桜田ジュンの革新『愚者は二度死ぬ』
- 820 :名無しさん:2013/12/09(月) 23:42:25 ID:jeN0uwao0
- ※桜田ジュンの膨満『料理の恋人』の続編です。また原作最新話ネタバレが含まれますのでコミックス派は注意。
- 821 :名無しさん:2013/12/09(月) 23:43:04 ID:jeN0uwao0
- 真紅「真紅!」シュバッ
雛苺「雛苺!」シュパパッ
翠星石「翠星石!」ビシィッ
三人『我らローゼンおもてなし隊!』ドジャァーーーン
ジュン「…これから寝ようって時に何を大声出してるんだよ」
真紅「聞こえなかったのジュン? 私達はローゼンおてもやん隊」
ジュン「おもてなしって言ってたじゃねぇか」
翠星石「ずばり、チビ人間に健やかで伸びやかな睡眠を提供するために結成されたエリート部隊ですぅ」
雛苺「ヒナ達エリートなのよー」
ジュン「ああ、そう」
- 822 :名無しさん:2013/12/09(月) 23:44:14 ID:jeN0uwao0
- 真紅「昨今、色々とジュンのロゼリオン化に対する治療行為を行うも今一つパッとしない」
翠星石「槐のヤローも、『俺に任せろ』的に自信満々だったですが、とんだ口だけ番長ですぅ」
ジュン「槐先生は良くしてくれてるよ。お前らがその治療効果を相殺してくるんじゃあないか」
真紅「だまらっしゃいジュン。輸血だ食膳だといった肉体的なアプローチではもはや限界。
ここは精神的なアプローチが必要とされるステージなのだわ」
ジュン「それで?」
雛苺「だから、さっきから言っているとおり、ヒナ達はジュンに快適な睡眠を約束するの」
翠星石「健全な精神を育むことによって、チビ人間の肉体も健全化するはずですぅ」
ジュン「……」
- 823 :名無しさん:2013/12/09(月) 23:45:49 ID:jeN0uwao0
- 真紅「さしあたってジュン、あなたを先ずは適当な地方のゲストハウスへ送り込み
そこでしばらくの間、寝泊りをしてもらおうと思っている」
ジュン「な!? ゲ、ゲストハウスだとぉ!」
翠星石「し、真紅!? いきなりそんな荒療治を施すのですか?」
雛苺「あやややや、ヒナ達そこまでするとは聞いていなかったのぉ~」
真紅「覚悟は良くて、ジュン!?」
ジュン「ゲ、ゲストハウスと言えば基本、相部屋で…キッチン、トイレ、風呂も当然共用
さらにはリビングで他の宿泊者とのコミュニケーションも活発に行われるという宿泊施設の一形態…!」
真紅「ふふふ、よく知っているじゃない。そう、ゲストハウスとは旅慣れ、人馴れしたリア充どもが蠢く魔窟!」
翠星石「そ、そんなところにチビ人間を放り込んだりしたら死んじまうですよ真紅!」
雛苺「ピラニアの水槽にグッピーを入れるようなものなのよ!」
- 824 :名無しさん:2013/12/09(月) 23:47:07 ID:jeN0uwao0
- 真紅「死と隣り合わせの修練を経てこそ、ロゼリオンをも退ける強靭で健全な精神を
その身に宿すことができるはず。そのためにも、特に長期宿泊者ばかりで
既にコミュニティが程よく出来上がっているゲストハウスにジュンを新参者として送るわ!」
ジュン「なっ!?」
翠星石「なんですとー!」
雛苺「ぶち込みすぎなのよ真紅!!」
翠星石「波紋初心者のジョセフにいきなり地獄昇柱を課したリサリサ先生もびっくりですぅ!」
真紅「さあ、出発なさいジュン! 宿は既にネットで予約しておいたから!」
ジュン「う…うあああっ!」ガクガクブルブル
雛苺「ジュンが言葉もなく震えているの!」
翠星石「こ、このままでは旅立つ前にチビ人間の精神が崩壊してしまうですぅ」
- 825 :名無しさん:2013/12/09(月) 23:48:09 ID:jeN0uwao0
- ジュン「い、嫌だ…! ゲストハウス…ゲストハウスだけは嫌だッー!!」
雛苺「ジュン! しっかりしてなのー!」
真紅「…ふ、やはりジュンにはゲストハウスはまだ早かったようね」
翠星石「真紅?」
真紅「実を言うとさっきの台詞は嘘。予約なんか取っていないわ」
雛苺「!?」
真紅「ジュンの覚悟がどれほどのものか、今時点でのそれを確かめてみただけ」
ジュン「……」
翠星石「び、びっくりさせるなですよ、もう…」
- 826 :名無しさん:2013/12/09(月) 23:49:45 ID:jeN0uwao0
- 真紅「ローゼンおろしそば隊は、そんな御無体を強いたりしなくてよジュン、とりあえず今夜のところは」
ジュン「……」
雛苺「うぃ! 先ずはジュンのためにやさしくヒナ達が体を張るの」
ジュン「…それで、本当は何をしてくれるってんだ?」
真紅「ジュンの健やかなる眠りのために私達を好きにしていいわ」
翠星石「真紅!? なんとド直球な発言を!?」
ジュン「好きに? 本当なのか?」
真紅「ええ、抱いてもいいのよ?」
ジュン「そうか…」スッ
真紅「ジュン…」
雛苺「ジュ、ジュンが真紅を抱き上げたのー!」
翠星石「きゃーっ! こ、このままベッドインですか! ついに二人は一線を…!?」
- 827 :名無しさん:2013/12/09(月) 23:51:46 ID:jeN0uwao0
- ジュン「……」ソッ
真紅「…て、あれ? ここベッドじゃなくて私の鞄?」
ジュン「そこでゆっくり寝てろ。朝まで出てくるな」パタン
真紅「ちょっ!? ジュン? ジューン!?」もがもが
ジュン「翠星石、雛苺。まだ石化したまんまの金糸雀を物置から持ってきてくれ。重石として鞄の上に乗せる」
翠星石「わ、分かったですぅ…」
雛苺「うぃ…」
ジュン「それが済んだらお前達も静かに鞄で寝てくれよな」
雛苺「で、でもヒナ達はジュンのために何かしてあげたいの!」
ジュン「僕のためを思うなら静かに大人しく寝ててください、マジで」
雛苺「みゅみゅ…」ショボーン
翠星石「くっ! ローゼンおもらし隊は一夜にして解散ですかっ」
- 828 :名無しさん:2013/12/09(月) 23:52:59 ID:jeN0uwao0
- §深夜・桜田ジュンの夢の中
翠星石「や~あ、チビ人間、今宵もいい夜ですねぇ」
ジュン「…? ここは夢、僕の夢の中か? 翠星石お前が夢の扉を開いたのか?」
翠星石「そうです。翠星石と蒼星石が、ですぅ」
ジュン「おい! あれほど僕のためを思うなら静かに眠らせてくれと頼んだはずだろ!
それを蒼星石まで巻き込んで…! て、蒼星石が見あたらないな?」
翠星石「こ、今度は真紅のおふざけではなくマジな内容なのです!
そして蒼星石はもう一人の大事なゲストをお迎えに行っているですぅ」
ジュン「もう一人?」
翠星石「ま、それはおいおい分かるです。ほら行くですよ」
ジュン「行くって、どこへ?」
翠星石「チビ人間のチビ樹のところへですぅ!」
ジュン「!」
翠星石「いやぁ~、随分と久しぶりじゃあねえですか~ぁ? あれの様子を見に行くのも」
- 829 :名無しさん:2013/12/09(月) 23:53:58 ID:jeN0uwao0
- ジュン「な、なんで今さらになって僕の心の樹を見に行くんだよ?」
薔薇水晶「それは私から説明します…桜田ジュン」ひょこっ
翠星石「むむ、薔薇水晶?」
ジュン「薔薇水晶まで僕の夢の中に?」
翠星石「お前の登場はもっと後のはずですよ」
薔薇水晶「翠星石があまりにも遅いので道に迷っているかと思いまして」
翠星石「チビ人間の偏狭な心の世界で迷うわけがねーだろーがですぅ」
薔薇水晶「そうですか、それは失礼。が、鳥海皆人に残されている時間も少ないので」
ジュン「鳥海!? どういうことだ? まさか蒼星石が迎えに行っているもう一人って?」
翠星石「ええ、そうです。そいつは鳥海皆人、例の偽者ヤローです」
- 830 :名無しさん:2013/12/09(月) 23:54:28 ID:jeN0uwao0
- ジュン「そんな、けど、鳥海は…!」
薔薇水晶「『二人目の鳥海皆人』も『時間切れ』で崩壊した…と伝えたのは私でしたね」
ジュン「ウソをついていたのか!?」
薔薇水晶「それに対する答えはイエスでもありノーでもあります」
ジュン「それってどういう意味…?」
翠星石「……」
薔薇水晶「先ほども言いましたとおり、時間が惜しい。説明は道すがら」
- 831 :名無しさん:2013/12/09(月) 23:56:12 ID:jeN0uwao0
- 薔薇水晶「最初に桜田ジュンは『今さら』と言っていました。まさに『今さら』ですが
ロゼリオン化が心の樹にどのような影響を与えているか確認するのを怠っていた」
ジュン「何も変わってないんじゃないの? 僕自身、何の自覚も…」
翠星石「そういう無自覚な異変だからこそ、心の樹を見る必要があるのです」
ジュン「まあ、そっちの理由はどうでもいい。それと鳥海の件がどう関わってくるっていうんだ?」
薔薇水晶「…『二人目の鳥海皆人』、彼も雪華綺晶の孤独から生まれました」
翠星石「アリスゲームを経ても、まだ白薔薇の心に闇が残っていたからですね」
薔薇水晶「そういう黒い感情は容易に消えはしません。薄れはすれども…消滅はしない、私とて…」
- 832 :名無しさん:2013/12/09(月) 23:59:52 ID:jeN0uwao0
- ジュン「今度の鳥海は人間として成長する…『成長させる』はずだったんじゃあないのか」
薔薇水晶「そうです。雪華綺晶も私達も『二人目の鳥海皆人』が、自分が『そうである』と
気付かないように、一から接してきました。雪華綺晶が一人目と同じ記憶を与え
あの二人目は自分が、それの延長線上にいると信じていた」
翠星石「水銀燈のマスターの生き損ないの夢が醒めて
崩れゆく世界の中で、自分も崩れた時の記憶だけは継承させずに…でしたよね」
薔薇水晶「はい。それで順調に歯車は回っていました。『人形を作る人形』の存在に対してだけは
非常に厳しい態度をとるお父様ですら、鳥海皆人が人間として生きようとする限り
彼の後押しをしました。アレニエ達の再製にも助言を与えた…」
翠星石「昔、蒼星石にメカ真紅(※)を壊させた時と比べると、激甘な判断ですぅ。
大体、『人形を作る人形』がダメって言うなら雪華綺晶は…」
薔薇水晶「ベス…いえ、メカ真紅への処遇も、お父様にとっては苦渋の決断。
そして雪華綺晶はそもそも実体をもたず、人形という範疇に収まらない存在」
ジュン「……」
※蒼星石とメカ真紅と薔薇水晶とベス参照
- 833 :名無しさん:2013/12/10(火) 00:01:28 ID:kLDOM8Yo0
- 薔薇水晶「そう、多少の矛盾を孕みながらも運命の車輪は滞りなく回っていた。しかし…」
ジュン「しかし?」
鳥海「続きは僕が自分で話すよ、薔薇水晶お姉さま」
ジュン「と、鳥海!?」
蒼星石「やあ、ジュン君。待ってたよ」
翠星石「蒼星石」
薔薇水晶「もう着いてしまいましたか…桜田ジュンの樹に。説明はまだ半分も終わっていませんのに」
蒼星石「それぐらいでちょうどいい。全部話されてしまうと僕達の出番がなくなる」
薔薇水晶「でも、時間が…」
鳥海「それぐらいは機械仕掛けの神も大目に見てくれるはずさ」
ジュン「鳥海! お前、鳥海なんだよな!? よく無事で…っ!」
鳥海「いや、無事じゃない。僕の実体は既に砕けた。今、ここにいるのは残留思念みたいなものだ」
ジュン「ッ!?」
- 834 :名無しさん:2013/12/10(火) 00:02:20 ID:kLDOM8Yo0
- 鳥海「僕からも伝えたいことは沢山あるが、優先順位というものがある。まずはジュン、君の問題だ」
2013/12/10(火) 21:26:18
コメント(6)
ユーザータグ ローゼンメイデン
- :-:2013/12/10(火) 21:42:23
- うーんマンダム
- :-:2013/12/10(火) 22:18:34
- サンタ読んで来たけれど、考えて鳥海にプレゼントしたようには見えないぜ……
でも今回は中々に考えさせられる話だった
- :-:2013/12/10(火) 22:58:20
- 鳥海リタイアか・・・
きっと二葉みたいに復活はしないんだろうな。
周りはみんな知ってる中で自分だけは気付いていない愚者だったわけだけど、綺麗に自分の物語を閉じられたんだな
- :-:2013/12/10(火) 23:07:53
- せつない
- :-:2013/12/10(火) 23:28:39
- ジーンとくる話なのに最後のばらしーのセリフが意味深に聞こえる
- :-:2013/12/10(火) 23:51:25
- これでまたお盆かハロウィン辺りにさらっと出てきたらどうしよ…