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http://japanese.engadget.com/2014/02/03/fitbit-flex-20-softbank-healthcare/


Fitbit Flex レビュー:睡眠も測れる活動量計。20年後の自分が見えるSoftBank HealthCareサービスの使い心地 - Engadget Japanese


スマートフォンの性能が成熟してきた今、さまざまな周辺機器との連携に力が入っているようです。特にウェアラブル製品にスポットライトが当たり始め、リストバンド型のデバイスが花盛りなこの頃。みなさまはすでに活動量計をご愛用でしょうか?

今回はソフトバンクから提供されている「Fitbit Flex」(以下、Flex)と、有料の健康管理サービス「SoftBank HealthCare」の使用感をお届けします。

ソフトバンク独自のデバイスとして提供

「Flex」は歩数、距離、消費カロリーといった日々の活動量に加えて、睡眠時間や睡眠サイクルの記録も可能な、目覚まし機能も備えたリストバンド型の活動量計です。親指の先ほどのトラッカーと言われるセンサーと、リストバンド、留め具の3点で構成されています。

もともとは米国Fitbit社の製品で、海外版Fitbitが提供するサービスと無料で連携できますが、Fitbit Flexは日本国内ではソフトバンクの「SoftBank HealthCare」の専用デバイスという位置づけ。月額525円の有料サービスです。Fitbitの提供するサービスとは同期できませんが、「SoftBank HealthCare」の専用アプリケーションと同期することで独自のサービスを利用できます。

「SoftBank HealthCare」独自の機能は、活動データをもとに、未来の自分の顔(の予測)が見られる「タイムマシン」機能や、コインを貯めてAmazonギフト券などが抽選で当たるサービスのほか、アプリ内で発行される受付番号をもとに、24時間365日、いつでも専門家に電話で直接健康相談できるサービスがあります。

なお、利用申し込みにはS!ベーシックパック(月額315円)への加入が必要で、利用できる端末は現在のところiOS6以降か、Androidではシャープ製の AQUOS PHONE Xx 206SH に限定されています。


活動量計としてはごく標準的です。独自の機能にどこまで魅力を感じるか、どこに重みをつけるかで、答えが変わりそうなサービスといえます。いい点、悪い点をまとめると以下の通りです。

良い点

  1. 軽くて、入浴時以外ずっとつけていられる
  2. 音でなく、振動で目覚められる
  3. PCが使えなくても、スマートフォンだけでデータを管理できる
  4. 健康管理ツールとしてはアプリもカラフル、見やすい
  5. 睡眠記録が取れ、眠りの深さをグラフで確認できる
  6. タイムマシン機能で、「未来の自分との接点」を強化できる (後述)
  7. リアルなご褒美が用意されているので、使うモチベーションを維持しやすい
  8. 健康に関する悩みを直接相談できる「健康相談」という窓口がある

悪い点

  1. すでに腕時計をしている人には使いにくいかも?
  2. グラフを見るだけでは、この先どうしたらいいか分からないことがある
  3. 対応端末が限定的
  4. 2年縛りで、途中解約や非対応機種への機種変更で解約料が発生するので、慎重にならざるをえない

それでは、もう少し具体的にみてみましょう。

「Flex」の使い心地

使い心地は、一言でいえば快適です。デザインはかなり簡素で、決してファッショナブルとはいえませんが、軽く、手首にフィットしやすいので、長時間装着していても負担になりにくいと感じます。

手首のサイズは人によって異なりますが、パッケージにはL / Sサイズのバンドを同梱。それぞれ長さの微調整もできますし、途中でトラッカーだけ入れ替えて、リストバンドを交換できるというのはありがたいです。

手首に巻くリストバンドは、ポケットがない洋服でも利用できるところも魅力。入浴中以外は基本的に身につけていられるので、着替えの際につけ忘れたり、衣服につけたまま洗濯するといったミスも防止しやすいのです。ただし、腕時計を使っている方は重ね付けになってしまう場合があります。

バッテリーは、付属のUSBケーブルを使って充電し、1回のフル充電で概ね1週間程度は利用できるようです。残量はアプリで確認でき、少なくなれば通知されるので、測定できない入浴中にパソコンのUSBポートに繋いでおけば問題ありません。カラスの行水という方でも、入浴後から激しい運動をされることは少ないはず。テレビを見ている間、座りっぱなしでインターネットに接続している時間など使えば充電できるでしょう。

ただ、同じくUSBケーブルで充電する
Fitbit Oneは約2週間、ボタン電池(CR2025)駆動の Fitbit Zipなら4~6か月はバッテリーが持つので、正直少々短いかな、と感じます。

Fitbit OneやFitbit Zipからの乗り換えを検討する方は、ディスプレイ非搭載が不満につながるかもしれません。最新状況を確認するには、アプリを起動して同期するため、やや待ち時間が発生します。少しもどかしいですが、ディスプレイの代わりにLEDインジケータが5つあり、タップの仕方を変えることで目標達成度を確認できるほか、睡眠記録の開始や終了、目覚ましの停止といった操作はできるので、個人的には慣れでカバーできると感じています。

なお、目覚まし時計と睡眠記録を併用している場合、目覚ましの停止と、睡眠記録の終了を続けて行う必要があり、少々忙しい目覚めになります。

ちなみに、なにげに便利なのが目覚まし機能です。アプリで設定した時刻になると、ブルルっと震えて起こしてくれます。突然なり響く目覚まし音が苦手という方や、同居している家族を起こさず、自分だけ目覚めたいという方に最適です。ぜひお試しいただきたい機能です。

アプリ「SoftBank HealthCare」の使い心地

専用アプリ「SoftBank HealthCare」は、歩数、消費カロリー、睡眠記録、体重や体脂肪率、摂取カロリーを確認できます。「Flex」とBluetoothでペアリングしておくことで、データはワイヤレスで受信できます。アプリを起動すれば自動的に接続され、データを更新できるので手間いらず。歩数、睡眠記録、体重/体脂肪、食事/摂取カロリーは手入力も可能で、友達登録機能も備えています。

管理できる内容に関してはFitbit社のアプリとあまり差はありませんが、がんばったご褒美の「コイン」や、溜めたコインで挑戦できる「くじ引き」、将来の自分の顔が見られる「タイムマシン」、「健康相談」といった独自のコンテンツで差別化しています。特にリアルなご褒美につながる「くじ引き」や、24時間365日いつでも人が対応してくれる「健康相談」など、バーチャルで終わらせない部分は有料サービスならではと感じました。

睡眠記録も「Flex」のメリットですが、眠りの深さが分かりやすく表現されている点は好感が持てました。最初の深睡眠のあと、ほとんどフラットになっていたりすることもあるなど、精度はかなりおおざっぱな印象。現段階で、これをもって専門機関に相談に行けるかどうかはまだ疑問ですが、精度が上がれば自分の状態をつかみやすくなりそうです。

データ管理をスマートフォンのアプリだけで完結できるというのが「SoftBank HealthCare」のよさでもあります。実はソフトバンク版以外の「Fitbit」で機能をフルに活用するためにはパソコンも必要で、スマートフォンはあくまでもモバイル用という位置づけ。そのためデータも1日単位なのです。一方、「SoftBank HealthCare」は週、月、年単位でも見られるため、パソコンを持たないユーザーでも安心して使えます。

なお、Fitbit OneやFitbit Zipを使っていた人は、連携機能でFitbit.comのクラウドから前日までのデータを取り込めるなど、乗り換えもサポートしています。

1度は見ておきたい「タイムマシン」

オリジナル機能の1つである「タイムマシン」とは、現在の自分の顔写真をもとに、20年後の未来の自分を動く写真で確認できるというもの。当初はユーザーの気を引くためのおまけのようにと考えていたのですが、意外とその存在意義はありそうです。

実際自分の顔写真を使ってやってみたところ、5年後、10年後、20年後とその変化がアニメーションで表現され、最後に衝撃的な顔が現れました。 今でさえすでに失われゆく若さに悩む日々ですが、そこに現れたのは、さらにゆがんでしわしわになった自分の顔。額にはしっかりと老人斑まで加えられており、瞬きしたり、少し頭を動かしたりと、生きているような演出も加わっているため、その生々しさといったらありません。

意志力に関するベストセラー「スタンフォードの自分を変える教室」の中で、著者のケリー・マクゴニガル氏は、人が将来の備えとしての貯金ができない理由として、現在の自分と未来の自分の姿が重ならないため、「まるで他人のためと思えるからでは」と述べています。

健康管理でも同じことが言えるとすれば、「タイムマシン」で20年後の自分の顔を見るということは、ケリー氏も提唱する「将来の自分とのつながりを強化する方法」の1つとして有効と考えられそうです。

健康管理は、自分個人の努力だけでは達成しにくい面もあります。家族を含め、周りにいる人々のライフスタイルに影響されることもありますから、「タイムマシン」に自分だけでなく友達や家族のチェックもできるゲストモードがあると、周りの啓蒙にも役立ちそうです。

「健康相談」で専門家に直接電話で相談してみた

「健康相談」は、「健康」「育児」「介護」全般を対象に、24時間365日電話相談が可能な「健康相談」です。相談料や通話料は無料。電話はアプリ内から可能で、画面に表示されている受付番号をオペレーターに伝えると、医療専門職に就くプロに繋いでもらえます。

せっかくなので、最近気になってることについて質問してみました。受付番号を控え、「相談する」ボタンをタップするとコールセンターにつながりました。受付番号に加え、住んでいる地域、名前(任意)、相談のジャンル(今回は健康)を伝えると、オペレーターが相談員に繋いでくれました。

相談内容については差し控えますが、ざっくりとしたアドバイスと、深刻な場合に何科をたずねるべきかを教えていただきました。相談内容にも影響されていたと思いますが、全体としてはふんわりした回答、といったところでしょうか。対面式ではなく医療行為でもないので、相談しても万事解決するわけではありません。とはいえ、困ったときに相談できる相手が、24時間スタンバイしているというのは心強いです。特に1人暮らしの方にはいいかもしれません。

ちなみに、サイトには自分のことだけでなく、家族や友人についての相談も可能と記載されてるため、当初は知人の体調不良について質問しようと思ったのですが、確認したところ、相談内容は契約者本人かその家族に限定されるとのことでした。この辺り、明確にして欲しいところです。

「健康相談」とあわせて活用するとメリットが

特に「やるぞ!」「健康管理だ!」と意気込まずとも、腕に取り付けておくだけで日々の行動がしっかり記録でき、グラフ化できる「SoftBank HealthCare」はとても便利なサービスです。くじ引きできるなら......とちょこちょこアプリを起動したり、昨日はあまり歩かなかったから、と意識的に遠回りしてみたりと、自分を動かすきっかけになってくれることは間違いありません。

有料サービスではありますが、2年間でかかる費用は「Flex」本体の代金と見なせる程度なので、製品代金を分割払いしていると思えばいいでしょう。ただし2年縛りで、途中解約や利用できない端末への機種変更では解約料が発生するので注意が必要です。

心理的な足かせになるのがこの「縛り」であり、それを考えさせないだけメリットがこのサービスの中に見いだせるか、が利用判断の分かれ目になりそうです。

その点で最も気になったのは、測定結果に対するアドバイスが、アプリ上にまったくないことでした。 「タイムマシン」を開くと表示される「バランスレベル」が、現在の活動に対する総括になるようですが、見て満足して終わる可能性も......。

時間的に余裕のある方は「健康相談」を積極的に活用できればカバーできるでしょう。将来的には、歩く、食べる、眠るの3つについて、それぞれグラフに関する説明や、健康上のアドバイスが表示されると、使っている感も得やすく満足できそうです。デバイス、アプリともに始まったばかりですので、今後の展開に期待したいところです。