2013年に発表されたインフォグラフィック総集編(動画あり)
あんなことやこんなことも、視覚化すればオッケー!
インフォグラフィックを研究するサイトFlowingDataを運営する、ネイサン・ヤウ(Nathan Yau)博士が、2013年を代表するインフォグラフィックをピックアップしました。彼曰く、今年、インフォグラフィックにおいて特筆すべきはデータと現実世界との結びつきが強くなったということ。多くのニュースが推測や世論で偏っていた報道がされている時、データとして示されたからこそ私たちは自身の意見を考え、そのニュースをもっと客観的に見れるようになったんだとか。
それでは、現実との結びつきが強くなったといわれる2013年のインフォグラフィックを振り返ってみましょう!
最初にご紹介するのは、今年の初めに発表された、アメリカ国内の銃による年間死亡者数を表したインタラクティブなアニメです。一般的な年間死亡者数の統計とは異なり、死亡した人の年齢や性別と一緒に、その人の推定寿命をも可視化したこの画は注目を浴びました。失われた命の、生きながらえるはずだった寿命の長さが表示されることで、数字だけではピンと来なかった統計が、一気に現実として感じられますね。
似た手法でデータを可視化したものにパキスタンへのドローン攻撃で犠牲になった民間人や子供の割合を示すデータがありますが、報道されなかった実態を多くの人に示すことになりました。
また、全米各地での、同性愛、障害者、人種に対する差別的なツイートと発信した地域をマッピングしたインフォグラフィックというのもありました。これを作ったFloating Sheepは、2012年にツイッタ―上でのオバマ再選に対する否定的な世論をマッピングしたことでも知られています。
これらのプロジェクトから分かったのは、データというものは客観的で事実を伝えるだけの媒体と考えられがちですが、現実とつながるからこそ、意味を成すということでした。
視覚化が行われたのは、何もシリアスな話題だけではありません。統計を使ったジョークともいうべきインフォグラフィックをご紹介しましょう。これまでに売れたiPhoneの販売台数分のスクリーンを全部並べて、1台の巨大iPhoneスクリーンを作るとしたら、どれだけ大きさになるのか…そんなことを視覚化した人もいれば、テレビドラマ「ブル~ス一家は大暴走!」に頻出するジョークと出てくる回数や登場エピソードをインフォグラフィックにまとめた人もいるし、SFに出てくる宇宙船のサイズ比較図を作った人、生殖器を示すスラングを年代順に並べた人もいました。
こういった、統計を使った面白いデータビジュアライゼーションのなかでも僕が特に気に入ったのは、アメリカ全土での方言をマッピングしたものです。このグラフィックを作るにあたり、オンラインで方言に関するアンケートをとったそうです。
このことから、10年前の統計と比べると、一般読者はデータに対する関心があり、積極的だと思われます。この傾向は、新聞社などのメディアにも影響を与えました。各社は、写真や文章のみで構成される紙面ではなく、一般の人の話やインフォグラフィック、動画を取り入れた企画をウェブ上で公開するようになったのです。例えば昨年のThe New York Times誌の企画、Snow Fallの成功は、こういった新しい試みの布石となりました。このことで動画などを交えて1つのテーマを掘り下げることが出来るようになったのです。
同紙による「貧困から収入レベルを引き上げるには? そして地理がどのように影響するか」というウェブ企画も良い例となりました。親の収入と子供の収入との関係という、入り組んだテーマを3つのインフォグラフィックを交えて解説しています。
収入についての話題といえば、米国内の富の流れに対する人々の認識を明らかにしたインフォグラフィック動画も、世間に実情を伝えると言う点で非常に素晴らしい出来でした。
メディアが発表したインフォグラフィックでは、他にもThe Guardian 紙によるスノーデンの内部告発に関するウェブ企画や、アメリカ合衆国の公共ラジオ局NPRの、Tシャツが作られるまでの、世界中を回る製造工程を動画と統計でまとめたサイトがありました。
動画を使わないインフォグラフィックだと、映画本編のどの映像を、どのタイミングで使ってアカデミー受賞映画の予告編が作られているのかを説明する図が興味深かったです。
新聞メディア続きで言えば、The Washington Postによる ワシントンD.C.の建築物の高さ制限を上げても景観を損なわないことを視覚的に表現したものや、ケプラー宇宙望遠鏡が発見した惑星の大きさなどが一目で分かるインフォグラフィックも面白かったです。
よりデータに焦点を当てたものだと、アメリカ独立戦争の愛国者ポール・リビアについて18世紀のアナリストの視点からの分析を視覚化したデータは、その観点がユニークでした。
僕個人にとって2013年は、盛りだくさんの1年でした。息子が生まれたんですが、人生であんなに感動したことなかった。 博士号を終え、緊張が解けたのも大きかったです(詳細についてはこちら)。そして2冊目の著作、「Data Points」も出版されました。
2013年はFlowingData設立以来、博士論文に取り掛からなくて済む、初めての年になりました。おかげで他のデータで遊ぶ時間が増えたので、FlowingDataのカテゴリの一つであり、何年も前に作ったDataUnderloadを見直すことにしたんです。今回は、サイト内で最も人気のある記事を紹介します。
当サイトにおいて、少なくともアメリカから人気があった2つの記事の1つ目が全米ピザ・チェーン店の出店をマッピングしたもので、もう1つがが州別のポルノでの人気検索キーワードでした。
僕自身が気に入っている、合衆国における名前の歴史に関する記事もトップ10に入っていました。生まれてくる息子につける名前を考えるためだったので、社会保障庁のデータを調査するプロセスは僕にとって感慨深いものでした。なのでその過程で作成された可視化データや記事は、あくまで息子の名付けの副産物だったんです。
そのジャンルで言うと、一時は人気があったけど、その後人気が急降下した名前を調査分析したインフォグラフィックで火がつき、人気のある名前のそのピークについて調査するにいたり、性別関係なく付けられる名前、そして特定の地域に多い名前を可視データ化してみたんです。
2014年のインフォグラフィック界ではどんな流行りが来るのかはまだ誰にも分かりません。でも僕はもっと厳密な分析が主流になり、一般人もデータリテラシーが高まるのではないかと思っています。僕のサイトFlowingDataも引き続き、インフォグラフィックを追いかけていきますよ。
分かりづらい情報を可視化することで、パッと明解にしてくれるインフォグラフィック。これからも多種多様なテーマが視覚化され、私たちを楽しませてくれるのではないかと2014年も期待しております。
たもり(Jamie Condliffe/米版)
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