桜田ジュンのうた『世界が終るまでは…』
- 48 :名無しさん:2014/01/29(水) 21:18:57 ID:kKpfkIgk0
- §桜田家・玄関
♪チンコーン(呼び鈴の音)
配達員「桜田さーん、お届け物でーす」
のり「はーい」ガチャッ
配達員「ここに判子かサインをお願いします」
のり「分かりました。いつもご苦労様です。これでいんですね」カキカキ
配達員「はい。ありがとうございました。失礼します」
- 49 :名無しさん:2014/01/29(水) 21:22:32 ID:kKpfkIgk0
- のり「よいしょっと、少し重たい物が届いたわね」ドサッ
雛苺「ねぇねぇ、何? それ何? 何が来たのよ、のり?」
翠星石「食べ物ですか?」
のり「うーん、ジュン君宛てで…差出人不明?」
真紅「あらやだ、ジュンったら妖しげな通販をまた…?」
翠星石「不登校で抑圧された鬱憤ばらしのための趣味かと思っていたですが」
のり「登校再開してもう2ヶ月以上経つのに、まだこんなことを…」
翠星石「チビ人間の心に残された悪癖の根は深いですぅ」
雛苺「ジュンの喉と心臓でロゼリオン化している真紅細胞(※)みたいなのよね」
※桜田ジュンの感冒『その苦輪の運命』参照
- 50 :名無しさん:2014/01/29(水) 21:23:20 ID:kKpfkIgk0
- 真紅「…差出人は不明でも、内容物の概要は書いてないの、のり?」
のり「ジョークグッズ…て書いてあるわね」
真紅「ジョーク…」
翠星石「グッズ…」
雛苺「それってパーティで、みんなで使うオモチャのことなのよね!
わぁい! きっとジュンはヒナ達と一緒にパーティを開く計画をしているのー」
真紅「待ちなさい雛苺。それはあまりに短慮というもの」
雛苺「うぇ?」
翠星石「オモチャといっても、これは大人のオモチャである可能性もあるということですよ」
のり「えええっ!? そ、そんな!? ジュン君が?」
真紅「この国では大人のオモチャは薬事法の規制を逃れるためにジョークグッズであるという体裁をとっている」
雛苺「うにゅ? どういうことぉ?」
翠星石「洋物ポルノがミュージックビデオだと言い張っているのと同じことですよチビチビ」
雛苺「むー? 全然分からないの」
- 51 :名無しさん:2014/01/29(水) 21:26:02 ID:kKpfkIgk0
- のり「ま、まさかジュン君に限って…」
真紅「本当に、そんなことは無いと言いきれるの? のり?」
翠星石「むしろ、チビ人間だからこそとも言えるですぅ」
のり「そ、そう言われてみれば…。ところでジュン君は? 二階の自分の部屋に?」
翠星石「いんにゃ。チビ人間は学校から帰ってきて、すぐに出かけたです」
雛苺「お友達と遊んでくるって言ってたのよ」
のり「まあ、ジュン君にもついに外で遊ぶようなお友達が!?」
真紅「それもこれも今となっては疑わしい上にいかがわしいわね」
翠星石「悪い女友達に捕まって、大人の遊びを覚えさせられているやもしれんですぅ」
雛苺「そ、そんな! トゥモエが悲しむのよ、そんなの!」
のり「お姉ちゃんも悲しいッ!」
翠星石「ついこの間まで、脳内お友達の鳥海君だけが心の支えだったヤローとは思えねーですね」
真紅「鳥海皆人は妄想力で生まれた幻影ではなくてよ翠星石」
のり「で、でもまだジュン君が不良になったと決まったわけじゃあ…」
真紅「そうね。確かにこの贈り物のダンボールの中身が
ブーブークッションとかの素直なジョークグッズである可能性も残されている」
翠星石「チビ人間が爛れたド変態かどうかはこの中身を見ればはっきりすることです」
雛苺「それまではジュンが変態さんかどうか分からないのよね! しゅれでぃんがーの変態なの」
真紅「難しい言葉知ってるわね雛苺。いかにもその通り、これはもう箱の中身を確認するしかない」
翠星石「ドキドキするですぅ」
のり「で、でもジュン君に届いた荷物を勝手に開けちゃったりするのは…」
真紅「下僕の物は私の物」
のり「真紅ちゃんの中で、ジュン君はまだ下僕扱いなのね。一応マイスターローゼンなのに」
真紅「当然よ。100歩譲ってジュンがお父様になったとしても、お父様(仮)あるいはお父様補佐代理心得ってところね」
翠星石「うーむ、真紅は厳しいですぅ」
真紅「ともかく、そういうわけでジュンへの荷物を私が開けても法的な問題は発生しない」
翠星石「警察にも捕まらないというわけですね」
雛苺「うぃ! だったら開けちゃうの」ベリベリ
のり「あああ…、ごめんなさいジュン君。でも、これもジュン君のため…」
- 52 :名無しさん:2014/01/29(水) 21:28:46 ID:kKpfkIgk0
- §薔薇屋敷・居間
一葉「チェックメイト」
二葉「ッ!? ああああ、待った! 兄さん、ちょっと待った」
一葉「またか二葉。そしてこのやり取りももう何度目だと思っている」
二葉「いやいやいや、でもさ僕、昨年末の除夜の鐘で弱らされて(※)
nフィーでしばらく静養せざるをえなかった時にチェスの猛練習したんだよ!?」
※桜田ジュンの新年『隙を見ては自分の持ち場を放棄して抜け出す赤い悪魔』参照
- 53 :名無しさん:2014/01/29(水) 21:30:34 ID:kKpfkIgk0
- 一葉「練習したわりには、強くなっとらんな」
二葉「まあ、僕が練習してたのは『かっこいいチェックメイトの言い方』だったから」
一葉「…くだらないことを」
執事「失礼いたします旦那様、二葉様。コーヒーをお持ちしました」ガチャリ
一葉「ありがとう」
二葉「やあ、セバスチャン久しぶり」
執事「お久しぶりです二葉様。そして何度も言いますが私はセバスチャンという名前ではありません」
二葉「あ、そうだったっけ。ごめん。ところでセバスチャンがコーヒー持ってくるなんて珍しいじゃん。
あの住み込みメイドの女の子はどうしたの、え~と…コリンヌちゃんだったっけ?」
執事「……」
一葉「フォッセー君の名前はオディールだ。コリンヌは彼女の祖母の名前だろう?
二葉、お前随分とフォッセー君と仲良くなっておきながら名前を間違えるなど」
二葉「す、すまない兄さん。nフィー長期滞在していたせいかどうも頭がボーっとしちゃって。
ひょっとして今度こそ、本当に僕のお迎えが近いのかも…」
執事「そのオディールさんは先日に故郷のフランスへと帰られました」
二葉「え? 何で!? 僕に何の挨拶もなくぅ!?」
一葉「お前がnフィーから戻ってくるのをわざわざ待つことなんぞなかろう。
それに彼女が故郷に帰るのに理由など必要もあるまい。お前とて、ここに帰ってきたではないか」
二葉「それはそうだけど、寂しいじゃないか」
一葉「幽霊のお前が寂しがるとはな。とは言え、今生の別れというわけでもない。
またホームステイなり花嫁修業なりで、うちに頻繁にやって来る予定だそうだ」
二葉「あ、そうなんだ。びっくりさせないでよ、兄さんったらもう。僕がショック死したらどうするの?」
一葉「それはひょっとしてジョークで言っているのか?」
- 54 :名無しさん:2014/01/29(水) 21:33:51 ID:kKpfkIgk0
- 婦長「…二葉様、お客様がお見えになっております」ガチャッ
二葉「え? 客? 僕に? 兄さんの方へじゃなくて?」
婦長「はい」
二葉「本当~? 間違えてんじゃないの? だって兄さんは
ずっと本名の一葉じゃなくて、僕の名前の二葉の方を使って生活してたんだろう?」
一葉「それはそうだが、うちの執事や婦長達は優秀だ。お前みたいにいつまでも人の名前を混同したりしない」
二葉「む…」
婦長「説明が後になりましたが、お客様は水銀燈さんでございます」
一葉「彼女が?」
二葉「…ローゼンメイデン第一ドールが、わざわざ僕をご指名とはね。
それも僕がnのフィールドから復帰したての、このタイミングで」
一葉「何か心当たりでも?」
二葉「まあ、見当ぐらいは。よし、婦長さん、悪いけど水銀燈をこの部屋まで案内してあげて。
セバスチャンはもう一つコーヒーを」
婦長「かしこまりました」
執事「…かしこまりました」
- 55 :名無しさん:2014/01/29(水) 21:36:09 ID:kKpfkIgk0
- 水銀燈「邪魔するわよぉ」テクテク
一葉「やあ、ようこそ」
二葉「いらっしゃい。コーヒーあるよ、淹れたての。砂糖いくつ入れる?」
水銀燈「そのまんまで結構。ミルクも要らないわ」
二葉「おお、大人だねぇ。流石お姉ちゃん」
水銀燈「茶化さないで。それはそうと相変わらず元気なようね二葉。除夜の鐘でやばかったと聞いたけど」
二葉「お陰さまで」
水銀燈「……」
一葉「水銀燈? どうした、急に黙って? まさか二葉や私の顔を見に来ただけではあるまい」
二葉「遠慮という言葉が君ほど似合わない子もいないだろうに」
一葉「金の無心か?」
水銀燈「…違う」
一葉「では蒼星石に用事が? 悪いが彼女は今、出かけていて…」
水銀燈「いえ、蒼星石に用は無い。今のところは、だけど…」
二葉「歯切れが悪いね。じゃあ、僕の方から聞こうか? 君のマスターの柿崎めぐは元気かい?」
水銀燈「…ッ!」
一葉「む? そう言えば彼女も年始あたりから急に調子を崩したと聞いてはいたが」
水銀燈「めぐは…消えたわ」
一葉「!?」
二葉「……」
- 56 :名無しさん:2014/01/29(水) 21:39:12 ID:kKpfkIgk0
- 一葉「ど、どういうことだ? 消えたとは!? 一体!?」
水銀燈「分からない。私の見ている目の前で、床に伏せていためぐは溶けるように消えていった。
これが全てよ、nのフィールドで起きたこと、ありのままに起きたこと全て」
一葉「そ、その話を他の人には!?」
水銀燈「あんた達に話したこれが最初。姉妹の誰にすらも、まだ言ってはいない」
一葉「そんな重大なことを何故、最初に私達に…」
二葉「柿崎めぐも幽霊だったからだよ、兄さん。だから同じ幽霊の先輩である僕に水銀燈は質問しに来た」
一葉「!」
水銀燈「めぐは…雪華綺晶と作り上げた夢の世界が崩壊すると同時に死んだ、いえ、もしくはその前から死んでいた。
けれど、私とめぐは死んでも一緒だという誓いの下に契約の指輪を交わしていた」
二葉「その約束が、めぐちゃんの霊魂を強く縛っていた。白い悪魔である雪華綺晶との結び付きが解けた後は
黒い天使である水銀燈との絆の力で、現世の兄さん達の前に存在していた」
水銀燈「めぐを死なせたことは私の罪、そして彼女が死んでもその傍に居続けるのが私の罰。
私の力があれば、それができるはずだし、今までそうしてきていた。
世界が終わってしまうまで、私とめぐは離れることがない。なのに、突然…」
二葉「めぐちゃんが『もういい』と思ってしまった可能性がある」
一葉「成仏したということか?」
水銀燈「なっ!? だとしても、一言も別れの言葉すら無く!?」
二葉「そういうものだ。死ぬ時ですら誰かに言葉を残せるだなんて稀なこと。
僕はまだまだ未練がたっぷり残してあるから、こうして現世にいるけどね」
一葉「確か桜田君も言っていたが、彼女の希望は水銀燈に絶望をくれてやることだった。
本来であれば、そのまま成仏してもおかしくないほど、羽ばたいて逝けたわけだったな」
二葉「なのに、それでも水銀燈とともに
- :-:2014/01/30(木) 18:58:07
- アダルティーな薔薇汁妄想してたのにwwwあのときめきをかえしてwww
あと赤面逃走ばらしー可愛い
- :-:2014/01/30(木) 20:10:31
- まああの最終回迎えたならきらきーも悪さしないわな
しかしこれで本当に終わりなのだろうか?
- :-:2014/01/30(木) 20:23:05
- 薔薇乙女の奇妙な冒険第一部がこれで終わりで次回からは第二部戦闘潮流が始まるんですねわかります
- :-:2014/01/30(木) 21:21:54
- 最終回空気なのに締まらないばらっしーが可愛い
しかし次回以降は本当にどうなるんだろう……
- :-:2014/01/30(木) 21:32:31
- あんまり無責任に煽らないで、素直に『お疲れ様』で 良いんじゃない?
王樹以降は カーテンコールみたいなものだったと感じているんだわ。
有難う 作者。一応全部よんだよ!
また みんなが楽しめる題材が見つかる事を、心から祈る
- :-:2014/01/30(木) 22:09:59
- これは一つの終幕としてすばらしかった!!
続きでも、新しいものでもヤマジュンでもまたあなたとあなたの作品に出会えることを心待ちにする!
- :-:2014/01/30(木) 22:37:35
- なんか二葉消えるとかさよならとか思われたのにしぶといやっちゃなー
ばらっしーの人のプライドポイントはどうなのか気になる
- :-:2014/01/30(木) 22:57:54
- >こっちはもう少しだけ続くんじゃ。
もう少しと言わず、たっぷり続いてええんやで(ニッコリ
- :-:2014/01/30(木) 23:17:50
- え?終わっちまったのけ?
いつも楽しみに新作待ってたのに…
- :-:2014/01/30(木) 23:25:28
- ロゼリオン編は本当にカナが空気で、不憫で…
- :-:2014/01/30(木) 23:39:10
- ギョギョリオン編はよ