【とらドラ】 大河 「誰もが欲しがるそれは、優しくて、とても甘いだけじゃない」
- 3 : ◆.a46lvF.pU 2013/09/26(木) 05:05:43.47 ID:zPAbKesD0
- 昨日は高校の卒業パーティーだ2次会だと騒ぎに騒いだ。
大河は『転校してしまったから』と遠慮してしまったため、俺は大河を置いて3年のクラスでの打ち上げに参加した。
俺だって本当は嫌だったし、大河と一緒にいたかった。
けど、クラスも学校も違う大河を無理矢理連れて行っても、大河も、クラスの連中も気まずくなるからそこはぐっと我慢した。
そして1日明けて今日。待ちに待った大河との時間だ。
よくよく考えれば俺と大河は気持ちを通じ合わせてすぐに離れ離れになってしまった。
そりゃメールや電話で連絡は取り合っていたが、そこは遠距離。
どうしても埋められない溝がそこにはあった。
- 4 : ◆.a46lvF.pU 2013/09/26(木) 05:15:49.66 ID:zPAbKesD0
- けど今はそうじゃない。
話しかければ肉声が帰って来、
向日葵のような大輪の笑顔を間近で見ることができ、
触れようと思えば触れられる距離にいる。
そう、俺達はまた傍にいることができるようになった。
しかもそれは『恋人同士』としてだ。
今までできなかったデートや甘々トーク、他にも「はいアーン」やハグやキス、その他諸々が目の前に…!!
「ねえ、それ取って」
しかし妄想はそこで強制終了。割って入ったのは大河のダルそうな声。
大河は今、高須家の居間で昼食中だ。
「は?それって何だよ」
「全く…1年経っても駄犬なままね。それ……醤油よ」
顎で指すな顎で。
「ほらよ」
「ん」
ええええええぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーー!!!!!????
- 5 : ◆.a46lvF.pU 2013/09/26(木) 05:26:58.69 ID:zPAbKesD0
-
何だこれは!!?
これじゃ、まるで倦怠期の夫婦みたいじゃねえか!!
甘々トークは?「はいアーン」は?
全部すっ飛ばして倦怠期かよ!!
「た、大河さーん。なにかご立腹ですか?」
「モグモグ……別に」
そう言って昼食に没頭する彼女……
あれ?俺達って付き合ってるよな?違ったっけ?
いやいや、大河が引っ越してからも連絡は密にとってたし……でもそれは友達同士でもするか。
いやいや、でもキ……キスだってしたし。好きだって言われたし、俺も言ったし……
間違いない。俺達は付き合ってるはずだ。
- 6 : ◆.a46lvF.pU 2013/09/26(木) 05:38:30.83 ID:zPAbKesD0
-
「な、なあ大河。俺達って付き合ってるよな」
「ぶはっ!!!!」
「きったねえ!!!!卵焼きの毒霧とか何の恨みがあんだよ!!」
「あ、あ、あああ、あんたがいきなりハレンチなこと言うからでしょ!」
「は?破廉恥?何がだよ」
「……つ、つつつ、付き合ってるって」
はあ?そんなことが破廉恥なのかよ。こいつの感性はよくわからんな。
「はいはい、それで俺達は恋人であってるよな」
「し、知らない!!」
「なんでだよ!!」
- 7 : ◆.a46lvF.pU 2013/09/26(木) 05:48:41.96 ID:zPAbKesD0
-
「そんなことより早く食べないと遅れちゃうでしょ!!」
「そんなこと!?そんなことってなんだよ!」
「もう知らない!!」
そう言って会話は終わったとばかりに食事に戻る大河。
皿の上にあったおかずが次々となくなってく。俺も早く食べないと白米だけになっちまうな。
はあ、俺の春はいつ来るんだろうか……
―――――――――――――――――――
―――――――――――――――
―――――――――――
- 8 : ◆.a46lvF.pU 2013/09/26(木) 06:03:10.40 ID:zPAbKesD0
-
「………………………………」
「………………………………」
く、空気が重い……
あの後も大河は口を利いてくれず、今も二人黙って待ち合わせ場所へと向かってる。
傍からみたら徒競走をしている二人にでも見える事だろう。
はあ……何が大河の逆鱗に触れたのやら。こいつは怒りっぽいから何が原因かなんか分かりそうもない。
「ぉーーーい!」
「お?この声……」
俺が言いたいことを言い終わる前に大河が駆け出した。
まったく、どんだけ好きなんだよ。妬けちまうな。
- 9 : ◆.a46lvF.pU 2013/09/26(木) 06:17:37.71 ID:zPAbKesD0
-
「おーーーい!! たーいがーーー!!」
「みんの………りーーーーん!!!」
大河が櫛枝に抱き付く。いや、あれはそんな生易しいものじゃないな。
アメフト部も真っ青な見事なタックルだ。
「よーしよしよし。今日も元気があってよろしい!」
「うん!みのりんも元気そうだね」
「あたぼうよ!元気だけが取り柄なみのりちゃんだぜ。しかも今日は大河と遊ぶんだからなおさら元気さ!」
「よかった、今日は一杯遊ぼうね!」
「おうよ!」
久しぶりの再会を喜ぶ二人。昨日はちょっと喋っただけで櫛枝もクラスの方に顔を出してたからな。
- 10 : ◆.a46lvF.pU 2013/09/26(木) 06:28:25.36 ID:zPAbKesD0
-
「よ」
大河に少し遅れて俺も櫛枝に挨拶をする。
「お、高須君もおはよ」
「おはよ、っつうか今は昼だけどな」
「ちっちっち~業界人は昼も夜も挨拶は『おはよう』なんだぜ~? 覚えときな」
「どこの業界だ」
「ふ、それは秘密だ」
相変わらず変で掴みどころがない奴だな。
「それより他の奴らはまだか?」
「私は1時にここ到着しました。そして高須君は私より5分遅れてやってきました。
大河は高須君より1分早く来ました。
さて!他の人はいつ来るでしょうか!!」
「知らねえよ。
なんで算数の問題みたいなんだ。しかもあとの二人はそれだけじゃいつ来るか分かんねえよ」
「ふ、さすがだぜ高須君。正解は『後の二人はいつ来るかわかりません』だー!」
「そうか、じゃあちょっと待ってるか痛たたたた!!」
大河が俺の足先をヒールでぐりぐりと押しつぶす。
- 11 : ◆.a46lvF.pU 2013/09/26(木) 06:40:19.07 ID:zPAbKesD0
-
「痛い!痛いっつうの!!おい!なんだよ大河!」
「ふん!」
そっぽを向いて怒ってますのポーズ。なんなんだよ一体……
「あらら~~大河に怒られちゃったね。これはちょっと自重しないと」
「ちょ!みのりん!!!」
「自重?」
俺が首を傾げて櫛枝の言葉の意味を探る……
「おーーい!すまーん、遅れてしまったみたいだな」
前に待ち人来る、だな。
「逢坂、久しぶりだな」
「うん、北村君。けど挨拶は昨日もしたよ?」
「おっと、そうだったな」
「タイガー、あんたちょっと背伸びたんじゃない?」
「これっぽっちも伸びちゃいないわよバカチー」
「あー、じゃあ大きく見えたのは横幅が大きくなったせいかな~」
「ぐっ!!!!」
大河が胸に両手を重ねる。心当たりがあるのか。
- 12 : ◆.a46lvF.pU 2013/09/26(木) 06:55:25.21 ID:zPAbKesD0
-
「そういうバカチーだってちょっと太ってんじゃない!」
「太ってないわよ!これは胸が大きくなったの!!」
なに!!?っとと、そうじゃなくて…
こんな往来激しいところでそんなこと言うなよな。
「まあまあお二人さん。ともにダイエットを心掛ける者同士、仲良くやっていこうじゃあ~りませんか」
ここで櫛枝の謎の仲介が始まった。どうやら喧嘩にまではならなさそうだな。
と言うわけで余った者同士仲良くやるか。
「それより、お前が遅れるなんて珍しいな」
「すまんな、亜美の用意に手間取ってしまってな」
「あーあいつなら化粧だなんだで1時間くらいかかりそうだしな」
「そういうわけだ。立ち話もなんだしそろそろ行くか」
「おう。 おーーい、皆揃ったし移動するぞー」
姦しい奴らに移動することを伝え、ぞろぞろと目的地へ。
- 19 : ◆.a46lvF.pU 2013/09/27(金) 00:23:14.17 ID:Mu/gc6TI0
- やって来たのは
「うわーーー!ジョニーズ!!すっごい久しぶり!!」
そう言って大河が周りをキョロキョロと見回す。
大丈夫だよ、内装から設備まで何一つ変わってねえよ。
「いらっしゃいませ~5名様ですか?」
「はい」
北村が応える。
「ではこちらの席へどうぞ」
店員に案内され、ドリンクバイキングと昼メシ(北村と川嶋の分)やデザート(ダイエット戦士2人分)を頼んで、いざ待望の再開。
- 20 : ◆.a46lvF.pU 2013/09/27(金) 00:37:37.70 ID:Mu/gc6TI0
- 「それより大河、本当に久しぶりだね!」
「そうだねみのりん!!」
大河は2年の最後の冬に母親の下に行ってから俺達とは会っていなかった。だから1年ぶりの再会だ。
勿論、それぞれメールや電話はしてたんだろうけど。
「それより大河、こっちに急に帰ってきたからみのりんはびっくりしちゃったぜ!」
「本当?皆をビックリさせたかったから内緒にしてたんだ! 成功してよかった」
俺も帰って来るとは一言も聞いてなかった。だから当然、昨日はびっくりした。
「チビトラはいつまでこっちにいんの?」
「しばらくずっとよ」
「やったね!」「ふ~ん、そうなんだ」「ほう、そうなのか」「本当か!?大河!」
「竜児にも内緒だったけど、大学はこっちなの。だから親元を離れて4年間はこっちで一人暮らしなの」
「一人暮らしって……お前大丈夫なのか?」
「大丈夫よ」
やけに自信満々だな。この1年で母親に仕込まれたのか?
- 21 : ◆.a46lvF.pU 2013/09/27(金) 00:47:32.23 ID:Mu/gc6TI0
- 「竜児の家まで歩いて3分の距離だから」
「って俺頼みかよ!!って3分!?」
「そ、前のマンションはやっぱり住みたくないし、そうなったら空いてるマンションでいい感じなのがそこしかなかったのよ」
「そっか。んでお前はどこの大学に行くんだよ。俺にまで内緒にしやがって」
「××女子大。だって言ったら絶対下宿ってばれるじゃん」
「××女子大!?お前がか!?」
「何よ!駄犬のくせにご主人様に文句言うの!?」
「いや、文句はねえけどよ……」
××女子大って言ったらそれなりのお嬢様学校じゃねえか。
そういや、こいつって成績はそんなに悪くなかったんだったな。
- 22 : ◆.a46lvF.pU 2013/09/27(金) 00:59:23.50 ID:Mu/gc6TI0
- 「私よりも皆はどうすんの?みのりんは体育大だよね」
「おうともさ!推薦入試で夢の体育大ゲットだぜ!」
「そっか、よかったね。みのりん」
「うん!」
そう、櫛枝は体育大に行くことになった。これでソフトボール日本代表にも1歩近づいたってところか。
「バカチーは?」
「△△大学よ。この時代モデルだ女優だっつっても先立つものがなきゃね~」
あいかわらず堅実だな。
「バカチーはモデルは続けんの?」
「一応そのつもりよ」
「そっか、んで北村君はアメリカ留学だよね?」
「ああ、そうだぞ」
「そっか。頑張ってね」
「ああ、ありがとう逢坂」
「頑張ってね」か。多分、狩野先輩のことを言ってんだろうな。
好かれ、好いた者同士で恋愛の応援ってのも変な感じがするな。
- 23 :
コメント一覧
-
- 2013年10月25日 20:16
- と、とドラ!だと!?
-
- 2013年10月25日 20:31
- ※違うよヾ(´・ω・`)
-
- 2013年10月25日 21:14
- 懐かしいな、とらドラは良作だからな
-
- 2013年10月25日 21:35
- おいおいおい、いいじゃねえか。いいじゃねえか。
-
- 2013年10月25日 21:44
- やっべえニヤニヤが止まらねえ ゴールデンタイム見てるととらドラメンバーでの大学生活とか妄想したくなる
-
- 2013年10月25日 22:32
-
これは良SS!!
とらドラは登場人物がアレなのばっかりだけど綺麗な終わり方したから大好きだわ。
しっかし二次創作SSは吃驚する程少ないよな~禁書SSなんて腐る程あんのに。
-
- 2013年10月25日 22:57
- あ
-
- 2013年10月25日 23:13
- 肉体関係どうのこうのってゲームの話か?
-
- 2013年10月25日 23:13
- 遠距離恋愛だったってことは、アニメの終わり方かな?原作は確か大河は新学期に戻ってくるんだよね?
-
- 2013年10月25日 23:30
- とらドラSS凄く面白かった!