!」





35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/21(月) 23:44:06.85 ID:VUrzrwz70

また重いのを連れてきたな





38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/21(月) 23:47:20.67 ID:O1V1NViQ0

男「しょうがない。ミスは誰にでもある」

男「花子とぼっちは少し休んでいい」

男「じゃあ今度は──」

男「インド人さんと少女ちゃんが、紙を持ってそうな誰かを連れてきてくれ!」

インド人「分かりマシター!」

少女「はい!」

男「二人とも……俺のケツを頼んだぞ!」

ぼっち「ボクたちの分まで、お願いします!」

花子「しっかりね!」





40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/21(月) 23:50:23.37 ID:O1V1NViQ0

男「二人を待ってる間ヒマだし、少し話すか……」

男「ぼっち、なんでお前はトイレなんかでメシ食ってたんだ?」

ぼっち「ボク、他人としゃべるのが苦手で、友だちがいないから……」

ぼっち「それを冷やかされるのが嫌で……」

ぼっち「いつしか、一人でトイレでご飯を食べるようになって……」

ぼっち「そのうちそれが習慣みたいになってしまって……」

男「それでこんな公園でも、トイレにこもって弁当食ってたってわけか」

花子「そうだったの……」





41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/21(月) 23:54:33.30 ID:O1V1NViQ0

男「ぼっち」

男「お前はもう一人なんかじゃねえ!」

男「お前は他人と話すのが苦手だっていってたが──」

男「今、こうして俺らと話せてるじゃねえか!」

男「しかも、インド人さんを連れてきてくれたじゃねえか!」

男「見ず知らずのインド人に話しかけるとか、なかなかできることじゃねえ!」

男「正直いって、俺もできないかも!」

花子「うんうん」

男「そしてなにより──」

男「俺と花子はもう、お前のダチだ!」

花子「そうよ!」

ぼっち「!」





44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/21(月) 23:58:01.64 ID:w6KA0nHw0

でもずっとケツ出しっぱなしなんだよな





45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/21(月) 23:58:25.52 ID:O1V1NViQ0

男「──ってわけだ」

男「もう、トイレで飯を食うなんてのはやめろ」

男「メシなら俺たち二人が付き合ってやる」

ぼっち「あ、ありがとう……ござ、い、ま、す……」グスッ

花子「もう、泣かないの!」ナデナデ…

ぼっち「うっ、うっ、うっ……」

男(いじめられてた花子と、ハブられてたぼっちに友だちができた……)

男(これであとは俺がケツさえ拭ければ──)

男(万事解決だな)





50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/22(火) 00:05:21.41 ID:45eY5F5o0

インド人「連れてきまシター!」

男「でかした!」

富豪「うぉっほん、私は大金持ちである」

富豪「私に頼みがあるというのは、チミか? セニョール」

男「おう」

男「ケツを拭く紙が欲しいんだ! 俺に紙をくれよ!」

富豪「ほほう、紙とな? お安い御用だ」





53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/22(火) 00:08:29.97 ID:45eY5F5o0

富豪「札束ならいくらでもあるぞ」

富豪「ほれ、ケツを拭くがよい」ドサッ

男「…………」

富豪「どうした? 100万円では足りぬか?」

男「…………」プルプル…

男「この、大バカヤロウ!」

バキィッ!

富豪「げぶうっ!?」ドサッ…





55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/22(火) 00:13:34.44 ID:45eY5F5o0

富豪「な、なにをするのだね、セニョール!?」

男「いいか……」

男「金ってのはな、大切なもんなんだ!」

男「お前にとってはたかが100万円でも」

男「世の中にゃ100万を稼ぐために必死こいてる奴もいるんだ!」

男「愛する娘に書道をやらせるために、やりくりしてる両親だっているんだ!」

男「そんなもんで、ケツなんか拭けるわけねーだろうがぁ! バチ当たりが!」

富豪「ううっ……」

花子「そのとおり!」

ぼっち「そのとおりです……」

インド人「そのとおりデース!」

富豪「わ、私が間違っておりました! どうかお許しを!」

男「そうか。だったら──」





57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/22(火) 00:17:59.98 ID:45eY5F5o0

男「アンタ金持ってるなら、ちょっくら紙買ってきてくれねえか?」

富豪「私が……紙を……?」

花子「大きなこといって、結局お金に頼るんじゃない」

男「うるさい!」

富豪「どんな紙でもいいのかね、セニョール?」

男「なんでもいいよ! 誰かの賞状とか、紙幣とかじゃなきゃな!」

富豪「分かった! すぐ買ってくる!」

ダダダッ!

男(脂肪たっぷりな体しておいて、足はえーな、あのおっさん)

男(ま……これでケツはなんとかなりそうだ)





59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/22(火) 00:23:21.42 ID:45eY5F5o0

男「待ってる間ヒマだし、少し話でもするか……」

男「インド人さん、なんでアンタは日本に?」

インド人「本場のインドカレーを日本の方に食べさせるためにきまシター!」

インド人「だけど、店を出すにはどうすればいいか分からず困ってマシター!」

男「ふうん、でもさっきのカレーは美味かったよ」

男「俺もカレーは好きでよく食うが、その中でもトップクラスの味だった」

ぼっち「ええ、とても美味しかったです」

男「アンタなら、きっといいカレー屋を出せるぜ!」

インド人「ありがとうございマース!」

花子「いいな、私も食べた〜い!」

インド人「どうぞ、食べて下サーイ!」

花子「美味しい〜!」モグモグ…

男(幽霊でも食べられるんだ……)





62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/22(火) 00:28:32.36 ID:45eY5F5o0

富豪「セニョール、紙を買ってきたぞ」

男「おお! 買ってきてくれたか!」

富豪「帝王製紙を買収してきた!」

男「は!?」

富豪「これでチミは、明日から帝王製紙の社長だ!」

男「いやいやいやいやいやいや!」

男「誰が製紙会社買収してこいっていったよ!?」

男「ティッシュペーパーかネピアかトイレットペーパーが一個ありゃ」

男「それでよかったんだよ!」

富豪「すまん……」

富豪「私にとって、何々を買ってこいというのは会社ごと買えって意味なので……」

男「ハァ〜……なにやってんだ、まったく」





64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/22(火) 00:34:26.24 ID:45eY5F5o0

富豪「お金の大切さを知らない上に……」

富豪「買い物すらまともに出来ないなんて、私はなんて役立たずなんだ……」

富豪「ああっ……」ガクッ

花子「泣かないで、おじさん」ナデナデ…

ぼっち「そうですよ……きっといいことありますよ」

インド人「カレー食べて下サーイ!」

男「ったく、しょうがねえな。俺も言いすぎたよ、すまねえ」

男(こうなったら、あの書道好きの女の子が頼みの綱、だな)





65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/22(火) 00:37:36.45 ID:45eY5F5o0

少女「紙を持ってそうな人を、連れてきました!」ハァハァ…

男「でかした!」

神「おぬしかのう? ワシに用があるというのは」ゴッドォ…

男(なんか、妙なオーラが漂う爺さんだな……)

男「だれだこの爺さんは?」

神「ワシは神じゃ」

男「な……」

花子「な」

ぼっち「ん」

インド人「だ」

富豪「っ」

少女「てー!?」

男「なんで君まで驚くんだよ」

少女「てっきり、ただのおじいさんだと思ってたもので……」





68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/22(火) 00:42:41.19 ID:45eY5F5o0

男「まぁいいや、神なら話が早い」

男「俺がケツを拭くための紙をくれよ!」

男「いい加減、この和式便所でずっとケツ丸出しで中腰でいるのも疲れたんでな!」

神「……ダメなんじゃ」

男「へ?」

神「ワシには……おぬしに紙を与える力は……ない!」ゴッドォ…

男「な……」

花子「な」

ぼっち「ん」

インド人「だ」

富豪「っ」

少女「てー!?」





69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/22(火) 00:47:45.83 ID:45eY5F5o0

男「紙を与える力がないって、どういうことだよ!?」

神「神にも色々いるでのう」

神「残念ながら、ワシは紙を出す能力は持たぬ神なんじゃ」

神「すまぬ……すまぬ……!」グスッ

男「爺さん……」

花子「神様……泣かないで」ナデナデ…

ぼっち(辛いだろうなぁ、神様なのに人間の頼みごとを聞けないなんて……)

インド人「悲劇デース!」

少女「おじいさん、連れてきてごめんなさい……」

富豪「この札束で涙を拭きたまえ、セニョール」サッ





70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/22(火) 00:49:30.78 ID:YyoHoyHtO

こら富豪





71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/22(火) 00:52:37.17 ID:45eY5F5o0

男「もういい、分かった。気にすんな。老人が泣いてる姿はいたたまれなくなるから」

神「おおっ、なんと優しい人間じゃろうか」

男「しっかし、どうしよう」

男「俺はこのままケツを拭けずに、このトイレで一生を終えるのかな……」

花子「そんなあ、それじゃ私みたいに自縛霊になっちゃうわ! ダメよ!」

神「ワシに力がないばかりに……すまぬ……」

富豪「金の力とは、なんと無力なのか! たった一人のケツを拭くことすらできない!」

少女「あたしの筆で肛門をこすっても、とても拭き取れないでしょうし……」

ぼっち「なにかいい手はないでしょうか……」

インド人「!」

インド人「いい手がありマース!」





73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/22(火) 00:55:31.96 ID:45eY5F5o0

男「いい手って?」

インド人「簡単なことデース!」

インド人「紙がないなら、左手で拭けばいいんデース!」

インド人「インドではケツを左手で拭きマース!」

男「そうか、その手があったか!」

男「俺は今まで、ケツは紙で拭くものという固定観念にとらわれていた……」

男「だが、それを取っ払えば、物事は解決できるんだ!」

花子「じゃあさっそく拭きましょうよ!」

男「任せとけ、花子!」フキフキ…





75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/22(火) 00:57:53.50 ID:WWIyo4Fx0

ついに不浄の手の出番か





76:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/22(火) 00:59:38.41 ID:45eY5F5o0

男(いいっ!)フキフキ…

男(爪先とか指紋とか手相とかの紙にはない絶妙な凹凸が──)フキフキ…

男(ものっすごい新鮮な刺激を肛門に与えてくる!)フキフキ…

男(これは紙で拭くより、いいかもしれない!)フキフキ…

男(決めた!)フキフキ…

男(俺、今日からケツは自分の手で拭こう!)フキフキ…



─────

───







78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/22(火) 01:05:45.46 ID:45eY5F5o0

五年後──

< 帝王製紙本社 社長室 >

秘書「社長、昼食のお時間です」

社長「分かった」

社長「そうだ、今日は珍しく時間があるし、久しぶりに社員食堂で食べようか」

花子「はぁ〜い!」

社長「有能な側近が二人もいると助かるよ」

社長「もっとも一人は便所飯の元常連で、もう一人は幽霊だがね」

秘書「今でも昔が懐かしくてたまにやっていますよ、便所飯は」ニコッ

花子「私ももっともっと頑張るからね!」





79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/22(火) 01:09:02.32 ID:45eY5F5o0

< 社員食堂 >

インド人「いらっしゃいマセー! おおっ、社長ーっ!」

社長「やあ、今日も大盛況じゃないか」

社長「さっそくだが、インドカレーを二つ……いや三ついただこうか」

インド人「毎度ありがとうございマース!」

秘書「この会社が活気であふれてるのは、インド人さんのカレーのおかげですよ」

花子「うんうん!」

インド人「そう褒められると、照れマース!」





84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/22(火) 01:14:31.07 ID:45eY5F5o0

モグモグ……

秘書「しかし……不思議なものですね」

秘書「あのトイレで出会った翌日、あなたは帝王製紙の社長となり」

秘書「あなたの手腕で帝王製紙は飛躍的な発展を遂げました」

秘書「私と花子さんは、こうして秘書になり──」

秘書「少女さんの父はあなたのおかげで、この会社に再就職することができ──」

秘書「インド人さんもこの会社でカレー屋を開くことができ──」

秘書「大株主である富豪さんもさらなる大富豪となった」

社長「ま、これも、あの時やってきた神が“商売繁盛の神様”だったという」

社長「おかげもあるがね」

花子「そんなことないわよ!」

花子「あの神様もいってたでしょ!」

花子「本人が努力しなきゃ、いくらワシがついても無意味だって」

社長「フッ……そうだな」

社長「しかし、なんともうまい具合に皆の“運命”が絡み合ったものだ」





88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/22(火) 01:21:25.60 ID:45eY5F5o0

社長「ところで、お前たち結婚するんだろう?」

秘書「はい……」ポッ…

花子「うん……」ポッ…

社長「花子も精神的に成長したからなのか、なぜか幽霊なのに美しく成長してるし」

社長「お似合いのカップルだよ」

社長「人間と幽霊の結婚だから、正式な結婚式が挙げられんのが残念だが」

社長「その分、心から祝福させてもらうよ」

社長「仲良くやるんだぞ」

秘書「はい! ボクが死んでも花子さんとはずっと一緒です!」

花子「私たち、ずっと一緒!」

社長「ハハハ、こっちはマジメに話してんのにのろけやがってぇぇ!」

社長「絶対死後もお前らにちょっかい出してやるからな!」





89:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/22(火) 01:25:41.10 ID:45eY5F5o0

帝王製紙社長は、後のインタビューでこう答えている。



──座右の銘はなんでしょうか?

社長「自分のケツは自分の手で拭け……かな」

──なるほど、責任感の強い貴方らしいお言葉です。決して神頼みなどはしないと。

社長「いや、神様にはしょっちゅうお世話になってるよ」

──では、神がいたおかげで、今の地位があると?

社長「いや、紙がなかったおかげでもある」

──え?





                                   <おわり>





90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/22(火) 01:27:33.89 ID:bo+8Vxz20

うまいな乙





91: 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:15) :2013/10/22(火) 01:27:36.67 ID:ebDp90af0

乙面白かった





99:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/22(火) 01:32:20.33 ID:KqFBEIfF0

いい奴らばかりだけどどこか変





101:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/22(火) 01:34:40.98 ID:8YYM6Wwp0

これはセンスある、乙





102:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/22(火) 01:34:53.81 ID:ZOLEzSDF0

なんかうまくまとまってるから不思議





105:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/22(火) 01:37:56.31 ID:YyoHoyHtO

とてもほのぼのしたクソスレだった





109:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/10/22(火) 02:04:21.82 ID:HbJm4efo0

良スレなクソスレ





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