男「珍撃の巨チン……!?」
- 1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 20:09:42.66 ID:xFiuVfEb0
12月24日 クリスマスイブ──
~ 司令室 ~
男「珍撃の巨チン……!?」
司令官「うむ」
司令官「この日本有数の大都市に、三体の巨チンが迫っている!」
司令官「よりにもよって、この聖夜にな!」
司令官「これを迎え撃てるのは、君を含めた五名しかいないのだ!」
男「いやいやいやいやいや、ちょっと待って下さい!」
男「おかしいでしょう!? 色々と!」
- 3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 20:14:34.22 ID:xFiuVfEb0
男「突然、変な黒服に捕まってここに連れてこられて」
男「巨人の相手をしろだなんて!」
司令官「巨人じゃなく巨チンだ」
男「どっちでも同じですよ! いやむしろ巨人のがマシなぐらいだ!」
司令官「もし、巨チンが大都市に侵入すれば、人々は殺され、街は破壊され」
司令官「クリスマスはメチャクチャになってしまう」
司令官「だから、我々が迎え撃たねばならないのだ!」
男「いやだから、おかしいですって!」
男「なんで俺なんですか!?」
男「俺、体力なんてせいぜい人並みだし、ケンカだってしたことないのに──」
司令官「簡単なことだ」
司令官「だって君、今日予定なかっただろう?」
- 6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 20:18:31.10 ID:xFiuVfEb0
男「あ、ありましたよ……!」
司令官「ほう、どんな?」
男「バイトとか……彼女とデートとか……」
司令官「悪いが、君が今日バイトは休みをもらっていることも」
司令官「彼女がいないことも調べはついている」
男「え!?」
司令官「ちなみにバイトを休んだ理由が“彼女とデート”であることもな」
男(だったら、最初から君には予定がないと調査済みだとかいえよ……)
男(わざわざ俺にウソをつかせてから暴きやがって……)
男(最悪だ……)
- 8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 20:21:30.11 ID:xFiuVfEb0
男「……俺に予定がないことは認めましょう」
男「だからって、なんで俺が戦わなきゃならないんですか!?」
男「こういう時のために、自衛隊とか警察の人がいるんでしょう!?」
男「そりゃもちろん、自分は戦わず任せきりにするってのはなんか申し訳ないですけど」
男「街のことを考えれば、どう考えても彼らに任せた方がいいじゃないですか!」
司令官「君は知らんのか?」
司令官「クリスマスは自衛隊も警察もお休みなんだよ」
男(し、知らなかった……!)
- 9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 20:26:32.50 ID:xFiuVfEb0
司令官「さっそく君を、他の四人に紹介しよう」
司令官「もう巨チンの進撃……ではなく珍撃まで時間がないからな」
司令官「四人とも、君と同じくクリスマスになんの予定もない人間ばかりだ」
男(さっきから予定がない、予定がないって、ムカつくな……)
男「ちょっと待って下さい」
司令官「ん?」
男「多分あなたは政府の人なんでしょうけど」
男「あなたこそクリスマスの予定はないんですか?」
司令官「私は11月までは、ある会社の課長でね」
司令官「会社が倒産し、女房と子供に家を出て行かれて途方に暮れていたところを」
司令官「防衛省の役人に雇われたのだ」
男「そ、そうだったんですか……」
男「なんか……聞いてすみませんでした」
司令官「なぁに、人生色々あるさ」
- 10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 20:30:26.08 ID:xFiuVfEb0
~ 控え室 ~
司令官「この若者が五人目にして、最後の仲間だ」
司令官「よろしく頼む」
男「よろしくお願いします……」
DQN「ちぃ~っす!」
地味娘「よろしくお願いします!」
ブス「ガハハハッ! こりゃ冴えない男だねえ!」
ヒッキー「…………」ブツブツ
男(うわぁ……)
男(こんなメンバーの中に加わりたくない……)
- 11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 20:36:37.59 ID:xFiuVfEb0
司令官「さっそくだが、装備について説明しよう」
司令官「まず、鎧がこれだ。頑丈だし、身につけると身体能力がアップする」スッ
男(うわ、ダッサ……)
司令官「盾として、特別製の雨傘」
男(傘なんかなにに使うんだよ)
司令官「武器として、サーベルと……」
男(刃物なんて包丁さえろくに持ったことないってのに)ズシッ…
司令官「もっとも重要な武器である、携帯砲だ」
男「携帯砲……?」
司令官「バズーカ砲を小さくしたようなものだ。ここを押すと、弾が飛び出る」
司令官「戦車くらいなら、軽くふっ飛ばせる威力だ」
男「戦車って……こんなもん、素人が扱っていいんですか!?」
司令官「なにしろ緊急事態だからな。超法規的措置というやつだよ」
男(おかしいって……絶対)
- 12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 20:41:25.25 ID:xFiuVfEb0
男「そういえば、肝心なことを聞いてなかったんですけど」
男「巨チンってどのぐらいの大きさなんですか?」
司令官「30メートルくらいだ」
男「は!?」
男「ちょっとしたビル並みの大きさじゃないですか!」
司令官「うむ」
男「弱点とかは、ないんですか……!?」
司令官「ある」
男「なんですか!?」
司令官「巨チンの頂上には、タートルヘッドという部分があるのだ」
司令官「そこに先ほど渡したサーベルや砲弾をクリーンヒットさせれば、倒せる」
男(タートルヘッドって……英語にしただけじゃねえか)
- 13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 20:47:27.52 ID:xFiuVfEb0
司令官「さあ、まもなく巨チンの珍撃予測時刻だ」
司令官「政府のコンピュータが選び出した君たち五名は、巨チンなどに決して負けん!」
司令官「なんとしても、クリスマスでにぎわう大都市を守り抜いてくれ!」
司令官「健闘を祈る!」
DQN「うぃ~っす」
地味娘「がんばります!」
ブス「ガハハッ!」
ヒッキー「…………」ボソッ
男「はい……」
男(政府のコンピュータで選び出したって……)
男(ようはクリスマスに予定がない五人を集めただけだろ……)
男(いってみれば俺たちは、政府公認クリスマス暇人ベスト5……)
男(いや……ワースト5か)
- 14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 20:50:36.62 ID:xFiuVfEb0
~ 防衛ライン ~
DQN「俺たちがここを突破されたら、巨チンに大都市はメチャメチャにされるってか」
DQN「なかなか面白い仕事じゃねえか」ニィッ
地味娘「絶対……守り抜きましょうね!」
ブス「ま、なるようになるわさ! ガハハハハッ!」
ヒッキー「…………」
男「……あのさ」
DQN「あん?」
ブス「なんだい、戦う前からシケたツラして」
男「なんでアンタら……戦うわけ?」
- 15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 20:55:36.78 ID:xFiuVfEb0
男「みんなクリスマスに予定なんかなくて……」
男「ムリヤリ拉致されて、ここに来たんだと思うけど……」
男「なんだって、大都市で浮かれてるカップルなんかのために戦うわけ?」
男「自分らだけこんな戦いに駆り出されてるのに、逃げたいとか思わないの?」
四人「…………」
DQN「俺はクリスマス直前に彼女にフラれて」
DQN「しかも店長殴ってバイトもクビになって、クリスマス暇になったんだがよ」
DQN「戦う理由なんて簡単なもんよ」
DQN「巨チンだかなんだかに好き勝手されるなんて、シャクだからな」
男「へえ……」
ブス「ちゃらそうな格好のわりに、なかなかいい根性じゃないか」
DQN「うるせーブス」
ブス「ガハハッ!」
- 16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 20:59:23.44 ID:xFiuVfEb0
男「君は?」
地味娘「わ、私は……」
地味娘「たとえ予定がなくても、クリスマスはみんなにとって大切な日ですし……」
地味娘「街で楽しんでる人たちを守りたい、から……です」
男「……優しいんだね」
ブス「いいこというじゃないか!」
ブス「アンタ、可愛いんだから、もう少しアカ抜ければ絶対モテるって!」
DQN「ケッ、ブスはどうあがいても無理だけどな」
ブス「ガハハッ!」
男「じゃあ、君は?」
ブス「え、アタシかい?」
- 17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 21:05:16.54 ID:xFiuVfEb0
ブス「アタシもさ、たしかに巨チンは気に食わないし」
ブス「クリスマスって日を巨チンなんかに台無しにされたくないって気持ちはあるさ」
ブス「でも一番の理由は……」
ブス「アタシみたいなブスがクリスマスを守るなんて、なんか面白いだろ!?」
ブス「ラブラブな男女をブスがガード! こんなシュールな絵はなかなかないさ!」
ブス「ガハハハハッ!」
DQN「なんだそりゃ……アホか」
地味娘「頼もしいですね!」
男(愛し合ってるカップルを、サッカーのゴールキーパーみたくガードするブス……)
男(たしかに、想像してみるとかなりシュールな絵になるな)
- 18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 21:09:15.75 ID:xFiuVfEb0
男「……えぇと、じゃあ君は?」
ヒッキー「…………」
男「あれ? もしもし? 君が戦う理由を教えて欲しいんだけど」
ヒッキー「…………」
男「もしも~し?」
DQN「無駄だよ、そいつここ来てからひとこともしゃべってねえもん」
男「あ、そうなんだ……」
ヒッキー「…………」
- 19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 21:12:25.11 ID:xFiuVfEb0
男「じゃあそろそろ戦闘準備を──」
ヒッキー「…………」ボソッ
男「え?」
ヒッキー「……から」ボソッ
男「ごめん、もう一回」
ヒッキー「……少しぐらい人の役に立ちたいから」ボソッ
男「!」
- 20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/24(月) 21:17:23.96 ID:xFiuVfEb0
ブス「へぇ~、泣かせるこというじゃないか!」
DQN「なにをいうかと思えば……ふん、ちったぁ見直したぜ」
地味娘「絶対役に立てますよ!」
ヒッキー「……あなたは?」ボソッ
男「え?」
ヒッキー「……あなたはなぜ戦うの?」ボソッ
DQN「そうだな。人にばっか聞いてねえで、自分でもいってみろよ」
男(んなこといわれてもなぁ……)
男(戦う理由がないから、俺はみんなに聞いてみたわけなんだけど……)
男(かといって、みんなに聞いといて俺だけ答えなコメント一覧
-
- 2013年12月24日 20:46
- 地味子可愛いなw
-
- 2013年12月24日 20:53
- これがホワイトクリスマスなんですね(棒)
-
- 2013年12月24日 21:03
- すっげえ白くなってる、はっきりわかんだね(迫真)
-
- 2013年12月24日 21:05
- 進撃の巨人的な展開かと思ったら地球防衛軍の方だった
なんか絵面がSOS東京防衛軍の絵で脳内再生されたわ
メリークリスマス
-
- 2013年12月24日 21:06
- メリークリスマス
-
- 2013年12月24日 21:07
- 意外といい話だった
メリークリスマス!
-
- 2013年12月24日 23:02
- 地味娘ちゃんhshs
良かった!
-
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