気温の低い高高度を飛行し、雨などで濡れてしまう飛行機の翼が凍り付かないのを不思議に思ったことはありませんか?実は飛行機の翼には、翼の凍結を防ぐための装置「防氷ブーツ」が取り付けられており、この装置によって着氷を防止しています。
今回は、防氷ブーツが発動する様子をとらえた映像をご紹介します。
防氷ブーツは表面に張られたゴム製の薄い膜でできています。着氷性の霧が発生し氷が形成されると空気圧システムが圧縮空気でブーツを膨らませ、この膨張で形成された氷に亀裂を生じさせます。氷は風の流れで吹き飛ばされるので、氷を除去することができます。氷の除去後にはブーツは収縮し、正規の表面形状に戻ります。
この防氷ブーツは古い技術であり、幾つかの欠点を持ち合わせています。ブーツは度々(2、3年毎の周期で)交換しなければならず、防氷ブーツの適切な手入れが重要。ブーツに開いた如何なる穴も空気漏れを引き起こし、これを無くさなければブーツは正常に機能できません。このようにブーツは毎飛行前に綿密な検査を受け、あらゆる穴や亀裂は修復されなければなりません。
防氷ブーツは疑いなく数多くの人命を救い、着氷が予想される天候での飛行を可能にしていますがブーツが着氷を飛散させるよりも早く氷が形成されたり、ブーツが装着されていない機体表面に揚力や制御を危険なほど喪失させるような氷が張り付くような過度に厳しい着氷には対処できません。
こんな装置が飛行機に取り付けられていたこと事態知らない人も多いのではないでしょうか。日常生活の環境と大きく異なる空では、想像もしない現象が起こっているようです。
予備