剣「お前は勇者か」 少女「違うよ」
- 1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/01(日) 08:56:43.08 ID:DljQtG0F0
地下の聖域
天井の岩盤に亀裂が走り、
そこから地上の光がわずかに漏れ出すので暗くはない
剣「……」
岩に突き立てられた、一振りの剣
剣「ヒマだ……」
少女「なんでこんな所にいるの?」
剣「勇者以外の人間に触れられたくないから、封印してもらったのだ」
少女「自分のせいじゃん」
剣「まあそうなんだが」- 2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2013/12/01(日) 08:59:10.98 ID:DljQtG0F0
少女「剣ってどうやって喋ってるの?」
剣「私も知らん」
少女「剣ってどうやって物を見てるの?」
剣「鍔の所にある宝石から物を見ている」
少女「ほうほう」グイ!
剣「もぎ取ろうとするんじゃない」
- 3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2013/12/01(日) 09:02:26.88 ID:DljQtG0F0
剣「また来たのか」
少女「うん」
剣「……」
少女「……」
少女「」ガシ!
剣「!!」
少女「フヌヌ……」
剣「」グググ……
少女「はー、抜けないや」
剣「当たり前だ、私は選ばれた勇者にしか抜けんのだ」ハーハー……
- 4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2013/12/01(日) 09:06:10.47 ID:DljQtG0F0
少女「剣、クッキー食べる?」
剣「くれるのか」
少女「はい」スッ
剣「」パク! モグモグ
少女「!??」
剣「どうした?」
- 5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2013/12/01(日) 09:07:31.70 ID:DljQtG0F0
少女「はぁ、お母さんってなんであんなにうるさいんだろ」
剣「お前の為を思って言っているのだろう」
少女「剣に何がわかるんだよぅ」
剣「わかるさ
私だって、子供の時はいつまでも父や母に見守られていると思っていた……だが」
少女「ちょっと待って」
剣「なんだ」
- 6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2013/12/01(日) 09:10:13.12 ID:DljQtG0F0
少女「剣って勇者っていう人を待ってるんだよね?」
剣「そうだ」
少女「勇者ってどんな人なの?」
剣「えっ」
少女「え?」
- 7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2013/12/01(日) 09:19:49.56 ID:DljQtG0F0
少女「まさか、知らないの?」
剣「いや……魔王を倒す者が勇者だ」
少女「でもそれじゃ、魔王を倒した後に剣を手に入れるってこと?」
剣「……」
- 8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2013/12/01(日) 09:22:14.17 ID:DljQtG0F0
剣「数百年前、私は勇者の武器として魔王と戦った」
少女「おお、それってもしかしておとぎ話の?」
剣「おそらくそれであっているだろう
だが魔王は自らの復活を予言し、闇へとその身を沈めたのだ」
少女「ふうん……じゃあ、剣はまた魔王と戦うためにここにいるんだ」
剣「そうだ」
少女「魔王の予言がハッタリだったらどうするの?」
剣「!!!!」
- 9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2013/12/01(日) 09:23:01.48 ID:DljQtG0F0
剣「私の人生は一体……」ブツブツ……
少女「(言っちゃいけないこと言っちゃったかな……)」
- 10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2013/12/01(日) 09:38:02.46 ID:DljQtG0F0
少女「埃かぶってるね」
剣「まあ、数百年はこの体勢だからな」
少女「拭いてあげる」キュキュ
剣「ひゃん」
剣「なぜ殴る」
少女「ごめん、なんかイラッときて……」
- 11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2013/12/01(日) 09:44:38.62 ID:DljQtG0F0
少女「なんかさ」
剣「?」
少女「剣の刺さってる岩って割れそうだよね」
剣「……そう簡単には割れんだろう」
少女「」トンカチー!
剣「」
少女「トウ」
ゴン!
ピシピシ!
少女「!?」
剣「!!」
- 12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2013/12/01(日) 09:46:52.20 ID:DljQtG0F0
岩「」ヤベェ ワレルワ……
剣「なんでそんなに脆いんだ!?」
岩「」ソリャ アンタガ スウヒャクネンモ ササッテタラネ……
剣「うんすまん」
少女「ど、どうしよう!?」
剣「おさえろ早く! 割れないように隙間はなにかでくっつけてくれ!」
少女「おにぎりしか無いよ!?」オベントウノ!
剣「くっつけば何でもいい!!」
- 13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2013/12/01(日) 09:48:00.29 ID:DljQtG0F0
後日
少女「剣ー」
剣「」
少女「アリがたかってる!!」
ご飯粒に
- 14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2013/12/01(日) 10:04:45.94 ID:DljQtG0F0
剣「えらい目にあった……」
少女「結局、岩割れちゃったね……」
アリ「!」
アリ「」オレガユウシャカ……
少女「」
プチ!
アリ「ギャアア!」
- 16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2013/12/01(日) 10:16:09.83 ID:DljQtG0F0
少女「ねえねえ」
剣「なんだ」
少女「今度、街のお祭りに行くことになったんだ」
剣「そうか」
少女「一緒に来る?」
剣「抜き身の剣を持ち歩くつもりか」
- 17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2013/12/01(日) 10:28:59.84 ID:DljQtG0F0
……
男「ここに勇者の剣が……」
男「無い!?」
……
- 18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2013/12/01(日) 10:30:19.75 ID:DljQtG0F0
剣「ど、どうも……」
母「まあ、あなたが剣さん?」
父「娘からしゃべる剣の話なんて聞いて、頭がアレになったのかと」
少女「やめてよぅ」
剣「」(こんな時どう受け答えすればいいかわからない)
- 19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2013/12/01(日) 10:35:08.96 ID:DljQtG0F0
……
男「誰かが入った跡がある……そいつが抜いたのか……」
男「俺は勇者じゃなかったのか……」トボトボ……
……
- 20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2013/12/01(日) 10:37:38.39 ID:DljQtG0F0
盗賊「へへへ、命が惜しかったら金目の物を出しな」
少女「ひいい、えらいこっちゃ」
剣「止むをえん、私を使え」
少女「これをあげるからお金は勘弁して下さい」
剣「待てい」
- 21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2013/12/01(日) 10:41:56.53 ID:DljQtG0F0
少女「使えって言われても……」
剣「いや逆だな、私が使わせてもらう」
少女「! 体の自由が効かない……?」スチャ
剣「私は持ち主の体を操り、達人レベルの剣士にする力を備えている」
少女「剣って呪われてない?」
剣「……一文字柄打ち!」
ゴス!
盗賊「ギャアァ!?」パタン
少女「(無視した!?)」
- 22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2013/12/01(日) 10:45:55.02 ID:DljQtG0F0
ワーワー!
剣「剣闘の見世物か」
少女「見たい?」
剣「ああ
……人が多くて私の位置では見づらい」
少女「」ヒョイ
頭の位置に持ち上げた
- 23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2013/12/01(日) 10:48:27.49 ID:DljQtG0F0
キン! ガキィン!
少女「おお」
剣「……」
少女「専門家から見てどんな感じ?」
剣「……」
少女「(神妙な、顔? で見入っちゃってまあ)」
剣「なんかムラムラしてきたな」
少女「ムラムラ!?」
剣「刃と刃が交わり熱を帯びる様はまるで男女の交わりのごとし!」
少女「そう思ってるの剣だけだよ」
結局祭りは剣闘を眺めるだけで終わったという
- 25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2013/12/01(日) 10:56:13.12 ID:DljQtG0F0
……
???「(ここか……たしかに、魔を寄せ付けぬ聖域の気配を感じる)」
???「(魔王様が倒れて数百年……
しかし、もうじき復活の時がやってくる)」
???「(その前に、忌々しき「勇者の剣」を打ち砕き、前祝いにするとしよう!)」
???「ない!?」
???「(ここではなかったのか?
いや、この破邪の気配……間違いなくここにあったはず!)」
魔王側近「……人間が侵入した跡が……まさか!
勇者は、すでに誕生していたというのか!?」
……
- 26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2013/12/01(日) 11:10:06.38 ID:DljQtG0F0
少女「これとかどう?」
剣「もう少し平らになっている方がいいんだが」
少女「あんまり大きいと、私が剣でパワーアップしても運べないかもよ?」
剣「うーむ」
(割れた岩に代わる剣の台座岩探し)
- 27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2013/12/01(日) 11:12:26.05 ID:DljQtG0F0
少女「これなんていいんじゃない?」
剣「おお、苔むした感じがいいな……ちょっと突き立ててみてくれ」
少女「うん」グッ
ガッ!
バガン!
岩「」ギャアア!?
剣「……」
少女「……まっぷたつ……」
- 28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2013/12/01(日) 11:13:34.09 ID:DljQtG0F0
……
側近「聞け、我が同胞たる魔の血族たちよ!
我らが主たる魔王様復活を前にして、あの忌々しき勇者がこの世に誕生した!」
側近「我らに魔王様の庇護なき今、今までどおり復活を待つことなどできぬ!
現状の戦力で人間たちに戦いを仕掛け、最悪でも勇者だけは血祭りに上げるのだ!!」
オオオオオオオオオオオ!
……
- 29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2013/12/01(日) 11:14:05.41 ID:DljQtG0F0
トンテンカンテン!
少女「よし! この高級感あふれる木の箱に!」
剣「割と悪くないデキだな」
- 30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2013/12/01(日) 11:15:23.96 ID:DljQtG0F0
……
王「何! 魔王の軍勢が攻撃を開始した!?」
兵「すでに最接近領の砦において戦いが始まっております!」
将軍「なんということだ……神の予言にある勇者の誕生を待たずして、魔王が復活してしまったとコメント一覧
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- 2013年12月03日 22:23
- 嫌いじゃない
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- 2013年12月03日 22:28
- 載るの早いな
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- 2013年12月03日 22:54
- 好きですねぇ
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- 2013年12月03日 23:08
- ギャグでもなく鬱々しい展開でもなく設定でコテコテでもない、その上で上手な勇者SSって考えてみたら最近なかったなあ
>>1乙。
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- 2013年12月03日 23:13
- たまにはこんなのもいいな
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- 2013年12月03日 23:14
- 最後の魔王の倒し方はちとあっさり過ぎた気がするが、熱血バカばかりで読後感のいい話だった
つーか役持ちキャラで死んだの魔王だけじゃないか、ってぐらい人が死なないなw
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- 2013年12月03日 23:16
- エクスキャーリバー
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- 2013年12月03日 23:24
- 読みきりの第一話って感じ
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- 2013年12月03日 23:53
- 剣がしゃべるのって何だっけな…
ゼロ魔か
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