国際的人権の尊重が叫ばれている今、あからさまに人種差別を突きつけ、抗議行動を起こすといった大規模な運動は少なくなってきたが、実際には日々の小さな差別が静かに続いている。
ごく普通の人々の中に巣食っている偏見や無知のせいで、無意識のうちに、言葉の中に巧みに悪意が織り交ざってることがある。これらの微妙な言動は「マイクロ・アグレッション」と呼ばれている。海外生活を送ったことのある人ならば、自分に発せられたその言葉が、褒めているのか?それとも嫌味なのか?その土地ではマイノリティであると故に、わからなくなる場合がある。
アメリカの若い写真家、Kiyunは、フォーダム大学の学生たちが見聞きしたちょっとした差別的な言葉や態度について書いたプラカードを掲げてもらいその写真を撮った。
「マイクロ・アグレッション」という言葉は、もともと1970年代に学術的に使われ、少数民族に対する悪意や偏見を含んだちょっとした行いや言葉などのことを指す際に使われた。発言している方にそのつもりは無くても、例え受け取る側の思い込みであろうともそうともとれる微妙な発言は全て「マイクロ・アグレッション」として扱われる。
■1.“あなた、自分が白人と同じだと思っているの? そんな目をしていて?”
■2.“あなたとてもきれいだわ。黒い肌のせいで”
■3.“私の隣に座っていたその女の子、白人に近づいて話しかけたのだけど、彼女がいなくなってから、その白人がまわりに聞こえる声で言った。ぼくがコメくさいと言ったら離れていった”
■4.“君の振る舞いは普通の黒人とは違うね”
■5.“スペイン語を話さないの?”
■6.“わたしがメキシコ人だからという理由で、即、高校の寸劇でやる『ドーラといっしょに大冒険』(ヒスパニック系が英語を学ぶ幼児向けアニメ)の役者の第一候補になるというのはおかしい”
■7.“今日の髪型はなんの真似?”こう言いながら、彼女は断りもなしにわたしの帽子を脱がせた。
■8.“いいえ。あなたは白人だもの”
■9.“わたしがキャリー・アンダーウッド(アメリカのカントリーミュージシャン)を聞いていることがヘンだと思われること”
■10.“コートニー、わたしはあなたのことを黒人の女性として見たことは一度もない。目を覚まして”
■11.“あなたはなに人?”人間です。混血であることで、わたしは“なに人”というくくりで縛られない。
■12.“そうじゃなくて、本当はどこの出身なの?”
■13.“あなたが言うようなか弱い美人(ルビ:チャイナ・ドール)なんかじゃない”
■14.“あんたのクラスに黒人がほとんどいないからといって、おれをすべての黒人の代表にしないでくれ”
■15.“だから、あなた、中国人なんでしょ?”
■16.“あなた、本当はアジア人じゃないんじゃない”
■17.“人種差別についてスピーチしたとき、司会者がぼくのことをジャイン・ガルシアと紹介した。ぼくの名前は、ジャイン・ロドリゲス。ラティーノの名字がみんなガルシアというわけじゃない”
■18.“これ、読める?”彼は携帯で日本語をわたしに見せてこう訊いた。
■19.“ところで、君はなに人?”
■20.“ママと一緒にいたとき、どうして君の娘はそんなに白いんだい?と訊いた人がいた”
■21.“日本では何語をしゃべっているの? アジア語?”
Kiyunのこのプロジェクトは、どこの国の人間であろうが、本質的に相手を思いやることと、コミュニケーションの重要性を強調している。たとえ誰かを侮辱しているつもりはなくても、すべての人がそう解釈するとは限らないということなのだ。
via:boredpanda・原文翻訳:konohazuku
実際に私がアメリカにいた時も、「何人?」っていうのはよく聞かれた。それほど気にはならなかったけど、「日本人、中国人、韓国人の見分け方を教えてくれ」と言われたり、「日本人って、必ず日本人同士でつるんでて、秘密を守れないけど、君はいつも一人だから大丈夫だね」って言われたのってもしかしたらマイクロ・アグレッションだったのかもしれないな。
▼あわせて読みたい
人種差別は精神疾患、薬で治る可能性(英研究)
なぜ日本人は引きこもるのか?(英BBC取材)
イラストで比較:アメリカ人と日本人の11の違い
コメント