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カオスな情報置場:【不定期映画レビュー】第27回リドリー・スコット監督『悪の法則』

2013年11月17日06:00

【不定期映画レビュー】第27回リドリー・スコット監督『悪の法則』

不定期映画レビュー第27回。
Twitterでリクエスト頂いたんで、公開から間を空けずに、ちょっと早めに。

今回はこれ

『悪の法則』

監督：リドリー・スコット
脚本：コーマック・マッカーシー
主演：マイケル・ファスベンダー、キャメロン・ディアス、ブラッド・ピット、他

2013年公開

http://www.foxmovies.jp/akuno-housoku/

評価
★★★☆☆☆☆☆☆☆（3/10）

●あらすじ

　主人公の弁護士（カウンセラー）は、金欲しさに裏のビジネスである麻薬の取引に手を出し始める。
　恋人のローラは婚約者となり、友人のライナーとの麻薬取引もこれといった失敗もせず、生活は順調に行くかと思われた。
　しかし、あることがきっかけで主人公は麻薬組織から命を狙われることとなってしまう。

●レビュー

　117分。1.95時間。
　2時間足らずの上映時間が、3時間にも、4時間にも感じられた。
　そういえば、許してもらえるだろうか。
　語ることが主体のレビュー記事で、語らない。
　そんな選択肢を取ることを、僕は許してもらえるのだろうか。

　
　正直、言うことがない。
　「●あらすじ」にストーリーをほぼ全て書いてしまったからである。
　本当に、これだけのストーリーなのだ。
　主人公（ハードボイルド作品や『ドライヴ』などのように名前がない）は裏ビジネスに手を出すが、あるトラブルで命を狙われることになる。
　トラブルというのは、「主人公の顧客である受刑者の息子がバイクのスピード違反で捕まったので、主人公が保釈する。→息子が謎の死。しかも実は息子は麻薬の運び屋で、保釈後早速運んでいたブツが消えてしまった。保釈申請をした主人公に疑いが・・・」というものだ。そこから、このトラブルは偶然によるものではなく誰かが糸を引いているらしい・・・？　と、なるのだが、その黒幕もあっという間に明らかになる。拍子抜け極まりない。
　では、「主人公が破滅する様を描く映画なのか？」と言われれば、これも違う。
　主人公は徐々に追い詰められるのだが、結局、主人公自身には何も起きない。
　切り抜けたりもせず、破滅もせず、主人公はただただ死の影に怯えているだけだ。
　最後に黒幕である登場人物が「この麻薬戦争は、もっと凄惨な殺し合いになる」という風なことを言うのだが、それなら、その「もっと凄惨な殺し合い」とやらを映画にして欲しかったところである。

　
　「何か事件が起きて、その謎を突き止めるのがミステリー。それをどう切り抜けるのかを描くのがサスペンス」
　というヒッチコックの言葉を借りるなら、この映画は別にミステリーでもなければサスペンスでもない。
　謎はないし、ピンチは切り抜けない。
　117分くらいの尺のうち、わずかな本筋を除いた部分は大体が無駄話やセックスだ。
　セックスをしていたり、セックスがどうとか、ダイヤモンドがどうとか。
　・・・こうして見直すと本筋以外の部分の3分の2がセックスだ。
　まあ、そんな話だ。

　ブラッド・ピットが出演している点も含めて、『ジャッキー・コーガン』にすごくよく似ていて、すごく駄目だったのが、印象的だった。（逆に、『ジャッキー・コーガン』が楽しめた人にはこの映画も楽しめる気がする）
　豪華な顔ぶれもあってTVCMもしばしば放送しているようだが、TVCMがきっかけで観に行くような人には正直キツイんじゃないかと思わざるを得ない。あと、邦題もどうかと思う。原題の『The Counselor（弁護士）』を変える必要はあるだろうが、無駄に煽り過ぎだ。

　あの、ホントに、リドリー・スコットどうしてしまったん？

過去記事
【不定期映画レビュー】第7回アンドリュー・ドミニク監督『ジャッキー・コーガン』
http://chaos-info.ldblog.jp/archives/7851196.html