技術コラム: IGZOの次はCAAC-ITAZO? 酸化物半導体の選び方 ―後編
シャープが猛プッシュ中の酸化物半導体IGZOを超える材料は有るのか?前編では、酸化物半導体の基礎知識について書きました。後編は、IGZOの弱点と、本題のライバル材料についてです。
前編はこちら→ 技術コラム: IGZOの次はCAAC-ITAZO? 酸化物半導体の選び方 ―前編
5. a-IGZOの弱点とは
6. 打倒IGZO (1) 酸素をがっちりホールド
7. 打倒IGZO (2) やめようアモルファス
8. 結局、どの材料が勝つの?
a-IGZOの弱点とは
優れた材料に見えるa-IGZO(アモルファスイグゾー)ですが、まだ課題は有るようです。一例を見てみましょう。
<量産性の課題>
スパークして大変: IGZO膜の作り方は「アルゴンを電圧で加速してIGZO板にぶつける → 飛び出たIGZOがガラス板へ降り積もる」という方法です。しかし、このIGZO板に高い電圧をかけると、スパーク(異常放電)が起きることがあります。この時、IGZO板から大きな塊がガラス板に飛んできて、不良の原因となってしまいます。
クリーニングにひと苦労: 膜を作る真空装置はクリーニングが必要。Siは特殊であり、装置を開けずにクリーニングガスを流すだけでカンタン掃除が可能です。しかし、Si以外は「生産を止める → 真空を開放する → 手作業で掃除する → また真空へ戻す」と手間がかかるのが普通で、IGZOも例外ではありません。
巨大な “IGZOの筒” 。IGZOの供給源となるスパッタターゲットです。AMAT社の製造装置”PiVot”に使われています。
(AMAT社の技術論文 “Advances in High Performance, High Productivity Metal Oxide Films” より引用)
<品質の課題>
酸素コントロールがシビア: IGZO膜を作る時には酸素ガスを流します。ガス量のちょっとした違いで膜中の酸素量が変わり、品質を一定に保つのが大変。酸素ホールド力が不充分なことが一因と言われています。
特性が不安定:作った後に特性が安定しません。光があたったり、時間がたつことで閾値電圧などの特性が変化します。これも、酸素ホールド力が不充分なことが一因と言われています。
速さが足りない:移動度 約10cm2/(Vs) はそこそこ速いですが、4Kやその先の8Kを大画面で実現するには不充分な場合があります。
こういった様々な課題があるからこそ、量産技術の開発やノウハウの蓄積が必須となってきます。IGZOの基本特許をライセンスしてもらえばスグに量産可能、といった簡単は話にはならないのです。
例えば、スパークを抑えるには、原料のIGZO板の粒子サイズ・密度・結晶構造などの最適化が必要なようです。一方でクリーニング対策についてはどうかというと、ノウハウとして秘匿されているのか見つかりませんでした。
材料元素の組み合わせの開発状況については、次のページで詳細にクローズアップします。
後編、待ってたわ
オレオじゃない方どう表現するかと思ったらクラッシュオレオってw
CAACーIGZOとCAACーITAZOをブレンドしたらいいのでは?
混ぜすぎたら電子移動度が下がって
しかも添加金属を増やしすぎて価格も上昇するから
記事の通りバランスが大事なんだよ。
白黒液晶の最適配合やロータリーエンジンのシール材の選定等はありとあらゆる条件をテストして最適なものを探り当てた。
技術革新は稀に予測してたものと真逆の事象の発現や間違った操作の結果導き出されることがある。
現物の確認作業をせずに可能性を否定する考えを持つのは勿体無い。
ヨシ!
阻止
・・・。
ハア
酸素ホールド力ってのが量産上の問題になるのかぁ
IGZOは他企業の酸化半導体に乗り越えられるかのようなコメントがたまに見かけたけど、移動度が遅めとはいえバランスがいい構成なのね。しばらくはSHARPの独擅場なのかな。
公開情報をざっと見て出した結論なので、鵜呑みは危険です
材料自体の安定性が悪くても、材料以外の工夫で何とか出来る。
という技術があるかもしれません。
2015年までにAUOがITZOを量産化するようなことを
ほのめかしているっぽいけど。どうなるんだろうね。
まだまだイグゾー自体普及してないからね、もうチョット安価に買える位になってから新しいのが出てくれるといいなぁ
とはいえ、ハイエンドの大型高精細パネル=SHARPのIGZOって感じにはもうなってるし、さらに増産するみたいだからしばらくはSHARPがかなりリードできてそうな気がする
今はシャープしか量産技術を持っていなけど
一応サムスンやJDI、SONYにも特許の使用許可は
出てるから(特許自体は科学技術振興機構のモノ)
希望がないって訳でもないけど、
SONYとAUOはIGZOよりもITZOの量産化を進めているし
サムスンは有機ELで押して行くみたいだから
価格は下がらないかもね。(ITZOが出て下がるかも)
真空にすれば水分は完全に水蒸気になるから
それをドライヤー(乾燥機)に通して水分を
除去するんじゃなかったっけ?
ただ他の物質の清掃は極めて面倒くさい
(産業ロボットを使って清掃してるっぽい?)
真空にしても内壁に吸着した水分子がすぐさま取れるわけではなくて、時間をかけてじわじわと取れるんだよね。
だから大気開放したら一度装置を加熱(ベーキング)して吸着した水分子を飛ばしてやらないと真空度がなかなか良くならない。
上でも書かれていますが、
真空装置で主に問題になるガスは、内壁に吸着した不要ガスです。
内部を漂っているガスはポンプで排気されますが、
吸着ガスはいつまでもチョロチョロと放出され続けて真空度を悪くするからです。
そこで、真空中で内壁を加熱してガスを一気に追い出す “ベーキング” をすることがあります。
ただ、IGZO生産ラインでどれほどの真空度が必要かは分からないです。
掃除は本当に面倒です。筆者の経験では、部品にピッタリとくっついた膜を
サンドブラスト処理 (キレイな “砂” を吹き付け、汚れを削り飛ばす) したり、
酸などで化学的に溶かしたりしました。
ロボットによる完全な自動クリーニングは量産装置でも難しいです。
特に、IGZOのように化学的に安定した酸化物は掃除しにくいと思います。
Hf自体が更に高騰(元々非常に高価)してるから液晶に使用するのは
無理だとサムスンは判断してるようです。
なるほど
安価な上に、酸素との結合力が強い
Al,Siあたりが酸素ホールド元素としては本命かもしれませんね