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ゲームは「無駄な努力を褒めてくれる装置」である論について
 

ゲームは「無駄な努力を褒めてくれる装置」である論について


<人生の報酬システムは不完全>

 もし僕の人生がゲームだったとしたら、そうとうなクソゲーであることは間違いないんだけど(笑)

 それはさておき、人生ってけっこう努力するじゃん。でも努力ってすべて報われるわけじゃないんだよね。一生懸命頑張ったところで、誰も褒めてくれないってこと、いくらでもある。

neskunshou.jpg
 via Supermandolini

 でもゲームは違う。

 ゲーム内の努力も必ず報われるわけじゃないんだけど、少なくとも方向性さえ間違えなければ、努力が報われるように作ってあるのがゲームなんだと思うのだ。報酬システムとでも言うのかな。ゲームとはつまり、そんな努力に対して報酬を与えることで、褒めてくれるシステムだと言えるのである。


<報酬の種類>

 とあるモチベーション理論によると報酬は大きくわけて3種類あると言われている。

 ・金銭的報酬 お金やポイントなど
 ・内面的報酬 自己記録更新など
 ・社会的報酬 他者からの承認など

 ゲームは一部プロゲーマーやRMTなどをのぞけば、金銭的報酬よりも、社会的、内面的報酬を得られるようプレイされることが多い。内面的報酬とは、自己記録の更新や目標の達成によって得られる、自分の内側から来る充実感や満足感のことである。一方、社会的報酬とはブログでいう拍手の数、ツイッターでいうフォロー数、フェイスブックでいう「いいね!」の数など、他者から与えられる充実感や満足感のことだ。



<報酬システムの進化>

 ファミコン初期で言えばスコア(点数)表示が唯一の報酬システムだった。

 敵をやっつけたら、アイテムを取ったら、ゲームは点数をくれるという行為で我々を褒めてくれた。強い敵をやっつけたらたくさん点数をくれたし、さらに一定の点数で1upというボーナスもくれた。(これは、なぜか1回限りが多かったが)

 つまり、これが内面的報酬ってやつ。

 でも僕たちは点数をくれるだけじゃ物足りなかった。それはなぜかって言うと友達にも褒められたかったから。そこで僕たちはスコアをノートに書きとめ友達に見せたり、ファミコン雑誌に投稿したりした。

 つまり、これが社会的報酬ってやつ。。


 ファミコン少年たちはスコアを伸ばすためバカみたいに何度も同じ敵にやられ、何度も同じステージをやった。やがてアイテムの多様化によって、主人公のスピードやジャンプ力が上がったり、様々な武器を使いこなせるようになった。これは言い換えれば、プレイヤーが腕を上げる代わりに主人公がパワーアップしてくれるようになったということである。

 このあたりからかな。僕たちがスコアよりもストーリ性を重視しはじめたのは。スコアが伸びることよりも、ステージをクリアすることで報酬を得るようになったのは……



<勇者が最初に倒したのはスライムじゃなかった>

 そして登場したのがRPGというジャンル。

 もはやプレイヤーが実際に主人公を動かすことなく、数値上で敵をやっつけてくれるようになった。プレイヤーの代わりに主人公が腕を上げてくれるようになったのである。

 これは時間さえ消費すれば、誰だって成長できるという、報酬システムの革命だった。そのカラクリはまずスコア表示を消すこと。勇者が最初の倒したのは、スライムじゃなくてスコア表示だったのである。

 それからゲームにおける報酬システムは目覚しく進化していった。実績に応じてトロフィーがもらえたり、インターネットなどソーシャル性を活かして、プレイヤーの承認欲求を満たしてくれる仕組みがどんどん取り入れられていった。いわゆる課金ゲームにいたっては、そのような努力(時間)すらお金で買えるようにもなった。


 もちろん、報酬システムにおけるゲームの進化はこのような一本道ではなかった。ソーシャル性の発達により逆に、スコアの概念なんかは復活しているだろう。とにかく報酬システムは進化し続けているってことが言いたかったのだ。



<ゲームは時間の空費なのか?>

 ただ、悲しいかな、いくら報酬システムが進化しようと、ゲーム内の努力が現実的にはほとんど無駄という事実は変わらなかった。かの横井軍平氏はその著者の中で「ゲームは暇つぶし」だと言い放った。かつて世界一売れたゲーム機をつくった彼が、そんな言葉を口にするのは、謙遜のようにも聞こえるが、1つの真理なのだろう。

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 しかも最近のゲームのように、報酬システムが至れり尽くせりになればなるほど、ゲームの“時間の空費的な側面”は大きくならざるを得ない。なぜなら報酬システムが発達すればするほど、その努力は、よりゲーム内で完結するからである。


 たとえばファミコンの時代は、ゲーム雑誌にハイスコアを投稿するにしても、フィルムカメラでテレビ画面を撮影し、現像して編集部に送り、採用され記事になり、発売され購入し……っていう、報酬を得るまでにアホみたいに長いプロセスを要した。現在はゲームが即時勝手にやってくれるじゃないか。

 でも逆に考えてみたら報酬システムが不十分だったからこそ、どれもこれも現実を介して報われるしかなかったわけで、それはそれで、色んな社会勉強になっていたのではないかと思ってみたりする。



<ゲームは「無駄な努力を褒めてくれる装置」である論>

 そう考えると、ゲームの進化の目指すところってのは「無駄な努力を褒めてくれる装置」として完璧になることなんだなと思ったわけ。ある意味、それって究極の堕落だよね。いや、バカにしてるんじゃなくて、素晴らしいなと思うのだ。僕みたいな堕落した人間は、むしろそう思ってしまうのです(笑)

 だからこそ我々は「ゲームってのは素晴らしいもんだ」と主張していかなければならないし、「ゲームは文化だ」と恥らいなく叫ばなくてはならないと思うわけです。小説もそうしたように、映画だってそうしたように。芸術なんてのは総じて究極の堕落なわけだし(なくても生きていけるという意味で)、科学ですら、人類を堕落させるために発展していると主張する人たちもいる。これも1つの真理なのでしょう。
 少なくとも、頭ごなしに「素晴らしい」「文化だ」と言うんじゃなくて、そういう側面を認めるところから始めようじゃないかってことが、案外、大切なのかもしれないのだ……


 なんてことを、嫁に言ったら、きっと殴られるんだろうな(笑)
 今年も現実でいっぱい褒められるよう頑張っていきたいですね!(結局は)



 関連記事:【スーパータイガー事件】ハイスコア至上時代の衰退を考える
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