水銀燈は動かない『採血室』
- 732 :名無しさん:2013/11/25(月) 22:07:12 ID:fPqtDVRI0
- 水銀燈は動かない『密漁メメントリオン』 の続編です
- 733 :名無しさん:2013/11/25(月) 22:10:08 ID:fPqtDVRI0
- ビッグジュン(BJ)「くはぁっ! はぁっ! はぁっ!!」ダダダダ
蒼星石「もっと早く走って、マスター! このままじゃ追いつかれる」ダダダ
BJ「わ、分かってるよ! で、でも…これ以上は足が」
蒼星石「見えた! あそこです! あの教会に逃げ込んで!」
BJ「へ!?」
蒼星石「いつもは無人だけど、先回りした水銀燈が今は中で待機しているはず!
彼女にかくまってもらってください!」
BJ「あ、ああ!」
蒼星石「…僕はここで、あの赤い悪魔を食い止める!」ジャリッ
BJ「蒼星石!?」
蒼星石「大丈夫。僕を信じて…マスター! それだけで…それが僕の力になる!!」
BJ「!」
- 734 :名無しさん:2013/11/25(月) 22:11:30 ID:fPqtDVRI0
- §教会
BJ「……」ギィイイイ
水銀燈「やれやれ。さえない人間が入り口を開けると、扉もさえない音を出すものねぇ」
BJ「す、水銀燈。本当にいた…」
水銀燈「いるに決まってるでしょ。さ、アンタも早くこっちに」
BJ「?」
水銀燈「こんな教会の大広間で身を隠していてもしょうがないでしょ。だから、こっち」
BJ「え? ここに入れってことか? でも、これ、懺悔室じゃあ?」
水銀燈「アンタにはお似合いでしょ? 人生に迷える子羊ちゃん?」
BJ「…水銀燈が神父、いや司祭ってのは似合わないけどな」
水銀燈「皮肉が言える程度には、落ち着けてきたようね」
BJ「…いや! 落ち着いている場合じゃない! 水銀燈、僕はここに隠れているから、お前は蒼星石を助けに!」
水銀燈「お馬鹿さぁん。アンタを一人にすることの方がよっぽど危険だってこと、まだ分からない?」
BJ「う…」
- 735 :名無しさん:2013/11/25(月) 22:15:49 ID:fPqtDVRI0
- §懺悔室
水銀燈「……」
BJ「……」
水銀燈「ちょっとぉ、いくら隠れてるからって黙ってる必要もないのよ。何か小粋な話でもしたら?」
BJ「とてもそんな気分じゃ。それにお前ってそんなに話好きなキャラだったか?」
水銀燈「嫌いよ。でも、アンタみたいなさえない人間のオスと見つめ合って、だんまりってのはもっと嫌。
たとえ懺悔室の、この仕切り越しにだとしてもね」
BJ「本当、口の悪い奴だな」
水銀燈「そうだ! 場所がら告解っていうのをやってみたら? 興味あるわぁ私」
BJ「逆十字の黒い天使相手にか? 罰当たりにも程がある。
それに僕にどんな罪が…、何の因果で、どうして今日こんな破目に」
水銀燈「ふん。罪の意識は無いにしても、話したいことはあるようねぇ。
聞いててあげるから、隠さず最初から話しなさい」
BJ「……」
- 736 :名無しさん:2013/11/25(月) 22:20:06 ID:fPqtDVRI0
- BJ「真紅達が『巻いた僕の世界』に帰った後から、僕は妙に運まわりが良くなってきていた」
水銀燈「……」
BJ「いきなりバイト先で正社員の話が出るわ、大学でも友達ができるわ、良い事づくめ」
水銀燈「斉藤さんとの仲の進展も…よね?」
BJ「な、なんだよ、その言い方は」
水銀燈「別にぃ。まあ、いいじゃない。何にしろ運勢が良いにこしたことはない」
BJ「けど、一つだけ不安がずっと、僕の背後にずっと…地球の周りを回る月のように存在した」
水銀燈「何それ? 運勢のツキと月を掛けてるの、ひょっとして? 面白いわねぇ」
BJ「真紅が絵本に残した言葉…『忘れないで』」
水銀燈「あの子らしい、しみったれた言葉。けど、それがどういった不安の種に繋がるというの?」
BJ「言葉には続きがあった。絵本の次のページに」
水銀燈「?」
これからあなたの運勢は好転する。でもそれは天の恵みでもなく、ましてやあなた自身の力でもなくてよ。
この高貴なローゼンメイデン第5ドール真紅様が、あなたの運命に、閉じられた世界に力を貸したから。
貸したものは返してもらう。利子もたんまりつけてね。あなたが幸せの絶頂にある時に必ずあなたから取り立てる。
もう一度ここに書いておくわ、『忘れないでね』……。あなたの幸せなお人形、真紅より愛を込めて。
水銀燈「マジ話? 今のそれって…、たまげたわぁ。けど、それも真紅らしい陰湿な書置き」
BJ「この続きの言葉に気付いたのは最近になってから、実際に運勢が好転してからだった。その文を見た瞬間
ケツの穴にツララを突っ込まれた気分になった。そして、そのツララがまだ溶けない。それどころか…」
水銀燈「実際に赤い悪魔に襲われた今となっては、むしろツララが更に、ごんぶとになったってとこかしら?」
BJ「ああ」
- 737 :名無しさん:2013/11/25(月) 22:21:19 ID:fPqtDVRI0
- BJ「そもそも今日は……斉藤さんが新しい服を買うから一緒に選んで欲しいって誘われて、それで…」
水銀燈「デートって便利な言葉があるでしょうが。回りくどい言い方する子は嫌いよ。末妹を思い出すから」
BJ「いやいやいやいやいやいやいや! ぼ、僕と斉藤さんはまだ、そんな…!」
水銀燈「ええい、うるさい。分かったわよ、で、そのショッピング中に何があったって?」
- 738 :名無しさん:2013/11/25(月) 22:23:17 ID:fPqtDVRI0
- §BJ回想シーン
斉藤「ジャーン! どう? ねえ、どう? これなんてどう!? ジュン君!」
BJ「うーん、もうちょっと明るい色の方がいいかなぁ」
斉藤「え? 明るい色の服の方がジュン君の好み?」
BJ「いや、斉藤さん、よく舞台の稽古とかでも暗がりで作業することが多いじゃない。
明るい色の私服の方が分かりやすいかなぁって」
斉藤「あ、そう…」
BJ(あれ? ちょっと斉藤さん怒った?)
斉藤「まあいいわ! とにかく試着してみる。ジュン君、悪いけどまたちょっと待ってて」シャッ
BJ「ああ、うん。(……でもないか、機嫌良いみたいだし)」
- 739 :名無しさん:2013/11/25(月) 22:24:04 ID:fPqtDVRI0
- 店員「…お客様」ススス
BJ「へ? な、何でしょう…?」
店員「試着されている方は彼女ですか? 可愛らしい女性ですね」
BJ「え! あ、いや! そんな! いやいやいやいや…」
- 740 :名無しさん:2013/11/25(月) 22:24:47 ID:fPqtDVRI0
- §懺悔室
水銀燈「……」イラッ
BJ「あ、水銀燈ちょっとイライラしている?」
水銀燈「ちょっとどころじゃないわよ。他人の惚気話がこれほど不快だとはね」
BJ「お前が最初から全部話せって言ったんじゃないか」
水銀燈「はいはい。で、続き、その後どうなったって?」
BJ「僕はこの時こう思ってしまったんだ『本当に斉藤さんが彼女だったらどんなにか【幸せ】だろう』ってね」
水銀燈「……」
BJ「そうしたら…」
- 741 :名無しさん:2013/11/25(月) 22:31:37 ID:fPqtDVRI0
- §BJ回想シーン
斉藤「ジュンく~ん見て見てぇ、今、試着室のカーテン開けるから~」
BJ「は、はい!」
斉藤「それじゃ、1…2の…」
|┃三
|┃ r‐rァZ´~"ヾ
|┃ rヘi !〃 ̄ ヽ}
シャッ |┃ 7b!リノノリリ))》
|┃ // /ノヘ.!}!^ω^ノ| どじゃぁ~~ん
|┃三. (( く_ヒ|卯i7ヾト、
|┃ rク /爿'^ jス ソ〉
|┃ r'ブー-rァァ-‐′r'〉
BJ「えっ!?」
真紅「ふふふ、久しぶりねジュン」すたすた
BJ「えええっ!? 何が起きた!? な、何で真紅が試着室から出てくる!? 斉藤さんは!? 彼女をどこに隠した!?」
真紅「随分なご挨拶ね。取りあえず斉藤さんには今、安全なところで眠ってもらっているわ」
BJ「!」
真紅「ジュンあなた今、自分はなんて幸せなんだって思っていたでしょう?」
BJ「え!? いや、まだそこまでは…」
真紅「誤魔化してもダメ。今のジュンからは『幸せオーラ』が満ち満ちている。私の癪に障るほどにね!」
BJ「うっ!?」
- 742 :名無しさん:2013/11/25(月) 22:34:58 ID:fPqtDVRI0
- 真紅「…絵本の最後の書置き、見てくれているわよね?」
BJ「あ、ああ…」
真紅「ならば話が早いのだわだわ。貸したものは確かに返してもらう」
BJ「か、返せったって…いったい何を!?」
真紅「抽象的に言えばあなたの幸せエネルギー、具体的に言えばあなたの血よ」
BJ「血ぃ!?」
真紅「血は力なり! 血こそは生物の魂の通貨にして生命波動の証。
私とジュンの間に結ばれた契約の代償、血で払ってもらう! そして私のドレスは更に鮮やかに!」
BJ「そんな馬鹿な! 全ッ然、意味が分からない! 寝ぼけているのか!」
真紅「寝ぼけてなんかいない! さあ若者よ、その肌を切り裂いて溢れる血潮を浴びるように頂いてやるわ!」
BJ「う、うわああああああ!」ダダダッ
真紅「あ、こら! 待ちなさい! 逃がさないわよ!」
- 743 :名無しさん:2013/11/25(月) 22:37:13 ID:fPqtDVRI0
- BJ「ひぃいいいいい!」ダダダダッ
真紅「どこまで私の健脚から逃げ回れるかしら!? ジュン!」すたたた
BJ「ば、馬鹿な! 真紅が早すぎる! 追いつかれる! どうして…!? どうして僕がこんな目にぃいい!」
真紅「大体あなた、斉藤さんのことはどうでもいいの!?
今、彼女は薔薇乙女内でも最高峰のイタズラスペシャリストである翠星石と雛苺の監視下にあるのよ」
BJ「ッ!?」ぴたり
真紅「私の合図一つで二人は野獣と化す! それでもいいの?」
BJ「な!? 何て下劣な!」
真紅「だったらジュンが採るべき道は唯一つ! 安心なさい、痛いのは最初だけだから」
BJ「ぼ、僕が大人しく血を渡せば…」
真紅「ええ、そう。ギブアンドテイクよ。斉藤さんは無傷で返してあげるのだわ」ニヤリ
BJ「し、仕方ない。斉藤さんの安全のためなら…」
- 744 :名無しさん:2013/11/25(月) 22:42:20 ID:fPqtDVRI0
- |┃三
|┃ ┌──┐
|┃ i二ニニ二i
シャッ |┃ i´ノノノヽ)))
|┃ // Wリ゚ -゚ノリ その取引! ちょーっと待ったーーーー!!
|┃三. ⊂)_介」つ
|┃ 〈__l__〉
|┃ 〈_ハ_〉
真紅「むむ! 蒼星石!?」
BJ「こ、今度はあいつまで試着室の中から!?」
蒼星石「試着室の姿見の鏡が今、僕達の世界と、nのフィールドと繋がっているんです。
真紅を追いかけて僕もそこからやってきた!」
真紅「…!」
BJ「そうだったのか! 部屋の中の鏡が…」
蒼星石「マスター! 騙されちゃあいけない! 真紅はマスターの精根尽き果てるまで血を奪うつもりです」
BJ「け、けど僕が抵抗したら斉藤さんが…」
蒼星石「斉藤さんは金糸雀が救出に向かっている。だから安心して」
BJ「かしら先生が!?」
蒼星石「そうです! 今は先ず逃げることだけに専念を。真紅にアドバンテージを取られたままでは何もできない。
ジョースター家の伝統のように、逃げなら対策を考えるんです!」
BJ「わ、分かった!」ダダダッ
蒼星石「こっちへ! マスター!」タタタッ
真紅「なんてこと! とんだ邪魔が入ったわ! けれど絶対に逃がさなくてよ!!」
2013/11/26(火) 18:31:51
コメント(9)
ユーザータグ ローゼンメイデン
- :-:2013/11/26(火) 19:27:11
- ドールズのゲスっぷりが発揮されない回に違和感を感じるのはどうしてだろう
- :-:2013/11/26(火) 19:47:09
- ばらしーの腐っぷりが増してきてるんだが……
むしろそこがいい
舌打ちするばらしー可愛いですハイ
- :-:2013/11/26(火) 20:07:59
- 久しぶりのBJ
しかし、相変わらずのヘタレだな
- :-:2013/11/26(火) 21:34:28
- ばらしー正常な世界に帰ってこいww
いやこのまま行ったらジュンの前後とも奪う薄い本的な展望も有り得るのか
いいぞもっとやれ
- :-:2013/11/26(火) 22:03:36
- いや、後ろだけなんじゃないのww
三馬鹿にイジメを受けている者同士、共感が芽生えるわけね。素敵!
- :-:2013/11/26(火) 22:14:09
- ばらしーがケツにツララならぬ水晶を突っ込んでくるわけか
胸が熱くなるな
- :-:2013/11/26(火) 22:58:23
- 薔薇水晶が穢れていく…
だがそれもヨシ!
- :-:2013/11/26(火) 22:58:31
- もうばらしーは『やらないかの世界』行っちゃえよwww
- :-:2013/11/26(火) 23:32:43
- ローゼンゲイメン達は人間じゃないから変な病気とかは持ってなさそうだけどな
ばらしーをあの世界に留学させよう(提案)
向こうの槐さんとこはホモショップだし