戻る

このページは以下URLのキャッシュです
http://elephant.2chblog.jp/archives/52066924.html


少女「旅してます」 アルラウネ「ひゃっほう!」|エレファント速報:SSまとめブログ

TOP

少女「旅してます」 アルラウネ「ひゃっほう!」

1: ◆SI.G.Owte.:2013/10/02(水) 22:55:44.47 ID:vovqbUjMo

・ファンタジーSSです
・遅筆のため不定期投下となります
・地の文はありません

・前スレ
オーク「人間の幼女拾った」



2: ◆SI.G.Owte.:2013/10/02(水) 22:58:01.79 ID:vovqbUjMo

アルラウネ「それで、これからどうするの?」

少女「おじいさんは、川を下ったところに人間の街があるって」

アルラウネ「当面の目標はそこだね」

少女「森から2日くらいの距離だってさ」

アルラウネ「遠いね」

少女「すぐだよ」

アルラウネ「そう?」



4: ◆SI.G.Owte.:2013/10/02(水) 22:59:12.56 ID:vovqbUjMo

少女「でも、いろいろ用意しないと入れない」

アルラウネ「?」

少女「身分証とか、通行証とか、お金」

アルラウネ「ふーん」

少女「だから、乞食のフリする」

アルラウネ「乞食って、きたなくて臭いやつ?」

少女「……そうかも」



5: ◆SI.G.Owte.:2013/10/02(水) 22:59:39.65 ID:vovqbUjMo

アルラウネ「でも、できるの?」

少女「本物の乞食だったから」

アルラウネ「へー」

少女「ボロきれが必要かな。あと動物も」

アルラウネ「なにに使うの」

少女「乞食のきたなさと臭さのためだね」

アルラウネ「乞食にもルールがあるんだ」

少女「そんなとこ」



6: ◆SI.G.Owte.:2013/10/02(水) 23:00:10.52 ID:vovqbUjMo

少女「今日はこのへんで野営しようか」

アルラウネ「火使う?」

少女「隠れるとこがなかったらね」

アルラウネ「見つけよう」

少女「木の上で寝ればいいよ。ちょうどここ、小さな森みたいだし」

アルラウネ「よかった」

少女「この木なんていいかも」



7: ◆SI.G.Owte.:2013/10/02(水) 23:00:36.95 ID:vovqbUjMo

アルラウネ「うん、すごくいい木。まだ若いけど大きくて、どっしりしてる。この人なら虫もあんまり寄ってこないよ」

少女「そっか、分かるんだ」

アルラウネ「植物のことならまっかせなさーい!」



8: ◆SI.G.Owte.:2013/10/02(水) 23:01:13.04 ID:vovqbUjMo

少女「……?」サッサッ

アルラウネ「ごめんね、ちょっと枝一つ借りますね」

サワサワ…

少女「んー」

アルラウネ「? どしたの」

少女「明かり見える」

アルラウネ「だれか近くに住んでるのかな」



9: ◆SI.G.Owte.:2013/10/02(水) 23:01:56.43 ID:vovqbUjMo

アルラウネ「お邪魔してみようか?」

少女「もう遅いから迷惑。朝になったらね」

アルラウネ「そうだね」



37: ◆SI.G.Owte.:2013/10/03(木) 22:17:32.91 ID:0PFjfUeLo

少女「ここか」

アルラウネ「立派な家だね」

少女「木で出来てる。人間は木とか石でなにもないところに家を作るらしいから、多分人間かな。住んでるの」

アルラウネ「じゃあ、黙ってるね」

少女「うん。よろしく」

少女「ごめんください」コンコン

「開いてるわよ。どうぞ」



38: ◆SI.G.Owte.:2013/10/03(木) 22:17:59.06 ID:0PFjfUeLo

「――昨日から変な魔力が溜まってると思ってたけど、まさか人間だとは思わなかったわ」

少女「変? ですか?」

「あ、ごめんなさい。私は魔女。この森に住んでるの」

少女「女、です」

魔女「それで、この森に住み始めてからずっと平和だったんだけどね」

魔女「あなたのが変わった魔力で、しかも結構な大きさだったから警戒してたのよ」

少女「お騒がせしてごめんなさい」



39: ◆SI.G.Owte.:2013/10/03(木) 22:18:42.52 ID:0PFjfUeLo

魔女「でも、取り越し苦労だったみたい。ねえ、どんな魔法を使ってたらそんな魔力になるの? よかったら教えてくれるかしら」

少女「えっと、初、中級の魔法はだいたい使えます」

魔女「初中級? 随分聞いていない区分だわ」

少女「なにかおかしいところがありましたか」

魔女「いえ、単に古いってだけよ。あなたの師匠は相当にお年の方みたいね」

少女「100歳は超えていたはずです」

魔女「あらすごい、それなら納得ね。どんな方?」



40: ◆SI.G.Owte.:2013/10/03(木) 22:19:08.72 ID:0PFjfUeLo

少女「物知り、です」

魔女「ふうん……」

少女「どうかしましたか?」

魔女「いえ、人に魔法を教えるくらいだと、大体の人は魔法ばっかりに傾いちゃうから、そういう人はあまりいないのよ。だからすごいなって」

少女「へえ」

魔女「他にも使える魔法はあるかしら?」

少女「状態異常系の魔法が得意です」



41: ◆SI.G.Owte.:2013/10/03(木) 22:19:34.86 ID:0PFjfUeLo

魔女「へえ。どんなの? オーソドックスに毒とか盲目かしら」

少女「有名どころはひととおり」

魔女「あら、すごいわね。使って見せて?」コト

少女「水? ですか?」

魔女「ええ。毒の魔法をお願いしていいかしら」

少女「ごめんなさい、生き物にしか使えなくて」

魔女「それなら、私でいいわよ」



42: ◆SI.G.Owte.:2013/10/03(木) 22:20:01.24 ID:0PFjfUeLo

少女「えっ……」

魔女「大丈夫大丈夫。ちょっとやそっとじゃ魔女は死なないもの」

少女「ホントにいいんですか」

魔女「構わないわ」

少女「じゃあ弱めに……えいっ」

魔女「……? なにも起きな」ゴボッ

少女「魔女さん!」



43: ◆SI.G.Owte.:2013/10/03(木) 22:20:29.47 ID:0PFjfUeLo

魔女(な、に……!? これは!?)

少女「だ、大丈夫ですか!」

魔女(内臓からの出血? いったいどんな毒……)

少女「これ吸ってください! 解毒薬です!」



44: ◆SI.G.Owte.:2013/10/03(木) 22:20:56.75 ID:0PFjfUeLo

魔女「――はあ。ありがとう」

少女「ごめんなさい!」

魔女「いいのよ、こっちから頼んだんだから」

少女「本当にすみません!」

魔女「ふう。それにしても強力な毒ね、気軽に頼んだ私が悪かったわ」

少女「いえ」

魔女「見たことも聞いたこともない魔法だけど、いったいどうやって習得したの?」



45: ◆SI.G.Owte.:2013/10/03(木) 22:21:23.32 ID:0PFjfUeLo

少女「あの、自分で考えました」

魔女「えっ?」

少女「アルラウネの花粉を研究していたんですが、その過程で出来た魔法なんです」

魔女「アルラウネ!? ってあの妖花アルラウネ?」

少女「そういう呼び方もあるそうですね」

魔女(なんてこと……)

魔女(森林、樹海の奥地に生息し、普通の人間では出会うこともできないと言われるアルラウネ)



46: ◆SI.G.Owte.:2013/10/03(木) 22:21:57.44 ID:0PFjfUeLo

魔女(仮に出会ったとしても、その摩訶不思議な力によって瞬時になにもかもわからなくされてしまうという……)

魔女「その、アルラウネを研究しただなんて」

少女「?」

魔女(もしかしたら、この子はとんでもない……)

魔女「ねえ、ウチに住む気はないかしら」

少女「え?」

魔女「私は腐っても魔女よ。あなたのいうところの初中級の魔法以上に上級の魔法も扱えるし、古代魔法や、専門の分野なら最上級の魔法も使えるわ」



47: ◆SI.G.Owte.:2013/10/03(木) 22:22:23.67 ID:0PFjfUeLo

少女「そうなんですか」

魔女「見たところ、あなたは優れた才能があるわけでもないし、莫大な魔力を持っているわけでもない。でも、」

少女「でも?」

魔女「アルラウネをベースにした魔法っていう、特異な技術を持ってる。誰も先人がいない道。あなた自身が先駆者になる」

魔女「それは名誉で、とても素晴らしいことよ」

少女「ふうん」

魔女「そのお手伝いを、ぜひ、させてもらいたいの」



48: ◆SI.G.Owte.:2013/10/03(木) 22:22:49.83 ID:0PFjfUeLo

少女「どうしようかな」

魔女「どうしようかな……って、え? 興味ないかしら?」

少女「ないです」

魔女「ありゃりゃ」ガコッ

少女「世界を見て回りたいんです。一箇所に立ち止まるのも、ちょっと」

魔女「そっかー」

少女「今いちばん欲しいのは、お金ですけどね」



49: ◆SI.G.Owte.:2013/10/03(木) 22:23:16.37 ID:0PFjfUeLo

魔女「お金かぁ。そりゃ、旅にはお金が付きものだものね」

少女「いえ、服と身分証明書が欲しくて」

魔女「あら。お堅い文書はないけど、服ならいくらでもあげるわよ」

少女「ホントですか!」

魔女「私のお古だけど、いいかしら?」

少女「ありがとうございます!」



50: ◆SI.G.Owte.:2013/10/03(木) 22:23:43.19 ID:0PFjfUeLo

魔女「こんなところかしら」

少女「ありがとうございます」

魔女「動きやすい服装が好きなのね」

少女「はい」

魔女「でも、いざという時のためにローブも羽織っていったほうがいいわ」

少女「どんな時ですか?」

魔女「寒いところに行く時とか、盗賊から身を隠す時とかね」



51: ◆SI.G.Owte.:2013/10/03(木) 22:24:15.52 ID:0PFjfUeLo

魔女「あるにこしたことはないわよ」

少女「そうなんですか」

魔女「私の気持ちよ。受け取って」

少女「ありがとうございます」

魔女「はあ。本当に惜しいわ、あなたなら高名な学者になるのだって夢じゃないのに」

少女「そのときはよろしくお願いします」

魔女「ふふ。でもその欲張らないところが貴女のいいところなのかもね」



52: ◆SI.G.Owte.:2013/10/03(木) 22:24:45.34 ID:0PFjfUeLo

アルラウネ「いい人だったねー」

少女「そうだね」

アルラウネ「魔女さん、魔力は感じ取れるのに、私の擬態はバレなかったね」

少女「私とアルラウネの魔力が似てるからかも」

アルラウネ「どういうこと?」

少女「アルラウネをベースにした魔法を使ってたから、魔力の質も似てきたってこと」

アルラウネ「なるほどねー」



53: ◆SI.G.Owte.:2013/10/03(木) 22:25:16.93 ID:0PFjfUeLo

少女「じゃ、さっそくだけどこのローブボロボロにしようか」

アルラウネ「なんでー!?」

少女「乞食になるんだよ」

アルラウネ「もったいない」

少女「そう?」

アルラウネ「魔女さんもいろいろ使い道あるって言ってたのに」

少女「魔女なんて人がタダでモノをくれるわけないってお伽噺をしてくれたの誰だっけ」



54: ◆SI.G.Owte.:2013/10/03(木) 22:25:54.08 ID:0PFjfUeLo

アルラウネ「それは、そうだけど。お話はお話だし」

少女「それに、なんか仕掛けがあったら嫌だもん。ひと思いにね」

アルラウネ「やっぱり、もったいないなー」

少女「いつでも買えるよ」



74: ◆SI.G.Owte.:2013/10/05(土) 18:30:44.55 ID:QMab8M7Qo

少女「ふう」

アルラウネ「準備万端?」

少女「準備万端」

アルラウネ「うまくいくかな」

少女「知らない」

アルラウネ「うん、そうだよね……そういうと思った」

少女「ん」



75: ◆SI.G.Owte.:2013/10/05(土) 18:31:11.18 ID:QMab8M7Qo

アルラウネ「どうして街からちょっと離れたところでやるの?」

少女「衛兵がうるさいから」

アルラウネ「なるほどねー」

ガタッ、ゴトッ

少女「ちょうどいいところに馬車