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美琴「常盤台中出身、御坂美琴この中に―――」 上条「ははは……」|エレファント速報:SSまとめブログ

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美琴「常盤台中出身、御坂美琴この中に―――」 上条「ははは……」

1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/13(木) 19:07:27.96 ID:7U946f9s0

サンタクロースをいつまで信じていたかーなんて
この私、上条当麻にはどうでもいいことなのだが
それでも、俺がいつまでサンタクロースを信じていたのかというと
ぶっちゃけ物心つくころにはもう信じていなかった。
元々、俺は人よりも不幸な部分があって、サンタクロースに扮した父さんが
とある失敗で正体がバレてしまった……という訳である。
……いや、これは父さんの不幸と言うべきか……とにかく
そんな訳で俺は初めからサンタクロースの存在を信じてなかった。
実際、サンタクロースに限定せず
宇宙人や未来人や超能力者、異世界人なんてものは総じて信じてなかった。
……いや、ひょっとすると超能力者ぐらいは……
なんて事を頭の片隅で考えているのかもしれない
そんなこんなで生きてきて、
中学を卒業するくらいには自分の不幸さに嘆きながら、普遍的で退屈な世界に慣れていた。

そして、俺は高校生になり―――










御坂美琴と出会った













3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/13(木) 19:10:42.41 ID:7U946f9s0

上条「ハァ……ハァ、な、長い……」

などと呟きながら高校生になった俺は大汗をかきながら山の上の高校を目指し、坂を登っていた。
朝から親共々寝坊し、大急ぎで支度し、出発、そしてこの山登りコースである……不幸だ
これから三年間もこの坂道を登るわけで……などと考えていると自然に何回遅刻すればいいんだ? と考えてしまう。
むしろ何回遅刻しないんだ?と考えそうになり、不幸な自分を頭の中から追い出し、坂道を早足で登る。
周りにいる新入生らしき生徒は見当たらない、これはいささかピンチなのでは?
と考え、早足の速度をさらに上げる……とそこには大荷物をもったお婆さんが!

上条「……不幸だ」



そんなこんなで、結局坂道を登るお婆さんをおんぶし、荷物を前に抱えた俺はダッシュで坂を登り、
そのままの勢いでなんとか入学式に間に合う事が出来た。
ああ、なぜ入学初日からこんなに不幸なんでせう?



4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/13(木) 19:13:26.40 ID:7U946f9s0



親船「新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます」





気品漂う女校長の挨拶も終わり、俺のクラスである一年五組にぞろぞろと入った。
担任の先生……?らしき人物である月詠小萌教諭が壇上に上がり、自らの自己紹介をしなさった。
自分は教師である事や、こうみえて成人している事や、家出した少年少女達を居候さしている事……。
うん、あの見た目でも教師であることは理解した、ぶっちゃけ10歳前後にしか見えないが……。
だが……だが!家出した少年少女を居候って……犯罪じゃねえか!!
へタすりゃ監禁罪にとわれるんじゃねえか?まぁ、親御さんに連絡をいれる等のことはしてると思うけど……。
てかしていて下さい、お願いします。



小萌「それでは、新入生ちゃん達!自己紹介してくださいなのです!」






そうして俺達の自己紹介が始まった





5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/13(木) 19:15:52.85 ID:7U946f9s0



青ピ「とある中学出身です!青髪ピアスって呼ばれてました、青ピでええよー!ちなみに女の子大好きなんやでー!」



ああ、こいつは同じ中学出身の腐れ縁、ま、親友といってもいいんだろうな
同じクラスに知り合いがいて助かったなあ……青ピだけど



土御門「にゃー!常盤台中出身!土御門元春だぜい!あ、金髪は地毛登録してあるから問題なしだにゃー」



随分キャラの濃い奴だな、グラサンに金髪って……夏にゃアロハでも着るんじゃねえか?」
ま、おもしろそうな奴だしいいんじゃないか?と、俺の番か……なにもないといいけど……



上条「っつありゅ……」



シーン



いやぁああああああああああ!!
第一声で噛んじまったぁああああああああああああああ!!!不幸だぁああああああああああ!!
俺の高校生活がぁああああああああああああああああ!!!




青ピ「(さすが上やんやでぇ……)」

土御門「(第一声で噛むとは……不幸な奴だぜい)」




6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/13(木) 19:17:33.53 ID:7U946f9s0

小萌「上条ちゃん、もう一回お願いするのです」

上条「あ、とある中学出身の上条当麻です、あー一年間よろしく」



噛まなきゃつつがない挨拶になってたんだろうな……と過ぎた事を思いながら着席する。
はー……どうやら俺の高校生活も中学と同じく不幸な事が多そうだ……
少々、自分が嫌になっていたが後ろの席の奴が立ち上がる音が聞こえたので耳を傾ける






「常盤台中出身、御坂美琴」






そいつは響き渡る鈴の音のような声ではきはきと自己紹介した、ここまではよかった。
そしてここから発言する言葉を俺は、生涯忘れないだろう。
こいつは、こう続けた

















美琴「ただの人間には興味ありません。この中に、宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら
   私のところに来て。以上」















7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/13(木) 19:19:37.29 ID:7U946f9s0

それまで前を向いて、耳を傾けていただけの俺も振り向いた。そこには、
ライトブラウンの長髪に、装飾の無いヘアピンをつけている美少女、いや、えらい美人がそこにいた。
意志の強そうな目で振り向いている俺を睨んでいる





上条「……あー、よろしく」

美琴「……」ガタリ






無視された……。男の子というのは女の子に無視されるとすごく凹む
ただちにその行為はやめるんだ!御坂美琴!
と言う心の声は心にしまって先ほどの言葉の意味を咀嚼する。
……もしかして、ここ笑うとこ?考えた結論がそれだった……もしかして受け狙ったのか?
そしてこの状況……まずい、俺はこの空気を知っている。知っているからこそ、今助けるぞ!御坂!






上条「は、はははははは!御坂はおもしろいなあ!」

御坂「どこが?」






俺、入学初日で心が折れそう。
御坂美琴はマジだった、人が聞けば下らないと鼻で笑うような幻想なんかじゃなく、大マジ
のちに身を持って知ることになる上条さんが言うんだから間違いない









こうして俺達は出会ったんだ。






8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/13(木) 19:20:54.01 ID:7U946f9s0



こうして御坂美琴は自分の存在をクラス全員に認識させたのだが……
しばらく、これといったことは無く普通の女子高生を演じていた。
この時が嵐の前の静けさだと、俺は気づけなかった。




あの自己紹介から数日後、俺は御坂美琴に話しかけた。
……だって美少女だし、男の子というのはかわいい女の子には目が無いんです!
俺も青ピの事とやかく言えないなあ……と思いながら
早くもクラスの女子の大半に絡んでいる親友を頭の中から追い出し、御坂と会話する。







上条「な、なあ御坂」

上条「あの自己紹介、どこまで本気だったんだ?」ヘヘラ







返答を待つ、不必要かもしれない笑みを浮かべながら






9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/13(木) 19:22:41.46 ID:7U946f9s0

美琴「本気って何?」

上条「あの宇宙人がなんとか」

美琴「あんた宇宙人なの?」

上条「そうです、私が宇宙人です」

美琴「!ほんとっ!!?」キラキラ

上条「!? い、いやほんの冗談で……」ヘヘヘ

美琴「はぁ?つまんない事するなら話しかけないで」バン






会話終了、戦ってないのに負けた気分になっちまったよ……
しかし、あの私が宇宙人宣言にああも簡単に食いつくなんて……なんか心配だぞ。
ていうかマジなのか?宇宙人やら超能力者やら……





上条「?」

土御門「……」







何やら先ほどのやりとりを見ていたであろう数人が「やっぱりな」という同情の目で俺を見ている
後で分かったことだが、そいつらは常盤台中の奴らだった。





10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/13(木) 19:24:16.03 ID:7U946f9s0

青ピ「ねえー御坂ちゃんはどんな男に惚れるん?」

美琴「知らない」

青ピ「僕やったら君の望む男になれると思うで」キリッ

美琴「うるさい」

青ピ「あ、今度遊びに行かへん?僕ええ店知って―――」

美琴「うるさい!」






……青ピを例にしたのはまずかったな、あの対処の仕方が普通に見える
しかし、御坂美琴は誰に対してもあの態度だった
孤立気味の御坂に話しかける気の利いた生徒に対しても青ピと変わらない態度だった







青ピ「でさぁ、そん時僕はこう言ったんや、「君の方がきれいやで」って」クーッ

美琴「……」





青ピの奴まだ言ってやがる……多分御坂は聞いちゃいねえな
気づけば青ピぐらいしか御坂と話していないな
そりゃあ、あんな態度とられた人とはなるべく話したくもなくなるよなあ
青ピが異常なだけで、その反応はごく一般的と言えるだろう







青ピ「そんでねーやっぱり、バニーって言うのは……」







待て青ピ、お前は女子になんの話をしているんだ?



11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/13(木) 19:25:59.72 ID:7U946f9s0

昼休み、俺は青ピと席の近かった土御門と飯を食べることにした

土御門「にゃー上やん、この前御坂に話しかけてただろ?」


どうやら俺のあだ名は青ピから聞いたらしい、返答する


上条「まあ、会話にもならなかったけどな」

青ピ「僕は普通に話してるでー?」

土御門「お前のは会話とは言わないぜい」

上条「もはや独り言の域だぞ、あれ」

土御門「とにかく、二人とも、御坂に気があるならやめといた方がいいぜい」

土御門「あいつは中学の頃とまったく変わってねえ、常軌を逸している」

青ピ「不思議ちゃんさいこーやでー!」

土御門「そんなレベルじゃないにゃー、『校庭落書き事件』ってもんがあってな」

上条「校庭落書き事件だって?」

土御門「白線を引くやつあるだろ?あれを使って夜中の学校で謎の絵文字を書いたんだ」

土御門「なぞのかえるみたいな奴もあったな」

上条「それを、御坂が?」

土御門「驚いたぜい、朝来て見りゃナスカの地上絵もどきがボン!だからにゃー」

青ピ「それなんか新聞に載ってたねー、上やん覚えてる?」

上条「……記憶にないな」




12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/13(木) 19:27:27.76 ID:7U946f9s0



なんとなく、なんとなくだけど、俺の頭の中で一人で白線を引く御坂が、どこか悲壮感にあふれていた
上条さんの想像だけどな。けど、もしかして宇宙人との交信やらなんやらが目的だったとしたら?
おそらく、本気だったんだろうな、高校に入ってもあんなことを言うんだ、これだけは間違いない、と思う
今、教室に御坂はいない、というより昼休みは基本的にいない。
どこでなにしてるんだか……




土御門「でもにゃー、御坂ってモテるんだよにゃー」

青ピ「ごっつうべっぴんさんやもんね!」

土御門「一時期はとっかえひっかえ男と付き合ってたにゃー、例外なく長続きしないがな」

上条「最長でどんぐらいなんだ?」

土御門「一週間。最短で五分、これは高校で更新された」

上条「……」

青ピ「ナンノコトヤロネー」

土御門「まぁ、うちの中学の連中は三年の頃にはもう誰も告白しなくなったが