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英国の人類学者、フランシス・ゴールトンは長年に渡り、人間の心理的な発達(行動、習慣、知性、個性、性行動、攻撃的傾向など)にいちばん影響を与えるのは遺伝なのか、育った環境なのかを探っている。環境派は、人間はものの教わり方や、まわりでなにが起こっているかによって影響を受けると信じ、遺伝派は動物の本能(フロイトのイド)と同じように、もっている遺伝子の性質によると主張する。
人というものは、環境の産物なのか、遺伝子の産物なのか、それともその両方なのか?人間から隔離された環境で育った子供たちは、この論争に興味深い局面を見せてくれる。
野生児とは、幼い頃、親に捨てられたり、監禁されたりして、人間の社会と引き離されて育った子どものことをさす。こうした子どもたちは、たいてい社会性がなく、うまくしゃべることができない。人間以外の動物に育てられることも多く、その動物の世界のことしか学べない。そんな数奇な人生を歩んだ10人を見てみることにしよう。
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※例により海外サイトからの翻訳なので、一部日本で伝わっている事実とは異なる解釈があることをあらかじめご了承願いたい。
10.チンパンジーに育てられた少年(ナイジェリア)
ナイジェリアのチンパンジーボーイこと、ベロは1996年に森の中で見つかった。正確な年齢はわからないが、発見されたとき2歳くらいだったと言われている。生後6ヶ月ほどで捨てられたようで、もちろん、ひとりでは生きることはできない。ところがどういうわけか、森のチンパンジーが彼を拾って育てたのだ。ベロはチンパンジーのように歩き、彼らの仕草を多く見せた。
ベロの発見は当時発表されなかったが、2002年になって初めてマスコミがこの事実を知り、本人がカノにある身よりのいない子供たちのための家に住んでいることを突き止めた。当時、ベロは物を投げつけたり、夜に飛んだり跳ねたりして、まわりを悩ませていたという。発見から6年もたつと、だいぶおとなしくなったが、それでもまだチンパンジーのような行動を見せ続けたという。ホームで人間との関係ができたのに、ベロはついにしゃべることを学ばず、2005年、原因は不明だが亡くなった。
9.鳥と同じ扱いを受けていた少年(ロシア)
ロシアのバードボーイことイワン・ユージンは、2008年にケースワーカーによって発見されたとき、7歳だった。しゃべることができず、鳥のようなチュッチュという声を出すか、両腕を翼のように羽ばたかせることしかできなかったという。
イワンは母親の飼っている鳥だらけのふた間のアパートに閉じ込められていて、母親から話しかけられることはなく、ほかの鳥と同様、ペットのように扱われていたという。イワンは精神病院に入れられて、普通の人間の生活に戻れるよう治療を受けた。のちにさらに社会性を身に着けるために、心のケアを受けるセンターに送られた。
8.オオカミに育てられた少年(インド)
通称インドのオオカミ少年、ディーン・サニターは、もっとも古い時代の野生児として知られる。1867年に洞窟の中でオオカミの群れと共に暮らしていたところをハンターによって発見されたとき、6歳前後だったという。
ハンターたちが煙でオオカミを洞窟からいぶし出して、ディナを確保した。その後、ディナは生肉を食べたり、服をはぎ取ったり、地面から食べ物を食べたりするような動物的行為をやめるよう治療を施され、調理した食事をとるようにはなったが、結局しゃべることはできなかったという。
7.ジャングルで育った少女(カンボジア)
2007年1月23日、ラタナキリのジャングルの中で、ひとりの少女が見つかった。この通称カンボジアのジャングルガールは、19年間もジャングルの中で暮らしていた。近くの村の家族が彼女が自分たちの娘で、1979年に失踪したロチョム・プニンだということを明かした。見つかったとき、彼女は裸でひどく怯えていた。
ロチョムは8歳のとき、ジャングルの中で牛の世話をしている途中、妹と共に行方不明になっていたのだ(妹は見つかっていない)。発見後、普通の生活に戻そうとさまざまな治療が施された。胃痛、母親、父親という言葉しか話せず、ほかにも言葉を知っているようだったがはっきりわからなかった。空腹だったり、喉が渇いたりすると、ただ自分の口を指し示すだけだった。立って歩かずに這いずり回ることが多く、服を着るのも嫌がり、何度もジャングルに逃げ帰ろうとした。
6.野良犬に育てられた少年(ルーマニア)
ルーマニアのドッグボーイ、または『ジャングルブック』のメインキャラクター、モーグリこと、トライアン・カルダラーは2002年に発見された。4歳のときに家族と離れ離れになって、7歳で見つかったが、栄養失調で3歳児ほどの体格しかなかった。母親はDVのために家を出てしまい、その後でトライアンも家を逃げ出したようだ。
森の中で暮らし、ルーマニアのブラショフで発見されたとき、ダンボールをシェルター代わりにしていたが、くる病、血行不良、負った傷から感染症になっていた。発見者によると、どうやらトライアンは野良犬に育てられたようだという。発見されたとき、トライアンのそばに犬の死骸があり、その肉を食べて生き延びていたらしい。すぐに保護されたが、ベッドの上ではなく下で寝たがり、しょっちゅう食べ物を欲しがった。食べ物をもらえないと、怒りっぽくなった。
2007年、トライアンは祖父の保護の元、人間らしい生活を取り戻し、3年生のクラスに入った。学校のことを訊かれると、絵を描いたり、遊んだり、読み書きを覚えたりしていて、おもちゃもたくさんあり、食べ物もおいしくて気に入っていると答えたという。
5.猿に育てられた少年(ウガンダ)
ウガンダのモンキーボーイこと、ジョンは3歳のとき、父親が母親を殺すのを目撃してしまい、家を飛び出した。ジャングルの中に入り込み、アフリカミドリザルに育てられたと言われている。1991年、木に隠れているところを地元の女性に見つかった。
女性は村に戻って男たちにこのことを伝え、男たちがジョンを捕えようと捜索に乗り出すと、ジョンはサルたちと共に抵抗した。しかし、ついに捕まって、村に連れて行かれた。
村で体をきれいにされたが、ジョンの全身は毛に覆われていて、いわゆる多毛症だった。野生で暮らしていたせいか、腸に50センチ以上もの長さの寄生虫がいて、全身傷だらけで、サルのような歩き方をするせいか、特に膝に傷が多かった。孤児院を経営しているポールとモリー・ワスワ夫妻に預けられた。家を逃げ出す前に、しゃべることはできていたようで、ジョンは現在、子供たちの聖歌隊に入っていて、動物的な行動はほとんど見せないという。
4.オオカミに育てられた2人の少女(インド)
このふたりの少女はもっとも有名な野生児だろう。1920年、インドのミドナプールのオオカミのすみかから発見されたとき、カマラは8歳、アマラは1歳半だったと言われている。ふたりは姉妹ではなく、捨てられてたまたま同じ時期にオオカミに拾われたようだ。
発見される前、地元の村人の間では「ベンガルのジャングルでオオカミと一緒にいるふたつの幽霊」として恐れられていて、ジョゼフ・シンというキリスト教伝道師が真相を探るよう依頼された。シンはオオカミの棲む洞窟で見たものを、人間のような姿形をしているが、恐ろしいものと記録している。少女たちは四足で走り、とても人間とは思えなかったという。
深夜、やっとのことでふたりを捕えたが、少女たちは体を丸めて一緒に眠り、服を着せてもはぎとってしまい、生肉以外は口にしない。遠吠えのような声をあげ、手足の腱や関節がもろく、立って歩くことができない。人間との関係にはまったく興味を示さず、聴覚や視覚、臭覚はかなり鋭かったという。
やがて、アマラは病気で死に、そのせいでカマラもずっと元気がなかった。カマラはシンのリハビリで立って歩き、いくつか言葉を話せるようになったが、1929年に腎不全で死んだ。
3.森の中に置き去りにされた少年(南フランス)
アヴェロンの野生児として知られるヴィクトールは、世界で初めて自閉症として報告されたが、野生にひとり置き去りにされた子どもとしても知られている。1797年頃、フランス南部ラコーヌの森の中でさまよっているところを目撃され、捕えられた。当時12歳くらいだったと言われている。
全身傷だらけで、発見当時は完全に人間らしさを失っており、言葉をしゃべることができなかった。町に連れていかれ、噂を聞きつけた多くの人が彼の調査に続々とやってきた。ヴィクターは雪が降るような寒い中、裸でいても平気だったが、能力はあるのに教えられてもきちんとしゃべることはなかった。最終的にパリに送られ、マダム・ゲランという世話役と一緒に暮らすことになり、40歳で亡くなった。
2.犬に育てられた少女(ウクライナ)
1991年、ウクライナで見つかった8歳のオクサナ・マラヤは、3歳のときから家の裏にある犬小屋で犬に囲まれて暮らしていたという。吠えたり、唸ったり、犬の群れを守ろうとしたり、四足で歩き、食べる前に食物のにおいをかいだりと、まるで犬のような仕草を見せた。人間がオクサナを連れて行こうとすると、ほかの犬たちと一緒になって威嚇した。イエス、ノー以外の言葉は話せなかったという。
人間としての生活や言葉を取り戻すためのセラピーを受けさせられ、話すことはできるようになったが、人とのコミュニケーションや自分の感情を表現することは難しいかった。現在、彼女はオデッサのバラボイ病院で生活していて、病院の農場で牛の世話をしているが、犬と一緒にいるときが一番心休まると言っている。
1.13年間部屋に閉じ込められていた少女(アメリカ)
ジーニーは13歳になるまでひとつの部屋に監禁されていた。おまるに縛りつけられ、寝るときは寝袋に入れられ、父親はジーニーがなにか言うと怒鳴り殴りつけておとなしくさせた。父親はジーニーの母親や兄弟たちがしゃべることも禁じていた。
おかげでジーニーは「やめて」とか、「もういらない」というような簡単なフレーズ以外ほとんどしゃべることができず、20前後の語彙しかなかったという。1970年に発見されたが、彼女が本当は13歳で虐待の被害者だとわかるまで、ずっと自閉症だと考えられていた。今では孤立児の最悪のケースとみなされている。
ジーニーはロスの子供病院に収容されて治療を受け、イエスノーで質問に答えたり、自分で服を着ることを覚えたが、うさぎのような奇妙な歩き方はなかなか治らず、やたらものをひっかいたりした。セラピストのデイヴィッド・リグラーと4年間暮らし、言葉を話さなくてもコミュニケーションがとれるよう手話や絵を描くことを教わった。
それから母親と暮らすようになったが、新たにひきとられた新しい里親に虐待されてまた言葉が退行し始めた。現在、ジーニーには南カリフォルニアのどこかで生活しているという。
via:Top 10 Feral Children Stories・原文翻訳:konohazuku
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コメント
1. 匿名処理班
ウクライナの子は普通に人に育てられた子だって以前テレビで見た。
その番組では、この子が養護施設だかに入った時ぐらいから犬のような行動をとるようになったって言ってたな。
2. 匿名処理班
小さいころに数年間動物に育てられただけで、
その後いくら教育してもまともな人間には戻れなかったんだな
幼少期の教育がいかに大切かが良くわかる話だ
3. 匿名処理班
アマラカマラはガセだろ
4. 匿名処理班
不謹慎だけど綺麗だ
5. 匿名処理班
治療できればいいけどそれはそれでこどもが意思をもったら自分の人生を憎むんじゃないだろうか。無責任な親は許せないな
6. 匿名処理班
狼に育てられたアマラとカマラの件は科学的に検証した結果嘘だったというのを本で読んだわ
7. 匿名処理班
ウクライナのやつは犬扱いされて育てられたってことか。
動画で膝を地面につけて歩いていたので野生児っぽくなくて、
怪しいと思ってた。
8.
9. 匿名処理班
12の女の子、可哀想すぎる。
引き取られた先でまた虐待って・・・
こんなにかわいらしい子になんでそんなむごい事できるのか
10. 匿名処理班
ジーニーについての本を昔読んだな……
引き取った後をメインに書かれていたけど「ああ良かった」と思ったら、問題が起きて…の繰り返しだった
保護されたからって「もう安心」てわけじゃないんだよね
彼女を引き取ってサリバン先生気取るやつとか、別の家庭に引き取られるも問題行動多すぎで結局施設行きとか……そんなんばっかだったわ
人間社会への復帰って思った以上に大変なんだな
11. 匿名処理班
人の心は人が育てるんだね
でも動物達と引き離したのは不幸のように
見えるのは自分だけだろうか?
まあどちらにせよ虐待したりした親は
絶対に許せないが
12. 匿名処理班
実の親から暴力と罵倒を受け続け育ったジーニーに比べたら、動物達と一緒に育った子供達の方がまだ救われている気がするなあ…
13. 匿名処理班
言葉って幼少期の環境が重要なんですね
14. 匿名処理班
イヌも、オオカミも、サルも、引き離そうとしただけで
彼や彼女を群れの一員として守ろうとしたってのに!
人間とかいう種族だけ、あまりにも不甲斐なさ過ぎだろ…
15. 匿名処理班
無理やりに人間としての生活に戻そうとするのはどうなんだろうか
ある程度成長期がすぎていた人に戻るのは無理みたいだしそっとしておくのがいいように感じる