台湾の公正取引委員会にあたる公平交易委員会は、ネット上で一般人になりすまして自社製品を持ち上げ競合製品を貶めていたとして、台湾のサムスン電子に1000万新台湾ドル (約3300万円)の罰金支払いを命じたことを明らかにしました。
またサムスンとの契約のもと実際にステルスマーケティングを実施した台湾企業についても、それぞれ300万新台湾ドル、5万台湾ドルの支払いを命じています。
公平交易委員会によると、台湾サムスンとステマを請け負った鵬泰顧問有限公司 (鵬泰) は2007年から2012年にわたって契約し、Mobile 01 などのネット掲示板を中心に、自社製品をことさらに持ち上げる、自社(サムスン)に不利なニュースは大したことではないと思わせる、他社製品と比較して優れていると主張する、競合製品の短所を強調するといったコメントを、一般ユーザーになりすまして多数投稿していたとのこと。
この業者とサムスンのあいだでは毎月・毎週のペースでなりすまし投稿の数や成果、今月・今週の課題、今後のなりすまし発言の計画などの連絡があったとされており、「業者が勝手にやりました」が通用しない罰金額につながったようです。
台湾の公正取引法にあたる公平交易法では、第24条で「欺瞞的又は明白な不公正な行為」を禁じており、いわゆるステルスマーケティングやヤラセのたぐいもこの条文で規制されています。
台湾の公平交易委員会とサムスンといえば、今年の春頃のニュースで、地元企業HTC に対する匿名の中傷やステルスマーケティングについて調査を開始したという話がありました。罰金支払い命令はその調査に基づくものと思われますが、公正取引委員会の今回の発表にはHTCの名は含まれていません。
さて、最新のフラッグシップ スマートフォン
GALAXY S4 が半年で4000万台売れたというサムスンならば、わざわざ業者を雇わずとも、無償で「良い買い物をした!」と語りたいユーザーがいくらでもいそうなものですが、掲示板やSNSでの「論調」のようなものを冷静に分析し戦略を立てたうえで、意図的に流れを作り火付け火消しに勤しむプロの存在も貢献した上での現在の成功なのかもしれません。
いまや懐かしい
ソニーのヤラセ炎上騒ぎ でも述べましたが(当時は「ステルスマーケティング」という言葉がなかった)、こうした不正はバレたときに悪評として逆効果になるだけでなく、日々良い製品を作ろうと努力する自社の企画開発部門をも貶め、さらには自腹で製品を購入し自分の判断で高く評価した上でこの良さを広めたい!と願うような購入者に対して「それ時給でやってんの?w 歩合っすか?ww」 と揶揄される状況を作り出すという点で、もっとも優良な顧客に対する裏切り行為であることは肝に銘じていただきたいものです。無償で自分の判断で行動するような人間は顧客でも当てにならねぇ、という経営哲学なのかもしれませんが。