ブラックジャック「まぁ、短編、というやつですな」
- 1 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/07(土) 03:41:21 ID:IAwDX5QU
- カルテ1
TV「皆様こんにちわ、徹夫の部屋のお時間です」~♪
TV「今回のゲストは実力派女優として人気を博している梅原純子さんです!」
ピノコ「キャー!純子ちゃん!待ってたよのさー!」ドタバタ
ブラックジャック「ピノコ!部屋のなかで走るんじゃない!」
ピノコ「はーい」
TV「純子さんは去年の中旬から活動を初めてーーー」
ピノコ「はぁー、純子ちゃんかわゆいのよさ……でもこの子ちゅごいくろーにんでおうちがびんぼーだかや大変だったのよねー」
ブラックジャック「その子より頑張ってる人間なんてごまんといるさ。たまたま芸能人にそういう美味しい過去があるからネタにしてるだけだ」
ピノコ「アッチョンブリケ!ちぇんちぇーはひねくれもよなんやから!だまってなちゃい!」
ブラックジャック「やれやれ……」フゥ - 2 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/07(土) 03:47:42 ID:IAwDX5QU
- ジリリリン!!ジリリリン!!
ブラックジャック「もしもし」
ブラックジャック「確かに、私がブラックジャックだ」
ブラックジャック「……」
ブラックジャック「すぐそちらに向かわせてもらおう」ガチャン
ブラックジャック「ピノコ、少し出るぞ。いい子で留守番しててくれ」
ピノコ「どこゆくのよさ?」
ブラックジャック「なぁに、チョイとした仕事でな」バタンッ - 3 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/07(土) 03:54:10 ID:IAwDX5QU
- ーーー芸能プロダクション 虫プロ
マネージャー「お待ちしていました、ブラックジャックさん」
ブラックジャック「ああ」
マネージャー「純子ちゃん、ブラックジャック先生が来てくれたわよ!」
純子「……どうも、お久しぶりです、ブラックジャック先生」
ブラックジャック「クク……あなたも今や時の人。TVで見ない日はありませんな」
ブラックジャック「どうです?体調は?」
純子「はい、特に問題はありません」
ブラックジャック「そりゃあそうさ、なんたって私が整形してやったんだ。」
ブラックジャック「傷痕ひとつとして残ってもないし後遺症なんてもっての他だ」
マネージャー「あの、ブラックジャック先生……あまりそのことは……」
ブラックジャック「フフ……いや、失敬」 - 4 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/07(土) 04:00:31 ID:IAwDX5QU
- ブラックジャック「それで、今回はどういった御用件で?」
マネージャー「はい、実は彼女、梅原純子のことなんです」
純子「……」
マネージャー「彼女の実家が貧乏だって話は知ってますでしょう?」
ブラックジャック「ま、あれだけ特番やらなんやらで言われていれば知らない人間なんて赤ん坊くらいでしょうな」
マネージャー「はい、それで困ったことがありまして……実はこの子の親が、この子に芸能界をやめさせると言い出しまして……」
ブラックジャック「ほう、そりゃまたなんで」
純子「……あの人、私を拘束していたいのよ」 - 5 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/07(土) 04:04:48 ID:IAwDX5QU
- 純子「ずっとそうだったわ、子どもの頃から……あの人は私が自分の手元にいないと満足しないのよ……」
マネージャー「……と、こういうわけなんですの」
ブラックジャック「……それで?私にどうしろと言うんですかね」
ブラックジャック「母親の説得ですか?バカいっちゃいけない、私は医者でお悩み相談室じゃないんだ」
マネージャー「いえ、その……この子と同じ顔の子を作ってほしいの」
ブラックジャック「……はい?」 - 6 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/07(土) 04:12:13 ID:IAwDX5QU
- マネージャー「彼女の母親との話し合いがあったんですの」
マネージャー「こちらとしても彼女にやめてもらっては多大な穴を開けてしまうことになりますの」
マネージャー「そしたら彼女の母親はある条件を出してきまして」
ブラックジャック「ある条件……?」
マネージャー「このまま芸能活動をするのは百歩譲って構わない」
マネージャー「そのかわり週に三日は実家に居てくれ、と」
ブラックジャック「……」 - 7 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/07(土) 04:14:52 ID:IAwDX5QU
- マネージャー「でもいまの彼女のスケジュールじゃとてもとても無理なのですわ」
ブラックジャック「……」
マネージャー「そこで私共も考えました」
マネージャー「この子の影武者を作ってその子に帰らせようと」
ブラックジャック「……バカらしい!」ダンッ
二人「「!」」ビクッ - 8 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/07(土) 04:20:56 ID:IAwDX5QU
- ブラックジャック「私はね、健康な人間の体にメスを入れるって行為をするとムカムカしてきやがるんだ!」
ブラックジャック「アンタの整形のときもだ!」
ブラックジャック「しかも今度は影武者を作る?」
ブラックジャック「そんなアホらしいことに付き合ってなんていられやせんぜ!」
ブラックジャック「この話は無かったことにしてもらう!」
マネージャー「ぶ、ブラックジャック先生!」
純子「ま、待ってくださいブラックジャック先生!」 - 9 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/07(土) 04:28:13 ID:IAwDX5QU
- 純子「ここに三億円あります!私が稼いだ全財産です!」
純子「おねがいします!私!この仕事を続けたいの!」
ブラックジャック「……」
ブラックジャック「……三日後だ」
純子「!」
ブラックジャック「三日後に手術を行う。三日後に私の診療所に来てもらおう」スタスタ
純子「あ、ありがとうございます!!」
ブラックジャック「……」スタスタ… - 12 :ID変わりますが>>1です 2013/09/07(土) 09:02:19 ID:8PKFJhxQ
- ーーーブラックジャック邸
ブラックジャック「……」
ブラックジャック「……」ダンッ!
ブラックジャック「俺と言う奴は……本当にどうしようもないゴウツクだ……」
ピノコ「ちぇんちぇーどうちたの?帰ってきちぇからずっとしょうやってるのよさ」
ブラックジャック「……なんでもないさ」ギィッ - 13 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/07(土) 09:14:15 ID:8PKFJhxQ
- ジリリリン!!ジリリリン!! ガチャッ
ブラックジャック「……もしもし」
手塚医師『やぁ、ブラックジャック、僕だ』
ブラックジャック「なんだ、手塚君じゃあないか」
手塚医師『いやぁちょっと休暇をもらったから偶には君と呑もうかと思って電話したんだが』
ブラックジャック「ム……」
ブラックジャック「……わかった、後ほど落ち合おう」
手塚医師『ああ!まってるよ!』ガチャン
ブラックジャック「ピノコ、私はもう一度出かけるがお前はどうする」
ピノコ「おゆすばんしてるー」
ブラックジャック「そうか、すまないな一日何度も」
ピノコ「そうおもゆならチョコレートかってきてほしーよのさ!」
ブラックジャック「やれやれ、足元見てくるねぇ……」 - 14 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/07(土) 09:19:26 ID:8PKFJhxQ
- ーーー居酒屋 korehahidoikao
ブラックジャック「……」グビッ
手塚医師「今日はよく飲むじゃないか」
ブラックジャック「……俺はガメツイか、手塚君」
手塚医師「……どうしたんだい急に」
ブラックジャック「率直に聞かせてくれ」
手塚医師「……ま、そうだな、僕は君のことを世界一ガメツイ医者だと言っても過言じゃないと思ってる」
ブラックジャック「……」グビッ - 15 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/07(土) 09:27:34 ID:8PKFJhxQ
- 手塚医師「だけど僕は君のような者がいてもいいとも思ってる」
手塚医師「圧倒的技術に見合った手術料、世の中を見てみろよブラックジャック」
手塚医師「国宝の作ったたった一枚の皿が数千万、数億で取引されてる」
手塚医師「技術に見合った代金をもらう。そういうものじゃないかと思うんだよ」
ブラックジャック「……」グビグビ
手塚医師「それに、合法でしかできないこと、非合法でしかできないことがあるとおもわないか?」グビッ
ブラックジャック「……ふっ」
ブラックジャック「ありがとう、手塚君」グビッ
手塚医師「なんだい改まって、恥ずかしいぞ」グビグビ - 16 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/07(土) 09:34:46 ID:8PKFJhxQ
- ブラックジャック「君はいつも俺が悩んでるちょうどの時に遊びに誘うんだ」
ブラックジャック「エスパーか何かかね?」グビッ
手塚医師「ああ」
手塚医師「まぁそれはあれだよ、ご都合主義ってやつだよ」
ーーー
手塚「話が展開しないからとか言っちゃダメ。飯のくいあげですヨォ」ヘコヘコ
ーーー
ブラックジャック「こりゃあ酷い」
手塚医師「さて、そろそろおあいそするか」ギシッ - 17 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/07(土) 09:39:56 ID:8PKFJhxQ
- 手塚医師「君はどうする?タクシーを呼ぼうか?」
ブラックジャック「いや、どうせだ、暫く歩くさ」
手塚医師「そうか、じゃあなブラックジャック」
ブラックジャック「ああ、また」 - 18 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/07(土) 09:47:30 ID:8PKFJhxQ
- ブラックジャック「技術に見合った代金……か……」
ブラックジャック「だが本当にそれでいいのか……」
ブラックジャック「……」
ブラックジャック「……私は私にできることをするしかない……」ザッ
ブラックジャック「……」ザッザッザッ… - 19 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/07(土) 09:54:07 ID:8PKFJhxQ
- ーーー翌日 とある片田舎
女「よいしょ、よいしょ……」
女「ふぃー」ドスン
女「たけし!よしえ!この荷物運んでちょうだい!」
たけし「かーちゃんかーちゃん、お客さんだよ!」ドタバタ
女「え?だれだい?」
たけし「んー、なんか黒いコート来てるつぎはぎのひと」
女「??……どなたかしら……」
よしえ「なんか、ぶらくじゃっくーとか言ってたよ?」
女「ブラックジャック……!」 - 20 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/07(土) 10:04:57 ID:8PKFJhxQ
- ブラックジャック「すいませんね、今日は突然」
女「いえ、こちらもおかまいできませんで」
ブラックジャック「お名前を伺っても……?」
トミ子「トミ子、といいます、梅原純子の母です」
ブラックジャック「どうも、私は純子さんの整形手術をしたブラックジャックというものです」
トミ子「はい、存じております。その度はうちのバカ娘がお世話に……」フカブカ
ブラックジャック「その純子さんのことで、少し聞きたいことがありまして」
ブラックジャック「なんでも、あの子が芸能活動することに反対だとか」
トミ子「……ええ」 - 21 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/09/07(土) 10:12:34 ID:8PKFJhxQ
- ーーーーーー
ーーー
ー
ブラックジャック「今日は失礼しました、おかげでいい話も聞けた」
トミ子「あの、先生」
トミ子「あの子のこと、宜しくお願いします……」
ブラックジャック「……」
コメント一覧
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- 夢を飾り眠る