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米大学、革命的な「蚊よけ」技術を発見 ―伝染病予防にも大きく貢献 - Technity

米大学、革命的な「蚊よけ」技術を発見 ―伝染病予防にも大きく貢献

2013年12月7日 22:43 │Comments(5)

Written by くまむん

米カリフォルニア大学のAnandasankar Ray氏らはこのたび、蚊が人間の体臭を検知するメカニズムを明らかにし、これを「制御」することを可能としました。この研究成果は、5日付けの科学誌「Cell」に掲載されています。

how-to-relieve-mosquito-bites

蚊がもたらす被害として多くの人がまずイメージするのは、その「痒み」でしょう。夏場などは特に、寝ている間に何箇所も刺されてウンザリ、といったことは誰しも経験があるのではないでしょうか。

しかし、単純に刺されてかゆい、ということだけならまだ良いのですが、蚊の仲間の中にはマラリアやデング熱などの伝染病を媒介するものもおり、特にアフリカや東南アジアなどの途上国では、これらの病気によって毎年数百万という人が亡くなっています。

こうした被害を防ぐためにも、蚊を人間に寄せつけない方法が必要となってくるのですが、虫除けなどのにおいを利用した手段では蚊が徐々に耐性を獲得してしまうため、長期的対策として適しているとは言えません。そのため、蚊が人間を探しだすためのシステムを丸ごとブロックする、より根源的な防除技術が求められていました。

では、蚊はどのようにして人間をサーチしているのでしょうか。一つは呼吸によって生じる二酸化炭素、そしてもう一つが人体から発生する体臭です。彼らはこれらの “サイン” を手がかりにして人間に接近し、皮膚に取り付き、吸血行動を行っています。つまり、これら2つの感知システムをブロックしてしまえば、さしもの蚊と言えども、人間を見つけ出すことは非常に難しくなるというわけです。

これら2つのうち、二酸化炭素については、蚊の「cpAニューロン」という神経がこれを検知していることがわかっており、ドライアイスの気化や炭酸ガスの噴射によってこの神経作用を「混乱」させる防除技術も登場しています。しかし、こうした方法では原料となる二酸化炭素を液体もしくは固体の状態で貯蔵しておくことが必要となるのですが、途上国の中にはそうした設備に対する投資を行うほど経済的余裕が無い国も珍しくありません。

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二酸化炭素を利用した蚊よけシステム “Mostrap”。
二酸化炭素につられて中に入り込んだ蚊を電気ショックで撃退する。

そこで、蚊が人間の体臭を検知する神経をブロックすることで蚊を寄せつけない技術に期待が集まるわけですが、こちらの方は二酸化炭素とは異なり、彼らがどの嗅覚神経を利用して体臭を感知しているのかといったことが、長年にわたって明らかになっていませんでした。

今回Ray氏らは、このcpAニューロンが体臭の感知センサーの役割も果たしていることを新たに見出し、この神経を「自在に操る」ための物質探しを行います。候補となる物質はおよそ50万種類もあったものの、独自のコンピューター・シミュレーション技術によって、138種類にまで絞り込むことに成功。

最終的に、これらの中から、cpA神経の阻害剤(inhibitor)としてフルーツの香りを発するピルビン酸エチルが、活性剤(activator)としてはミントの香りを発するシクロペンタノンという物質が最も有効であることが突き止められました。つまり、スプレーやクリームなどによってにピルビン酸エチルを肌に塗布しておけば蚊は人間に取りつくことができなくなり、一方で捕獲トラップの中にシクロペンタノンを仕込んでおくことで、蚊をそちらへ誘導させることが可能になります。

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研究成果のイメージ図。(Cellより引用)

これらの物質を用いれば、蚊を人間から遠ざけつつ、捕獲トラップに誘いこむことが可能になります。また、二酸化炭素のように、発生源の貯蔵コストや、人体への影響なども最小限に留めることが可能であるため、伝染病の予防に大きく貢献するものと考えられます。

これらの物質は、すでに化粧品や香料などに広く使用されている物質であるとのことで、実用化にもそれほど長い時間はかからないものと考えられます。遠からず、革命的な虫除けスプレーが登場してくるかもしれませんね。

[Cell via Phys.org] [Sciencedaily]

くまむん

著者 : くまむん@むっちゃん育成中

企業の研究所で家電関連技術の研究開発に携わっておりましたが、2013年4月をもって退職し、当サイトの専属となりました。今後ともよろしくお願いいたします。

5 件のコメント

  1. No Name 2013年12月7日 22:49 No.577076 返信

    夏、寝ているときの
    ぷぁ~~~・・・・・ぁぁぁ~~~~・・・ぁぁ~ん
    が無くなるのだな、うれしい

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  2. No Name 2013年12月7日 23:16 No.577122 返信

    小林製薬さん来夏までよろしくお願いします

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    • No Name 2013年12月7日 23:59 No.577199 返信

      カイナクナール、カヨケール、あの会社だとそういう名前だよな。

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  3. No Name 2013年12月7日 23:25 No.577136 返信

    夏までに作っておくれ

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  4. No Name 2013年12月8日 00:01 No.577204 返信

    >これらの物質は、すでに化粧品や香料などに広く使用されている物質
    これって、あっさり流してるけど重大な問題じゃない?
    「これらの物質を含んだ化粧品を着けていると、蚊に刺されやすくなる」ってことでしょ?
    速やかに販売停止、最悪リコールに発展してもおかしくないような……。

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