「レトロゲームなんか今やっても面白くないじゃん」
最近このような発言をよく見かけるが、誤解してる人がいるかもしれないので、この機会に、レトロゲームの価値について、自分の考えをまとめてみようと思う。
こんなこと言ったら、びっくりするかもしれないが、「面白いか、面白くないか」なんてのはレトロゲームの価値を決める1つのモノサシでしかないのだ。
<レトロゲームの価値を決める3つの要素> レトロゲームの価値を決める要素は大きくわけて以下の3つだと考える。
1、内容
2、パッケージ
3、ストーリー
そしてそれらは下図のように、さらに細かい要素に分けることができる。
1つ1つ解説していこう。
<レトロゲームの価値「内容」> 「面白いか、面白くないか」っていうのは、おそらく、ゲーム性やゲームバランスのことを言っているのだろう。たしかに昔のゲームはバランスがおかしいものが多いという意見がある。しかしその点は今も昔も大差ないのではないかと思う。
そんなことよりも、独特のドット絵やピコピコ音に魅力を感じる人たちがいる。それらは「8bitアート」だとか「チップチューン」などと呼ばれ世界中に多くのフォロワーを生んでいる。また、レトロゲームならではのキャラクタやストーリーに魅力を感じる人たちがいる。たとえば百姓一揆を題材にしたゲームなどは、今のメジャーゲーム界では出てこない発想であろう。(ゆるかった時代の産物的な)
さらにこれは特殊な例だが、レトロゲームの“駄目な部分”が好きだという人たちもいる。いわゆるく
クソゲー愛好家の連中だ。
このようにレトロゲームの内容1つ取っても、様々な角度から魅力を感じる人たちが世界中にはたくさんいるということがわかって頂けたと思う。「面白いか、面白くないか」ってのは、たくさんある中の1つの基準でしかないのだ。
<レトロゲームの価値「パッケージ」> パッケージとは箱や説明書などいわゆる
「形あるもの」のことである。部屋に飾ってみたり、手にとって愛でてみたり、気軽に楽しめるところがポイントだ。
そんなの当たり前じゃないかと思うかもしれないが、近い将来、そんな当たり前のことが出来なくなるかもしれない。例えば携帯のアプリなど、もはやゲームの売買がデータだけのやり取りで済む時代である。
この傾向は家庭用ゲーム機でも、ますます進むだろう。つまりこの要素は近い将来、もはや
レトロゲームでしか味わえない魅力になる可能性が高い。
「形あるもの」といえば、地図やポスターといった付属品などもこの部類に入る。また、奇想天外な専用周辺機器、へんてこりんな専用コントローラなどもこの部類に入れてしまおう。それらは、その時代でしか生まれなかったようなものが多く、その独特の雰囲気やデザインなどに価値を見出す人はたくさんいるのだ。
<レトロゲームの価値「ストーリー」> おそらくレトロゲーマーの多くが、これが一番重要だと思っている部類である。ストーリーとはゲームの中の物語じゃなくて、ゲームそのものが持っている物語のことだ。この部類については以下の3つの背景+1で考えるとわかりやすい。
時代背景は、メーカーや、我々を取り巻いていた環境などである。この要素は実際に当時の空気を肌で感じていた世代ほど、与える影響が強いと考える。
次に
制作背景は、そのゲームの誕生秘話だとか、キャラクタの由来だとか、いわゆるトリビア系の話。そんなネタ1つで手に入れたくなる物もある。そして
流通背景は、どうやって流通したのか、おもちゃ屋さんで売ってたのか、はたまた懸賞品だったのか。要するにこの要素は
希少性と直結し、金銭的な価値にリンクする場合が多い。
この3つの要素をひとことで言うなら「由緒」というやつである。そして、そこにプラスされるのが
思い出だ。“思い出補正”という言葉があるように、思い出はそれだけで物の価値を左右する。
そう考えると多くのコレクターは、レトロゲームのうしろにある「ストーリー」にお金を払っていると言えるかもしれない。
<レトロゲームの面白さの変化について> まとめに入る前に、レトロゲームの面白さの変化について言及しておこう。それは次の4つのパターンになると考えられるのだ。
A、昔も、今も、面白い
B、昔はつまらなかったが、今は面白い
C、昔は面白かったが、今はつまらない
D、昔も、今も、つまらない
個人的な意見かもしれないが、『スーパーマリオブラザーズ』や『ロックマン2』や『ドラクエ3』は昔も今も面白い。B以下はあえて列挙しないが、そもそも、すべてのレトロゲームが昔は面白く、今やったらつまらないわけではないということを指摘しておく。(もちろんC以下の割合のほうが圧倒的に多いのも事実ではあるが)
<まとめ> 今回は、レトロゲームが今やっても面白くないからって、価値がないと思ってる人がいるんじゃないかと思い、記事を書かせてもらった。それ以上の意図は何もないのだが、もし万が一、僕が面と向かって「レトロゲームなんか今やっても面白くないじゃん」と指摘されたら、きっとこんな反応をするだろう。
「うん、そうだよね、わかるわかる、、、で?」
我々レトロゲーマーにとってその指摘は、プロレスファンが「プロレスなんて八百長じゃん」と指摘される状況に近い。だから何なのか。そこで終わってしまったら毒にも薬にもならないよってことである。
なにはともあれ、この記事を読んで、レトロゲームには色んな魅力があるんだってことを、皆さんに知ってもらえれば幸いである。
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