シェイクスピアの戯曲みたい。映画「スティーブ・ジョブズ」のジョシュア監督にお会いしてきたよ!
日本での公開はiPad Airと同じなんだよなぁ。運命的。
ギズでも、予告動画や、アシュトンの役作り、レビューまで追ってきた映画「スティーブ・ジョブズ」がもうすぐ公開になります! 先日もアップルから数々の新製品が発表されたばかりですし、本当にこの秋は大収穫祭ですね。ということで、今回は本作の監督を勤められたジョシュア・マイケル・スターン監督にお話を伺ってきました!
3つのチャプターで構成されるジョブズの人生
ギズ:「スティーブ・ジョブズ」を見て、とても直観的だなぁという印象を受けました。音楽の使い方がとても印象的で、かつ映像も素晴らしくて。これってアップルの「直観的」な社風、ジョブズの思想などを汲み取ったものなのでしょうか?
ジュシュア監督:音楽はスティーブ自身がとても好きだったもの。そして音楽は「その時代に人を連れて行く」ことができるものだと思っています。「彼が生きた時代」を観ている人に感じて欲しいと思って音楽はふんだんに使いました。
また、この作品は70年代、80年代、そしてもっとカラフルな現代、という3つのチャプターで構成しています。映像面では、この3つのチャプターでフレーミングも変えていているんですよ。1番最初は彼が仲間・友人・恋人という「人の中」にいるのを表現したかったのでロングレンズを採用しています。2番目は、彼が宇宙船の中で孤立しているかのようなイメージにしたかったのでワイドレンズ。最後は「再生」という意味をこめてまた違うフレーミングにしました。カメラやフレームにはこだわったのですが、CGなど特殊効果はなるべく使わないようにしました。iPhoneのようなシンプルでクリーンな映画にしたかったんです。
ギズ:確かに作品の序盤はセピアっぽい色合いに見えました! 逆にアップルが少し大きくなってきた時代は全体的にブルーがかった映像になっているように感じました。
ジョシュア監督:最初のチャプターは自然が美しく表現できるようにレンズフレアを加えました。太陽光線が入るように赤いセピアな感じで。逆に中盤は自然から切り離された感じにしたかったので、硬いフレームを採用していて、ブルーの色調が出ています。最後はガーデニングをしているシーンで表しているように、また彼が自然に戻っていく、自分のルーツに戻る…つまりアップルに戻ることを表現しています。
ギズ:1番好きなシーンはどこですか?
ジョシュア監督:そうだねぇ。やっぱり1番好きなのは1977年のコンピューターフェアのシーンですね。あそこのシーンでは現代のコンピューターが誕生するシーンを描いたから。彼は本当にキングのような存在感で、それを表現するためにハイショットで撮影しています。
ギズ:当時の新しい時代に対するワクワクする感じがビシビシ伝わってきました。
ジョシュア監督:あそこのシーンは、本当はとても地味なんです。ガレージの中でもくもくと手作業で基盤を作るという画がほとんど。でも、そんな地味なシーンをセクシーに描きたくて、スローモーションにしたり、webカメラを使って撮影したりしました。ロックな感じでね。そのハイライトとしてコンピューターフェアがあります。
ギズ:ジョブズはどういう人に見えますか?
ジョシュア監督:彼はいろんなものを発明した天才だし、何がクールなのかを理解していた人。でも、私生活の面ではあまり共感できなかったところもありました。僕は神様ではなくて、人間を描きたかったんです。人間というのは間違いや問題もある。彼は私生活において人を愛することは苦手だったかもしれないけれど、自分の製品で愛を表現した人なんだと思ってます。
ギズ:確かにポスターでも「最低な男が、最高の未来を創った」と書かれますよね。でも、一般的にはスカリーとの争いが多く描かれるジョブズの人生ですが、この作品はスカリーとの争いよりもマークラにスポットが当たっています。ジョブズにとってマークラはビジネス面での父親的な存在だと思うのですが、最後にはマークラも追放してしまって…もしかしてフロイトの言う「父親殺し」的な裏テーマがあったり…?
ジョシュア監督:あはは! いいですねその見方(大爆笑)。スティーブはとても「大きな人生」を送っていて、そういう人生を描くにはシェイクスピア的な描写が必要だと思ったんです。
マイク・マークラは「ジョブズに投資した人」、「投票してジョブズを追い出した人」、そして「ジョブズから追い出された人」。ダニエル・コトキやウォズなどのガレージ時代の仲間が離れていき、最後にマークラを追い出すことで過去を全て清算するように描きました。そして新しいアップル、新しいスティーブ・ジョブズとして再び誕生し、iMacを生み出したわけです。その最後のピースとしてマークラとジョブズのドラマが必要だったんです。
世の中を変えた、それがアップル
ギズ:iPad Airは映画の公開と同じ11月1日に発売される予定ですが買いますか?
ジョシュア監督:Yes! iPad Airは買う予定ですよ! iPhoneは30年前にスティーブ・ジョブズが思い描いたものの集大成だと思っています。僕はこの前、本当のお金持ち…何千億と資産を持つプロデューサーとランチをしたのですが、彼はiPhoneを使っていました。でも、バスボーイもiPhoneを使っています。昔は、素晴らしいテクノロジーはお金持ちの人しか使えなかった。でもiPhoneは、王様のような人から貧しい人まで同じテクノロシーを使って、その恩恵に与ることができる。これが、彼が本当に実現したかったことだと思ってます。
ギズ:ヒッピーですね。ということは、監督が思う「1番画期的だと思うアップル製品」ってiPhoneなのでしょうか?
ジョシュア監督:そう、彼は本当にヒッピー。でも、1番革命的だったのはiPodだと思ってます。iPodが世の中を変えたから。まず音楽産業を一変させた。そしてあの小さなガジェットで自分のアートを全て持つことができるというモバイル性を普及させた。もちろんiTunesも音楽流通に革命をもたらしましたよね。つまり、iPodが産業を作り変えてしまったんです。iPodがあったからこそ、iPhoneで携帯電話産業にも革命をもたらし、その先のiPadも作ることができた。iPodが「手の中に自分のすべてを詰め込めるガジェット」の始まりだったと思っています。
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私自身映画を見たときは「えー! なんでこうなの?」と疑問に思ったり、ウォズが「全然違うよ」とコメントをしていたりもしましたが、ジョシュア監督はフィルムメイカーとしてスティーブ・ジョブズの人生を描いたんだなぁと思うと、ものすごく納得しました。映画公開は明日11月1日です。
(嘉島唯)
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