戻る

このページは以下URLのキャッシュです
http://elephant.2chblog.jp/archives/52067803.html


翔太郎「魔戒騎士?」フィリップ「ゾクゾクするねぇ」|エレファント速報:SSまとめブログ

TOP

翔太郎「魔戒騎士?」フィリップ「ゾクゾクするねぇ」

1: ◆NrFF2h.q26:2013/12/21(土) 21:18:36.39 ID:gIrlqgImO

翔太郎「刃さ~ん、大丈夫っすか~?」

刃野「おーう、ひっく、大丈夫らぞぉ~」フラフラ

翔太郎「あーもう刃さん、そこ危ないってば。ただでさえ夜道で足元見えてねーっつうのに」

刃野「何言ってんだ翔太郎~!今の俺が放つ酔拳を喰らっても、お前まだそんなことが言えるのか……?」キリッ

刃野「なーんちゃってだははははは!!」



翔太郎(……全くやれやれだぜ。風麺のマスターに夜遅く急に呼び出されたと思ったら、酔い潰れてる刃さんの送り迎えしてくれとはね……)

翔太郎(今は忘年会シーズンだしな。年なんだから程々にしといた方がいいと思うけど)

翔太郎(ていうか、こんな時になんでマッキーは電話に出ねぇんだよ。寝てるとしたら早過ぎだろ。俺は便利屋か!?)





コツン

翔太郎「あ?」

翔太郎(……帽子に何かが……)

コツッコツッ

翔太郎「うわ、冷たっ」

翔太郎「何だ……なんか降ってきた」

翔太郎「……しかも急に寒くなってきてる気が」ブルブル

コツッコツッコツッ

翔太郎「もしかして……今降ってきてるのって、雹(ひょう)じゃないか!?」

翔太郎(まだ12月だぞ?つうか雪はまだしも雹なんて今まで風都に降ったことないのに……)

コツッ!コツッ!コツッ!

翔太郎「あたっ!」チクリ

翔太郎「……雹が大きくなってきてる……?」

翔太郎「と、とにかく屋根のある所へ行こう」

刃野「おーい翔太郎~なんかチクチク痛ぇぞぉ~だははは」ヒック




2: ◆NrFF2h.q26:2013/12/21(土) 21:40:14.98 ID:gIrlqgImO

ザァァァアアア

翔太郎「くそ~近道しようと思って路地裏なんか通るんじゃなかったぜ!」

翔太郎「どこか雹を凌げるところ……!」

刃野「さ、寒い……ションベンしたくなってきた……漏れそう……」ブルブル

翔太郎「頼むから我慢してくれ刃さん!」

ザシュッ!

翔太郎「!?」

翔太郎「……帽子のふちが切れた」

翔太郎「うわっ、よく見たらコートもところどころ切れてる!」

翔太郎(突然こんな雹が降るなんて、いくらなんでもおかしい)

翔太郎(まさかドーパントか!?それとも……)

ガッ

刃野「ほぁ!?」

バターン!

ゴチンッ

刃野「」チーン

翔太郎「ちょ、刃さん!?電柱にもろ頭ぶつけてるし……あーもう気絶キャラはマッキーだけにしてくれよ!」

翔太郎「でも好都合か……一先ず刃さんは雹が避けられそうなあの木の下に運んで」ズルズル

翔太郎「俺はとっとと変身だぜ」チャッ

翔太郎「おいフィリップ!」

フィリップ『なんだい翔太郎、こんな夜中に』

翔太郎「取り敢えず変身してくれ。ドーパントか、もしかしたら例の《アレ》かもしんねぇ!」

翔太郎「一先ずヒートメタルで行くぞ」

フィリップ『《アレ》か……了解した』

ヒート!

メタル!

翔太郎・フィリップ「『変身!』」



5: ◆NrFF2h.q26:2013/12/21(土) 22:14:13.93 ID:gIrlqgImO

ザァァァアアア

HM(フィリップ)『なるほど、これは異常事態だ』

HM(翔太郎)『しかもさっきからどんどん雹が大きくなってんだよ』

HM(翔太郎)『このままだと、この超合金化したボディでも確実にダメージを喰らうレベルの雹が降ってくるかもな』

HM(フィリップ)『……この雹は空から降っているものじゃないね。降ってくる速度、角度……どこか近くから放出されているもののハズだ』

HM(翔太郎)『マジかよ!?……でもだとしたら確実に人間業じゃねぇな。納得だぜ。でも一体どこからだ?』

HM(フィリップ)『恐らくアソコだ』スッ

HM(翔太郎)『廃工場の辺りだな……りょーかい!』



7: ◆NrFF2h.q26:2013/12/21(土) 23:01:50.59 ID:gIrlqgImO

~廃工場の屋根~

???『……』

ザァァァアアア

HM(翔太郎)『くっそ~ヤツを見つけて近付けたのはいいものの、凄ぇ吹雪だ。屋根の上じゃあ簡単に吹っ飛ばされそうだぜ』

HM(翔太郎)『つーか、な、なんだアレ。雪女!?』

HM(フィリップ)『たった一体の力で、ここまでの雹を降らせるとはね……これじゃあ迂闊に近付けそうにない』

HM(翔太郎)『一体何が目的なんだ?こんな闇雲に辺りに雹を降らせて、何を企んでやがる』

HM(フィリップ)『……もしかしたら、目的なんてないのかも』

HM(翔太郎)『え?』

HM(フィリップ)『単なる愉快犯か、もしくは僕らが最近出くわす《アレ》ならばね……』

HM(翔太郎)『なるほど。でも取り敢えずこの雹を止めねぇとな』

HM(翔太郎)『うし、行くぜフィリップ!』

HM(フィリップ)『やれやれ、迂闊に近づけないと言ったばかりなのに……』

???『……!』ギロッ

ブワァァアアッ

HM(翔太郎)『うぉっと……はん、何言ってんだよ相棒。こんくらいの冷気なんて、今まで散々くらって屁でもねぇだろ!』ダッ

HM(翔太郎)『おりゃぁあ!』

ガンッ!!

???『……!!』ゴロゴロッ

ドスンッ

???『……』タッ

HM(フィリップ)『言ってるそばから殴った左手が凍結してるんだけど』

HM(翔太郎)『~~っ、うっせ!とにかく下に降りて追うぞ!』



8: ◆NrFF2h.q26:2013/12/21(土) 23:28:08.79 ID:gIrlqgImO

~廃工場奥~

???『……』ボロボロ

HM(翔太郎)『ラクショーって感じだな。見た目が女だからちと気が引けちまうんだけど』

HM(フィリップ)『何を言ってるんだい。ここまできて言葉らしい言葉を発してない時点で、コイツはドーパントでなく《アレ》の方である可能性が高い』

HM(フィリップ)『もちろん、動物にガイアメモリを使用しているドーパントの線もあり得るけど、ここまで人間らしい見た目ではね』

HM(翔太郎)『……しかしだとすると』

HM(フィリップ)『そう、《アレ》の場合マキシマムドライブを放っても、恐らく倒せない。なんせドーパントではないからね』

HM(翔太郎)『でも取り敢えず追っ払うことは出来るだろ?』

HM(フィリップ)『根本的解決にはならないが、今の所は致し方ないということか……』

ーーー『おい』



カツン、カツン、カツン



鋼牙『そこを退いてもらおうか』チャキッ

HM(フィリップ)『……誰だ君は?』

HM(翔太郎)『あ、なんかまた俺よりハードボイルドな奴が現れた予感が……』

HM(フィリップ)『随分ピンポイントな予感だね』



9: ◆NrFF2h.q26:2013/12/21(土) 23:47:15.37 ID:gIrlqgImO

鋼牙「《アレ》は俺じゃないと倒せない」

HM(翔太郎)『あぁ?どういう意味なんだよ』

鋼牙「《アレ》は《ホラー》だ」

鋼牙「そしてそのホラーを倒せるのは、魔戒騎士である俺だけだ」

HM(翔太郎)『……』

HM(翔太郎)『いや説明そんだけか!?』

HM(フィリップ)『魔戒騎士という単語は今まで聞いたことがないな。それにホラーも……実に興味深い。さぁ今すぐ検索を始めよう!』スゥッ

HM(翔太郎)『え、ちょ、今戦闘中だぞ!?おいフィリップ!うぉおい!』

鋼牙「……」スッ

クルリッ

牙狼『……』キッ



10: ◆NrFF2h.q26:2013/12/22(日) 00:13:33.52 ID:U3R1xDmLO

冴島鋼牙という男が俺たちの前に現れたのは、冬も深まる12月、すっかり冷えた風が風都の街中を吹き抜けるようになった頃のことだった。
白いコートを棚引かせ悠然と廃工場の中に姿を見せたソイツは、ただ者ではなかった。


腰に提げていた赤い鞘の一振りの剣。
それを慣れた手付きでスラリと引き抜くと、頭上に真っ直ぐに翳し、切っ先で円を描く。
するとまるで空間を切り裂いたかのようにそこに穴が現れ、そしてその穴から黄金に輝く鎧が現れ、男の身体を覆った。
いつの間にか握っていた剣も一回り大きくなっていた。


狼を象った黄金の鎧の騎士は、燦然と輝きながらホラーに近付いた。
ホラーが怯えたように凄まじい冷気を放ってくるが、その歩みは全く止まらない。


騎士は終始何も言わなかった。
ただその持っている剣を構え、ホラーが逃げようとする間もなく、微塵の無駄もない一太刀でその身体を真っ二つに斬った。
ホラーは断末魔をあげ、俺たちの前で消えていったのだった。



11: ◆NrFF2h.q26:2013/12/22(日) 01:05:35.83 ID:U3R1xDmLO

~鳴海探偵事務所~

翔太郎「刃さんを送るだけのつもりが、こんなコトになるとはな……」

翔太郎「あ、取り敢えずそこのソファに座ってくれよ」

フィリップ「やっと来たね。待ち兼ねたよ」

翔太郎「亜樹子はもう帰ったか?」

フィリップ「あぁ」

翔太郎「そっか。えーっと、取り敢えずコーヒーでも飲むか?」

鋼牙「結構。俺は話をしに来ただけだ」



鋼牙は座るコトもせず、事務所の中をぐるりと見回し、そして俺とフィリップを見た。



鋼牙「……さっきのホラーはフルーレティという。あの雹で人間の身体を切り裂きいたぶった上で、魂を喰らう。そういうホラーだ」

翔太郎「え、えげつねぇ……」

翔太郎「でもさ、俺たちが最近出会ってたホラーってヤツ、いつも見た目が同じだったよな。まさにこう悪魔って感じの」

翔太郎「今日みたいな人間っぽい姿は初めて見たぞ?なぁフィリップ」

フィリップ「それはホラーが人間に憑依しているかどうかの違いだね。今まで僕たちが出会っていたのは、人間に憑依していない素体ホラーだ」

フィリップ「素体ホラーである状態では、見た目はどのホラーも一緒だし、さっきのフルーレティのような大した能力は持ち合わせない」

翔太郎「……お前は戦闘中にも関わらずちゃっかりしっかり検索しやがってよ」

フィリップ「そんなことはどうでもいいんだよ。いいかい翔太郎。ホラーは人間に憑依することで力を増す。憑依した人間が持っていた怨念や、ホラー自身の能力に合わせて独自の力を持つようになるんだ」

鋼牙「……お前何者だ?」



14: ◆NrFF2h.q26:2013/12/22(日) 01:45:57.74 ID:U3R1xDmLO

鋼牙「見たところ、魔戒の名を持たない普通の人間であるお前が、何故そこまでホラーの生態を知っている?」

翔太郎「あーその、コイツもちょっと特殊なヤツで……頭の中に地球上のこと全てを検索できるパソコンがあると思ってくれ」

フィリップ「僕は検索するためのキーワードがあればなんだって分かるよ。君が一般の魔戒騎士が所属する番犬所の上位機関である元老院直属の魔戒騎士であることも、魔戒騎士の中でも最高位の称号である牙狼の称号を持つことも」

鋼牙「……」

翔太郎「え、そうなのか!?コイツそんな凄ぇ奴だったんだな」

鋼牙「……話をしに来たのは正解だったか」

フィリップ「というと?」

鋼牙「俺は元老院から命令を受けこの街に来た」

鋼牙「ここ最近立て続けにホラーが発生しているハズなのに、それに見合った行方不明者や死亡者の数の増加が、通常と比べ明らかに少ないものだったからだ」

翔太郎「あぁ、それで俺らみたいな部外者が何かしら関与してるのかどうか、調査しに来たってことか」

鋼牙「ホラーを何らかの手段で捕獲している可能性もある……いずれ悪用するために」スラリ

翔太郎「……あのー何で剣を抜いていらっしゃるんでしょう?」

鋼牙「……」ビッ

翔太郎「ちょ、ちょっと剣が首に当たってるぞ!?」

フィリップ「僕たちがホラーを悪用する人間に思えるのかい?さっきだって戦ってるのを君は見ただろう?」



16: ◆NrFF2h.q26:2013/12/22(日) 02:28:23.73 ID:U3R1xDmLO

鋼牙「確かにそうだな」

鋼牙「だが、信じ難いことにお前は地球上の全ての知識を知ることが出来る。そしてその知識を検索するために必要なキーワードというのも、今は把握しているワケだ」

鋼牙「お前のその力を信じるなら、その気になれば一般人でもホラーを操り、悪用する方法を見つけられるかもしれないな」

翔太郎「はぁ~!?お前が勝手にホラーだの魔戒だの、キーワードを教えたんだろうがよ!」

鋼牙「……」チャキッ

翔太郎「……っ」

鋼牙「それにその力は、もう一つの俺の目的のための力になるかもしれん」

フィリップ「もう一つの目的?」

鋼牙「そうだ。もう大体の知識を把握しているというなら、そもそもここ最近、ホラーが頻繁に現れていることが異常であるのも分かるハズだ」

鋼牙「その異常事態の原因解明も元老院から下った命令なんだ」