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技術コラム: IGZOの次はCAAC-ITAZO? 酸化物半導体の選び方 ―後編 - Technity

技術コラム: IGZOの次はCAAC-ITAZO? 酸化物半導体の選び方 ―後編

2013年12月4日 18:58 │Comments(20)

シャープが猛プッシュ中の酸化物半導体IGZOを超える材料は有るのか?前編では、酸化物半導体の基礎知識について書きました。後編は、IGZOの弱点と、本題のライバル材料についてです。

前編はこちら→ 技術コラム: IGZOの次はCAAC-ITAZO? 酸化物半導体の選び方 ―前編

[ページ構成]

5. a-IGZOの弱点とは
6. 打倒IGZO (1) 酸素をがっちりホールド
7. 打倒IGZO (2) やめようアモルファス
8. 結局、どの材料が勝つの?

a-IGZOの弱点とは

優れた材料に見えるa-IGZO(アモルファスイグゾー)ですが、まだ課題は有るようです。一例を見てみましょう。

<量産性の課題>

 

スパークして大変: IGZO膜の作り方は「アルゴンを電圧で加速してIGZO板にぶつける → 飛び出たIGZOがガラス板へ降り積もるという方法です。しかし、このIGZO板に高い電圧をかけると、スパーク(異常放電)が起きることがあります。この時、IGZO板から大きな塊がガラス板に飛んできて、不良の原因となってしまいます。

 

クリーニングにひと苦労: 膜を作る真空装置はクリーニングが必要。Siは特殊であり、装置を開けずにクリーニングガスを流すだけでカンタン掃除が可能です。しかし、Si以外は「生産を止める → 真空を開放する → 手作業で掃除する → また真空へ戻す」と手間がかかるのが普通で、IGZOも例外ではありません

IGZOの供給源であるロータリーターゲット(AMAT社の成膜装置"PiVot")

巨大な “IGZOの筒” 。IGZOの供給源となるスパッタターゲットです。AMAT社の製造装置”PiVot”に使われています。
(AMAT社技術論文 “Advances in High Performance, High Productivity Metal Oxide Films” より引用)

<品質の課題>

 

酸素コントロールがシビア: IGZO膜を作る時には酸素ガスを流します。ガス量のちょっとした違いで膜中の酸素量が変わり、品質を一定に保つのが大変。酸素ホールド力が不充分なことが一因と言われています。

 

特性が不安定:作った後に特性が安定しません。光があたったり、時間がたつことで閾値電圧などの特性が変化します。これも、酸素ホールド力が不充分なことが一因と言われています。

 

速さが足りない:移動度 約10cm2/(Vs) はそこそこ速いですが、4Kやその先の8Kを大画面で実現するには不充分な場合があります。

こういった様々な課題があるからこそ、量産技術の開発やノウハウの蓄積が必須となってきます。IGZOの基本特許をライセンスしてもらえばスグに量産可能、といった簡単は話にはならないのです。

例えば、スパークを抑えるには、原料のIGZO板の粒子サイズ・密度・結晶構造などの最適化が必要なようです。一方でクリーニング対策についてはどうかというと、ノウハウとして秘匿されているのか見つかりませんでした

材料元素の組み合わせの開発状況については、次のページで詳細にクローズアップします。

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メジロオナガペンギン

著者 : メジロオナガペンギン

「ガジェットの根底に工学あり」をスローガンに、テクノロジーの面白さ伝えます。目指せ工学部の女性率50%超え。 Twitter@MzOngPeng

20 件のコメント

  1. No Name 2013年12月4日 19:03 No.568294 返信

    後編、待ってたわ

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  2. No Name 2013年12月4日 19:25 No.568306 返信

    オレオじゃない方どう表現するかと思ったらクラッシュオレオってw

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  3. No Name 2013年12月4日 19:29 No.568313 返信

    CAACーIGZOとCAACーITAZOをブレンドしたらいいのでは?

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    • No Name 2013年12月4日 21:15 No.568601 返信

      混ぜすぎたら電子移動度が下がって
      しかも添加金属を増やしすぎて価格も上昇するから
      記事の通りバランスが大事なんだよ。

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      • No Name 2013年12月4日 22:27 No.568719 返信

        白黒液晶の最適配合やロータリーエンジンのシール材の選定等はありとあらゆる条件をテストして最適なものを探り当てた。
        技術革新は稀に予測してたものと真逆の事象の発現や間違った操作の結果導き出されることがある。
        現物の確認作業をせずに可能性を否定する考えを持つのは勿体無い。

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  4. No Name 2013年12月4日 19:46 No.568346 返信

    ヨシ!

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    • No Name 2013年12月4日 19:51 No.568378 返信

      阻止

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      • No Name 2013年12月4日 19:52 No.568380 返信

        ・・・。

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      • No Name 2013年12月4日 22:44 No.568778 返信

        ハア

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  5. No Name 2013年12月4日 19:56 No.568397 返信

    酸素ホールド力ってのが量産上の問題になるのかぁ
    IGZOは他企業の酸化半導体に乗り越えられるかのようなコメントがたまに見かけたけど、移動度が遅めとはいえバランスがいい構成なのね。しばらくはSHARPの独擅場なのかな。

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    • メジロオナガペンギン 2013年12月4日 20:11 No.568446 返信

      公開情報をざっと見て出した結論なので、鵜呑みは危険です

      材料自体の安定性が悪くても、材料以外の工夫で何とか出来る。
      という技術があるかもしれません。

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    • No Name 2013年12月4日 21:05 No.568575 返信

      2015年までにAUOがITZOを量産化するようなことを
      ほのめかしているっぽいけど。どうなるんだろうね。

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  6. No Name 2013年12月4日 20:28 No.568480 返信

    まだまだイグゾー自体普及してないからね、もうチョット安価に買える位になってから新しいのが出てくれるといいなぁ

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    • No Name 2013年12月4日 21:00 No.568561 返信

      とはいえ、ハイエンドの大型高精細パネル=SHARPのIGZOって感じにはもうなってるし、さらに増産するみたいだからしばらくはSHARPがかなりリードできてそうな気がする

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    • No Name 2013年12月4日 21:12 No.568594 返信

      今はシャープしか量産技術を持っていなけど
      一応サムスンやJDI、SONYにも特許の使用許可は
      出てるから(特許自体は科学技術振興機構のモノ)
      希望がないって訳でもないけど、
      SONYとAUOはIGZOよりもITZOの量産化を進めているし
      サムスンは有機ELで押して行くみたいだから
      価格は下がらないかもね。(ITZOが出て下がるかも)

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  7. No Name 2013年12月4日 21:19 No.568614 返信

    真空にすれば水分は完全に水蒸気になるから
    それをドライヤー(乾燥機)に通して水分を
    除去するんじゃなかったっけ?
    ただ他の物質の清掃は極めて面倒くさい
    (産業ロボットを使って清掃してるっぽい?)

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    • No Name 2013年12月4日 22:19 No.568705 返信

      真空にしても内壁に吸着した水分子がすぐさま取れるわけではなくて、時間をかけてじわじわと取れるんだよね。
      だから大気開放したら一度装置を加熱(ベーキング)して吸着した水分子を飛ばしてやらないと真空度がなかなか良くならない。

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    • メジロオナガペンギン 2013年12月4日 22:55 No.568818 返信

      上でも書かれていますが、
      真空装置で主に問題になるガスは、内壁に吸着した不要ガスです。

      内部を漂っているガスはポンプで排気されますが、
      吸着ガスはいつまでもチョロチョロと放出され続けて真空度を悪くするからです。

      そこで、真空中で内壁を加熱してガスを一気に追い出す “ベーキング” をすることがあります。

      ただ、IGZO生産ラインでどれほどの真空度が必要かは分からないです。

       
      掃除は本当に面倒です。筆者の経験では、部品にピッタリとくっついた膜を
      サンドブラスト処理 (キレイな “砂” を吹き付け、汚れを削り飛ばす) したり、
      酸などで化学的に溶かしたりしました。

      ロボットによる完全な自動クリーニングは量産装置でも難しいです。
      特に、IGZOのように化学的に安定した酸化物は掃除しにくいと思います。

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  8. No Name 2013年12月4日 21:30 No.568627 返信

    Hf自体が更に高騰(元々非常に高価)してるから液晶に使用するのは
    無理だとサムスンは判断してるようです。

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    • メジロオナガペンギン 2013年12月4日 22:57 No.568826 返信

      なるほど

      安価な上に、酸素との結合力が強い
      Al,Siあたりが酸素ホールド元素としては本命かもしれませんね

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