長年にわたって謎だったヤカンの「ピー音」、そのメカニズムがついに解明される
英ケンブリッジ大学のRoss Henrywood氏とAnurag Agarwal氏はこのたび、長年にわたって謎とされてきたヤカンの「ピー音」が鳴る仕組みを解明しました。この成果は、専門誌 “Physics of Fluids” に掲載されています。
ヤカンに水を入れて沸騰させると、吹き出し口のところから「ピーッ!」という音が鳴ります。これは、沸騰によって内部の圧力が上昇し、ヤカンの口から高速の空気が流れ出ること生じる現象なのですが、この音の正体がどういったものなのかという事については、長年にわたって未解明のままでした。
例えば、(行儀が悪いですが)ハシで茶碗を叩くと、茶碗に微小な振動が生じて音が鳴ります。また、ギターの場合では、演奏者がピックや指で弦を弾いて振動させることで、ああいった音楽を奏でることが可能になっています。これら茶碗やギターのように、音が生じている所には何かしらの「原因」が存在しているのですが、ヤカンの場合はそれがどのようなものなのか、どういったメカニズムでああいう音が鳴っているのかが判っていなかったのです。
今回Henrywood氏らは、送気管と円形の金属プレートを用いてヤカン内部を模した構造を作製。これを利用して、空気の流速と発生する音の周波数との相関などを調べました。
実験で使用された、長さの異なる円柱が取り付けられた円形プレート。
内部を通る空気の流速と円柱の長さによって、異なる周波数の音が鳴る。
実験系のセットアップ。パイプ内部と吹き出し口の外側で音を測定・解析している。
その結果、沸騰が始まったばかりの蒸気の速度が小さい時には、注ぎ口内部で起こる空気の振動によって音が発生することが判明。これに対して、沸騰が進んで蒸気速度が一定速度を超えると、吹き出し口の外側で発生した小さなジェットの渦が形成され、これによって音が鳴っていることが明らかになったとのことです。
ただし、Henrywood氏によると、実際のヤカンは注ぎ口のカーブや吹出し口の形状が様々なので、中にはこれら2つの現象が同時に起こる場合も有り得るとのことです。
ここで述べた沸騰初期に音が鳴る原理はヘルムホルツ共鳴といって、ペットボトルの口の部分に息を吹きかけて音を鳴らすのと同様の現象です。
結果を表す模式図。圧力上昇にともなって蒸気の噴出速度が
一定以上になると、微小なジェットの渦が発生する。
コーヒーを入れたりお茶を入れたりするために、毎日のようにお湯を湧かしているヤカンですが、こんな身近にある、何気ない現象が長年にわたって科学者の頭を悩ませていたのかというのは、何とも興味深いことですね。
[mailonline] [The aeroacoustics of a steam kettle(Physics of Fluids)]
長年聞いてたあの音が未解明だったことに衝撃を覚えた。
それ
むしろ沸いたことがわかるようにそういう風に作ってあるもんだと思ってた
原理は分からないけど、そういう風に作れば音が鳴るから付けてたんだと思う
世界に名だたる天下のケンブリッジでは、この手の研究が許容されるのですね。
日本の国立大学なんぞが同様な研究をしようものなら、予算出して貰えないだろうし、仮に予算出たとしても周りから税金泥棒呼ばわりされるんだろうね
吹き出した後に渦が発生してなってるのか
ちなみにヱロゲーなどで使われるピー音を被せるのを「かぐや消し」と呼ぶらしい
また一つ賢くなった
やっぱりガジェ速のコメ欄は最高だぜ!
厳密には、ピー音被せてるのになぜか聞き取れる現象の事を言う
今は落ち目の某エロゲ会社が用いた事により…
無駄な知識だけが増えるから困る
俺の絶対に役には立たない知識辞典がまた1ページ…
イグノーベル賞受賞待ったなし!!
ヤカンのピー音の正体を本気で解明したかったのか、
それともこの正体を解明すれば他の様々な技術が進歩するのか。
反物質エンジンへの道が開けた
口笛の原理かと思ってたが
音源である渦の形成を阻害すれば音が消えるって事で、口笛と原理は同じはず。
試しに口笛吹きながら手を口元に近づけていったら、ちゃんと音消えるしね。
トロンボーンのようにヤカンの口を可変長にすれば、演奏するのも思いのままということですな。
ネコのゴロゴロ音の解明はまだですか?
たしかに言われてみれば知らなかった。
こういう、一見「くだらねーww」って思えるような事象であろうが
真剣に追究する姿勢はマジでリスペクトだな。
口笛と同じじゃないの?記事読んでないけど
ドーナツ型の息吹くと音がなるガムと同じってこと?
概ねそういうこと
用は口笛にしろガムにしろ渦が関わってるらしい
いや、この手の空力騒音は日本でも研究されてっから。蒸気ってのはなかったがな。
原因はわからなくても有効なら使うのが基本だからな
最近まで正露丸も何故腹痛が治まるかはよく判っていなかったし、刃物による切断もだ