698450

1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/27(土) 08:16:46.67 ID:b8QHYCA30

このナルシソ・アナスイは生前、殺人鬼のレッテルを貼られていた。
21歳の時に恋人と、その浮気野郎を『分解』したことがそのキッカケだ。

怒りは、まぁその内消えた。
しかし人間を分解したいという衝動は収まらなかった。
ウェザーがいなければ、G.D.st刑務所内でも多くの人間を分解していただろう。

もともと子供の頃から分解癖はあった。
オモチャからポルシェまで、あらゆる物を分解した。
だからオレが死ぬまでこの衝動は続いていくと思っていた。

確かに衝動は消えなかったが、しかしその形を変えた。
オレが25歳の時に出会った、空条徐倫。
彼女への『愛情』に。


彼女の力になりたかった、彼女を守りたかった。
戦いが終えた後は、彼女と結婚をしたかった。
幸せな日々を送りたかった。
しかしオレはプッチに殺された。
そしておそらく徐倫も奴に……


死後、何かの気まぐれで行われたゲームの大会がある。そこで得た二つの賞品。
『何でも一つ願いを叶えられる』と、『自分と任意の一人を「1日」生き返らせることができる』

最高の賞品だ。
当然、オレの意志は決まっている。



アナスイ「オレと徐倫を生き返らせてくれ」





※前作「ジョジョの奇妙なサバイバルドッジボール」

の後日談です。


拙い文章ですが、最後までお付き合い頂ければ幸いです。





2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/27(土) 08:25:33.16 ID:b8QHYCA30

第一話 『アナスイ、徐倫と再会する』


アナスイは何もない空間にいた。
機械的な声が頭の中に言葉が流れてくる。神、なのだろうか?

願いのやり取りは思考の中で行われていた。

「空条徐倫ダナ、了解シタ。ソシテ、ヒトツノ願イモ今決メテモラオウ」

アナスイ「(今だってッ!?随分急だな。…おい、生き返る『1日』という制限を外すことはできるのか?)」

「一人ダケナラバ可能ダ」

アナスイ「(一人だけか。徐倫だけとなると果たして彼女は喜ぶだろうか?)」

「一人ダケダ」

アナスイ「(しつこいぞッ!わかっている。それならオレの『願い』は……)」



3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/27(土) 08:34:23.14 ID:b8QHYCA30

<現在時刻 0:00>

アナスイ「ここは……どこだ?」

真夜中。ライトアップされた駅舎が少し眩しい。
辺りを見回すアナスイの横を、サラリーマンらしき人々が横切っていく。

徐倫「アナスイッ!」

徐倫の声が聞こえる。
声の方を見ると、すぐに彼女を見つけることができた。

アナスイ「(おおッ!徐倫久しぶりだッ!
この暗さにこの距離、しかし『わかる』。やはりカワイイ…)」

ダッ!
徐倫はアナスイに駆け寄り、そして抱き付いた。

徐倫「アナスイッ!本当に久しぶりね。…ありがとう。
あなたのおかげで1日生き返ることができるのね」

アナスイ「いや。礼には及ばない(なんてことだ徐倫、近くで見ると一層カワイイ…)」



4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/27(土) 08:45:57.03 ID:b8QHYCA30

徐倫「折角だし、一緒に1日を過ごしましょうか」

アナスイ「あぁ。そうだな。
……ところで徐倫、ここがどこかわかるか?
ケープ・カナベラルでないってことはわかるんだが」

徐倫「アナスイは初めて?ここは日本の東京よ。
(あれ?そのはず…よね?あたしも一度は東京に来た気がするけど、いつだっけ?)」

アナスイ「!?東京なのかッ!てっきりケープ・カナベラルで生き返るのかと思っていたが」

徐倫「そういえばそうね。まぁそれはそれとして。
いくつか確認したいことがあるの、公衆電話を探しましょう」

二人は公衆電話を探す。

徐倫「あったわ。アナスイ、少し待ってて」
徐倫はどこかに電話をかけ始めた。

アナスイは考える。
しまった――。そもそも『金』がない。
それに、東京のことは全く知らない。
これで徐倫と楽しく1日を過ごせるのか?プロポーズをすることができるのか?
チャンスは今日だけだってのに…

あれこれ悩むが、金については『盗む』以外の選択肢が浮かばない。
しかしアナスイの心配は杞憂に終わる。

徐倫「良かった、スピードワゴン財団と連絡がとれたわ」



5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/27(土) 08:57:52.83 ID:b8QHYCA30

<現在時刻 0:32>

徐倫「よし、これでお金には困らない」

徐倫はスピードワゴン財団の職員から、何かを受け取っている。

徐倫「これはアナスイの分。良かったら使って」

お金を受け取るアナスイ。
『1万円』と書かれた紙幣を20枚手にする。これだけあれば、
食事や多少の買い物をする分には事足りるだろうとのことだった。

アナスイ「これからどうしようか?オレは東京を知らない、徐倫はどこに行きたいんだ?」

徐倫「そうね。夜景を見に行きたいわ。職員に聞いたら首都高がオススメらしいから、
この後はタクシーをつかまえましょう。あと…ねぇアナスイ、一つ決まり事を作ってもいい?」

アナスイ「決まり事だって?」

徐倫の表情が、曇り始める。

徐倫「ええ。今日1日、お互い『スタンド』を一切使わないと決めたいの…」

≪to be continued≫



6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/27(土) 09:10:10.58 ID:b8QHYCA30

第二話 『傷痕』


- 生き返る少し前 -

徐倫は何もない空間にいる。
あのドッジボール大会の後、改めて自分の死と過去を思い返す。

プッチ達との戦いはまるで、突然始まった戦争だった。

戦いの中、エルメェスやF・F、ウェザー、エンポリオ、そしてアナスイのような大切な仲間もできた。
父である承太郎の愛情に気付くこともできた。それらは良かった。
しかし仲間も父も、失ってしまった。自分自身も死んだ。

エンポリオはあの後逃げ切れたのだろうか。
今でも思い返すと、怖くなる。
何て残酷な役を彼に押し付けてしまったんだろう…

死んでから間もなくして、何もない空間にきた。ここだ。
今までのことは全部夢だと思いたかったけれど、現実だった。
恋人もいて、ドライブを楽しんだり、ママに迷惑をかけたりもしたけれど、普通の生活を送っていた。
でもそれらは、手の届かない過去になってしまった。

スタンドなんか、この世に存在しなければいいのに…と、
スタンドを呪ったことも、ある。



7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/27(土) 09:26:15.41 ID:b8QHYCA30

<現在時刻 0:35>

アナスイ「スタンドを使わない?別に構わないが…何でなんだ?徐倫」

当然の疑問を投げかけるアナスイ。
徐倫は顔を若干俯き、答える。

徐倫「アナスイには話してなかったかもしれないけど、あたしのスタンドは、G.D.st刑務所で発現したの」

アナスイ「……」

徐倫「あなた達に出会えたことは良かった。でもスタンドが発現して以降の思い出は、
あたしには辛い。それを出来る限り思い出したくない…」

声を落とす徐倫。
プッチを止めようと『決意』していた頃の徐倫とは違う。
気も利く。頭の回転も速い。覚悟を決めた時の集中力は誰にも勝る。
しかし今は背負いすぎた責任と、その下ろし場所に迷っているのかもしれない。

アナスイ「OK、わかった徐倫。
今日はスタンドを使わない。姿さえ見せない。約束だ」

徐倫「ありがとう…」

徐倫の目からは零れこそしなかったが、涙がたまっているのが見えた。



この『物語』は――
アナスイと徐倫が『思い出』を『作る』物語だ

『これから作る』という意味だけでなく、
『作り直す』のも含めた意味で――


8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/27(土) 09:44:48.78 ID:b8QHYCA30

<現在時刻 1:39>

二人はタクシーに乗り込み、首都高速を走っている。
徐倫は窓から見える夜景を楽しく眺めていたが、やがて眠ってしまった。

アナスイ「(くぁ…。オレも眠い…)運転手、このまま朝まで走り続けてくれ」

運転手「ええッ!?朝までですか!?それは、まァ構いませんが…」

アナスイ「金ならある、頼んだぞ」

…その後もタクシーは走り続ける。

アナスイ「(オレは徐倫に救われた。今度はオレが徐倫を救う番だ。
彼女の辛い思い出を、少しでも良いものに作り変えたい。それがオレの目的だ)」

徐倫「うぅん…」

眠っている徐倫が、アナスイにもたれかかる。
耳をすませばスースーと小さく寝息が聞こえてくる。

その後アナスイは14回『なんてカワイイんだ』と心の中で呟き、
眠りに落ちていった。

≪to be continued≫



9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/27(土) 09:52:49.01 ID:b8QHYCA30

第三話 『浅草に行こう』


<現在時刻 7:07>

ここは代々木パーキングエリア。

アナスイ「ほら徐倫、コーヒーだ。ミルクと砂糖はいる?」

徐倫「いえ、このままで大丈夫。ありがとうアナスイ」

アナスイ「あと運転手、これを」
運転手にもコーヒーを手渡す。

アナスイ「長らく付き合わせて悪かったな、もう少し頼む」

運転手は頷き、コーヒーをブラックのまま喉に流し込んだ。
アナスイもコーヒーを口に運び、駐車場へ次々に入ってくる車を、
そして走り去る車を眺めていた。

徐倫「そうだ」
突然、徐倫が口を開いた。

アナスイ「ん、どうしたんだ徐倫?」

徐倫「浅草に行こう」



10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/27(土) 10:01:16.24 ID:b8QHYCA30

<現在時刻 8:12>

アナスイ「ここが雷門。中々の迫力だな」

徐倫「そうね。この提灯が畳まれることってあるのかしら?ずっと出しっぱなし?」


アナスイ「仲見世通りか。まだ朝だが、もう開いている店もあるんだな」

徐倫「あの露店!人形焼きですって!買いましょうアナスイ!」


アナスイ「ゲーーッ!?『凶』!おみくじは、ほとんどが良い結果と聞
【ジョジョ】吉良はそれまで他のスタンド使いと戦闘経験あったのか?
【ジョジョ】最近ダサいジョジョグッズばっか
【ジョジョ】ジョジョ三大高性能スタンド「GER」「MIH」あと一つ
【ジョジョ】ジョルノが一番追い込まれたのってどこになるの!?
【ジョジョ】ジョジョリオンの今後の展開にありがちなこと‥
【ジョジョ】4部の登場人物って就職できんのかなぁ?
【ジョジョ】ジョジョキャラ2人挙げてからこのスレ開け


※コメントの際、第三者を傷つける様な発言は絶対にやめてください、場合によってはアクセス禁止の処置を行います。

コメント一覧

    • 1. 名無しのジョジョ好き
    • 2014年01月30日 13:55
    • 面白いSSだった!
      ラストの番外編もグッド!
      次回作にも期待している。
    • 2. ななし
    • 2014年01月30日 15:38
    • ディ・モールト・ベネ!!
    • 3. 名無しのジョジョ好き
    • 2014年01月30日 15:43
    • アナスイよかったね
    • 4. 名無しのジョジョ好き
    • 2014年01月30日 16:54
    • 乙です!個人的にアナスイ好きだから良かったです。
      次回作も楽しみにしてます!
    • 5. 名無しのジョジョ好き
    • 2014年01月30日 20:03
    • 最後の約束破っちゃったの徐倫の顔想像するとめっちゃかわいい
    • 6. 名無しのジョジョ好き
    • 2014年01月30日 20:49
    • なんていい話なんだ・・・
      ディモールト・ベネ!!
    • 7. 名無しのジョジョ好き
    • 2014年01月31日 00:02
    • 5 寝る前にいい話が読めました。

      また書いてくださいねーッ!!

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
Scriptが読み込まれなかった場合に表示される文字


 人気記事

     二次編集対象記事