桜田ジュンの出頭『ドールズ&戦車』
- 984 :名無しさん:2014/01/15(水) 19:43:13 ID:naoH935g0
- 今回のお話は 真紅、サンタになれない。 と 桜田ジュンの革新『愚者は二度死ぬ』 の続編です。
- 985 :名無しさん:2014/01/15(水) 19:49:46 ID:naoH935g0
- §深夜・町外れのドブ川にて
真紅「くっくっくっく…もう少し。もう少しだわ」
ホーリエ「!」
真紅「分かっているわよホーリエ。事は静かに、エレガントに運ぶべき。この真紅に焦りも慢心も無い」
ザバッ
真紅「ふふふ、出た出た。見えてきた。数週間前に不幸な事故によりドブ川に沈んだ我が愛車が…
真紅ちゃん超秘技、狭域限定時間巻き戻しによって川底から上がってきたわ。
さあホーリエ、あなたもあの台車の裏側に回って押し上げるのを手伝いなさい」
ホーリエ「!」ひゅぱっ
真紅「よし! せーのでやるわよ。せーのっ!」
ホーリエ「…!」グググ
真紅「あと少しよ! 頑張りなさいホーリエ!」
ホーリエ「…!!!」
ガシャッ
真紅「ぃよしっ! 無事にサルベージ完了。よくやったわホーリエ。御褒美に後で砂糖水をあげる。
なんとか人目のない夜のうちに作業も終わったし、完璧よ」
ホーリエ「……」ふよふよ
真紅「え? 何々? この薄汚くて無駄に重い台車がそんなに大事なのかって? 勿論よ、だってこれは…
この台車に使われている鉄板は総重量約100kg、ただの鉄でもこれだけあれば結構な価値がある。
ドブ川に沈めたまんまじゃ、もったいない事この上ない」
- 986 :名無しさん:2014/01/15(水) 19:51:02 ID:naoH935g0
- 警察官「ちょっと、君?」
真紅「えっ!?」ビクッ
警察官「こんな真夜中に、こんなところで何をしているのかな?」
真紅「け、警察!?」
警察官「最近、この川にゴミを不法投棄する輩が多くてね。君、ひょっとして」チラッ
真紅「あ、あのいや、その…これはゴミなんかじゃなくてですね」
警察官「何にしてもこんな真夜中に女の子が一人でいるのもよろしくない。ちょっと署まで来て…」
真紅「いやいや、違います! 私、不良少女とかでも全然ないですから!
昨年には究極少女アリスにも選ばれた、超絶健全優良美少女メイデンでして」アタフタ
警察官「…何か怪しい子だなあ、続きは署で聞こうか?」
真紅「いや、ほんとマジ勘弁してください。また警察のお厄介になったりしたら、ジュンに…!」
警察官「また? 君、以前にも補導されたりしたことが…?」
真紅「し、しまった!? くっ! こ、こうなったら」
警察官「はいはい落ち着いて。別に牢屋に入れたりするわけじゃないから。ほら、行こうか?」
真紅「忍法! 薔薇隠れの術!」ボワン
警察官「ッ!? どこからともなく花吹雪が?」
真紅「この隙にトンズラよ! ホーリエ!」スタタタ
ホーリエ「!!」ヒュパッ
警察官「あ!? こ、こら!」
- 987 :名無しさん:2014/01/15(水) 19:55:50 ID:naoH935g0
- §翌朝・桜田ジュンの部屋
真紅「…とまあ、あやうく国家権力の犬の横暴に遭いそうになったけれども
この真紅ちゃんは勇気と機転を利かせて無事に逃げ切ることに成功したのだわだわ。
しかも、鉄板台車もちゃんとここまで持ち帰ってきた」
ジュン「お、お前…なんちゅう真似を」
翠星石「一般人、それも警察官にローズテイルかまして逃げるなんて、乙女のやることじゃあねーですよ」
真紅「直撃はさせてないわよ。目くらましに使っただけ」
翠星石「ですが…」
真紅「だって、あのまま捕まっていたら今頃はブタ箱で臭い飯を食わされていたに違いない」
雛苺「臭いご飯は嫌なのよね」
ジュン「アホか! おい、真紅! 今からでも遅くない、行くぞ!」
真紅「行くって? どこへ?」
ジュン「交番か警察署だよ! 昨晩のことを謝りに行くんだ!」
真紅「何でよ! 私、何も悪いことはしてないわよ!
悪いのは勝手に私をゴミの不法投棄犯だと勘違いした相手の方だわ!」
ジュン「真紅が紛らわしいことをしていたからだろ!
大体、大人しく警察で事情をゆっくり説明すれば誤解も解けたはずだ!」
真紅「いや、でも…だってほら、私達って前科(※)あるし…」
※三馬鹿は有栖川病院に松明もって押しかけて騒ぎを起こしたために警察に捕まった事がある。
なお、アリスゲームの一環で合法だと言い張ったが『そんなんが合法なわけねーだろ』と一蹴された。
- 988 :名無しさん:2014/01/15(水) 19:59:15 ID:naoH935g0
- 翠星石「うむうむ。警察は前科者にはことさらに厳しいと聞くですぅ。
真紅が逃げ出してしまったのも仕方が無いことと言えるですね」
雛苺「うぃ! 罪を憎んで人を憎まずなのー!」
ジュン「あのなぁ…。大体、お前ら目立つ格好してる上に…以前の補導で人相も完全に警察に覚えられてるんだぞ」
真紅「?」
ジュン「いわゆるブラックリストってヤツだ! すぐにでも昨晩の警察官がそのリストを参照して
ドブ川で逃げ出したのが真紅だということが判明するに決まっている!」
真紅「えええっ!?」
ジュン「警察の捜査力をなめるなよ真紅」
真紅「どどどど、どうしよう!? 国外…いえ、nのフィールドに逃亡するしかない!?」
ジュン「ダアホ! だから、これ以上、悪あがきするな! 素直に謝りに行くんだよ!」
真紅「私、何も悪いことしてないのに!?」
ジュン「逃げ出しただろうが」
真紅「いや、でも! だから、それは…」
ジュン「それを警察署でも説明しなくちゃ、完全に犯罪者扱いされる可能性もあるってことだ。
前回も誤解だとは言え、あやうく病院への放火未遂犯として検挙されかけてたんだ。
病院狙いでの放火とか、鬼気迫る青春時代のシーザ-・ツェペリでもやっとらんわ」
真紅「あわわわわわ…」ガクブル
ジュン「ほら、僕も一緒に行くから。そう怯えなくても大丈夫だって。
前の病院の時みたいに話せば分かってくれるはずだ」
真紅「ほ、本当?」
ジュン「本当本当。それじゃあ早いとこ出発するぞ。警察が家にやってくる前に出頭しないと意味ないからな」
真紅「わ、分かったわ」
雛苺「し、真紅! 自首するのー!?」
翠星石「ふ、とうとう奴も年貢の納め時ですか」
真紅「……」
翠星石「まあ、心配するなですぅ。真紅亡き後は翠星石がアリスを引き継いで上手くやっとくですから」
雛苺「みょわわっ! 真紅の次はヒナがアリスの番なのよ!」
ジュン「真紅も僕もすぐ帰ってくるっての。ともかく行こうか、真紅」
真紅「その前に、ちょっと雛苺、こっちへ来なさい」チョイチョイ
雛苺「なぁに?」トテトテ
真紅「……」ギュッ
雛苺「うにゅにゅ? どうしたの真紅ぅ? 急にヒナに抱きついたりしてぇ?」
真紅「薔薇乙女の中で最も勇気があるのはあなただわ。だから、その勇気をもらおうと思って」ギュッ
翠星石「ほうほう。そういうことですか。翠星石も不安になった時は蒼星石を抱きしめたりしたもんですよ。
一度、やりすぎて蒼星石からローザミスティカを搾り出しちまったこともあったですが」
ジュン「真紅の気持ちは分かるが、時間も無い。もういい加減に出発するぞ」
真紅「…ええ」
雛苺「真紅、あいとあいとなのー!」
翠星石「死なない程度に頑張ってこいですぅ」
真紅「……」コクリ
- 989 :名無しさん:2014/01/15(水) 20:01:02 ID:naoH935g0
- §小一時間後
翠星石「♪ふーんふーんふふーん」
雛苺「うにゅにゅ、ジュンと真紅はまだまだ帰ってきそうにないのよね」
翠星石「んあ? そりゃそーですよ。今頃、まだ待合室じゃねーのですぅ?」
雛苺「ということは、真紅から託された作戦を実行するのは今しかないの」
翠星石「作戦?」
雛苺「うぃ! さっき真紅に抱きしめられた時に、小さな紙をもらったの! 真紅からの秘密の伝言よ」
翠星石「はぁ? 何でそんな真似を真紅が?」
雛苺「ジュンに知られてはいけないメッセージだったからなのよ」
翠星石「チビ人間に知られちゃマズイ? 何かの悪だくみですか、また?」
雛苺「ジュンがいないうちに、真紅が回収した鉄板台車ファイナルターボ号を綺麗に洗っておくように頼まれたの」
翠星石「んんん? そんなの別にチビ人間に秘密にせずとも…」
雛苺「それだけじゃないの! この紙には、真紅ファイナルターボ号の改造計画案も書かれているの!」
翠星石「な、なんですとー!? ちょっと、それ見せてみろですチビ苺」
雛苺「うぃ!」
翠星石「むむむ! こ、これは…!? あの一瞬の間にここまで緻密な内容の指示書きを?」
雛苺「ヒナだけじゃ、この改造は無理なのよ。でも翠星石が手伝ってくれるなら…」
翠星石「ふーむ。確かにチビ人間がこの内容を知っていたら、改造には反対するですね」
雛苺「ねえねえ! 手伝ってくれるのぉ翠星石ぃ?」
翠星石「翠星石は真紅と違って、こういうDIYは好きじゃあねぇんですが
この改造計画書には興味をびんびんに惹かれるですぅ」
雛苺「!」
翠星石「やるですよチビ苺! ちょっぱやで仕上げて、帰ってきた真紅やチビ人間の度肝を抜いてやるですぅ」
- 990 :名無しさん:2014/01/15(水) 20:05:53 ID:naoH935g0
- §さらに小一時間後・ドールショップ槐
トキ「お久しぶりです。槐先生、薔薇水晶さん」
槐「うん。本当に久しぶりだね、トキ」
薔薇水晶「もう動いても大丈夫なのですか? かなりの怪我をしたと聞きましたが」
蒼星石「トキの体調は万全。傷も完治したそうだ」
トキ「はい。蒼星石さんの言うとおりです。ご心配をおかけしました」
槐「それで、元気な顔をわざわざ僕のところにまで見せに来てくれた…わけではないんだろう?」
トキ「はい。勿論、ロゼリオンの件で、ご相談に参りました」
薔薇水晶「そういった話であれば、私達四人だけではなく、真紅や桜田ジュン達も呼ばなくては…」
蒼星石「そうするのが一番いいんだが、先ほど桜田家に電話したところ
ジュン君と真紅は警察署に出頭するために家を出ているそうだ」
薔薇水晶「ええっ!?」
蒼星石「昨晩、深夜徘徊していた真紅が警察官の職質をふりきって逃げたらしい。
それを謝るために、ジュン君に連れられて…」
槐「何やってるんだか。本当にアリスになったんだろうね、真紅は?」
蒼星石「棚ボタみたいな感じでしたが…一応はアリスになってます」
薔薇水晶「となると、翠星石と雛苺だけをこの相談の場に呼んでも…」
蒼星石「あまり意味は無いだろうね。それに、二人ともお留守番で忙しいから今日は遊べないとも言っていた」
トキ「遊びではないのですが…」
槐「金糸雀と草笛さんも、今日は郊外にショッピング」
薔薇水晶「水銀燈は柿崎めぐと共に、現在もnのフィールドの片隅で引き篭もったまま」
蒼星石「雪華綺晶は音信不通」
トキ「何だか、タイミングの悪い時にやってきたようで申し訳ありません」
蒼星石「確かに、時の運は悪いがそうも言ってられない。君達、庭師がnのフィールドから
いつでも自由に、こうして現世に来ることができるわけじゃないんだから」
トキ「そうですね」
薔薇水晶(…そうなのですか? お父様?)
槐(ああ、現世とnのフィールドの間は常に揺らぎがある。その揺らぎが安定している時ぐらいしか
- :-:2014/01/16(木) 17:49:24
- やっぱり鉄板も伏線だったか…
しかしアリスになってもなにも変わらない真紅さんって一体なんなんだ
- :-:2014/01/16(木) 17:53:23
- 本当に鉄板の出所が伏線だったとは……
- :-:2014/01/16(木) 19:03:36
- つーかサクラダイト鉱脈って確か『節制なき乙女達』で桜田家の地k
ん?誰か来たみたいだ……
- :-:2014/01/16(木) 19:05:46
- 鉄板なんて伏線にできるか?そもそも鉄はほぼでてこなかったしと思っていたがエデンギアとは…カナお手柄
- :-:2014/01/16(木) 20:05:28
- そうか、あの時桜田家の家を襲ったのは東果だったのかwwww
しかしサクラダイト鉱石なんてもう忘れてたwww本当にこの作者の発想には驚かされるwww