まゆ「この気持ちが、あなたを壊す」
- 1 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/26(日) 01:52:00.24 ID:ecLk0oxl0
- 佐久間まゆのSSです
短めですがどうぞ
すでに完結しています - 2 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/26(日) 01:53:05.15 ID:ecLk0oxl0
- ステージの舞台袖
薄暗い空間の中で、俺とまゆは抱き締め合っていた
スーツに顔を擦り、まるで匂いを堪能するかのように顔をうずめる
深く息を吸ったところで、ようやくゆっくりと体が離れる
まゆ「はぁ………うふふ…」
まゆ「それじゃあ…いってきますね…♪」
P「あぁ、頑張ってこいよ」
名残惜しそうに振り向き、ステージへと駆け出していく
ステージへと現れた瞬間、ホールがドッと歓声で沸く
P「…………」
- 3 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/26(日) 01:54:53.04 ID:ecLk0oxl0
- ──
────
──────
数週間前、それはまゆからのお願いだった
いつもの定例ライブ、いよいよまゆの出番が近づいた時に彼女はこんなお願いをしてきた
まゆ『抱き締めてください…それでまゆは頑張れるから……』
懇願するような目に気圧され、渋りながらも承諾
そのまま今に至るまで、ライブでまゆの出番が近づくたびに抱き締めている
事実、それからというものまゆの人気はさらに拍車をかけて伸び、パフォーマンスにも華が出てきた
今さら断る理由を探す必要もない
だが……
P『あいつはアイドルで、俺はプロデューサーだ』
P『いや…それ以前にもっと大事なこと』
- 5 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/26(日) 01:56:27.22 ID:ecLk0oxl0
- 今まで何人かのアイドルをプロデュースしてきたが、
まゆのアイドルとしての成長は今までに類を見ないスピードだった
それこそ、異常と言ってもいいほどに
アイドルになり立てのころはよくレッスンに付き添ったりもしていたが
その時からすでに、同期のアイドルたちよりもワンランク上のパートを練習していた
今でも、もっと上のレベルのレッスンをしてほしいと、トレーナーさんから報告があったぐらいだ
その時トレーナーさんは問うたらしい
なぜそこまでやろうとするのか?
別にそこまで気を張らなくても、あなたは十分アイドルをできている、と
以前、俺もまったく同じ質問をまゆにしたところだ
まゆは、どちらも同じくこう答えた
まゆ『全ては、Pさんのためだから』
まゆ『Pさんのために、まゆはアイドルをしているんです』
そこまで献身的にプロデューサーに尽くすというものは、本来であればあり得ない心情だ
- 6 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/26(日) 01:58:29.67 ID:ecLk0oxl0
- アイドルはみな、なにかしらの目標を持っている
ファンのみんなに、笑顔を届けるため
歌を上手くなって、世界中の人に届けるため
自分自身を磨くため
人々に、夢を与えるため
だが、まゆのそれはどれにも当てはまらない
俺のためにアイドルをし、俺のために輝き、俺のために歌う
俺はそれを恋愛感情と見て危険視していた
事実、俺に好意を寄せている発言も何度もあった - 7 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/26(日) 02:01:29.64 ID:ecLk0oxl0
- アイドルとプロデューサーとの恋愛はご法度
意を決して、一度まゆに諭したこともあった
お前が俺に好意を寄せてるのは男としてはありがたいことだけど
アイドルとプロデューサーの恋愛なんていうのはあっちゃならない
お前はアイドルなんだ。
アイドルは、人に夢を与える仕事…
まゆを応援してくれている人達を裏切るようなことをしちゃいけない
苦しい決断だった
彼女がこれを聞いてやる気を喪失すれば、最悪辞めてしまうことになるかもしれない
アイドルの道を潰してしまいかねないからだ
だが、彼女はまだまだ若い。いくらでもやり直しがきく
ただアイドルに向いてなかったというだけのことと思ってくれれば……
そして、俺よりももっといい人と出会ってくれれば……
だが、まゆの反応は予想だにしないものだった
- 8 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/26(日) 02:03:28.49 ID:ecLk0oxl0
- まゆ『まゆには…ファンなんて…トップアイドルなんてどうでもいいんです』
まゆ『Pさんの傍にいられるなら、まゆはなんだっていいの…』
まゆ『それに…まゆにはわかるんです』
まゆ『その言葉、Pさんの本当の気持ちではないですよね』
まゆ『もしさっきの言葉が、Pさんの本当の気持ちだとしても…』
まゆ『想うだけなら…自由ですよね?』
まゆはものともしない態度でそう言い放った
打ちのめされたのは俺のほうだった
だが、これでわかったこともある
まゆが、単なる恋愛感情だけでここまでしていないということ
そしてそれが、相手が俺でなくてはならないということを
それに気づくのは、もっと後になってのことだ
- 9 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/26(日) 02:06:17.73 ID:ecLk0oxl0
- まゆは俺に依存している。加えて、俺以外への異常なまでの排他的行為
俺はまゆにあらゆる仕事を持ってくる
まゆはそれに全て応え、取ってきた仕事を喜んで受ける
握手会、人気が出てから頻繁に行うようになった
並ぶファンの一人一人に握手をし、声をかける
即席で作りあげた笑顔を訪れたファンに振りまく
その笑顔の下で、まゆがどれほどの感情を渦巻かせているのか、知る人は俺しかいないだろう
握手会が終わればまゆはそれこそ入念に手を洗う
何度も何度も、消毒液を落としてはまた手に塗す
そして洗い終われば、決まって俺の手と絡ませる
なにも言わず、ただ入念に手に染み込ませるようにしながら…
- 10 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/26(日) 02:09:13.16 ID:ecLk0oxl0
- 過去に一度、まゆはライブで敗北したことがある
明らかに各上の相手で、ほとんど勝負が見えていたライブだったのだが…
結果が出たとき、まゆはその場で放心したように立ち尽くしていた
普段の彼女から察して、事態を危険に感じた俺は
まゆを連れてステージを降りる
楽屋まで連れ戻るや否や、俺の胸に顔をうずめ
まゆ『次は勝ちます……絶対に……』
そう聞き取れるか取れないかぐらいの声で、呪文のようにそう呟いたまゆは
それからというもの、負けることは決してなかった
- 11 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/26(日) 02:11:29.94 ID:ecLk0oxl0
- 他のアイドルとの打ち上げ
だが、そこにまゆが現れることはない
まゆ『Pさんがいないのなら、行く意味がないですから』
そう言って、夜遅くまで事務仕事をしている俺と一緒に事務所にいることも珍しくなかった
周りのアイドルの中にはもちろん、嫌悪する者、考え方を正そうとする者、心配する者もいた
だが、その異常なまでの執念と覚悟に異を唱える人は次第にいなくなり
恐怖するようになったという
──────
────
──
- 12 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/26(日) 02:12:57.16 ID:ecLk0oxl0
- そんな俺も、時々まゆに違和感と恐怖を感じることがある
P「………」
ステージの袖からまゆを見守る。
ちょうど、ステップの難しい部分を難なく踊り抜いてみせたところだ
まゆのその気持ち一つで、
勝てば褒めてもらえるという原動力だけでそこまでの気持ちで臨めるという姿勢
そのポテンシャルと覚悟に恐怖すら感じるとともに、
ゾクゾクと背中に走る言い知れない快感がたしかにあった
ライブが終わり、まゆが客席に向かって一礼をする
ホールがこれまでにない歓声に響き、揺れる
- 13 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/26(日) 02:15:18.56 ID:ecLk0oxl0
- ビリビリと体の奥まで振動が伝わる
まゆが与えてくれた、歓声
ぞくり──
まただ
なぜこんな感情が芽生えるのか、俺には分からない
だけど、今ここで吐露してはならない
なんとなくそんな気がして、その気持ちをぐっと飲み込む
その日もまゆは、持てるうちの最高のパフォーマンスでライブを彩り、
目の前のファンと俺を釘付けにさせた
- 14 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/26(日) 02:17:10.42 ID:ecLk0oxl0
- まゆ「Pさん、次のこの衣装なんですけど…」
P「あ、あぁ…」
まゆ「? どうしたんですかぁ?」
P「いや、なんでもない」
まゆ「…ほんとうですか?」
P「あぁ、大丈夫だ。この衣装は、次のこの曲が終わってからの空き時間に……」
それからというもの、日を増すごとにあの感情は増していき
ついには無視できるものではなくなっていった
今もこうしてまゆと会話してはいるが、内容がいまひとつ入ってこない
だが、まゆの声だけは鮮明に頭の中に入ってくる
台本に描かれたステージの図にペンを走らせ、矢印の補足を入れながらメモを加えるその仕草にさえ
目が離せなくなっていた
- 15 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/26(日) 02:19:05.86 ID:ecLk0oxl0
- ふと、そのペンが止まり、まゆが見上げる
まゆ「本当に…大丈夫ですか?」
まゆ「なんだかつらそうです…」
P「え?あ、あぁ…昨日遅くまで残りすぎたかな?はは…」
そう笑ってみせるが、俺はつらそうに見えるのか
まゆ「……」
普段なら俺の体調不良となればもっと取り乱すであろうまゆが、じっとこちらを伺う
そしてニコリと微笑んだかと思うと、背伸びをして俺の耳元に顔を近づける
身構えようとしたが──
注意して聞かなければ聞こえないぐらいの囁き声が、耳の近くで確かに聞こえた
まゆ「まゆは…Pさんのためだったらなんだってできるんですよぉ…?」 - 16 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/26(日) 02:20:06.00 ID:ecLk0oxl0
- P「───っ!」
思考が鈍り、殻に閉じ込めていた感情がペリペリと剥がれていくのがわかる
だめだ、この感情はいけない──
そう言い聞かせ、また新たに上から貼り合わせ、押さえつける
そんなことを頭の中でしているうちに、いつの間にかまゆの顔が離れていた
まゆ「それじゃあ、今からレッスンなので… いってきますね♪」
そう言って彼女は小さく手を振り、その場をあとにする
P「あぁ…気を付けて、な……」 - 18 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/26(日) 02:24:23.65 ID:ecLk0oxl0
- 取り残された俺は、深くため息をつきながらデスクのイスに腰掛ける
先ほどの囁きが今でも頭の中で反芻される
その度に、あの時と同じ、言い知れない快感が背中に走る
俺は、どうなってしまったんだろうか
誰に問うても返ってくるはずのない疑問を、ただ頭の中にぶつける
いや、返してくれる人は思い当たる中で一人いる
だが、彼女にこの感情を向けてはならないと、無意識のうちに感じていた
今はただ、どうにかこの感情と向き合わないために、なにかをしてごコメント一覧
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- 2014年01月26日 15:41
- 1もろた
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- 2014年01月26日 15:51
- なんか…すごいな…
-
- 2014年01月26日 15:56
- 微妙
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- 2014年01月26日 16:00
- 深淵を覗くな
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- 2014年01月26日 16:06
- 最近はポンコツまゆばかりだったからこういうのもありだな
-
- 2014年01月26日 16:06
-
やはりままゆはこうでなくちゃ!(目玉グルグル)
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- 2014年01月26日 16:11
- まゆでの心中物はたまらないな、愛情の行き着く結末の一つだと思う
ただ、二人の最期の心情をもう少し丁寧に書いてほしかった
そこまでがゾクゾクする展開だったのに、駆け足で締めた感が否めない
あっさり終わるのがいいっちゃいいのかもしれないが
-
- 2014年01月26日 16:39
- ああ、うん…
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- 2014年01月26日 16:41
- ねえ知らないだろう?闇より深い暗い暗い闇を…
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- 2014年01月26日 16:54
- この前のフェスでもあったが、今回はロワイヤルの犠牲者か…(遠い目)
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- 2014年01月26日 16:58
- 愛してるから!(殺意)
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- 2014年01月26日 16:58
- 読み入ってしまった
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- 2014年01月26日 17:03
- 私はお前をこんなにも愛している、だからこそ時々お前を滅茶苦茶にしてやりたくなるのだよ…!!
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- 2014年01月26日 17:16
- 悪くないけどついていけない
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- 2014年01月26日 17:26
- あまり依存されると壊したくなるねぇ
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- 2014年01月26日 17:52
- ※14
これについて行って共感でもしてしまうようなら色々マズいぞ…
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- 2014年01月26日 18:01
- まゆにポンコツアンドロイド歌わせたいとか思っててごめんなさい
-
- 2014年01月26日 18:27
- Pそこはお前の場所じゃない、俺とかわれ
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- 2014年01月26日 18:27
- ひえー
-
- 2014年01月26日 18:52
- 最近ポンコツじゃないまゆが復権してきたよね
良いことだ
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- 2014年01月26日 19:01
- なんだっけ、前もPがアイドルの首を絞めたくて堪らなくなってるSS無かったっけな
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- 2014年01月26日 19:13
- 素晴らしい
他に何も要らないって最高の愛だ
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- 2014年01月26日 19:28
- 久しぶりにポンコツじゃないままゆが見れた
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- 2014年01月26日 20:10
- イイヨイイヨー
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- 2014年01月26日 20:11
- 怖いWWW
最初のまゆってこんなイメージだったよな
声が可愛すぎてイメージ変わっちゃった感がある
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- 2014年01月26日 20:12
- 前にも響子を傷付けたくてしょうがなくて指切ったところみて興奮するやつがあったな。
-
- 2014年01月26日 21:06
- ままゆっ!ままゆっ!ままゆっ!
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- 2014年01月26日 21:37
- 久々にガチままゆやった
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- 2014年01月26日 22:25
- ※21
俺が知る限りだとちーちゃんと首絞めセクロスしたいみたいなタイトルのヤツぐらいか
中身は全く猟奇的なモンが無くてイイハナシダナー方面だったが
※25
CV牧野が可愛すぎる
あれでヤンデレられても年下の恋愛不器用な女の子が背伸びしてる風にしかならんもんな
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- 2014年01月26日 22:40
- ジャンヌダルクの歌詞みたいな終りだったな
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- 2014年01月26日 22:59
- そういやまゆにおしっこさせるやつあったけどあれも良かったな
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- 2014年01月26日 23:52
- やっぱりね、近松先生は偉大であり天才だと思うんです
つまり、アイドル界隈で心中物が流行らないことを願います
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- 2014年01月26日 23:58
- ※21
765Pが夢の中でアイドルたちを絞め殺していくやつか
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