金糸雀と薔薇屋敷のハロウィン攻防戦
- 668 :名無しさん:2013/11/05(火) 22:04:03 ID:pmHdv/yg0
- 西暦20XX年ハロウィン
ローゼンメイデン第2ドール金糸雀は、薔薇屋敷に備蓄されているお菓子を略取すべく
桜田家の三乙女を誘い、侵攻を開始した。これに対し屋敷の主である結菱一葉は籠城の構えを見せる。
金糸雀達は大声で騒ぎながら薔薇屋敷に向かっていたため
結菱一葉のドールである蒼星石が逸早く危機を察知、マスターに進言したからである。
また、薔薇乙女にとってのハロウィンとはトリックorトリートではなくトリックandトリート
…と言うか、悪戯してからお菓子(食糧)を奪うという様式であるため、結菱家の緊張も高まっていた。
固く閉ざされた屋敷の門扉の前で、ようやく自分達が
招かれざる客であることを理解した金糸雀達は、ついに武力による事態の解決を図るのであった。
真紅「ついにと言うか、最初から力尽くでお菓子を攻め取るつもりだったけど」
雛苺「ヒナたち薔薇乙女は欲しいものは奪い取るのが流儀なのよね」
翠星石「うぉーい! そこの二人、ナレーションにツッコミ入れてねぇで早くこっちに来て手伝えですぅ!」
- 669 :名無しさん:2013/11/05(火) 22:04:46 ID:pmHdv/yg0
- 真紅「手伝うって何を?」
金糸雀「この薔薇屋敷の塀を乗り越えるための縄梯子を作るのかしら」
雛苺「はしご?」
翠星石「入り口である門は蒼星石の手によって完全に閉められているです」
真紅「門が使えないなら、上から…か。確かに当然の作戦ね」
金糸雀「そう。そのために雛苺の苺轍を翠星石の如雨露の水で強化して、梯子を編むの。いいわね」
雛苺「うぃ! オッケーなの! いちごわだちぃ」シュルル
翠星石「健やかにぃ~伸びやかに~っとくらぁ」ショロロ
- 670 :名無しさん:2013/11/05(火) 22:05:15 ID:pmHdv/yg0
- 真紅「うんせほいせ」チクチク
雛苺「がんばってアミアミするの」
翠星石「こら、チビ苺! そこ編み目とんでいるですよ。そんなんじゃ登る時にちぎれるですぅ」
真紅「それにしても、まさかここで編み物する羽目になるとは」
金糸雀「ジュンも連れてきた方が良かったかしら?」
真紅「いいえ。どうせ、あの頑固者は文句ばかり言うに決まってる。
それに縄梯子を作るぐらい、下僕の手を借りずとも私達だけで…ほら、出来た」
雛苺「うぃー! 完成なのよー!」
翠星石「いよっしゃ! これを塀に投げ掛けて屋敷の中に乗り込んでやるですぅ」ブンッ
雛苺「おお~! 翠星石の投げた梯子の先がちゃんと塀の内側に引っかかったみたいなの!」
真紅「よし! 中に入ってしまいさえすれば、こっちのもの! 暴虐の限りを尽くしてやるのだわだわ!」
雛苺「お菓子は全部ヒナ達のモノなのよね」
金糸雀「さーて! 誉れある侵入者第一陣はこのカナにお任せかしら」ヒョイヒョイ
翠星石「あ! こらカナチビ! 何を勝手に登り始めて…」
金糸雀「ふふん。翠星石達がすっとろいだけかしら。侵入ミッションはこの乙女番長たるカナに
一日の長があるというもの。そこで指をくわえてカナの潜入スキルを…」
- 671 :名無しさん:2013/11/05(火) 22:09:52 ID:pmHdv/yg0
- §薔薇屋敷・敷地側
オディール「こっちデス! 蒼星石! ここに縄梯子が! このままでは…」
蒼星石「分かってます! 僕に任せて!」
オディール「ウィ! 早く、その高枝切りバサミで、そこに掛かった縄梯子の先っちょを!」
蒼星石「よし! これでOKだ」チョッキン
- 672 :名無しさん:2013/11/05(火) 22:11:24 ID:pmHdv/yg0
- §薔薇屋敷・塀の外側
金糸雀「ぎゃんっ!?」ズベシャアッ
翠星石「ぬおっ! いきなり縄梯子が外れて、カナチビがモロに地面とディープキスしたですよ!」
真紅「梯子を握っていたから受け身が全くとれなかったようね。大丈夫、金糸雀?」
金糸雀「う、くく…! まさか、いきなり砂を噛むことになろうとは…!」
蒼星石『聞こえるか!? 金糸雀そして桜田メイデン達!』
雛苺「蒼星石の声がするの!」
翠星石「むっ! 蒼星石がそこにいるですか! ということは縄梯子を外したのは蒼星石?」
金糸雀「ひ、ひどいかしら! なんてことするのよ蒼星石!」
蒼星石『ひどいのはハロウィンにかこつけて、ウチの食料を根こそぎ奪おうとする君達の方だ!』
翠星石「うるせぇですぅ! 翠星石達は食べ盛りなんですぅ!
枯れたおじじだけで富貴や美食を独占していないで、こっちにも分けやがれですよ!」
雛苺「オヤツ! オヤツぅ!」
オディール『オーノー! 予想以上に暴徒と化していますね雛苺達は』
蒼星石『ハロウィンの空気が彼女達を狂わせているんだ、きっと。今日一日しのげば正気に…』
- 673 :名無しさん:2013/11/05(火) 22:12:31 ID:pmHdv/yg0
- 金糸雀「こうなったら縄梯子はあきらめるかしら。みんな、次の作戦よ!」
翠星石「む! まだ作戦があるですかカナチビ!」
金糸雀「当然! 策士は常に二手三手の策を考えておくもの!」
真紅「それで次はどうするの? 塀に火でも放って焼き落とす?」
金糸雀「火計は流石に現代日本じゃまずいかしら。放火はトップレベルの犯罪よ」
雛苺「うぃ! それに下手したら食べ物もお屋敷ごと全部燃えちゃうの!」
翠星石「何でも火を放って解決しようとするのは水銀燈か陸遜ぐらいのもんですぅ」
真紅「い、言ってみただけよ」
金糸雀「…ズバリ、カナの次の作戦は、門をこじ開けることかしら」
翠星石「おいおい、門はカンヌキで閉められているんですよ。そんなもん、どうやって」
金糸雀「破城槌よ!」
雛苺「はじょうつい?」
真紅「丸太の先っぽを尖らせたりして、城門に何度も打ち付ける攻城兵器ね。
でも、そんなのをどうやって用意するっていうの?」
金糸雀「それはまた翠星石に頼んで庭師の如雨露で、丸太にできそうな材木を…」
翠星石「しゃーねーですねぇ。さっきの今で、しかも何もない現実世界で
木本植物を召喚するのは結構大変なんですぅよ?」
金糸雀「お願いかしら翠星石! このとーり!」
- 674 :名無しさん:2013/11/05(火) 22:18:47 ID:pmHdv/yg0
- §薔薇屋敷・敷地側
オディール「急に向こう側が静かになりましたネ」
蒼星石「うん。新たな縄梯子を使ってくる様子もない」
オディール「諦めたのでしょうか?」
蒼星石「まさか。僕もそうだが、翠星石達の諦めの悪さは筋金入りだ」
オディール「フゥーム、何か別の手段を考えて…?」
ドゴォッ!
蒼星石「ッ!!?」
オディール「こ、この衝撃音は!?」
蒼星石「門扉に何かを打ち付けている音だ!」
オディール「塀を乗り越えるのが無理なら、門を強行突破しようということデスか」
ドゴォオオン! ドコォン!
蒼星石「思ったよりも早く力攻めに頼ってきたなぁ…」
オディール「ど、どうしましょう!? 蒼星石!」
蒼星石「大丈夫です。こういうこともあろうかと門扉は鋼鉄製でかなり頑丈に作られている。
あの四人が何をぶつけているかは知らないが、その辺の丸太や鉄柱程度では…」
- 675 :名無しさん:2013/11/05(火) 22:20:28 ID:pmHdv/yg0
- 金糸雀「トリックオアトリート!」ずごぉおん
翠星石「トリックオアトリート!」どごぉおん
雛苺「お菓子をくれなきゃイタズラするの!」ドゴッ
真紅「お菓子をくれてもイタズラするわ!」バゴオォン
金糸雀「オーエスッ!」どごっ
翠星石「オーエス!」ばごおっ
雛苺「おーえっす!」ドボォッ
真紅「オーイエス! スー(歯の間から息を吸う音)」
翠星石「…カナチビ、この門に何度丸太を叩き付けてもウンともスンとも言わねーです。
あと真紅だけ掛け声が洋物のポルノ女優みたいになってたですよ」
金糸雀「おかしいわね。丸太で叩けば固い扉も吸血鬼も木っ端微塵のはずなのに…」
真紅「金糸雀あなたそれ漫画の見すぎよ」
- 676 :名無しさん:2013/11/05(火) 22:26:22 ID:pmHdv/yg0
- 雛苺「ヒナ、もうクタクタなのよ! ひろうこんぱいなの~」
翠星石「どこか別の所から入る方法を考えた方がいいんじゃねぇですか?」
金糸雀「別の所?」
翠星石「例えばホラ、穴を掘って地下から侵入するとか」
真紅「日が暮れるわよ。ハロウィン終わったら私達の行為はただの強盗」
雛苺「警察を呼ばれたら困っちゃうの」
翠星石「確かに。前科が付いたりすると後々アリスゲームでも不利ですぅ」
金糸雀「今日のうちに…短期決戦で、この薔薇屋敷を攻略しなくちゃ」
真紅「仕方ない。この真紅ちゃんがちょっと本気を出しちゃおうかしら」
金糸雀「本気?」
翠星石「はっ!? ま、まさか真紅!」
雛苺「あの技を使う気なのよ!?」
真紅「ええ。三人とも少し下がって頂戴」
金糸雀「何を始める気なのかしら、真紅?」
真紅「たかまれ! 私のローザミスティカ!」こおおおお
- 677 :名無しさん:2013/11/05(火) 22:29:24 ID:pmHdv/yg0
- §薔薇屋敷・敷地側
オディール「おや? 門を叩いていた音がしなくなりましたネ」
蒼星石「どうやらまた別の作戦を採るつもりだ。今度は何を企んで…。
地面の下からは時間が掛かりすぎるだろうし、ひょっとして棒高跳びの要領で一気に塀を?」
ズドバーン!!!
蒼星石「ッッ!?」
オディール「ワーオ!!? 鋼鉄製の門が吹っ飛んだデスよー!!」
蒼星石「しまった! 真紅だ! 真紅がまさか、ここまでするとは!」
オディール「真紅? 真紅がどうやったら鋼鉄製の門を破壊できるので…ッ!?」
- 678 :名無しさん:2013/11/05(火) 22:30:33 ID:pmHdv/yg0
- §薔薇屋敷・門の前
真紅「ざっと、こんなものね…」シュゥウウ
金糸雀「ななななな…っ! 丸太を何度うちつけてもビクともしない門をパンチで!!?」
翠星石「ひ、久しぶりに爆熱真紅フィンガーを見たですが、以前よりはるかに威力が上がっているですぅ!」
雛苺「あややややや!」ガクブル
真紅「ふ、これこそが打撃のインパクトの瞬間にローズテイルを接射する超究極奥義!
さしずめ『紅の交響曲(ロッソ・シンフォニア)』とでも名付けましょうか。
この技は真紅ちゃん四十八手の中でも特に……」
金糸雀「よーし! 開いたのならカナが一番乗りしちゃうかしら」タタタッ
翠星石「あ、またもやズルイですよカナチビ! お菓子を独り占めさせるわけにはいかねーです!」
雛苺「ヒナも、ヒナもーー!」トテテテッ
真紅「……」
- 679 :名無しさん:2013/11/05(火) 22:32:51 ID:pmHdv/yg0
- §薔薇屋敷・敷地内
金糸雀「ワー」だだだだっ
翠星石「ワー」すたたたっ
雛苺「わーい! 中に入れたのー!」
真紅「ひゃっはー! 奪え奪えーっ! なのだわ」
オディール「たたた、大変なことになってますよ蒼星石! 四馬鹿が敷地に! このままでは建物内にまで…」
蒼星石「なんとしても、ここで真紅の力技だけは封じる必要がある! オディールさん例のものは?」
オディール「は、はい! 今、手持ちはこれ一つだけデスが!」
蒼星石「よしっ!」ガシッ
- 680 :名無しさん:2013/11/05(火) 22:33:52 ID:pmHdv/yg0
- 翠星石「むむっ!? 蒼星石と、未だに住み込みメイドやってるオディールが
こっちに向かって走ってきているですぅ!」
- :-:2013/11/06(水) 22:58:50
- ロッソ・シンフォニア……
赤い子つながりか?
- :-:2013/11/06(水) 23:07:02
- そういやきらきーってまだ?
雛苺に喰われてから復活したっけ?