ヒアリは、噛まれると激しい痛みを感じ、1週間ぐらいは腫れが続くという恐ろしいアリとして知られており、自然科学者らから注目を集めていたが、物理学者らからはあまり目を向けられていなかった。
しかし今回、物理科学者であるジョージア工科大学のジョンヤン・ユーとデイビット・フーらは、ヒアリが周囲の環境に応じて集合し、液体のように、あるいは固体のように、全体の姿を変化させながら行動する方法に興味を持った。この映像は、ヒアリが固体と液体の両方に変化して行動する姿を観察したものである。
この映像は米物理学会の会議で紹介されたものだ。ヒアリがシロップのように漏斗から流れ出るところや、押した後にボールのような形になるところが収録されている。
研究チームがレオメーターを使って、圧を加えたボール状のヒアリの粘度と弾力を調べたところ、ヒア リは環境によって行動を変えていることが分かった。
液体のような動きを作り出すため、ヒアリはグループを作り、自分自身を再配置しながら周囲に移動する。液体の形状を維持するのが困難になった場合には、お互いにしがみついてゴムボールのような弾力性のある固体のような形に変化する。
フー博士は、ヒアリのこの一連の行動が、自己修復できるロボットの開発に役立つのではないかとみている。例えば、橋の建設においては、自動的に割れた箇所を自己修復する物質の開発に力が注がれている。
ヒアリは自己修復に関しては生物界のエキスパートである。ヒアリが橋のように形を変え、その構造のどこかが傷つくとどのようにその箇所を修復していくのかを観測し、研究していくことで、新たなる技術革新につながると、博士は期待している。
via:nytimes・原文翻訳:Copris
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