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女「強制的にヒロインにされてしまった」|エレファント速報:SSまとめブログ

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女「強制的にヒロインにされてしまった」

1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/21(土) 19:55:22.84 ID:bzsKrO33O

女「今日のお昼よかったら一緒にご飯食べない?」

男「ぼ、ぼくと……?」

女「キミ以外にいるわけないでしょ?」

女(んん!?  わ、わたしはなにを急に口走ってるの!?)

男「い、いいの?  ボクなんかとお昼ご飯食べて……」

女(いやいや! 絶対イヤだ。
  小太りだしニキビ面だしボソボソした喋り方がなんか気持ち悪いし……)

女「なに?  わたしとお昼食べるのがいやなの?」

女(次から次へと思ってないことが口から出てくる。なんじゃこりゃ……)



2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/21(土) 20:00:40.43 ID:bzsKrO33O

男「ぁ、ああ……じゃあ、その……おねがいしま……っす」

女「うん、約束だからね!  絶対だよ!」


女(ていうかなんでこんな大きな声でわたし話してるの!? )

女(これじゃあクラスメイトに聞いてくれって言ってるようなもんじゃん!)


「アツアツだなあいつら」

「ていうかなんであんなインキャラとメシ食おうと思うのかね」

「趣味わる……」

「あの二人昔からの知り合いらしいよ」

「幼馴染ってやつかあ。おアツいねえヒューヒュー」


女(クラスの連中の目線がイタイ……これじゃあわたしがこの人のこと好きみたいじゃん!
  ぜんっぜん好きじゃないし!)



3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/21(土) 20:08:40.51 ID:bzsKrO33O




女(なんで急にあんなセリフがポンポン出てきたかなあ。意味がわからないぞー)

委員長「ねえねえ」

女「んー、なに?」

委員長「あの人とデキてるの?」

女「な、なんで急にそんなこと言うわけ!?」

女(って、そりゃああの会話聞いたあとじゃあそう思うわな)

委員長「もしかしてあれで誰も聞いてないと思った?  アンタの声大きすぎてみんな聞いてたよ」

女「いや、あれは……」



4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/21(土) 20:11:14.37 ID:bzsKrO33O

委員長「そういえば彼って編入生だけど昔からの友達とかそんな感じなの?」

女「保育園からなのね。そうは言っても小学六年生のときに転校してどっか行っちゃって、この春に再開したってだけの話」

女(そう、本当にそれだけ。たしかに昔はわりと仲良かった気がするけど。
  転校してからは会うのはもちろん連絡すらとったことがない)

委員長「ふーん」

女「……そのニヤニヤ笑いはなに?」

委員長「いやあ、そのわりには今日お昼のお誘いをするなんて……ねえ?」

女「ち、ちがうの! あれはなんていうか……」

委員長「なにがちがうのよ?」

女(はたから見たらわたしが猛烈なアプローチを仕掛けているようにしか見えないよなあ)

委員長「まあ、なんか意外と変わった趣味してるなあとは思うけど応援するよ」

女「あはは……ありがと」



5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/21(土) 20:15:43.86 ID:bzsKrO33O

♪授業中



女(とにかくお昼休みになったら全力で前言撤回しよう)

女(きっとさっきのわたしはトチ狂ってたんだ)

女(だいたいわたしはああいうニキビ面が嫌いだし、どっちかって言うと引張てくれる人が好きだし……)

女(きっとさっきのはタチの悪い冗談かなにかだったにちがいない)

女(高校生活で一番楽しい時期にきっとわたしも舞い上がってそれでなんかもう色々おかしくなっちゃったのだ)

女(うん、そうだ。絶対にそう)



6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/21(土) 20:18:48.52 ID:bzsKrO33O

お昼休み




女「あーお腹空いちゃったー!」

委員長「さっきお腹の音聞こえてきたよ」

女「今日寝坊しちゃって朝食べられなかったからね。早く食べよ」

委員長「なに言ってんの?  わたしと食べてどうするの?」

女「え?」

委員長「彼と食べるんでしょ、お昼」

女(ぐっ……あの人に断りに行くのも気まずいから、このまま委員長とお昼ご飯を食べてしまおうとしたのに!)

委員長「わたしのことは気にしなくていいから。いってらっしゃーい」

女(いつの間にかクラスメイトの連中がみんなわたしを見てるし!)

女(いや、こうなったら一回トイレ行ってそのまま休み時間は図書室にでも引きこもってようかな)

女(そうすれば……)



8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/21(土) 20:21:58.70 ID:bzsKrO33O

男「あ、あの……」

女「はうわぁ!?」

男「ご、ごめん……! きゅ、きゅ急に話しかけて、ご、ごごごめん……」

女「……」

女(いや、もうこうなったら『さっきのは嘘でしたー! 誰がアンタなんかとお昼ご飯食うか!』とか言ってやろ)

女(すぅー……よし、言うぞ)

女「ううん、わたしのほうこそ待たせちゃってごめんね! それじゃいこっか」

女(あっれれれえぇ!?  なんで思ったことと正反対のことを言ってんだわたし!?)



10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/21(土) 20:30:23.88 ID:bzsKrO33O

女「ほーら、なにポカンとしてんの?」

女(いやいやこの差し出してる手はなんだ!?  これはあれか?  手をつなごうってヤツか!?)

男「え、えっと……」

女「もーう、早くしないとご飯食べる時間なくなっちゃうでしょ?  ほらいくよ」

女(結局最終的に困惑してる彼の手を自分かとりにいって引っ張るという……なに、なんなの!?  積極的なのわたし!?)



「やべーな」

「ああ見てるこっちがキュンキュンしちゃうな」

「ていうかあの男がまあまあカワイイ女と……」

「すごいねあの娘」

「いろんな意味でね」



12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/21(土) 20:36:16.10 ID:bzsKrO33O

女(し、信じられない!  どういうわけか、このわたし……自分の思ってることと真逆なことしてるぞ!)

男「ど、どこでご飯……食べるの?」

女「うーん、そうだね。どこにしよっか」

女(中庭なら食事するのには困らないけど)

女(いや、待てよ。今ここで猛ダッシュでわたしが逃げてしまえば、この話はなかったことにできるかも)

女「中庭にいこっか」

男「……うん」

女(走り出そうと思ったけどやっぱり無理みたい。本当になにがどうなってんだろ)



14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/21(土) 20:39:12.71 ID:bzsKrO33O






女「今日は人があんまりいないしラッキーだね。ベンチも空いてるし座って食べよ」

男「……うん」

女「あーもう、わたしお腹ぺこぺこ。今日のご飯はなにかなあ?」


女(うーん、なんか自分の思い通りにしゃべれるときとそうじゃないときがあるな)


男「あ、あ……」

女「ん? どしたの?」

女(ていうかコイツどもりすぎでしょ。もうちょっとしっかりしゃべってほしいわ)

男「い、いや……お、女の子の、お、おおお弁当って小さいな、と思って……」

女「そうかな? まあ言われてみるとちっちゃいかも」


女(うわあ、すさまじくどうでもいい)



15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/21(土) 20:42:48.56 ID:bzsKrO33O

男「……もぐ、んっ……」

女「……」

男「……」

女(わたしがなにか言わないと今度は沈黙か……どうせ自分の思い通りにしゃべることができないなら黙ってたほうがいいかも)

女(そうすれば次からは気まずくてご飯を食べようなんて思わなくなるかもしれないし)



ブス女「あれー、こんなとこでなにしてるのー?」



女「げっ……」

女(わたしの前に現れたのはブスだった。ちなみにブスというのはあだ名だ)



16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/21(土) 20:46:06.31 ID:bzsKrO33O

女(見た目がブスであるというのが、そう呼ばれる理由のひとつ)

女(そして、もうひとつ理由がある)


女(本名が毒島美麗(ブスジマ ミレイ)で『ブス』の部分をとってみんなが影でそう呼んでる)


ブス「しかも転校生くんと一緒じゃん。えーふたりってそういう関係なわけー?」

女「ち、ちがうよ!  彼とは……そう、ただの幼馴染だよ!」

女(……あ、あれ?  適当に流そうと思ったのになんだこの思わせぶりなリアクションは?)

男「……」

ブス「へえ、なんかいがーい。こういうのがタイプなんだあ」



17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/21(土) 20:51:03.81 ID:bzsKrO33O

女(この女は顔もさることながら、性格まで腐りきったハイパーブス)

女(わたしもべつに性格がいいほうだとは思わないけど、少なくともコイツよりはマシな自信がある)

女「だからちがうって!  ねっ?」

男「え?  あ、うん……ちがいます」

ブス「じゃあなんで二人でご飯たべてるのー?  しかも中庭なんて場所でさ」

女「そ、それよりミレイちゃんは今学校に来たんでしょ?  どうして?」

ブス「だってミレイったら今日病院行っててー……もう大変だったのー」

女「……それはご愁傷様だね」

女(うざっ!  ていうかその養豚場から出てきたみたいなルックスで自分のこと自分の名前で言うな!)



18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/21(土) 20:57:29.76 ID:bzsKrO33O

男「……」

女(コイツはコイツで黙々とご飯を食べてるだけだし……)

ブス「あーそういえばあたしもご飯まだ食べてなかったなあ。一緒に食べていい?」

女「……」

ブス「どうしたの?」

女「彼と二人でご飯食べたいから、その……」

女(今のは本音だったのかそれとも……まあ、どちらにしようこのブスと食べるとご飯がまずくなるし)

ブス「…………ふーん、まあいいけど」

女「ほんとにごめんね」



20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/21(土) 21:05:38.28 ID:bzsKrO33O

ブス「いえいえ、いいわよーべつに」

男「す、すみません……」

ブス「まあせっかくだしふたりの時間をたのしんでねえ」

女(そう言ってブスは去っていった)

女「あっ、今のはその……気にしなくていいからね?」

男「え? な、なにが?」

女「あ、いや……ごめんなんにも」

女(もはや自分でもどういう意図で話しているかわからなくなってきた……)



22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/12/21(土) 21:08:38.07 ID:bzsKrO33O

女(沈黙をおかずにお昼ご飯を食べ終えたわたしと彼は、そのあとすぐに教室に戻った)

女(彼はトイレへ行くといったのでわたしは先に教室に戻ることにした)

女「……ん?」

女(なんかクラスの視線がみんな私に来てるような……)



「あれ? 一人じゃん、あのネクラは?」

「なんだよー手つないで帰ってくるのに賭けてたのによお」



女「な、なんの話してるの!?」

委員長「アンタが彼と一緒にご飯行ったでしょ?  それで男子とか一部の女子がその話をしてたの」



23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:201