勇者「喰らえ魔王ッ!」魔王「ホイミ!」
- 1 : ◆eUwxvhsdPM 2014/01/14(火) 13:28:05.48 ID:hxBfHHY60
- ズバァン!
かいしんの いちげき!
まおうは たおれた!▽
勇者「えっ」
僧侶「えっ」 - 2 : ◆eUwxvhsdPM 2014/01/14(火) 13:35:53.80 ID:hxBfHHY60
- 勇者「えっ、ホイ……えっ?」
僧侶「えっ、死……うそ、え?」
勇者「……」
僧侶「……死んだんですか?」
勇者「……うん、たぶん……」
僧侶「……」
勇者「……」
僧侶「……何で?」
勇者「……」 - 3 : ◆eUwxvhsdPM 2014/01/14(火) 13:39:48.25 ID:hxBfHHY60
- 僧侶「さっき魔王言ったじゃないですか。『私が最も得意とする魔法で相手してやろう』って」
勇者「うん。言った」
僧侶「メラゾーマとか、ザラキーマとか飛んでくると思ったじゃないですか」
勇者「うん」
僧侶「……ホイミって」
勇者「……」
僧侶「しかも敵に向かってホイミって」
勇者「……」 - 4 : ◆eUwxvhsdPM 2014/01/14(火) 13:44:35.51 ID:hxBfHHY60
- 僧侶「敵に向かって撃つにしてもさあ……せめてベホマラーとか、ベホマズンとか……ザオリクとか……すごいのあるじゃないですか」
勇者「……」
僧侶「……なんでホイミなの?」
勇者「……回復呪文苦手だったんじゃない?」
僧侶「なおさらそんな呪文撃たないでほしいですね」
勇者「俺も苦手だけど、応急処置に仕方なく使ってるし……」
僧侶「魔王に共感しないでくださいよ……」
勇者「……」
僧侶「……なんかちょっと元気になっちゃった自分に腹が立つんですけど」 - 5 : ◆eUwxvhsdPM 2014/01/14(火) 13:49:13.61 ID:hxBfHHY60
- 勇者「わかったアレだ」
僧侶「はい?」
勇者「『良くぞここまで来た勇者!弱り切った貴様を倒しても仕方ない。どれ、回復してやろう!』ってやつ」
僧侶「……ホイミだと万全の状態にならないんですけど」
勇者「……」
僧侶「しかも治すタイミング遅いですよね」
勇者「……ゴメン」
僧侶「いや……勇者様に謝られましても」 - 6 : ◆eUwxvhsdPM 2014/01/14(火) 13:54:25.28 ID:hxBfHHY60
- 僧侶「ていうか勇者様も……なんでいきなり倒しちゃうんですか」
勇者「だって、すげー強い呪文撃つと思ったから……止めるためにも一撃必殺で」
僧侶「息の根止めちゃいましたねえ……」
勇者「……首元がら空きだったよ」
僧侶「がら空きでも、ほら……もっと身を守る手段とか……ほら……ねえ?」
勇者「……」
僧侶「……はあ……」
勇者「……」 - 7 : ◆eUwxvhsdPM 2014/01/14(火) 13:59:40.93 ID:hxBfHHY60
- 僧侶「……何でですか?」
勇者「?」
僧侶「な・ん・で!死んじゃったんですか!?」
勇者「わからん……自殺?」
僧侶「いや、自殺にももっとこう……あるじゃないですか」
勇者「……と言っても……なあ?」
僧侶「私はほら、こう……血で血を洗う激しい攻防とか、傷ついた勇者様を必死で治療する私とか、そういう……」
勇者「……」
僧侶「……ねえ本当に死んだの?」
勇者「……うん」
僧侶「……私達にホイミ撃って?」
勇者「うん……」
僧侶「……」
勇者「……」 - 8 : ◆eUwxvhsdPM 2014/01/14(火) 14:04:46.10 ID:hxBfHHY60
- 僧侶「……故郷の小さな村を飛び出して、オークやらハーピーやらゾンビやらと戦って……」
勇者「……」
僧侶「何度も死にかけて、時には格上の魔物とも戦って……」
勇者「……」
僧侶「荒れ狂う海を超え、太陽の見えない暗黒の大陸を、命からがら魔王の城まで進み……」
勇者「……」
僧侶「城内の強いモンスターとも戦って、側近のイビルプリーストとも命がけで戦って……」
勇者「……」
僧侶「……最後の魔王が、なんでホイミ?」
勇者「俺に聞かないでくれよ……」
僧侶「……」
勇者「……」 - 9 : ◆eUwxvhsdPM 2014/01/14(火) 14:09:29.50 ID:hxBfHHY60
- 僧侶「こんなのが本当に、魔物のトップなんですか?」
勇者「うん……たぶん」
僧侶「……本当のボスいるんじゃないですか?」
勇者「けど……魔王って名乗ったし」
僧侶「……五十年前、魔物を引き連れて人間相手に戦争をしかけて、勝利し今の混沌の世界を創りあげた……」
勇者「……」
僧侶「この世界最大の悪が……ホイミ?」
勇者「もうやめようマジで」
僧侶「だって……」
勇者「なんか意味があったんだって」
僧侶「……」
勇者「……いや、無いかも……しれないけど」
僧侶「……」
勇者「……」 - 10 : ◆eUwxvhsdPM 2014/01/14(火) 14:14:25.27 ID:hxBfHHY60
- 勇者「とにかく、魔王は倒したんだ。これで世界に平和が訪れる!」
僧侶「……だといいんですけど」
勇者「さっそく王様に報告しに帰ろう。故郷に帰ったら英雄だ」
僧侶「いいんですかね、こんな倒し方で……」
勇者「いいんだよ。重要なのは結果だって。ほら、魔王を倒したことで、この大陸を包む暗雲も――」
ピカッ! - 11 : ◆eUwxvhsdPM 2014/01/14(火) 14:19:27.18 ID:hxBfHHY60
- ゴロゴロゴロ……
勇者「……」
バシャアン!!
ザァァァァ――
僧侶「……晴れませんね、暗雲……」
勇者「……」
僧侶「ていうか……強くなってませんか?雨……」
勇者「もうヤダこの大陸」
僧侶「……どうしますか?」
勇者「どうするって……さすがにこの雨の中帰るんは危険だろ。夜営の道具ももう残り少ないし、魔物の生き残りに襲われでもしたら……」
僧侶「……魔王を倒した英雄が、魔王城で寝泊まりですか……」
勇者「俺もヤダよ。魔王の死体の横で寝るのは」 - 12 : ◆eUwxvhsdPM 2014/01/14(火) 14:24:24.41 ID:hxBfHHY60
- 勇者「それじゃあ、おやすみ。僧侶」ゴロリッ
僧侶「うう……魔王城の中に魔物の生き残りがいたりしませんよね?」モゾモゾ
勇者「たぶん大丈夫だと思うけど……」
僧侶「ああ……早く村に帰りたいなあ」
勇者「俺も早く、平和になった城下町を歩きたいよ」
僧侶「……お姫様とですか?」
勇者「う……そりゃあ、そうだといいけど……」
僧侶「……」ジロリ - 13 : ◆eUwxvhsdPM 2014/01/14(火) 14:29:16.81 ID:hxBfHHY60
- 勇者「あ、いや、それはどうだろうなあ?俺とお姫様じゃ、身分がさ……」
僧侶「……王様は、魔王を倒した英雄にだったら、喜んでお姫様を差し出すと思いますよ?」
勇者「……」
僧侶「……」 - 14 : ◆eUwxvhsdPM 2014/01/14(火) 14:34:03.59 ID:hxBfHHY60
- 勇者「……もう寝よう。僧侶」
僧侶「……つーん」
勇者「……僧侶、俺さ……」
僧侶「……」
勇者「…………いや、何でもない」
僧侶「……」
勇者「おやすみ……」
僧侶「……」
勇者「……」 - 15 : ◆eUwxvhsdPM 2014/01/14(火) 14:39:14.49 ID:hxBfHHY60
- ゴロゴロゴロ……
僧侶「……あがりませんね、雨」
勇者「城の中あさったら、夜営の道具ちょっとはあるんじゃないか?」
僧侶「私嫌ですよ、ずぶぬれになって歩くの」
勇者「といっても……いつ雨が上がるのかもわかんないし、早く王様に報告しないと……」
僧侶「数日遅れても問題無いですって。それに、あがらない雨なんてありませんよ」
勇者「……だといいけど」
僧侶「私、食料探してきますね」
勇者「俺も城内を散策してみるか……」 - 16 : ◆eUwxvhsdPM 2014/01/14(火) 14:44:20.09 ID:hxBfHHY60
- 勇者「……といっても、魔王城はひと通り歩き回ったしなあ……」
スタスタ
勇者「すべての宝箱は開けたし、鍵で開けられる所は全部調べた」
スタスタ
勇者「ここにある宝箱は――」
ガチャッ
勇者「伝説の剣が入っていたんだよなあ。ボロボロに錆びた古臭い剣だったけど……」
カチャカチャ……
勇者「暇だから俺の剣でも入れとくか。勇者になったときにじいちゃんから貰った新品の剣だぜー。喜べよー宝箱」
ガチャン
勇者「さて、他は……」
僧侶「勇者様ー」タッタッタ
勇者「うん?」
僧侶「見つけましたよー。食料っ!」
勇者「本当かっ!?」
僧侶「これで今晩はひもじい思いしなくてよさそうですね、えへへ」
勇者「ああ、よかったあ」
カカッ! - 17 : ◆eUwxvhsdPM 2014/01/14(火) 14:49:03.80 ID:hxBfHHY60
- ピシャアアアン!!
勇者「それにしても、僧侶が料理上手で良かったよ」ガツガツ
僧侶「家が農家ですからねえ、自分家の野菜でご飯作るのは毎日のことですよ」
勇者「こんな美味しいご飯が食えるんだったら、もう二、三日は魔王城で暮らしてもいいかなあ?」モグモグ
僧侶「そ、そうですか?えへへ……」
勇者「しかし……」
僧侶「……ええ……」
ザーザー……
勇者「……今日も魔王城で寝泊まりかあ」
僧侶「あ、明日は雨あがりますよっ!」
勇者「……はあ……」
僧侶「……」 - 18 : ◆eUwxvhsdPM 2014/01/14(火) 14:52:07.48 ID:hxBfHHY60
- ピシャアアアン!!
ザーザーザー…… - 19 : ◆eUwxvhsdPM 2014/01/14(火) 14:54:46.67 ID:hxBfHHY60
- ザァァァァァ――
勇者「……」モグモグ
僧侶「いやあ、肉や野菜がいっぱいあって良かったですね。肉は保存用ので腐る心配はないし」
勇者「……」パクパク
僧侶「野菜なんか、ちょっとしなびてるけど中庭にたくさんなってましたよ。手入れしたら自給自足でしばらくは生活出来そうですねえ」
勇者「……しばらく、か……」
僧侶「……」
勇者「……いつになったら雨、上がるんだろ」
僧侶「……」 - 20 : ◆eUwxvhsdPM 2014/01/14(火) 14:57:11.61 ID:hxBfHHY60
- 勇者「……何日たったかな?」
僧侶「ええと……二週間、ですかねえ?」
勇者「……」
僧侶「……」
勇者「……あがんねえよ、雨」
僧侶「……」
勇者「もう我慢出来ないわ。帰ろう僧侶」
僧侶「えっ、けど雨が――」
勇者「十分体力は回復出来た。魔物の群れに囲まれでもしないかぎり大丈夫だって」
僧侶「……やだなあ、濡れるの」
勇者「村に帰れば温かいお風呂だってあるさ。さあ……」 - 21 : ◆eUwxvhsdPM 2014/01/14(火) 15:00:01.63 ID:hxBfHHY60
- カッ!!
ゴロゴロゴロゴロ!!
僧侶「ううう……さ、寒いです勇者様……」ガタガタ
勇者「すごい雨だな……前が見えない」
僧侶「こ、こんな事言うのもあれですけど……あったかい魔王城がちょっぴり恋しいです」
勇者「少しの辛抱だ。南に向かえば海が見えるはず……」
僧侶「この視界の悪さじゃ何処に向かえばいいのかわかりませんよお」
勇者「コンパスによると、南はこっちだ。ほら、しっかり……」
僧侶「うう……」 -
- 2014年01月14日 19:15
- 無限ループって怖いよね(粉微塵)
-
- 2014年01月14日 19:20
- これ、読んだことある気がするけど…気のせい?
-
- 2014年01月14日 19:23
- お坊さんかなにか、火の鳥でこの話があったのかな?勇者は若い侍で、ホイミは火の鳥の尾羽で、ループして、自分が年老いた自分を殺しに来て。
-
- 2014年01月14日 19:24
- なんか既視感半端ない
-
- 2014年01月14日 19:25
- すぐに落ちがわかる上に、同じ描写ばかりしつこい
-
- 2014年01月14日 19:31
- 火の鳥以降も同じ様なネタの漫画や小説がチラホラあったしなぁ
-
- 2014年01月14日 19:31
- 火の鳥じゃんと思ったらやっぱりそうだった
-
- 2014年01月14日 19:40
- やっぱり手塚治虫ってすごいよな
-
- 2014年01月14日 19:55
- なんでループに入ったかが分からなかったから楽しめなんだ。
-
- 2014年01月14日 20:02
- 火の鳥異形編を思い出した。懐かしいな。
-
- 2014年01月14日 20:21
- やっぱり火の鳥の話だよな。尼さんを女侍がころすやつ。
-
- 2014年01月14日 20:26
- 手塚の火の鳥…
小学校に大抵置いてあるけど大人になると読む機会が無くなってしまうな…いまよんでもゾッとするんだろうな(´Д`)
乙
すぐに落ちがわかる上に…ってそりゃそうだろカバーなんだから
-
- 2014年01月14日 20:34
- でもかいしんのいちげきが、つうこんのいちげきに変わってるんだよな
単なる作者のミスか、それとも含みを持たせたものなのか…
火の鳥でもなんか変化あったっけ?
-
- 2014年01月14日 20:35
- なかなか良かった、乙
-
- 2014年01月14日 20:43
- かいしんは自分→敵、つうこんは敵→自分だからただ視点が違うだけじゃないの
-
- 2014年01月14日 21:00
- 反転ヴィーナス戦は面白かったな。
-
- 2014年01月14日 21:02
- 久しぶりに火の鳥読むか
-
- 2014年01月14日 21:02
- やっぱり火の鳥だったか
-
- 2014年01月14日 21:02
- 最初のコメディの勢いはよかったけど火の鳥くさくなってきた辺りから残念だわ
-
- 2014年01月14日 21:39
- やっぱり「火の鳥」の八百比丘尼(と同一人物女侍)のエピソードだったかw
-
- 2014年01月14日 22:00
- 火の鳥読んだことないから楽しめたぜww
今度読んでみよう
-
- 2014年01月14日 22:00
- パロディにーくさくとかいってどうすんだよ…
-
- 2014年01月14日 22:20
- ループもの好き
-
- 2014年01月14日 22:29
- 無限ループって怖いんだな
-
- 2014年01月14日 22:45
- まんまパクリなのはちょっとなあ…
-
- 2014年01月14日 22:50
- 火の鳥とかいう人の世に災厄しかもたらさない畜生は滅ぼさなきゃ・・・
-
- 2014年01月14日 22:51
- 八尾比丘尼伝説だな
-
- 2014年01月14日 22:52
- 落とし方はかなり好き
-
- 2014年01月14日 22:59
- 何もしてないのにまた手塚治虫の評価が上がってしまったか…
-
- 2014年01月14日 23:05
- 火の鳥は本当に面白い
何度読んだことか
-
- 2014年01月14日 23:08
- それにしてもホイミは凄いよな
最後までMPたっぷりだもん…
ベホマ(ボソッ
-
- 2014年01月14日 23:15
- 原作だと好戦的な戦国武将(父親)を治そうとしたから主人公が尼を殺した。
父親が治ったら戦を始めるからという理由。
火の鳥はどんな理由があろうと殺しにより事態解決したから罪。
畜生だから殺してもいいは罪。
勇者は結局魔物は殺してもいいけど自分は死にたくないだしなあ。
-
- 2014年01月14日 23:33
- アンデッド系にホイミして大丈夫なんだろうか
-
- 2014年01月14日 23:34
- みんなやっぱり気づいてるね。人間としてはアレだけど、やっぱり手塚治虫はすごい
-
- 2014年01月14日 23:35
- ※5
文句は手塚先生にどうぞ
-
- 2014年01月14日 23:35
- 確か八尾比丘尼が癒していた魔物は、太陽編に出てきた仲間の魔物なんだよな
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