春香「惚れ薬を飲んだみんなと見られた私」
- 1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/18(金) 05:54:03.61 ID:pcYpOVdqo
それはあまりにも突然の出来事でした
ご自由にと書かれたバスケットの中のお菓子
ご自由になら食べてもいいのかな?
食べてもいいよね?
と、千早ちゃんと一緒に摘んだわけだけど
「あっ食べちゃったの?」
「えっ」
急に小鳥さんがお茶を持ってきて、
そして言ったのです
「その中に、惚れ薬入りのお菓子が混じってるから気をつけて」
……と。
千早ちゃんがとったのは白いお饅頭
私が取ったのは普通のクッキー
「お饅頭の方だからね、気をつけてね?」
「……春香」
小鳥さんの語尾のように、となりからの声が続く
「えっと……千早、ちゃん?」
温かい千早ちゃんの視線を感じる
「春香……ふふっ、可愛い」
これ、多分ダメなパターンです
- 2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/18(金) 05:59:49.76 ID:pcYpOVdqo
「春香!」
「っ!」
ソファからの緊急離脱
千早ちゃんが顔からソファに倒れこむ
「小鳥さん!」
「ふふっ幸い今日はオフでしょ? 良いんじゃないかしら」
何がいいのかさっぱりわからないけど、
とりあえず
「時間はどれくらい経てばいいんですか?」
「ん~……大体2時間くらいかしら」
大体だなんてなんて曖昧な時間
こんな状態の千早ちゃんを外に出すわけにはいかないし……っ!
「春香……どうして? 春香、どうして逃げるの?」
「ひぃっ」
ゆらりと立ち上がり、上目遣いの鋭い眼光が私を捕える
普通に怖い、殺されそうな勢いで怖い!
- 3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/18(金) 06:04:58.45 ID:pcYpOVdqo
「これっヤンデレ化の間違いじゃないんですか!?」
「春香……どうして無視するの? どうして逃げるの?」
ソファが軋み、
千早ちゃんの足が床へと降りていく
トッ……トッ……と、
千早ちゃんの足音が向かってくる
なんてホラー、なんてヤンデレ!?
「春香……逃げる必要なんてないのよ?」
「え、え~っとぉ……」
チラッと小鳥さんへの救援要請
だけど、そこはやっぱり小鳥さん
面白そうにニヤニヤと私たちの行く末を見守るつもりらしい
「春香ちゃん、あくまで惚れるだけだから、危険はないはずよ」
「すでに貞操……命の危機ですよ!」
- 4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/18(金) 06:09:18.55 ID:pcYpOVdqo
「は~る~かっ」
「ひっ」
ドンッと背中が壁にぶつかった
「ふふふっ追いかけっこはおしまいね」
圧倒的絶望を前に、
私の体は動くことができなかった
震える体は言う事を聞かず
その首筋を千早ちゃんの指がなぞっていく
「ち、千早ちゃ……」
「春香には私を見て欲しいの……」
「み、見てるよ? 結構見てると思うんだけどなっ!」
後ずさることもできない私は
千早ちゃんの怪しげな手の動きを一身に受けるしかなく
夏の暑さも相まって汗が滴り落ちていった
- 5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/18(金) 06:16:12.35 ID:pcYpOVdqo
「結構じゃ嫌よ……」
「へ?」
「常に私を見て欲しいの」
そんな無茶なことを言われても……困るよ
「だから、ね?」
千早ちゃんの右手が顎をクイッと持ち上げる
「あ、あのえっと……」
「春香」
温かくて、柔らかい唇の感触
押しつぶされるように唇の厚みが減っていく
「……………」
「……………」
互いの呼吸が止まった瞬間
その分だけ心拍数が跳ね上がった
- 6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/18(金) 06:24:02.49 ID:pcYpOVdqo
千早ちゃんが徐々に離れていく
同時に唇の厚みが戻って言っているはずなのに
その強烈な感触が唇には残っていた
「…………………」
キスされたんだよね?
千早ちゃんに、キスされちゃったんだよね……?
確かめるように唇を指でなぞっていく
柔らかい自分の唇
そこに重なった千早ちゃんの唇
「っ……」
「春香……?」
惚れ薬なんていうモノによる偽物の心
「ぇ、えへへ……や、柔らかいなぁ」
千早ちゃんの気持ちを勝手に操作して、思いのままにキスさせて
こんなの可愛そうだよ……
「で、でもっ禁止ね? 見られたら困るし」
私自身の唇を奪われたのも少し悲しいけど
千早ちゃんの本当の意思に関係ないキスだったことが、
もっと悲しかった
- 13: ◆Uj66a4ANfQ:2013/10/18(金) 13:34:31.58 ID:MZvRJxp8o
「春香、誰も見ていない今ならいいでしょう?」
「だ、ダメだよ。小鳥さんが見てるから、っていうか観てるから!」
「そう……音無さんが邪魔なのね?」
千早ちゃんはそう言うやいなや
ぐるっと首だけを回して小鳥さんを見つめた
「ピヨッ!?」
「音無さん、たしか……必要なものを買いに行くのでは?」
「ひ、必要なもの……?」
明らかになさそうな表情
というか、千早ちゃんに怯えている表情だ
って、出て行かせるつもりなの!?
- 14: ◆Uj66a4ANfQ:2013/10/18(金) 13:35:32.23 ID:MZvRJxp8o
「そ、そんなのあったかしら……」
「ほら、お茶とか、お菓子とか、電球とか、色々あるじゃないですか」
「それなら昨日プロデューサーさんが」
小鳥さんが困ったように笑う
さすがに2人きりはマズいと悟ったんだろう
もう、色々と遅いけど。
「 お と な し さ ん 」
不意に響いた声
それがすぐ近くだったからか
あまりにも暗く低い声に感じた
- 15: ◆Uj66a4ANfQ:2013/10/18(金) 13:40:24.25 ID:MZvRJxp8o
「ひゃいっ!」
「応接室……お借りしても?」
「へっ……え、いや……」
小鳥さんは困ったように私を見つめてくる
いや、見られても困りますって
助けてくださいよ、小鳥さん!
その願いが通じたのか小鳥さんは小さく笑った
「え、ええ……少しなら」
……………
………
……
通じてなかった
「さ、春香。2人きりになれるみたいよ」
「ちょ、ちょっと、小鳥さん、小鳥さぁぁぁん」
応接室の中に引きずり込まれる寸前、
見えた小鳥さんは申し訳なさそうに手を合わせていた
……合掌
「じゃ、ないよ! 酷いよ! 惚れ薬だってどうせ小鳥さん仕込みなのに!」
- 17: ◆Uj66a4ANfQ:2013/10/18(金) 13:51:16.79 ID:MZvRJxp8o
「春香、急に大声でどうしたの?」
「どうしたのじゃないって……正気に戻ってよ……」
再び千早ちゃんから逃げ回れるようになったは良いものの、
千早ちゃんから逃れる代わりに、
扉がガチャッと鳴ったのを聞き逃してないよ
つまり、逃げるためには数コンマぐらい扉の前で立ち止まらなくちゃいけない
だけどそんな隙を与えた瞬間捕まるのは確実
だって今の千早ちゃんまるで野獣だし、狩人だし
「千早ちゃんだって嫌だよね!? 好きじゃない人とキスしたりなんだりなんて!」
「あら、私は春香が大好きよ。タイムリープしても忘れないほど強く想っているわ」
「タイムリープ……? あぁ……」
千早ちゃんが声を当てたあれかぁって
感傷に浸ってる場合じゃないよ!
頭を振り、ソファ越しの千早ちゃんを見つめる
「でも、それは薬のせい。本当の千早ちゃんが私を好きだとしても」
「春――」
「きっと、今の千早ちゃんとは違う友達としての好き。だから――その想いは受け入れられない」
「春香……」
千早ちゃんの明らかに悲しそうな表情
薬の効果が切れたら、こういうやりとり全部忘れてくれるのかな
- 29: ◆Uj66a4ANfQ:2013/10/18(金) 21:36:37.00 ID:x1TV2qTXo
「ごめんね?」
今の自分の表情は、
さっきの小鳥さんのように困っているのか、
それとも……苦笑しているのか
私には見えず、ただ口元gヒクつくのを感じるだけ
「……駄目」
「え?」
「そんなの……駄目!」
千早ちゃんは千早ちゃんらしからぬ感情をむき出しにした顔で私を見つめていた
嬉しさではない
悲しさしか感じられない涙をこぼしていた
「私は好きよ! 春香が好きなの! 狂おしい程愛おしいの!」
「違うよ! 今の千早ちゃんは惚れ薬でおかしいだけ……だから――」
- 30: ◆Uj66a4ANfQ:2013/10/18(金) 21:46:17.21 ID:x1TV2qTXo
ほんの一瞬だった
ううん、ほんの一瞬だったのは自分の体感時間での話
実際は数秒、数十秒くらいだった
千早ちゃんの言葉を否定しようと首を振る
その時に、私は目を瞑っちゃったんだ
目を開けていたくなかった
千早ちゃんの惚れ薬のせいな心だとしても。
否定し、拒絶し、
傷つけ、苦しめるということが私には耐えられなかった
その結果。
「おかしくなんかない!」
「きゃぁっ!?」
私はソファを乗り越えてきた千早ちゃんに押し倒されてしまった
- 31: ◆Uj66a4ANfQ:2013/10/18(金) 21:55:32.34 ID:x1TV2qTXo
「やめて……止めてよ春香」
「っ……止めてよ、千早ちゃん」
押し倒され、腕も足も押さえつけられた私は
抵抗できる要素が何も残されていなかった
「ひどいわ……貴女なら、貴女なら私の心を否定したりしないと思っていたのに」
「千早ちゃん、今の千早ちゃんは惚れ薬――」
「それでもよ!」
千早ちゃんの大声が耳に痛い
千早ちゃんの涙が心に痛い
「それでも……この思いは、如月千早のものなの……」
「………………」
薬にせよ、なんにせよ
今の千早ちゃんが私を性的に好きであることは
千早ちゃん自身の意思だってこと……なのかな……
だとしても。
「本来の千早ちゃんじゃないなら。私は受け入れないよ……受け入れちゃ、いけないんだよ」
- 33: ◆Uj66a4ANfQ:2013/10/18(金) 22:04:14.16 ID:x1TV2qTXo
「どうしても?」
「……うん」
私はこの選択を後悔したりしない。
今の記憶が消えるにしても、消えないにしても
千早ちゃんが今みたいに積極的に接触してきたり、
好きだとか大好きだとか、愛してるだなんて言ってくる事はきっとない
ここで私が望めば千早ちゃんとはどんなことだってできるのかもしれない
でも……ダメなんだよ
そんなの、受け入れちゃダメなんだよ
「千早ちゃんのこと、大切だから。大事だから。だから……こんなことで決めたくないんだ」
「……………」
「ごめんね?」
今の私はきっと笑ってる
でも、倒れ込んでいるせいか、耳元の方に雫が流れていく
「……ううん、良いの。貴女が私をそこまで思ってくれてるって解っただけで私はもう……十分よ」
千早ちゃんはそう言って微笑む
閉じた瞼から滴る雫が私のそれと混じって床へとしみていった
- 34: ◆Uj66a4ANfQ:2013/10/18(金) 22:10:37.49 ID:x1TV2qTXo
「ねぇ……春香」
「ん?」
「キスが……したいわ」
千早ちゃんの急な申し出
いや、さっき強引にされちゃったし、
そんなこと言われるとその記憶があぁぁぁぁああぁぁぁっ
ボンッとオーバーヒートしそうな勢いで顔が熱くなっていく
「駄目?」
「うっ……だ、駄目」
「そう……残念だわ」
千早ちゃんはだんだんといつもの調子に戻りつつあるのか、
私の拒絶にもあまり悲しそうな反応をすることはなかった
「……ねぇ、春香」
「なに?」
千早ちゃんはその綺麗な瞳を私へと向けた
- 35: ◆Uj66a4ANfQ
コメント一覧
-
- 2013年10月24日 17:48
- ありがとう(^w^)晒し体謎のハンター全く夜勤ランカスター私は。
-
- 2013年10月24日 17:59
- カブト虫っておいしいですよね?
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- 2013年10月24日 18:25
- ひどい文章
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- 2013年10月24日 18:33
- 悪ふざけ物かと思いきやドシリアスだった
やよいはいつでも天使だなぁ!
-
- 2013年10月24日 18:43
- 小鳥さんを焼き鳥にしたいと思ってしまった…
-
- 2013年10月24日 18:47
- 大体、小鳥さんのせい。
-
- 2013年10月24日 18:53
- お姫ちん最高
-
- 2013年10月24日 19:00
- クソみてぇなSSに付き合わせやがって
★5個じゃ足りねぇぜ
-
- 2013年10月24日 19:00
- 良い文章だな、特徴的で
小鳥は焼かれるべきだな
貴音さん可愛い
-
- 2013年10月24日 19:02
- なかなか満足
-
- 2013年10月24日 19:05
- SS速報で途中まで見てたがやっぱ面白い。贅沢言うなら全員分が欲しかった所
-
- 2013年10月24日 19:36
- このピヨちゃんは赦されない
-
- 2013年10月24日 20:18
- つまんねー。
最近春香の百合SS多すぎてうざいわ
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- 2013年10月24日 20:33
- 続きがみたいな
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- 2013年10月24日 20:51
- これは焼き鳥にしてもいいレベル
やりすぎだろピヨ子
-
- 2013年10月24日 21:25
- まさかこんなシリアスとは思わなんだ
-
- 2013年10月24日 22:33
- これはいいけど重いなぁ
欲をいえばあずささんが見たかった
-
- 2013年10月24日 22:38
- 小鳥さんもちょっとしたイタズラのつもりだっただろうに、大事になって顔面蒼白になったんだろうな~
しかし許さんよ
-
- 2013年10月24日 22:40
- はるかっすと女の子がイチャイチャしてんの誰得なんだよ
-
- 2013年10月24日 23:28
- はるたかなんて希少な物が見れて満たされすぎて死にそうです。あずはるを見たら死んでました
-
- 2013年10月24日 23:38
- ※17、※20
同じ作者のこいつを教えてやるよ
あずさ「春香ちゃん、ちょっと良いかしら~」
-
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