桜田ジュンの膨満『料理の恋人』
- 793 :名無しさん:2013/12/05(木) 22:27:49 ID:JCUCItJE0
- 今回のお話は 水銀燈は動かない『採血室』 と 桜田ジュンの感冒『その苦輪の運命』 の続編です。
- 794 :名無しさん:2013/12/05(木) 22:31:39 ID:JCUCItJE0
- 槐「うーん…」
薔薇水晶「先ほどからカルテを眺めつつ唸ってばかり。…芳しくありませんか? 桜田ジュンの容態は?」
槐「いや、良くも悪くもない…と言うよりも『分からない』ってのが正直な感想だよ。
僕としたことが何とも情けないことだが。ジュン君の検査、診察ばかりを繰り返して…
薔薇水晶、君の『悶絶診察室! 成すがままの桜田ジュン!』ビデオシリーズがもう六本目になっている」
薔薇水晶「…聞くところによれば、東果重工等が目論んでいる『野茨の聖釘』の量産も
庭師連盟で取り組んでいる『ロゼリオン解除薬』も…難航しているようです」
槐「そうかぁ。ロゼリオン解除薬には庭師連盟でも苦労している…か。
それで『野茨の聖釘』があまり順調じゃない理由は?」
薔薇水晶「先ず第一には渡し守の集いが東果へ供給するはずだった材料となるメメントリオンの枯渇」
槐「ごっそりと密漁したものねぇ。お陰で僕は研究用のメメントリオン幼生に困らない」
薔薇水晶「そして、ジワジワと表層化してきている問題が残存野薔薇の強敵化です」
槐「強敵化?」
薔薇水晶「強敵化という言葉は間違いだと思うのですが、現状を把握するには適当なので
こう言いあらわしています。以前に庭師連盟のナナキさんが語っていたことでもありましたが…
今の野薔薇達はそうそう簡単に捕まえることができなくなっているそうです」
槐「なるほど。言い方は悪くなってしまうが、過去の野薔薇狩りで
捕まった野薔薇達は『弱い人形』だったとも言える。残った奴らが『強者』なのは必然」
薔薇水晶「さらに彼女達は警戒もしている。それどころか野薔薇による逆襲を受けたという事例も」
槐「不用意に野薔薇を追い詰めすぎた結果か」
- 795 :名無しさん:2013/12/05(木) 22:33:36 ID:JCUCItJE0
- 槐「nのフィールドの大まかな現況は分かった。手放しで喜ぶことはできないが、拮抗状態なのは悪くない」
薔薇水晶「?」
槐「この間に、僕達は目下の問題である桜田ジュンのロゼリオン化の治療に専念できるのだから」
薔薇水晶「何か新たな治療法はあるのですか?」
槐「最初に言ったように、現時点ではジュン君に凶兆は見られていない。
だから外科的な手術やら思い切った方法は取りたくないし、取る必然性も無い」
薔薇水晶「……」
槐「前回、巻かなかった世界の大きいジュン君から血液を提供してもらって
それを巻いたジュン君に輸血した。あれは、それなりに効果があったらしく
その後の診察撮影では彼の喉と心臓にあった指輪状の真紅細胞が縮んでいた」
薔薇水晶「!」
槐「しかし、さらに一週間ほど経った後の再検査では真紅腫瘍の大きさは元に戻っていた」
薔薇水晶「そう…だったのですか」
槐「一度にもっと大量の輸血、あるいは長期間にわたって輸血療法を続ければ
いいのかもしれないが、それだとどっちのジュン君も体がもたない」
- 796 :名無しさん:2013/12/05(木) 22:37:49 ID:JCUCItJE0
- 槐「今、考えている新たなアプローチは二つある」
薔薇水晶「それは?」
槐「一つは薬膳だ。ロゼリオン、メメントリオンともに『食べる』ということが重要なファクターになっている。
ジュン君の体内の真紅細胞あるいは真紅細胞をジュン君の体内に繋ぎとめているメメントリオン細胞を
相殺できるようなものを食べさせることで、ジュン君が回復するのではと僕は考えている」
薔薇水晶「食事療法というわけですね。では、もう一つのアプローチは?」
槐「精神世界からのアプローチだ。かつて記憶喪失になった僕の夢世界あるいは
多数の幻想植物を食べて『王樹』と化したレイキの母の夢世界に入って、処置したようなことをジュン君にも行う」
薔薇水晶「…!」
※詳細は 槐のいい夢・旅気分 と 薔薇乙女のうた『王樹の夢』 を参照
槐「しかし、こっちのやり方は外科手術なみに危険を伴う。
殊にジュン君の精神は一部がローゼンとリンクしてしまっているような感がある。
もし、そういった領域に足を踏み入れたりすれば何が起こるか全く予想もつかない」
薔薇水晶「では、やはり先ずは薬膳から始めるべき…ですか」
槐「そういうこと。ただ、まあ悲しいことに何を食べさせれば良いのか見当もつかないんだよね、本当」
薔薇水晶「お父様…」
槐「しかし悩んでいても仕方ない。今の話を真紅達に相談してきてくれないか」
薔薇水晶「分かりました」
- 797 :名無しさん:2013/12/05(木) 22:39:39 ID:JCUCItJE0
- §後日・桜田家の食卓
真紅「れでぃーすあ~んどじぇんとるま~ん!
それでは、これより! 『桜田ジュン回復祈願料理大会』を開催いたしま~す!」
ジュン「…どういうこと?」
翠星石「どういうことも何も、チビ人間のために薔薇乙女総出で料理をするのですよ。もっと喜べですぅ」
蒼星石「他人の好意を無碍にすると一生苦しむことになるよジュン君」
金糸雀「そうよそうよ!」
雪華綺晶「……」
ジュン「いや、僕のためにってのは嬉しいんだけど何でこんな大会風味に? しかも全然、良い予感がしない」
薔薇水晶「すいません桜田ジュン。どうにも私の説明が下手だったようでして」
ジュン「いや、絶対に真紅達のほうが自分達にとって面白おかしくなるように曲解したに違いない」
真紅「そんなことは今更どうでもいいわ! さあ、チャキチャキ進めてくわよ!」
雛苺「出でよ第一のメイデンシェフ(料理の恋人)なのー!」
水銀燈「……」でで~ん
- 798 :名無しさん:2013/12/05(木) 22:41:02 ID:JCUCItJE0
- ジュン「水銀燈が第一のシェフかよ。こういうの絶対に参加しなさそうな奴なのに」
真紅「見事、ジュンのロゼリオン化を治せたら金一封を渡すと約束したのだわ」
水銀燈「……」
金糸雀「す、水銀燈…」
ジュン「お前…」
雪華綺晶「黒薔薇のお姉様…」
水銀燈「なんとでもお言い」
翠星石(と言うですか、金一封だなんて真紅が出すわけねーと思うですぅ)
- 799 :名無しさん:2013/12/05(木) 22:42:16 ID:JCUCItJE0
- 水銀燈「ともかく、そういうわけで私がそこの人間のために用意したのはこれよ!」ゴトッ
蒼星石「コップに並々と注がれた、銀灰色の謎の液体…?」
ジュン「な、なんだコレは?」
薔薇水晶「水銀…のようですね」
ジュン「なんだとっ!? 水銀ッッ!?」
水銀燈「そのとおりよぉ。古代、秦の始皇帝も不死の薬と崇めて愛飲していたと言われる…」
ジュン「おいおいおいおいおいおいおい! ちょっと待て! 水銀なんて飲めるか! しかもこんな量!」
雪華綺晶「それに始皇帝は水銀中毒で死んだとも言われていますわね」
翠星石「昔の人は怖いもの知らずですぅ」
水銀燈「何よ? うるさいわねぇ、コレさえ飲めばロゼリオン腫瘍だってイチコロよ」
ジュン「僕もイチコロだっつーの」
真紅「それにしても水銀燈、こうも大量の水銀をどこから?」
水銀燈「ひ・み・つ」
金糸雀「うわぁ、どす黒い裏取引の匂いがプンプンするかしら」
- 800 :名無しさん:2013/12/05(木) 22:43:55 ID:JCUCItJE0
- 翠星石「水銀燈らしいと言うですか何と言うですか、とんでもないもの持ってきやがったですね」
金糸雀「そう? 何か色々考えた挙句、面倒くさくなって適当に選んだ感もするかしら」
水銀燈「…な、何よぉ! だったら金糸雀! アンタは相当こだわったものを用意したっての!?」
金糸雀「もちのろんかしら! 見て驚くなかれ! これよっ!」ドジャァアアアーーン
ジュン「おおっ!? 卵か! それも何と巨大な!」
雛苺「ダチョウさんの卵なのよ!?」
蒼星石「いや、それよりも全然大きい! まさか金糸雀! この卵は!」
金糸雀「おーほっほっほのほー! そうよ蒼星石! そのまさかかしら! ズバリこれはコカトリスの卵!
その滋養については正に伝説級。ジュンの病も吹っ飛ばしてくれるはずかしら!」
水銀燈「コカトリス!? nのフィールドの凶鳥コカトリスのこと!?」
真紅「以前、私達が束になっても成鳥を仕留めきれなかった、あの!」
雛苺「す、すごいのー! カナどうやって手に入れたのよ、この卵を!」
金糸雀「ふふふ、話せば長くなるけど、これを手に入れるためにカナは聞くも涙、語るも涙の大冒険を…」
薔薇水晶「長くなるなら、その話はいらないです」
金糸雀「ッッ!?」
雪華綺晶「そうですわね。後もつかえてることですし」
金糸雀「いやっ! ちょ…っ! て、手短に話すから聞いてかしら! 本当、いい話だから!」
水銀燈「かったるいわねぇ」
金糸雀「お願い! 後生だから聞いて頂戴! お願いかしらー!」
蒼星石「ダイジェスト風にしてくれたら聞いてあげないこともない」
金糸雀「ほ、本当!? 蒼星石」
ジュン「ま、ダイジェストならな…」
- 801 :名無しさん:2013/12/05(木) 22:47:51 ID:JCUCItJE0
- ドジャァーーン! nフィー秘境探検! 金糸雀危機一髪!!
桜田ジュンのためにコカトリスの卵を獲ることを決意した金糸雀は
かつてのツテ(※)を頼り、nフィーの深海酒場『竜宮城』で仲間を募った!
※金糸雀は竜宮城のぼったくりホストクラブで豪遊してしまい代金代わりにタダ働きをさせられた過去がある
※詳細は真紅とイグアナのすすめを参照
金糸雀「実は、かくかくしかじかと言うわけで…」
酒飲客A「へっ! なぁーにを冗談を抜かしてるんでバーローめぇ。そんなのに協力できるかよ!」
しかし、コカトリスの恐ろしさを熟知しているnフィーの住人達は誰も金糸雀に取り合わない…。
金糸雀「ううう…、なんてことかしら。このままではジュンは…、ジュンは真紅腫瘍に冒されたまま」
酒飲客B「よぉ、何だか面白そうな話が聞こえたぜ? コカトリスがどうとかよ」
金糸雀「あ、あなたは…!?」
- 802 :名無しさん:2013/12/05(木) 22:49:19 ID:JCUCItJE0
- 差し出された救いの手、いや、それは救いの鰭(ヒレ)だった!
酒飲客B「俺の名はギョセフ…、ギョセフ・サーカナー(魚)だ。ギョギョって呼んでくれ」
金糸雀「ギョ…ギョギョ?」
ギョセフ「こう見えて俺も陸(おか)の危険や冒険に首を突っ込まずにいられない性質でよ。
金糸雀と言ったな、あんたのコカトリス狩りを手伝ってやってもいいぜ」
金糸雀「あ、ありがとうかしらギョギョ!! でも狩りじゃなくて卵を獲りにいくだけよ」
- 803 :名無しさん:2013/12/05(木) 22:53:16 ID:JCUCItJE0
- 伝説のエヌマグロの半魚人一族サーカナー家の一人を仲間に得た金糸雀は
ついにコカトリスのねぐらのある魔の森へと歩を進める…ッッ!
しかし、その道程は様々な危険生物や天然のトラップがひしめきあうヘルエッジロードであった!!
ギョセフ「危ないぞ金糸雀! ヴォーパルパンダが上から襲ってくるーー
- :-:2013/12/06(金) 19:07:05
- あともう一個ぐらい金糸雀が冒険するもシカトされるケースあったよね?何だっけ
それにしても本誌で存在が否定されちゃった鳥海はマジでどうするんだ・・・槐の弟子としてちょいちょい画面に出てきてたのにあれも全部妄想でしたってことになってしまうのか。でも自分で考察した「ジョジョ+アントリオン(アリジゴク)→ロゼリオン(ローゼン喰い)」を披露した挙句荒木先生じきじきに否定されてもめげないで「新ロゼリオン(薔薇の祝福を受けたもの)」に改変してみせた作者の力量を俺は信じるぜ!
- :-:2013/12/06(金) 19:40:31
- SLPYなりの結末でいいのよ
- :-:2013/12/06(金) 19:46:34
- もしかして雪華綺晶が初めて吐いた…?
- :-:2013/12/06(金) 20:22:32
- このハイペース、作者はやる気だな…
もう原作がどうとか、コカトリスの伝説がどうとか 瑣末な話はしない
恐れることなく 思うがままに書いてくれ!
- :-:2013/12/06(金) 21:34:59
- ばらしーが生き残ったこの世界線、「slpyズ・ゲート」ならきっと鳥海も生き残れるはずだ!!
さりげなくギョギョが増えてるんだけどギョウタローも出るの?w
- :-:2013/12/06(金) 21:45:25
- 天才じゃったか!!!